「サンチーゴ」記者発表(平成11年12月28日、県庁にて)
イチゴ新品種「サンチーゴ」の育成
1育成経過
減少傾向にある県内のイチゴ栽培に歯止めをかけ生産を活性化するため、農業技術センターでは、イチゴの主要病害である「炭そ病」に強くて果実が大きく省力的栽培が可能であり、しかも美味しい品種の育成を目標に、平成2年度から育種に取り組んできました。
いくつかの品種の交配と優良な系統の選抜を重ねた結果、育成目標とした特性のイチゴができましたので、三重県職務育成品種として農林水産省に平成11年3月26日付けで品種登録出願をし、平成11年11月8日付け官報で出願公表されました。
2「サンチーゴ」の特徴
- ビタミンCが他品種に比べて、2〜3割程度多く含まれています。
- 食味が良く、色、つや、形等外観も良好で、日持ち性も優れています。
- イチゴの重要病害である「炭そ病」に耐病性があります。
- 県内生産の現在の主流品種である「女峰」よりも果実が大きく、多収です。
3新品種の命名者は地元の嬉野町内小学校児童
名称は嬉野町内の5小学校の5、6年生児童から平成11年1月に公募し、387名から642件の応募がありました。この中から、県職務育成品種審査会で新鮮な感覚の名称を選定しました。
命名者:嬉野町立中川小学校(当時)
同 (当時)
6年菊組石﨑裕絵さん
5年菊組中山千月さん
「サンチーゴ」の意味:三重の三(さん)と太陽のsun(サン)に、イチゴの「チゴ」(チーゴ)を合成。
4今後の方向
- 平成11年度
イチゴ栽培農家の代表により現地圃場で試験栽培をして、果実の品質、収量、耐病性等について確認しています。
12月下旬から、市場での評価を確認するための出荷が始まっています。
- 平成12年度以降
県及び経済連等の関係機関が一体となり、積極的な栽培普及と消費宣伝活動を展開し、「三重いちご」の主力品種として振興していきます(目標面積:約30ha)。
- 統一栽培マニュアルによる品質の確保と安定生産
- オリジナルロゴの統一と専用出荷箱等による積極的な宣伝・販売
- 各種イベントやマスメデイアによる消費宣伝活動の展開等
「サンチーゴ」育成までの系統図
アイベリー
宝交早生
とよのか
H2交配
└──┬──┘
│自殖
90014
90051
H3交配
│自殖
│
91007
│
H6交配
└───┬───┘
9401711
│
H9系統名付与
三系4
│
H11品種名付与
サンチーゴ
「サンチーゴ」の特徴と具体的データ
特徴
具体的データ
項目
サンチーゴ
女峰
耐
病
性
強い炭そ病抵抗性を持つ。
炭そ病抵抗性
(抵抗性指数)
強
(5.3)
弱
(2.8)
果
実
品
質
大果で、3L〜Lクラスの揃いが良い。
平均果重 (g)
大果比率 (%)
16.6
59.9
13.1
39.4
ビタミンC含量が高い。
ビタミンC(mg/100g)
75.3
64.1
糖度・糖酸比が高く、さっぱりした甘みがあり、食味は非常に良い。
糖度
糖酸比
10.2
14.3
9.5
11.4
果形が整い、果色・光沢が良い
外観
極良
極良
収
量
収量は女峰よりも多い。
収量(g/株)
690.1
559.2
結実状況
果実
命名者の石﨑裕絵さん(左)と中山千月さん(右)