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三重県教育委員会は、2016(平成28)年3月に、人権学習指導資料(小学校高学年)「みんなのひろば」を発行しました。12月27日(火)に開催した、本指導資料活用のための講座においては、二人の先生から「みんなのひろば」を用いた実践報告をしていただきました。また、報告内容をふまえて、グループで各校における取組状況や課題等を交流していただきました。
ここでは、その概要をお知らせします。
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「Aが小さいころは、よく扁桃腺がはれて病院へ行かなくてはなりませんでした。初めて熱を出したとき、どうしたらいいのか分からなくて、Bさん(近所の住民)に電話をしました。すると、すぐに家に来てくれ、私とAを病院まで連れて行ってくれました。病院でお医者さんに、『どうされたんですか。』と聞かれても、言葉が返せなかったので、咳をするマネをしたり、おでこに手を当てて熱があるというジェスチャーをしたりして伝えました。
Aが2歳になったときから、保育園にAをあずけて働き始めました。その仕事場には日本人しかいなかったので、毎日話をすることでだんだんとしゃべれるようになりました。今は、研修で来ていたときの工場で、好きな裁縫の仕事をしています。
言葉が通じなくて、イライラしたり、つらくて泣いたりすることは何回もありました。Aがいなかったらとっくに中国に帰っています。Aが生まれてから、『Aのため』と思うと、なんでもがんばることができました」
(4)授業者からのまとめ
子どもたちは、Aのお母さんの、いつも元気で明るいイメージとかけ離れた姿に触れて、驚いていました。Aのお母さんからの聴き取り内容を読むことで、外国から来た人にとって、言葉が通じないことは、とても辛いものなのだということが実感できたと思われます。「みんなできるかな?」ゲームのときの、自分だけ言葉が分からなくて不安になった経験と重ねて、「Aのお母さんは毎日が不安やったと思う」と話した子もいました。
Aのお母さんは、地域の人の支えがあり、「Aがいることでがんばれる」と言っています。そんなお母さんの笑顔を、外国人差別によってなくしてはいけないと、子どもたちは改めて感じたようでした。
(5)人権教育課より
指導資料の学習展開例を、子どもや学級の実態に応じて効果的にアレンジした好例だと考えます。
この学習までに、学級では、部落問題・障がい者の人権・外国人の人権等に係わって、それぞれが思いを伝え合う取組を進めてきました。今回の学習で、Aのお母さんの思いに触れたことで、子どもたちは外国人の人権に係わる問題を身近なこととして考えることができたと思われます。以下は、そんな子どもの心の動きが感じ取れる感想です。
「『中国人だから』とか『だから中国は』とか、ひとくくりにして決めつけた見方をするのは部落差別と一緒やと思う。部落差別も外国人差別もなくしていきたい」
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子どもにつけたい力を明確にして取組を進めているからこそ、「みんなのひろば」の「外国から日本に来た人の話」を、「Aのお母さんの話」に編集加工することができ、子どもの実態に合った学習を進めていけたのだと思いました。人権学習での学びを一人ひとりの問題に返していく、自分につなげていくということが、実践報告を通じて理解できました。
Aのお母さんからの聴き取りを教材化したことで、子どもたちのつながりができていったことが伝わってきました。仲間づくりは、子どもどうしの自然発生的なものではなく、教職員の意図的で継続的な取組によって生まれるものだということを、具体的な事例を通じて教えていただきました。
テレビ番組等で、性的マイノリティを笑いの対象として扱っている場面を見ることが多いです。そのような状況の中で、どのような学習に取り組めばよいのか迷っていましたが、そのヒントをもらえました。
今まで、性的マイノリティに係わる学習をしてきませんでしたが、この講座を受けて、「やってみよう」「やらなければいけない」と思いました。3学期にこの学習展開例を使って実践してみようと思います。
児童に合わせた取り上げ方やアレンジ方法等、具体的なことがわかり、大変参考になりました。
自分も実践していきたいと思いました。グループで交流することで、よい刺激を受けました。
3学期に部落問題学習を進めるときに、子どもたちの課題とどうつなげていくか悩んでいるところでした。実践をとおしてその道筋を示していただき、とてもよかったです。