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越冬した冬芽は、早春から成長し始めるにしたがって耐寒(凍)性が低下してき、萌芽2週間前で-5°C(葉温)、萌芽期で-3°C、1〜2葉開葉期で-2°C以下になると、それぞれ被害が発生すると言われています(降霜時の葉温は地上1.5mの(百葉箱)気温よりも5°Cほど低い)。特に開葉後の降霜による被害は、一番茶の減収、品質低下を招き、大きな損害を被ることになります。
降霜時には地上6〜10m付近の気温は茶株面付近に比べ4〜5°C高くなる逆転現象が起こり、その暖かい空気を送風により強制的に吹き下ろし攪拌することで降霜を回避する方法で、防霜ファンの設置された茶園では、サーモスタットによる自動運転が可能となり、最も広く行われている対策です。
[画像:降霜日の夜間の気温(茶業全書)]
図 降霜日の夜間の気温(茶業全書)
降霜時に散水し、意図的に氷結させる方法で、茶株に付着した水が氷結する際80cal/gの潜熱を放出するため、それにより新芽の温度を0°C前後に保つことにより被害を回避することができますが、多量の水源(30t/10a・日)と散水施設(スプリンクラー)が必要となります。
降霜時の熱放射を被覆によりくい止め、被害を回避する方法で、棚掛け被覆とトンネル掛け被覆の方法があります。
被害芽が混入すると製茶品質が低下しますので、摘採時になるべく混入しない対策が必要ですが、早い時期での被害ほど被害部分は後に乾燥・風化し、その後の遅れ芽や再生芽により回復してくることも多いので、次ページの表を参考に被害程度と生育ステージやその後の回復予測と収益性について十分検討し、事後対策を講じるよう心がけましょう。
表 生育ステージと被害後の処置例
| 生育ステージ | 被害の様相 | 処置 | |
|---|---|---|---|
| 萌芽期〜二葉期 | 被害の程度にかかわらず | そのままにしておく。 | |
| 3〜4葉開葉期 | 部分的な被害で、被害部と無被害部がはっきりしている場合 | そのままにしておき、拾い摘みまたは部分摘採する。 | |
| 部分的な被害で、被害部と無被害部がはっきりしない場合 | 被害芽率が低い場合 | そのままにしておき、摘採時に被害部分が混入しないよう留意する。 | |
| 被害芽率が高い場合 | 被害部分のみ取り除く程度に軽く整枝する。 | ||
| 全面的被害の場合 | 被害部分のみ取り除く程度に軽く整枝する。 | ||
| 摘採直前 | 部分的被害の場合 | 拾い摘みまたは部分摘採する。 | |
| 全面的被害の場合 | 春整枝面で刈り捨て、再生芽を待つ。 | ||