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印刷物について1.指名競争入札、2.プロポーザル方式、企画コンペ方式、3.複数社からの見積にかかる契約事務か適正に執行され、又、競争性、公平性が確保されているか。
総合企画局、総務局、生活部、健康福祉部を対象に、印刷物一覧表、印刷物仕様書、業者からの見積書、物件関係入札参加資格者名簿、支出負担行為書、印刷物成果品を突合した。
三重県会計規則において、20万円未満のものについては見積書の徴収を省略できると定めているが、契約金額が少額なものまで徴収している事例があった。
契約金額が10万円以下の印刷物について、複数社より見積させ、そのうち最低価格の業者に発注した事例は次のとおりである。
競争により事業費が安くなることは結構なことであるが、印刷レベルが従来と同等であることが前提となる。
「県庁見学のしおり」(社会科学習の一環として、県庁に見学に訪れる小学校高学年に配布する冊子)において、印刷の質が低下している。
平成10年度から12年度までの予算実施をみると、3年間で約半額になった。
1999年度版では、三重県地図の地名部分で訂正個所が目立つ。また、世界地図で、あまりにも大雑把な日本地図が描かれている。
2000年度版では、北方四島とスマトラ島が誤って描かれている。
このような場合、民間では刷り直しを指示するが、その時間がない場合には値引きを要求するのが常識である。
予算価格を算定するため、ある業者に算定を依頼し、その業者を見積合わせに参加させているが、見
積合わせからはずすべきである。
その場合、その分の経費を支払うかどうかの問題があると思うが、予定価格を職員が算定できないこ
とが原因であるので、これに対応できる職員の育成等、対策を講じる必要があるのではないか。
少額な印刷物までも3社程度指名し、競争させることは、少しでも安く事業を行うという県の目的は実現できても業者の負担はきわめて大きく問題が多い。
業者は、見積作業、見積書を県に持参する時間等を要するが、仮に落札しても利益は薄く、落札でき
なかった業者には負担を強いられただけという結果になってしまっている。
また、業者の立場からみると、県から指名の声がかかると、少額でも発注を断ることに負担を感じる場合もあろう。
これらのことを念頭において印刷発注を行う必要があるのではないか。
県の負担は少なくなったが、業者に負担を強いる形となったのではないか。
印刷の質について考えた場合、ほとんどの仕様書では指示がないか、オフセット印刷とだけ明記している場合が多い。
オフセット印刷には、一般のオフセット印刷方式のほか、紙版を使った簡易オフセット印刷方式もある。簡易方式は極端に料金が安くなるが、質が悪いとして大手印刷会社では採用していないようであり、方式を問わない現在の入札はフェアな競争とはいえないのではないか。
価格競争を激化させて印刷費の軽減を図ろうとするのであれば、質の低下は厳しくチェックするべきであろう。
現在、印刷業者にかかる入札は、安ければ安いほど良いという考え方を前提にして行われているようである。
何もない白紙の上にイラスト・写真・デザイン・印刷など、各種の技術を駆使してつくりあげていくものであり、安く落札したといっても、安い場合は安いようにしかならないというのは世間の常識である。
「県庁見学のしおり」の事業費を、平成10年度と平成12年度を比較すると、約半額に減少しているが、質が低下している以上実質的には半額にならなかったのではないか。
また、安ければよいという今の入札のやり方を継続していくと、税収や地域振興にも影響を及ぼしていくのではないだろうか。
そこで、県には印刷のことがわかる専門家がいないこともあるので、質の低下を防ぐために、入札に当たっては土木建築工事と同様に最低価格制度の導入と、業者の機械設備や実績等によるランク付等を行う必要があるのではないか。