このページではjavascriptを使用しています。JavaScriptが無効なため一部の機能が動作しません。
動作させるためにはJavaScriptを有効にしてください。またはブラウザの機能をご利用ください。
No.51 ハモ 2011年7月15日
[画像:#]
ハモ 全長72cm 雄 南伊勢町奈屋浦産 平成23年7月11日撮影
ハモは初夏が旬。京都では特に珍重されます。三重県では水揚げされることはあっても食べる方は盛んではないようで、活けはともかく、死んで水揚げされたものは雑魚の山に紛れていたりします。先日もそんなハモを眺めていたら、「持っていきな」と、手渡していただきました。
筆者もハモは大好きなので喜んでもらいましたが、実はハモをしげしげと眺めていたのは食べたいからではなく、本当にハモなのかどうかを調べていたのです。
[画像:#]
ハモ 全長72cm 雄 南伊勢町奈屋浦産 平成23年7月11日撮影
ハモの仲間、ハモ属にはハモとスズハモの2種があり、それらの見分け方は、体の側面にならぶ側線孔を数えることです。上の写真では見やすいように赤い四角の部分を拡大しており、5つの側線孔が確認できます。この側線孔を鰓の上あたりのはじめから肛門の上まで数え、33〜39ならスズハモ、40〜47ならハモです。写真の個体は41個で、ハモであることがわかりました。しかし、40を境に数個程度の差なので、しっかり数えないとハモなのかスズハモなのか、はっきりしません。
これまで市場調査でしばしばハモ属を見かけ、機会があれば側線孔を数えてきましたが、スズハモといえる個体を見たのは15年くらい前、まだ学生だった頃にさかのぼります。それ以来、スズハモは確認していませんが、スズハモはいなかったとも言えません。
[画像:#]
ハモ 全長72cm 雄 南伊勢町奈屋浦産 平成23年7月11日撮影
というのも、ハモ属は多くの場合活けで扱われます。生命力が強いため、生きたまま運ぶのが容易なことと、活けの方が味がよいとされるからです。さらにハモは「かむ」という意味の「はむ」から名前が来ているほど獰猛で、捕まえて側線を数えることはおろか、生きているハモ属が泳ぐ水槽に手を入れることすら怖くてできません。したがって、死んで側線孔を数えることができた個体はハモしかいなかったということになります。もしスズハモを見つけたら、またこの場で紹介しますのでお楽しみに。
[画像:#]
ハモ 全長72cm 雄 南伊勢町奈屋浦産 平成23年7月11日撮影
さて、ハモについてもう一つ情報があります。先にハモの旬は初夏と書きましたが、ハモの産卵期は夏で、この個体は成熟した雄でした。今の時期、たくさん水揚げされるハモは成熟したものが多く、これは同じようににょろにょろした魚であるウナギやアナゴ類の成熟魚や卵が日本近海では見つからず、未だに生態が謎に満ちていることとは対称的です。ハモは一生を日本の沿岸域で過ごす、ある意味私たちにとって身近な魚といえるのではないでしょうか。
(2011年7月15日掲載 資源開発管理研究課)