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山川智大・橘尚明・村上高敏・橋爪不二夫・立松伸夫
三重県の水稲育種第1号品種として、早生で極良食味の「みえのえみ」を育成した。本品種は、耐倒伏性が「強」の「山形41号」を母とし、極良食味の「東北143号(ひとめぼれ)」を父とした交配組合せの後代から選抜・固定したものである。「みえのえみ」の成熟期は「あきたこまち」と比較して3日程度遅いが「コシヒカリ」より5日程度早く、本県における早晩生は「早生の早」に属する。稈長は「コシヒカリ」より10cm短く、草型は偏穂数型に分類される。耐倒伏性は「やや強」、耐冷性も「強」で、穂発芽性は「難」である。いもち病に関しては抵抗性遺伝子Pi-iを持つと推定され、葉いもち病に対する抵抗性は「やや弱」だが、穂いもち病に対しては「やや強」である。外観品質は光沢があり
食味は「コシヒカリ」並みの粘りがあり極良である。
本品種を本県における早場米の基幹品種として平成10年度から奨励品種に採用した。
橋爪不二夫・土屋亨・宇垣正志・神山康夫
イネの形質転換法として、現在はアグロバクテリウム法が主流となっている。ところが、一般に使われるpBI101由来のバイナリーベクターによる形質転換では、材料として培養しやすい品種が用いられていることが多い。そこで、pBI101由来のpIG121Hmを用いて、主要品種「コシヒカリ」の形質転換条件を検討した結果、アグロバクテリウムの感染材料である胚盤由来カルスの誘導後日数が重要であることが明らかになった。すなわち、培地条件の改良によって概ね3週間の胚盤由来カルスを誘導し、材料とすることで、形質転換体を効率的に作出することが可能となった。
礒崎真英・戸谷孝・小西信幸・田中一久
キャベツおよびブロッコリーのセル成型苗育苗においてかん水、追肥の管理技術、矮化剤による徒長防止効果、さらに根巻き防止剤による根巻き防止効果などについて検討した。かん水は晴天日にはトレイあたり450mlを1日3回行う必要があり、育苗期間中の追肥(成分N:P:K=10:5:8)は3回施用することが必要であった。また、苗の徒長防止には矮化剤を本葉2葉期までに250〜500倍液を50〜100ml/セルトレイ葉面散布することが有効であり、根巻き防止剤の利用により過度な根巻きの防止と定着後の活着が促進されることが明らかとなった。
森利樹・戸谷孝・藤原孝之
藤原孝之・森利樹
新品種サンチーゴのビタミンC、糖および酸の含量について、既存の主要4品種のそれらと比較した。
鎌田正行・内山達也・中野直
代表的なグランドカバープランツであるリュウノヒゲを用い、根域をマット状に仕上げた苗生産技術を開発するため、地下部の条件、主として育苗時の用土条件及び管理法について検討した。
平野三男・森利樹・戸谷孝・河野満
ヤマノイモ(Dioscorea opposita Thunb.)の地方種の一つであるイセイモについて、組織培養技術を活用した大量増殖法を開発するために、多芽体に着目し、その培養条件、順化条件、さらに培養苗由来の種芋の肥大率などを検討した。培養条件に関しては、静置培養よりも液体回転培養により多芽体増殖率が著しく向上した。また順化条件については、培養器内での通常の順化とガラス温室内で噴霧かん水装置を自動間欠作動させる方法について比較検討した結果、後者の簡便性と有効性が明らかとなった。多芽体による大量増殖システムにおける、培養および順化の過程での効率を高める点は明らかにしたが、組織培養技術を用いない芋の不定芽を利用した増殖方法等と比較し、増殖率が高いことだけではコスト面での不利をカバーすることは出来ない。培養苗の保存技術や本研究で得られた成果を取り入れたシステムの経営面から経済性、すなわち実用面での検討が必要である。
山田陽稔・榊原秀夫・松井靖典
黒毛和種雌牛(兵庫系統)の混合飼料を利用した、肥育技術を確立するため、84週間の肥育期間における前期(1〜24週)中期(25〜48週)後期(49〜84週)の混合飼料の乾物当たりTDF水準について検討した。兵庫系統血液の割合により2系統(B系統:兵庫系統75%以上、C系統:同50%前後)を選び、前、中期に給与する混合飼料の乾物当たりTDF水準を64%と72%の2水準設定した。B系統の日増体量、1日当たりの飼料乾物摂取量、試験終了時体重はそれぞれ0.55kg、6.7kg、603kgでC系統では0.60kg、7.6kg、658kgであり両者の発育性の差は明らかであった。TDN水準による増体及び飼料利用性の差は認められなかった。枝肉の歩留規格はB系統の64%区で良く、肉質規格はC系統の72%区が良かった。増体、飼料利用性及び肉質を考慮すると、肥育期間を84週間とした場合の肥育前期、中期の混合飼料の乾物当たりTDN水準は、B系統では64%が、C系統では72%がそれぞれ適当と思われた。
水谷将也・山本泰也
産業廃棄物として扱われている豆腐粕の有効利用と乳生産向上を目的に、サイレージ調整試験と乳牛への給与試験、及び第一胃内での豆腐粕等の分解性について検討した。
豆腐粕は高栄養飼料であるが水分が多く、腐敗しやすい。
この欠点を克服するため、TMR調整やその後の保管方法について検討した結果、添加剤の種類や、その有無による保管時の発熱反応の違いは認められず、、保管方法はビニール等による空気の遮断が、発熱防止に有効であることが明らかとなった。
乳牛への給与試験は暑熱ストレスの高い時期に、豆腐粕区(試験区)として給与上限に近い量の豆腐粕をTMR飼料に混合調整し、対照区は豆腐粕に相当する加圧圧扁大豆及び脱脂大豆をTMR飼料に混合調整した。
その結果、飼料摂取状況、産乳成績とも両区間に有意な差は認められなかった。
しかし血中及び乳中の尿素窒素は、豆腐粕区より対照区で高い傾向が見られた。
さらに給与試験でTMR素材として使用した豆腐粕、加圧圧扁大豆、脱脂大豆の、第一胃内での消化状況をナイロンバック法で調査した。
その結果、乾物及び粗蛋白質の消失率は、いずれも脱脂大豆が高く、加圧圧扁大豆は低かった。
また生の豆腐粕は乾物及び粗蛋白質消失率が脱脂大豆と類似していたがサイレージ化した場合は、加圧圧扁大豆の消失率に近かった。
島田浩明・西康裕・榊原秀夫・余谷行義・伊藤英雄
体内受精胚の生産にあたり、採胚直後の採胚牛にPGF2αを投与し卵巣機能の早期回復を図ることにより、次の採胚までの間隔を短縮し、年間採胚回数を増加させ、これに伴う供胚牛1頭あたりの年間採胚成績(正常胚数)の向上を期待した。その結果、採胚回数ならびに正常胚数の増加が見られた。
島田浩明・西康裕・榊原秀夫・余谷行義・伊藤英雄
体外受精胚の生産に関し、各種発生培地ならびに成熟培地と発生培地への成長因子添加による胚の生産性と品質について検討した。発生培地m-SOFとCRlaaは、TCM199に比べ移植可能胚への発生率が優れていたが、移植可能胚に発育した胚の細胞数は培地間で差はなかった。m-SOFならびにCRlaa下で発生した6日齢〜8日齢胚を凍結し、融解後の生存性を見たところ、両培地とも7日齢胚の生存率及び透明帯からの脱出率が最も高かった。成長因子の添加に際し、成熟培地にはTGFαとEGFを、発生培地にはTGFβ1とFGFを組み合わせたが、移植可能胚への発生率、胚の構成細胞数及び凍結・融解後の生存率や脱出率は対照区(無添加区)と差が見られなかった。
藤原孝之・坂倉元
メロンの食味評価を目的として糖度を非破壊測定する場合に、目標とする測定精度を明らかにするため、官能検査により消費者の甘みの識別能力を検討した。同じ糖度のメロンでも、果肉硬度が低い方が甘みが強く判断されたため、果肉硬度が甘みの評価に影響するものと考えられた。そのため、果肉硬度が同じメロンを用いて検討したところ、甘みの強さを明確に識別できる糖度の差は約1.5度であった。
藤原孝之・坂倉元・吉川重彦・安田典夫
有機質肥料を連用してホウレンソウ5作を栽培し、化学肥料によるものと成分および貯蔵性を比較した。また、牛ふん堆肥の施用の有無についても、同様に効果を検討した。
原正之・広瀬和久・石川裕一
家畜ふん堆肥の簡易腐熟度判定を行うため、豚ぷん堆肥を対象として遊離アミノ酸を腐熟度の指標とすることの妥当性と簡易判定法としてペーパークロマトグラフィーの利用と判定基準について検討した。