宮崎県立病院の今後のあり方について

平成17年6月
宮 崎 県
目 次
第1編 県立病院の今後のあり方
第1 県立病院の沿革と現状 1
1 県立病院の沿革 1
2 県立病院の現状 1
(1) 診療機能 1
(2) 経営状況 2
第2 県立病院を取り巻く環境 4
1 医療をめぐる国の動き 4
(1) 医療法の改正等 4
(2) 医療提供体制改革のビジョンの制定等 4
(3) 国立病院・療養所の再編・合理化 5
(4) 指定管理者制度と地方独立行政法人制度の創設 5
2 本県医療の状況 6
(1) 県内の医療需要 6
(2) 県内の医療供給 6
第3 県立病院の今後のあり方 8
1 基本的な考え方 8
(1) 持続的、安定的な医療を提供するための新たな経営形態等の導入 8
(2) 地域の医療事情の変化に対応した診療機能の提供 9
(3) 患者本位の医療の提供、患者サービスの向上 9
2 各県立病院の基本的方向 10
(1) 宮崎病院 10
(2) 延岡病院 10
(3) 日南病院 10
(4) 富養園 11
第2編 県立病院改革実行計画
第1 持続的、安定的な医療を提供するための新たな経営形態等の導入 12
1 新たな経営形態の導入 12
(1) 地方公営企業法全部適用の導入 12
(2) 相応しい運営形態の選択に向けた検討 12
2 地方公営企業法の全部適用を支える運営体制の構築 13
(1) 企業性を発揮しうる組織・体制の確立 13
(2) 病院事業評価システムの導入 13
3 経営健全化対策の充実・強化 14
(1) 経営管理機能の強化等 14
(2) 医療資源の有効活用等による経営基盤の強化 14
(3) 費用削減への一層の取組 15
(4) 職員の経営参画意識の醸成等 15
4 政策医療、不採算医療等に対する適切な公的負担 15
5 県民にわかりやすい経営状況などの公表 15
第2 地域の医療事情の変化に対応した診療機能の提供 16
1 宮崎病院 16
(1) がん医療を中心とした高度医療の充実 16
(2) 救命救急を中心とした急性期医療の充実 16
(3) 県内の医療従事者の確保や技術向上を支援しうる研修病院機能の充実 16
2 延岡病院 16
(1) 診療科の再編等による機能の高度化と集約化 16
(2) 地域完結型医療の構築(メディカルセンター化構想) 16
3 日南病院 16
(1) 急性期病院としての機能強化、質の向上 16
(2) 地域医療確保による住民ニーズへの対応 16
4 富養園 17
(1) 精神疾患に関する高度医療等の充実 17
(2) 宮崎病院との連携 17
5 各県立病院共通 17
(1) 医師や看護師等の体制充実 17
(2) 非紹介患者初診加算料(特定療養費)の徴収 17
6 既存の診療機能の絶えざる見直し 17
第3 患者本位の医療の提供、患者サービスの向上 18
1 患者の立場、選択の尊重 18
2 安全・安心な医療の提供 18
3 患者サービスの向上 18
第1編 県立病院の今後のあり方 - -1
第1 県立病院の沿革と現状
1 県立病院の沿革
しろまる 本県における県立病院は、大正10年10月1日宮崎県立病院を開設したの
が最初である。
昭和23年に日本医療団延岡病院及び油津病院が県に移管され、県立延岡病
院、県立日南病院として比較的医療施設に恵まれなかった県北、県南地方に開
設された。
昭和27年には、富田村(現新富町)に精神病疾患患者の治療施設として県
立富養園が開園された。
しろまる 県立宮崎病院においては、昭和48年度から宮崎医科大学の関連教育病院と
して、施設の整備充実を図り、昭和60年3月に全面改築を行っている。
県立延岡病院と県立日南病院においては、それぞれ平成9年11月、平成10
年2月に全面改築を行い、今日に至っている。
県立富養園については、昭和38年に全面改築したが、老朽化が進展し、現
、 、 。
在 県では 新たな精神中核病院を県立宮崎病院に併設する方針を出している
2 県立病院の現状
(1) 診療機能
しろまる 県立病院は、全県レベルあるいは各二次医療圏域 の中核病院として、高
(注記)1
度・政策医療や地域で不足する医療、法令で定めのある災害医療等を担って
おり、県では、改築整備等を通じて診療機能の一層の充実に努めてきた。
宮崎病院では、救命救急センターによる3次救急医療 をはじめ、周産
(注記)2
期医療 、がん医療、移植医療、心疾患・脳血管疾患医療など全県レベル
(注記)3
の中核病院として高度・先進医療を提供している。また、本県の基幹災害
医療センターやエイズ治療拠点病院としての機能も担っている。
延岡病院では、全面改築を機に、県北地域における3次救急医療確保の・ため新たに救命救急センターを整備するとともに、ICU・CCU(特定
集中治療室)、NICU(新生児集中治療室)の施設機能や心臓血管外科等
の新設を行い、県北地域の中核病院として、2次救急 を含めた高次救急
(注記)4
、 。
医療や周産期医療 心疾患・脳血管疾患医療等の高度医療を提供している
また、へき地中核病院や地域災害センターとしての機能も担っている。
日南病院では、全面改築を機に、ICU・CCU、NICUの施設機能・を整備するとともに神経内科の新設など診療機能の充実を図り、県南地域
(注記)1 二次医療圏:入院治療を必要とするような比較的専門性が高い医療が概ね完結できるよう設定された区域。
(注記)2 3次救急医療:高度の検査・手術を要する重篤患者の救命救急を行う救急医療。
(注記)3 周産期医療:妊娠満22週から出産後7日未満までの期間における母体と早期新生児に対する医療。
(注記)4 2次救急医療:休日又は夜間における入院治療を必要とする重症患者を対象とする救急医療。 - -2
の中核病院として、2次救急医療や周産期医療、心疾患・脳血管疾患医療
等の高度医療を提供している。また、地域災害センターとしての機能も担
っている。
富養園については、本県精神医療の中核病院としての機能を担っている・が、今後、宮崎病院への併設を機に、診療機能の一層の充実を図る予定で
ある。
しろまる 県立病院の患者数が県内の延患者数に占める割合(平成14年度)は、入
院で8.1%、外来で10.7%と全国(入院5.0%、外来5.8%)と比べ高く、特
に、延岡病院の患者数が県北地域に占める割合と日南病院の患者数が県南地
域に占める割合は高い。
しろまる 近年、宮崎病院では、周辺の民間医療機関等の整備充実に伴い、高度医療
分野を含めこれらの医療機関等と診療機能が重複する状況が生じてきてい
る。
また、延岡、日南病院では、新しい医師臨床研修制度 の影響等により一
(注記)1
部の診療科において医師確保ができず、診療機能の発揮に支障をきたす状況
等が見られる。
(2) 経営状況
、 ( )
しろまる 県立病院事業は 昭和39年に地方公営企業法の規定の一部 財務規定等
を適用し、企業会計という経理方式によって、現在、経営を行っている。
県立病院の経営状況は、平成6年度には約11億円の累積黒字を計上して
、 、 、
いたが 平成9年度以降赤字に転じ 平成15年度には単年度で約28億円
累積で約165億円の赤字を抱える状況となっており、大変厳しい経営が続
いている。
収支悪化の要因としては、患者の自己負担率の引上げや地域の民間医療機
関の整備充実等に伴う入院・外来患者数の減少、診療報酬のマイナス改定等
。 、 、 、
により収益が減少していること等が挙げられる 一方で 費用面では 延岡
日南病院の改築に伴う減価償却費等の増加や、高い人件費比率と近年の退職
者数の増加等により人件費が増加していること等が挙げられる。
しろまる 県立病院では、その性質上経営に伴う収入をもって充てることが適当でな
い経費(救急医療に要する経費等)や能率的な経営を行ってもなお採算性を
確保することが困難な経費(高度特殊医療に要する経費等)について、一般
会計から繰入金を受け入れており、平成15年度の繰入金額は約48億円に
上っている。
(注記)1 臨床研修医制度:医師としての人格を涵養し、将来の専門性に関わらず、医学・医療の社会的ニーズを認識し
つつ 日常診察で頻繁に遭遇する病気や病態に適切に対応できるよう プライマリケアの基本的な診療能力 態
、 、 (
度・技能・知識)を身に付ける研修医制度。 - -3
現在、このような繰入金を収益に含めても上記のような多額の赤字を計上
していることから、収支均衡に向けての努力が強く求められており、議会及
び包括外部監査 においては、地方公営企業法の全部適用 など経営改善に
(注記)1 (注記)2
向けて抜本的な見直しが必要である等の指摘も受けている。
(注記)1 包括外部監査:監査機能をさらに強化するため、これまでの監査委員制度に加えて公認会計士等が実施する
外部の監査。
(注記)2 地方公営企業法の全部適用:地方公営企業法のうち財務等に関する規定だけではなく、組織に関する規定及
び職員の身分取扱に関する規定も含めて全ての規定を適用すること。これにより、病院事業の管理者を設置し
て、内部組織の設置や予算原案の作成、職員の任免などを含む業務執行権を与えることにより、経営責任の明
確化、自立性の拡大を図ることができる。 - -4
第2 県立病院を取り巻く環境
1 医療をめぐる国の動き
(1) 医療法の改正等
しろまる 国は、これまで数次にわたる医療法の改正により、医療計画制度の導入、
地域医療支援病院の整備、病床区分の見直しなど、多様化、高度化する国民
の需要に対応した地域の体系的な医療提供体制の整備促進や、医療施設間の
機能分化を通じた効率的な医療提供体制の確立を図ってきた。
しろまる 診療報酬制度においては、年々膨れあがる総医療費の抑制を目指した様々
な改革がなされてきており、診療報酬のマイナス改定や急性期医療に対する
(注記)1
診療報酬の加算、急性期入院医療に係る診断群分類別包括評価(DPC)
の一部の病院での導入、ハイケアユニット や亜急性期 などの診療報酬の
(注記)2 (注記)3
新設等により、効率化、機能分化を一層進める改革がなされている。
しろまる 病院の機能評価を行う機関として財団法人日本医療機能評価機構 が設立
(注記)4
され、平成9年度から第三者の立場で病院の診療・看護体制、運営管理状況
等の評価を実施している。本県においては、平成16年4月に日南病院が、
平成17年1月に延岡病院が評価機構から認定を受けている。
(2) 医療提供体制改革のビジョンの制定等
しろまる 国においては、平成15年8月に「医療提供体制の改革のビジョン」を示
している。
このビジョンでは、具体的に進めるべき施策として、1患者の選択(患者
本位)のための情報提供の推進、2質の高い医療を効率的に提供するための
医療機関の機能分化・連携の推進と地域医療の確保、3医療を担う人材の確
、 。
保と資質の向上 4生命の世紀の医療を支える基盤の整備などが示されている
しろまる なお、国では、従来の医療法人制度を見直し、公益性の高い医療を担う認
定医療法人の創設を検討しており、公的医療機関の経営を積極的に担うこと
ができるよう、その取扱を明確にする予定である。
しろまる 公共サービス事業に関して「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2
004 (平成16年6月閣議決定)においては、国及び地方公共団体の事」( ) 、
務事業の民間への移管 民営化・民間移譲・民間委託 を推進するとともに
公共施設の民間による管理運営、利活用の促進を図るとの方向性が示されて
いる。
(注記)1 診断群分類別包括評価(DPC :診断群分類別に診療行為をまとめてセット料金とした定額払い方式。ただ)し、手術など医療技術を評価する費用は従来どおり出来高払いとし、それ以外の入院基本料、投薬、注射など
の運用費用を定額払いとするもの。
(注記)2 ハイケアユニット(HCU :一般病棟より重症度や看護必要度が高い患者を受け入れ、特定集中治療室(I)CU)の後方病床として、ICU退室後も継続して比較的密度の高い医療や手厚い看護を提供できる体制を整
えている治療室。
(注記)3 亜急性期:急性期と慢性期の中間に存在する病状であり、急性期の終わりかけの段階で病状がある程度安定
し回復途上にある病期。
(注記)4 財団法人日本医療機能評価機構:病院の診療体制を中立的な立場から審査し、審査基準を満たした病院につ
いて認定する第三者機関。 - -5
(3) 国立病院・療養所の再編・合理化
しろまる 国は 「国立病院・療養所の再編・合理化の基本方針 (平成8年11月改
、 」
定)により、国立病院・療養所は、国の施策として特に推進すべき政策医療
を担うこととし、近年、施設の統廃合や経営移譲を進めてきている。本県に
おいては、国立療養所日南病院が民間移譲されている。
しろまる 高度かつ専門的な医療センターなど特に必要のあるものを除き、弾力的か
つ効果的な運営を目指すため、大半の国立病院・療養所が平成16年度に独
立行政法人国立病院機構に移行している。本県においては、国立都城病院、
国立療養所宮崎東病院、国立療養所宮崎病院の3施設が独立行政法人に移行
した。
(4) 指定管理者制度と地方独立行政法人制度の創設
しろまる 地方自治体の「公の施設」 は 「民でできることは民で」とする国の構
(注記)1、造改革の一環として、地方自治法が改正され、平成15年9月から民間事業
者等に委ねることが可能となった。
これにより、県立病院も民間医療法人に委託が可能となった。
しろまる 中期目標に基づく経営管理、評価委員会による事後評価制度の実施を根本
理念とする地方独立行政法人法が制定され、平成16年4月から地方独立行
政法人 の設置が可能となった。
(注記)2
この地方独立行政法人には、職員の身分が地方公務員である特定地方独立
行政法人と非公務員である一般地方独立行政法人がある。
都道府県の動きとしては、大阪府が病院事業において地方独立行政法人の
制度導入を検討している。
(注記)1 公の施設:住民の福祉を増進する目的をもって住民の利用に供するために普通地方公共団体が設ける施設。
、 、
(注記)2 地方独立行政法人制度:政策の企画立案機能と事業実施機能を分離し 企画立案機能は地方公共団体が担い
。 、
事業実施機能を地方独立行政法人が担う制度 自立的で弾力的な業務運営と適切な事後評価を行うことにより
業務の効率性やサービス水準の向上を図り、効率的・効果的な行政サービスの提供を行うもの。 - -6
2 本県医療の状況
(1) 県内の医療需要
しろまる 本県の人口総数は116万人 で、年齢別の人口構成は、
(平成16年10月1日現在)
14歳以下の年少人口の割合は、14.9%、65歳以上の高齢者人口は、
22.8%、であり、高齢化が全国的にも早い水準で進んでいる。
しろまる 現在の本県の疾病構造を入院患者でみると 「精神障害」が最も多く、次、「 ( )」、
「 、 」、「 ( )」いで 循環器系 心疾患・脳血管疾患 損傷 中毒 新生物 がん
となっている。
また 今後 高齢化が進む中で 推計人口等により算出した将来患者数 入
、 、 、 (
) 、 、
「 ( )」、
院患者 では 伸び率が高い疾患として 循環器系 心疾患・脳血管疾患
「眼及び付属器系 「呼吸器系 「尿路性器系」があげられ、患者絶対数」、 」、の増加が著しいものは 「循環器系(心疾患・脳血管疾患 「精神及び行
、 )」、
動の障害(統合失調症等 「新生物(がん 」となっている。)」 )
本県の主要死因の順位は、1悪性新生物(がん 、2心疾患、3脳血管疾)患、4肺炎、5不慮の事故の順となっているが、今後もこの状態は続くもの
と推計される。
しろまる このような県内の医療需要を考えると、今後、本県では、がん疾患、心疾
患、脳血管疾患等の患者の増加に対応した高度医療の確保が重要になってく
るとともに、緊急性の高いケースが多い心疾患や脳血管疾患患者の増加に対
応するため、救急医療体制の充実が求められる。また、がん疾患患者に対す
るQOL(生活の質)を総合的に高める医療提供体制も必要である。
(2) 県内の医療供給
しろまる 県内には153の病院があり 、対人口10万人比では、全国
(平成15年10月現在)
、 。
平均を上回っているが 100床未満の中小規模の病院が多数を占めている
( ) 、 、 、
しろまる 病床数 対人口10万人 を見ると 日南串間 都城北諸県( )平成15年10月現在
宮崎東諸県の医療圏については、全国平均をかなり上回っているが、西諸医
療圏、西都児湯医療圏は全国平均を下回っている。
しろまる 本県の医師数については、宮崎東諸県医療圏等の都市部への一極集中の傾
、 。
向が見られ 小児科など特定の診療科での医師の偏在や不足等が生じている
しろまる 高度医療機器の設置状況を見ると、高度医療を実施できる医療機関が全国
に比べて少ない状況にある。
なお、県内各地域の医療提供の状況は次のとおりである。
1 県央部
県央部は、宮崎東諸県医療圏、西都児湯医療圏の2つの二次医療圏に分け
られる。宮崎東諸県医療圏は近年、宮崎市を中心に民間医療機関の整備が進
み、大規模病院や医師数も相当程度、確保されている。また、3次救急医療 - -7。施設が2カ所あるなど、高度・救急医療等の診療機能の集積が進んでいる
一方で、西都児湯医療圏は、一般病床数、医師数とも十分確保されておら
ず、圏域の中核病院である西都市・西児湯医師会立西都救急病院も近年の医
師不足等により、受入体制の確保が十全ではないため、不足している一部の
診療機能については、距離的に近い宮崎市等の医療集積により補完がなされ
ている。
2 県北部
県北部は、宮崎県北部医療圏、日向入郷医療圏の2つの二次医療圏に分け
られる。
宮崎県北部医療圏には、比較的小規模な病院が多く、高度・救急医療を担
う県立延岡病院が大きな役割を果たしている。
また、日向入郷医療圏についても、小規模な医療施設が多い中にあって、
済生会日向病院等が、中核病院としての役割を担っている。
県北部は、診療機能が集積している県央部まで距離的に遠く、県立延岡病
院が両圏域を広域的にカバ−する形で、地域住民が求める医療確保に努めて
いる。
3 県西部
県西部は、都城北諸県医療圏、西諸医療圏の2つの二次医療圏に分けられ
る。
都城北諸県医療圏は、病院数、病床数、医師数とも相当程度確保されてお
り、高度・救急医療を行う医療施設についても、国立病院機構都城病院と都
城市郡医師会病院等を中核施設とした体系的な医療連携が図られるなど、一
定の整備がなされている。
、 、 、 、
また 西諸医療圏では 一般病床数や 大規模な医療施設が限られており
また中核病院である小林市立市民病院も近年の医師不足等により、医療機能
の確保が十分とはいえない状況にある。
4 県南部
県南部は、二次医療圏として日南串間医療圏と重なっており、この圏域は
病床数は多いものの、大規模な民間医療施設等が限られていることから、県
立日南病院が中核病院として、高度・救急医療機能の確保に貢献している。
このような県内の医療供給の状況を考えると、小児科医など不足する医師の
確保はもちろんであるが、今後、各圏域ごとに、診療機能によっては隣接する
圏域を含めたより広域的なエリアで、民間医療機関も含めた既存の医療施設の
機能分化や連携(病・病、病・診)を推進し、医療資源の有効活用と診療機能
の集約化に努めることにより、効率的な医療提供を図っていく必要がある。 - -8
第3 県立病院の今後のあり方
1 基本的な考え方
県立病院の厳しい経営状況や圏域の医療提供の現状を踏まえ、県立病院を取り
巻く環境の変化に的確に対応しながら、今後とも本県医療の確保・向上に寄与し
ていくため、次の基本的な考え方に基づき、県立病院のあり方を見直す。
(1) 持続的、安定的な医療を提供するための新たな経営形態等の導入
1 自立的で企業性を発揮できる経営体制の確立
経営の健全性の確保は、持続的、安定的な医療の提供の前提となるもので
あり、県立病院の厳しい経営状況の改善を図るため、経営の根本である経営
形態について、より企業性を発揮し、自立的な事業運営が可能な形態を導入
する。
2 医療資源の有効活用による収益の確保
医師、看護師等の医療スタッフの適正配置や施設設備の整備など各県立病
院の有する医療資源を有効に活用することにより、提供する医療内容に応じ
た収益が確保できる体制、基盤を整備する。
3 費用節減への積極的取組
材料費(医薬品費、診療材料費等)や経費、人件費などの病院事業費用に
ついて、コスト意識をもって徹底した見直しを行うなど、費用節減に積極的
に取り組む。
4 不採算医療等に対する適切な公的負担
県の一般会計からの繰入金は、県立病院が救急医療や高度・特殊医療など
不採算医療を県民に安定的に提供する上で欠かせない財源であるが、県の大
、 、
変厳しい財政状況を踏まえ 繰入れの対象とする医療分野や繰入額について
民間医療機関の整備進展等に常に留意し算定等を行うとともに、対象とした
医療分野においては、これまで以上に効率的・効果的な運営に努め、適切な
公的負担を図る。
5 職員の経営参画意識の醸成等
日々の病院運営を担うのは、全病院で約1,500名に達する医師や看護
師をはじめとするマンパワーであり、職員の経営参画意識の醸成等により、
一人ひとりが経営の健全化に対し正しい認識を持ち、経営の健全化に主体的
に取り組んでいく環境づくりを進める。 - -9
(2) 地域の医療事情の変化に対応した診療機能の提供
各県立病院は、全県レベルあるいは地域の中核病院として次のような役割・
機能を担っていく必要がある。
1 民間医療機関で対応の困難な医療の提供(高度医療、政策医療)
医療技術、スタッフ数、医療機器等の面で要求される水準が高いため、民
間病院での対応が困難な高度医療や、県民の健康維持に必須であるが診療報
酬体系等の理由で採算性の確保が困難な医療分野を担う (例 3次救急医。療、周産期医療、がん医療、移植医療等)
2 圏域の地域特性や診療機能を踏まえた医療の提供(地域医療の確保)
圏域の地域特性や医療機関の整備状況等、また、市町村、民間医療機関と
の連携、役割分担等を踏まえながら地域で量的・質的に不足する医療分野を
担う (例 2次救急医療、へき地医療等)。3 法令等に基づき対応すべき医療の提供
法令等の位置づけがあり、圏域内の民間医療機関の施設状況では提供でき
ない医療を担う (例 感染症医療、災害医療)。4 地域の医療機関との連携強化
地域の医療機関相互の役割分担や機能連携による効率的な医療提供体制の
構築に資するため、県立病院は急性期医療に特化するとともに、地域の他の
医療機関や医師会との連携を一層強化する。また、地域の医療従事者に対す
る教育・研修の提供等の取組を行う。
(3) 患者本位の医療の提供、患者サービスの向上
1 患者の立場、選択の尊重
インフォームド・コンセント の徹底や患者と医療従事者との信頼関係の
(注記)1
確立、診療情報の共有化や患者のプライバシー保護の推進等により、患者の
立場や選択を尊重した医療の提供に努めていく。
2 安全・安心な医療の提供
、 、
医療スタッフの資質の向上を図り 質の高い医療の提供に努めるとともに
各病院における医療安全管理部門の機能を強化し、事故発生時の的確な対応
及び医療事故防止対策の充実を図ることにより、安全・安心な医療の提供に
努めていく。
(注記)1 インフォームド・コンセント:医師が患者に対して、治療内容、効果、危険性、費用などについて、十分に
分かりやすく説明し、そのうえで治療の同意を得ること。 - -10
3 患者サービスの向上
病院の「主役」である患者が、癒しの場にふさわしい療養環境のもとで治
療が受けられるよう病院内の施設・機能の充実を図るとともに、患者の心理
に十分に配慮した職員の適切な対応など、サービスの向上に努めていく。
2 各県立病院の基本的方向
以上のような基本的考え方に基づき、各県立病院では、次のような方向で診療
機能の充実を図っていく。
(1) 宮崎病院
宮崎病院は、二次医療圏という視点から個々の診療機能を見ると、民間医療
機関等との競合が多く見られ、また、宮崎大学医学部附属病院とも相当程度競
合している状況にあることから、他の医療機関との機能分担に特に留意した見
直しが必要である。
このため、圏域及び全県レベルでの中核病院として、その特色である多数の
診療科の連携による総合性を活かした診療機能(がん治療機能、救急医療機能
等)の充実や、骨髄移植、腎移植、新生児外科手術など専門性の高い医療の維
持・向上を図るとともに、施設整備についても、こうした診療機能に対応した
特色のある整備を進めていく。
(2) 延岡病院
宮崎県北部医療圏では、民間医療機関が少なく、医療施設の充実している宮
崎市まで車で2時間以上の時間を要することから、延岡病院は日向入郷医療圏
を含めた県北地域の中核病院として、救命救急センターをはじめとする高度医
療機能を担っている。
今後は、さらに地域の民間医療機関との機能分担を推進しながら、急性期・
高度医療に特化していくとともに、圏域の交通事情等を踏まえ、延岡病院を中
、 。
核とする地域医療連携により 地域で医療が完結するシステムづくりを進める
(3) 日南病院
宮崎東諸県医療圏に隣接するという地理的条件のもとで、日南串間医療圏で
は、日南病院のほかに総合的な医療を提供できる医療機関はない。
このため、日南病院は、圏域の2次医療を担う総合病院として急性期医療や
高度医療、救急医療等を担っているが、今後ともこのような診療機能の充実に
努めていく。
また、圏域の中核病院として、地域に不足する医療機能に対応した施設・機
能の整備充実も検討していく。 - -11
(4) 富養園
富養園は、精神科医療に関する全県レベルの中核病院に位置づけられている
が、施設の老朽化等によりその機能を十分に発揮していない。
このため、県では、平成16年8月に、新たな中核精神病院を整備する方針
を決定し、急性期治療、身体合併症治療等の5つの機能を担うとともに、県立
宮崎病院に併設することとした。新たな施設の病棟・病床規模、整備方法、運
営方法等については、平成17年度中にその具体的内容について成案を得るこ
ととする。
第2編 県立病院改革実行計画 - -12
第1 持続的、安定的な医療を提供するための新たな経営形態等の導入
1 新たな経営形態の導入
(1) 地方公営企業法全部適用の導入
しろまる 県立病院事業の経営責任の一層の明確化や各県立病院の自主性、自立性の
拡大を図り、企業の経営原則に沿った運営を確保するため、平成18年度か
ら、地方公営企業法の全部適用を導入する。
しろまる 全部適用の導入に当たっては、医療サービスの向上も含めた県立病院改革
を着実に推進するため、地方独立行政法人制度の長所である経営目標の設定
とその評価システム等を併せて導入する。
(2) 相応しい経営形態の選択に向けた検討
しろまる 地方公営企業法の全部適用は県立病院改革の第一歩であり、その長所を生
かしながら、経営改善に努めていく必要があるが、将来にわたる経営形態に
ついては、医療と経営の両面から、相応しいあり方について検討を行ってい
く必要がある。
このため、平成21年度から、各県立病院ごとに、収支の状況やその他の
運営状況、更には圏域の医療事情等も総合的に勘案しながら、経営形態につ
いてさらに検討を行うこととし、平成23年度を目途にその医療を提供する
に相応しい経営形態を選択する。
平成18年度 平成19年度 平成20年度 平成21年度 平成22年度 平成23年度 平成24年度
1全適の継続
地 経営目標の設定、経営改善の取組 相
2地方独立行政
方 応
法人化
公 し
営 評価 提言 い
(注記)1
企 経 3公設民営化
業 評 価 委 員 会 営
(外部の有識者を含む ) 4民間移譲
法 形。の 態
全 の
部 選
適 択用(注記)1 公設民営:土地・建物などの経費は公が負担し、管理運営全般を民間の事業主体に委託する方式更なる経営形態の検討開始 - -13
2 地方公営企業法の全部適用を支える運営体制の構築
(1) 企業性を発揮しうる組織・体制の確立
1 病院事業管理者及び病院局(仮称)の設置
しろまる 病院事業の業務執行に関する権限を有し、病院経営の責任者となる病院
事業管理者 を新たに置き、各県立病院を管理統括するとともに、本庁部
(注記)1
門に病院局(仮称)を設置し、各県立病院の経営改革や経営管理が有効に
機能し得る体制を確立する。
2 県立病院最高経営会議の設置
しろまる 各県立病院が相互の連携を密にし、一体性をもって経営改善に取り組ん
でいくため、重要事項に係る意思決定機関として、病院事業管理者と各病
院長から構成される県立病院最高経営会議を設置する。
3 病院長の権限強化
しろまる 病院事業管理者の権限の一部を各病院長へ移譲し、現場レベルでの権限
を強化することにより、各県立病院における経営と責任体制の明確化を図
るとともに、機動的で柔軟な病院運営を推進する。
4 経営を支える人材の確保
しろまる 病院事業局及び各県立病院において、経営感覚に優れた職員の養成に努
めるとともに、経営知識等を持った人材を確保するため、民間の優れた病
院経営の専門家の中途採用等も検討する。
(2) 病院事業評価システムの導入
1 中期目標の設定
しろまる 県立病院における良質な医療の提供と経営の健全化に関する中期目標を
5年を計画期間として、平成18年度に設定する。
、 、
この中期目標は 新しくスタートする診療機能と経営形態等をベースに
可能な限り具体的な指標、数値等を用いるなど、職員が一丸となって達成
に向けて努力できるとともに、県民等に対してもわかりやすく、評価を行
いやすい内容とする。
(注記)1 病院事業管理者:地方公営企業の業務を執行する代表者であり、知事が任命する。地方公営企業法の一部適
用の場合は、病院事業管理者は不在であり、全部適用により管理者の設置が可能となる。 - -14
2 「県立病院事業評価委員会」の設置及び評価
しろまる 病院事業局内に、民間の委員等で構成する「県立病院事業評価委員会」
(仮称)を設置し、中期目標の進捗状況や成果等について評価を実施すると
ともに、目標達成や今後の病院事業のあり方等に関する提言を行う。
3 評価結果等の病院運営への反映
しろまる 病院事業管理者は 「県立病院事業評価委員会」の評価や提言を、以後、の病院運営に反映するよう努める。
3 経営健全化対策の充実・強化
(1) 経営管理機能の強化等
1 「経営管理システム」の整備
しろまる 平成18年度から各県立病院に本格導入する予定である電子カルテシス
テムは、インフォームド・コンセントの充実など医療サービスの向上や安
全・安心な医療の提供を目的とするとともに、経営面では「経営管理シス
テム」機能を整備するものである。
今後は、疾病ごとに診療報酬が定額化される診断群分類別包括評価制度
(DPC)の導入も予定されていることから、この「経営管理システム」を
活用して、疾病別、診療科別、部門別という観点からコストと収益の分析
を行って経営効率を測定し、コスト管理を徹底した経営を推進していく。
2 キャッシュ・フロー計算書の導入
しろまる 客観的なデータに基づく、透明性のある経営が行えるよう、キャッシュ
・フローで資金の流れを把握管理するキャッシュ・フロー計算書の導入を
進める。
(2) 医療資源の有効活用等による経営基盤の強化
しろまる 医師、看護師等の医療スタッフや施設設備等の各県立病院が有する医療資
源を一層有効に活用する観点から、必要な部門へ職員の適正配置を行うこと
により施設基準を取得するなど診療報酬制度への的確な対応を図る。
(例)施設設備や医療スタッフの有効活用による施設基準の取得
救命救急センターの職員の配置体制を強化することにより、施設基準を充足し入院単
価の高い救命救急入院料を取得する。
しろまる 診療科別病床配分の弾力的運用など効率的な病床管理体制の確立などに努
めることにより、収益改善のための基盤整備を進める。 - -15
(3) 費用節減への一層の取組
1 医薬品、診療材料の共同購入の実施
しろまる 県立病院の費用の中で大きなウェイトを占める材料費の節減を図るた
め、これまで各病院が別々に購入していた医薬品・診療材料について、一
括共同購入を行う。
2 業務委託の推進
しろまる 民間活力の活用により病院経営を効率化する観点から、現在直営で行っ
ている業務のうち、医療内容、患者サービスを維持しつつ、民間でより効
果的、効率的に行うことが可能な業務については、業務委託を推進する。
3 その他
しろまる 人件費比率が高い状況を改善するため、これまで以上に職員の効率的配
置等により人件費の抑制に努めるとともに、収益性を反映した給与等のあ
り方について検討を行う。
(4) 職員の経営参画意識の醸成等
しろまる 院内電子システム掲示板や職員研修等を通じて、職員に対して経営計画や
経営情報等の周知・理解を図る。
しろまる 各県立病院に対する経営改善実績に応じた予算の重点配分、医師に対する
報奨の実施等の導入を検討する。
4 政策医療、不採算医療等に対する適切な公的負担
しろまる 一般会計からの繰入金の対象となる政策医療等は、地域の医療事情を十分に
、 、
考慮して 真に県立病院が担うべき公益性のある医療分野を選定するとともに
繰入額の算定についても客観的でわかりやすい、より適切な繰入基準の確立に
努め、透明性の向上を図る。
5 県民にわかりやすい経営状況などの公表
しろまる 地方公営企業法の規定に基づき、事業や予算の概要、また、決算の状況を年
2回県公報で公表しているが、今後、常に県民の理解と協力の下に経営の効率
化や医療サービスの向上等を図るため、できる限り県民の理解が得られやすい
、 。
ような工夫を講じつつ 経営目標や経営状況などについて積極的に公表を行う - -16
第2 地域の医療事情の変化に対応した診療機能の提供
1 宮崎病院
(1) がん医療を中心とした高度医療の充実
しろまる がん治療における全県レベルの拠点病院を目指すため、新たに中央がん治
療センターを設置し、病棟を臓器別に再編するなど、関連診療科の連携によ
る集学的治療を実施する。
また、終末期医療 が必要な患者のための緩和ケア の充実にも努める。
(注記)1 (注記)2
(2) 救命救急を中心とした急性期医療の充実
しろまる 安全で質の高い救急医療を提供するために「救命救急科」を新設し、救命
救急センターの充実強化を図る。
(3) 県内の医療従事者の確保や技術向上を支援しうる研修病院機能の充実
しろまる 臨床研修のプログラムや指導体制を充実し、県内に従事する医師の確保を
図る。
2 延岡病院
(1) 診療科の再編等による機能の高度化と集約化
しろまる 急性期病院として救命救急センター機能を充実するとともに、患者本位の
良質で安全な医療を提供するため横断的な診療科としてのセンター群を設置
する。
(2) 地域完結型医療の構築(メディカルセンター化構想)
しろまる 延岡病院を中核とした地域医療連携を更に推進することにより、県北地域
の全医療機関が一つのメディカルセンターとして機能するような地域完結型
の医療提供体制を構築する。
3 日南病院
(1) 急性期病院としての機能強化、質の向上
しろまる 地域の急性期医療を担う中核病院として、医療スタッフの充実による診療
機能の専門分化を進めるとともに、救急医療については、地元医師による夜
間救急の支援体制の構築を検討する。
(2) 地域医療確保による住民ニーズへの対応
しろまる 地域のニーズを踏まえ、急性期を過ぎた亜急性期、回復期の患者に対する
医療の充実にも努める。
(注記)1 終末期医療:近いうちに死が不可避とされる疾病や外傷によって患者が病床に就いてから死を迎えるまでの
医療。
(注記)2 緩和ケア:末期のがん患者などに対し、延命だけでなく、苦痛を緩和し精神面での支援を行いながら、人間
らしく人生を全うできるよう支援を行うケア。 - -17
4 富養園
(1) 精神疾患に関する高度医療等の充実
しろまる 急性期治療、難治性疾患治療、児童思春期治療、身体合併症治療及び高次
救急医療の5つの機能を担う。
(2) 宮崎病院との連携
しろまる 宮崎病院のスタッフ、医療機器の積極的活用や一般診療科との密接な連携
など、宮崎病院との併設のメリットを活かした機能を発揮する。
5 各県立病院共通
上記の各県立病院の診療機能の充実等を推進する上で、必要となる次のような
取組を行う。
(1) 医師や看護師等の体制充実
しろまる 救急医療や高度医療等の診療機能を強化するとともに、新たな施設基準の
取得等による診療報酬の確保を図るため、医師体制の充実を検討する。
また、診療機能の充実及び医療の安全性の向上に必要な看護体制を確保す
るため、中堅看護師層を対象とした採用試験の実施等を検討する。
この外、他の医療スタッフの体制充実にも取り組んでいく。
(2) 非紹介患者初診加算料(特定療養費)の徴収
しろまる 地域の民間医療機関等との機能分担を一層推進するため、診療所等の民間
医療機関等からの紹介状のない患者から初診時に加算料を徴収する。
このような取組などにより県民への医療機関の役割分担の理解を促進する
とともに、地域との連携を強化することにより、紹介率の向上を図るなど、
入院治療を必要とする患者に重点を置いた診療体制を構築する。
6 既存の診療機能の絶えざる見直し
しろまる 県立病院事業の大変厳しい経営状況や、医療スタッフ等の医療資源は限られ
ていること等を踏まえ、今後とも各県立病院の既存の診療機能は、地域の民間
医療機関等の充実が進む分野においては縮小・廃止を行うなど、絶えざる見直
しを行っていく。 - -18
第3 患者本位の医療の提供、患者サービスの向上
1 患者の立場、選択の尊重
しろまる 現在導入を進めている電子カルテ等により院内情報を総合的に活用できるシ
ステムを構築し、インフォームド・コンセントの徹底にさらに努める。
「 」( )しろまる 県立病院における診療情報の提供に関する指針 平成16年12月施行
により診療情報の適切な提供を行う。
しろまる 各県立病院の病院機能に関する情報や診療実績等をインターネットの活用等
により積極的に公開する。
しろまる 院内での患者氏名の呼び出し、表示など個人情報の取扱については、医療上
の安全確保も考慮しながら、患者のプライバシーに配慮した対応を行う。
2 安全・安心な医療の提供
しろまる 医師、看護師等に多様な研修機会を提供すること等により医療スタッフの知
識・技術の向上を図るとともに、クリティカル・パス を充実し、治療の標準
(注記)1
化や均質な医療の提供を進める。
、 、 、
しろまる 県立病院では 医療事故の防止を図るため 医療安全管理委員会を設置して
マニュアルの作成や研修会の開催等を行っているが、医療事故の公開基準等を
明確にして、県民への適切な情報公開に努めるとともに、本庁に、各県立病院
の情報を共有し、発生した事故の再発防止策等を検討する医療事故防止対策連
絡会議を設置し、組織的に医療事故の防止に取り組む。
3 患者サービスの向上
しろまる 電子カルテシステムによる空床管理(ベッドコントロール)機能、外来予約
機能の強化や会計処理の合理化・迅速化を図り、入院待機日数や外来待ち時間
の短縮を進める。
しろまる 患者満足度調査等を定期的に実施することにより、職員の接遇に対する評価
及び患者の要望を具体的に把握した上で、病院の施設機能の充実や職員の接遇
向上に向けた継続的な研修の充実を図る。
(注記)1 クリティカル・パス:疾患ごとに標準的治療の日程計画を立て、入院から退院その後の治療管理までを視野
に入れて医療の質を標準化するツール。

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