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同性愛者、両性愛者、トランスジェンダー(生まれた時の法的・社会的性別とは違う性別で生きる人、生きたいと望む人。性同一性障がいを含む。)など、性的マイノリティは人口の約5%前後と推定されている。現在の日本では、このうち性同一性障がいが話題になることが非常に多い。学校の教職員と話していても、性同一性障がいの子どもばかりが話題になる。しかしカリフォルニア大学ロサンゼルス校が実施した調査では、「トランスジェンダーである」と回答した人は約0.3%であったのに対し、「 同性愛者または両性愛者だ」と答えた人は約3%いた。これはアメリカでの調査であるが、日本でも同性愛者、両性愛者の子どもが、トランスジェンダーの10倍程度いる可能性があると言える。
日本の同性愛者または両性愛者の男性を対象とした調査では、65%程度が「自殺を考えたことがある」と回答している。このような状況をふまえて取組を進めることが急務である。
性的マイノリティの子どもたちは、生活の様々な場面で、自分の存在が否定されるような、「いないもの」として扱われるような経験をさせられていることが多い。性的マイノリティに係わる情報を発信することにより、「学校は『性的マイノリティはここにも当然いる』と考えている」というメッセージを届けることが重要である。
また、教職員から、「性的マイノリティの子どもを見分ける力が必要ではないか」と言われることがあるが、「見分ける力」ではなく、「その子どもが困った時に言えるような環境や人間関係をつくることが大切だ」とお伝えしている。そういう環境や人間関係をつくるためにも情報発信は必要である。例えば以下のような方法で、性的マイノリティに係わる情報発信をしてはどうだろう。
・目につきやすいところにポスターを貼る
・書籍を保健室や図書室に置く
・保健室等に壁新聞を貼る
・学級通信等で取り上げる
・授業で取り扱う
・校長が講話の中で話題にする 等
ある先生が、「性的マイノリティの子どもに、学校の中で『自分のことを話しても関係が切れることはない、むしろ、さらによい関係構築につながる』という成功体験をさせてやりたい」と言っておられた。「自分のことをわかろうとしない人や離れていく人もいるかもしれないが、ちゃんとわかってくれる人もいる。そういう人間関係も自分は築けるのだ」という自信を持って社会に出て行けるようにすることが大切だと思う。
以上、日高さんのご講演から一部をご紹介しました。
まずは、私たち教職員が性的マイノリティについての正しい知識を持つことが重要だと言えます。また、授業をはじめ、学校生活の様々な場面で教職員が発する言葉や示す態度の影響の大きさについても共有することが重要だと思われます。日高さんのホームページ 【Health-issue】等もご参照いただき、各校における教職員研修や人権学習等の取組の充実につなげていただければと思います。
日高さんのホームページで公開されている情報の例
「ゲイ・バイセクシュアル男性の健康レポート」
「教員5,979 人のLGBT意識調査レポート」
「あなたがあなたらしく生きるために 性的マイノリティと人権」(法務省委託人権啓発ビデオ)
「わが子の声を受け止めて 性的マイノリティの子をもつ父母の手記」
「『あなたになら話せる』その安心がスタートライン」
「わが国における都会の若者の自殺未遂経験割合とその関連要因に関する研究」