くらしが育んだ「里」を未来へ
人々のくらしに育まれてきた健やかで美しい「にほんの里」100選。
各地のニュースや活動、特色や所在地――里からの発信をお届けします。
江戸時代の開拓地割りをそのまま生かす。間口72メートル、奥行き675メートル。屋敷、畑、雑木林の順に細長く区画された農村集落。
※(注記) 交通アクセスや店舗情報などは、お出かけ前にご確認ください。
※(注記) 車ナビは、里を訪れる際の目標ポイントを数値化したマップコードで、()内が施設名や地点です。地図では★で示しました。カーナビのマップコード検索で利用できます。
2019年02月22日
コピーDSC05636 コピーDSC05679 埼玉県所沢市下富の平地林で1月26日(土)、「第8回三富(さんとめ)千人くず掃き」が催されました。「くず掃き」とは落ち葉掃きのこと。近隣の住民など総勢100人余が参加し、江戸時代から続く循環型の伝統農法に用いられる落ち葉を集めました。主催は三富地域農業振興協議会です。
埼玉県西部の川越、所沢、狭山、ふじみ野の4市と三芳町にまたがる三富地域では、日本農業遺産に認定された「武蔵野の落ち葉堆肥農法」が300年以上続いています。
この日は朝からよく晴れ、「ヤマ」と呼ばれる平地林はコナラなどの落ち葉で覆われていました。厳しい寒さの中、親子連れなどの参加者らは熊手を使って元気よく落ち葉を掃き集めます。落ち葉はネットにくるまれて車に載せられ、次々と堆肥場へと運ばれました。
江戸時代にできた屋敷林、畑地、平地林からなる短冊状の地割が残る三富新田は、朝日新聞社と森林文化協会が2009年1月に公表した「にほんの里100選」に選ばれています。
2018年10月08日
三富シンポ・鈴木氏 埼玉県西部の三富(さんとめ)地域に江戸時代から続く落ち葉堆肥農法を考える「第9回『農』と里山シンポジウム〜三富を未来に受け継ごう!〜」が9月8日(土)、狭山市の市民交流センターで開かれ、里山に関する二つの講演が行われました。主催は三富地域農業振興協議会、後援は森林文化協会など。
最初の講師は、映画「武蔵野」のプロデューサー兼製作委員会副会長を務める鈴木敏夫氏。映画は三富地域に伝わる落ち葉堆肥による循環型農業を追った原村政樹監督のドキュメンタリー作品。この日は学校向けにつくった短縮版(21分)を上映後、地元川越市に住む鈴木氏は「子どもの頃遊んだ平地林や畑、屋敷林をどうやって残していくのか。原村監督の映画づくりを支持することで、
農業の面白さを都会の人、若い人たちに伝えていきたい」
と述べ、全国上映していくための支援を訴えました。
三富シンポ・澁澤氏 続いて、NPO法人共存の森ネットワーク理事長を務める澁澤寿一氏が「里山の暮らしから未来を考える」と題して講演。「お金に換算できないと価値と認められない。暮らしは豊かになったが、人びとは不安を持って生きている」「持続可能な社会をつくるには人と人、人と社会、世代と世代がつながることが必要」「農山村と都市が一緒になって、今までの価値観と違う、新しい社会をつくらなければならない」などと語りました。
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三富は川越、所沢、狭山、ふじみ野、三芳の4市1町にまたがる地域。平地林(ヤマ)、畑、屋敷地からなる短冊状の地割が残る「三富新田」は森林文化協会、朝日新聞社の「にほんの里100選」に選ばれている。