くらしが育んだ「里」を未来へ
人々のくらしに育まれてきた健やかで美しい「にほんの里」100選。
各地のニュースや活動、特色や所在地――里からの発信をお届けします。
三重県境の約20戸の集落。田畑はよく管理され、畦(あぜ)は常に草刈りされて美しい。動植物も多様で自然豊か。東海自然歩道が通る。
※(注記) 交通アクセスや店舗情報などは、お出かけ前にご確認ください。
※(注記) 車ナビは、里を訪れる際の目標ポイントを数値化したマップコードで、()内が施設名や地点です。地図では★で示しました。カーナビのマップコード検索で利用できます。
2017年12月25日
●くろまる草刈りの行き届いた田畑が広がる杉谷新田の集落
心ひきつける農村風景
標高約250m の地で、山裾やよく手入れされた田んぼの中に20 戸余りの農家が点在する。春から秋にかけて、イネの成長とともに移り変わる農村の風景が、見る人の心をひきつける。畑では特産の「杉谷とうがらし」の他、なすび、うりといった伝統野菜も生産され、人気商品になっている。
周囲の山は早春のコブシから始まる花々が絶えず、集落内には東海自然歩道が通る。小さな集落にもかかわらず、小学生が今でも6人ほどいるのが自慢だ。子どもたちがバスで通う小学校と連携して、毎年「新田学習」と称する遠足に協力してきた。学年ごとに自然や文化などのテーマを持ち、地域の人たちがその案内や指導に当たる。
2017年08月21日
にほんの里100選の地、甲南町杉谷新田の少し奥まった場所に、灌漑用ため池として利用されている岩尾池があります。その池のほとりに、滋賀県の自然記念物に指定されている「岩尾池の一本杉」が立っています。現地の表示によると、その幹回りは4.7m、樹高は15mとされており、伝承に基づくと樹齢は1000年以上だそうです。
その伝承とは、天台宗の開祖として知られる伝教大師・最澄上人(766〜822年)にまつわるものです。最澄がこの地を訪れた時、食事の後に使用後の箸を地面に突き刺したものが芽吹き、この杉になったというのです。最澄上人が生きていた時代をもとに考えると、樹齢は約1200年ということになりますね。杉谷という地名も、この一本杉にちなんだものと言われています。杉谷新田は江戸時代に開かれた集落のようですが、京都や奈良に比較的近いこともあり、杉谷の地域全体としては、かなり古い歴史を持っているのかもしれません。この一本杉は、その歴史を今に伝えてくれる存在のようです。