くらしが育んだ「里」を未来へ
人々のくらしに育まれてきた健やかで美しい「にほんの里」100選。
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熊野古道小辺路、果無峠近くの小集落。急斜面の田畑を耕し自給自足で暮らす。古道沿いに観音石仏と供花。眼下は十津川温泉。
※(注記) 交通アクセスや店舗情報などは、お出かけ前にご確認ください。
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2017年05月06日
熊野古道が通る山里
●くろまる果無集落の田んぼ。目の前の山には雲がかかる(十津川村役場提供)
紀伊半島の奥部で、山が折り重なって果てが無いから「果無」なのだそうだ。標高約380m の集落には石畳の道や民家を囲う石垣が築かれ、田畑や周囲の斜面はスイセンやサクラ、アジサイ、緑の田んぼ、熟した柿の実などで季節ごとに彩られる。その美しさから「天空の郷」とも呼ばれる。
この集落を、高野山・熊野本宮大社間(約70km)を結ぶ熊野古道の一つ、小辺路が通る。寄せ合って暮らす人々は、遠くから訪れる巡礼者に優しい。2004 年に世界遺産となってからは、海外からやって来る人も増えた。集落から三十三観音石仏に見守られながら、標高1114m の果無峠を越えて5時間半ほど歩けば、本宮大社にたどり着く。