県立図書館で学ぶ
神奈川県立図書館では、さまざまな形で生涯学習に関する事業に取組んでいます。
ここでは、「大人がはじめる学び方講座」や「Lib活」、その他「県立図書館のイベント」についてご紹介しています。
図書館のイベントをとおして、学びを深めてみませんか?
大人がはじめる学び方講座開催
「大人がはじめる学び方講座」とは?
令和4年度から始まった「大人がはじめる学び方講座」は、学びの場から一旦遠ざかった大人たちが、「何を学ぶか」「どう学ぶか」をはじめとした生涯学習の基本的な考え方を知ることを通じて、生涯学習の普及・啓発を目指すための講座です。
人間はその生涯の中でさまざまな学びを得る機会がありますが、いざ何かを学びたいと思っても、その第一歩を踏み出すには勇気が必要です。余暇を過ごすためであったり、キャリアアップのためであったり、理由はそれぞれにあれども、日々の生活の中で新しい「学び」に挑戦することは、なかなか難しく思う人もいると思います。
新しい学び「はじめ」のきっかけとして、ぜひこの講座レポートをご覧ください。
令和7年度「大人がはじめる学び方講座」開催報告
令和7年9月14日(日曜日)、21日(日曜日)の2日間に渡って、県立図書館で開催された「大人がはじめる学び方講座」の様子をご報告します。
令和7年度の全体テーマは「学びのきっかけ・気づきから、深め、活かしてみたくなるヒント」。
学びたい気持ちはあるけれど「何を」「どうやって」学び、「それをどう活かすか」、迷っている方を対象に募集し、そのヒントを求めて申し込まれた参加者約30名が、1日目は研究者の立場から理論に基づいた講義、2日目は実践者の立場から、経験や体験に基づいた講義を受けました。
◆だいやまーく1日目:9月14日(日曜日)の様子
1日目の講師は、リクルートワークス研究所主任研究員・法政大学非常勤講師の辰巳哲子氏です。講義テーマは、<自分の「学び」をマネジメントする 〜学び型のバリエーションを知り、自分にあった、学び方を考える〜>。
私たちが日々、さまざまな形で「学び」と関わっていく中で、人によって異なる「学び」やその人に合ったスタイルなど、学びの多様なあり方についてお話しいただきました。
講義の途中には、何度か、グループワーク形式で他の参加者と対話をする時間が設けられ、「今まで何を学んできたか」「もっと知りたい・深めたいことは何か」など、互いに発表し合いながら自分に合った学び方を見つけるヒントを探りました。
リクルートワークス研究所主任研究員・法政大学非常勤講師 辰巳哲子氏
◆だいやまーく2日目:9月21日(日曜日)の様子
2日目は、横浜市の職員として働きながら55歳で気象予報士の資格を取得された牧野恒明氏が講師の実践編です。小さい頃から大好きだった「気象」を「初恋の相手」として夢を追い続け、挫折や困難を乗り越えながら、学ぶことをあきらめずに前進してきた半生を語っていただきました。机上には、毎日書き続けた手書きの天気図や勉強に使った教科書、ノートなども展示され、参加者の中には、セピア色になった古い資料を慎重に手に取ったり、撮影をされている方もいらっしゃいました。
泉区人財バンクでの講師活動や気象庁の気象科学館解説員としても活躍されている牧野氏には、活動で使用している手作りの装置で、雪の結晶や竜巻が起こせる気象実験も披露していただき、目の前で小さな竜巻ができると歓声が上がる一幕もありました。
気象予報士・防災士・泉区人財バンク登録講師 牧野恒明氏、気象実験の様子(上)、天気図と教科書(下)
◆だいやまーく2日間をとおして
講座の後半は両日とも、生涯学習のための補助教材「まなびノート」の使い方や、生涯学習相談デスクの活用法、情報収集の仕方などを知り、「学び」に対する考えをまとめ、整理するために自分自身と向き合う時間となりました。
「まなびノート」は、その存在を知らなかった方が多く、2日目に行われた、<牧野氏が書いた「まなびノート」を見てみよう!>という企画では、解説付きでとても参考になったと好評でした。
アンケ―トでも「幅広い内容で、大変興味深い学びになりました。」「グループワークが進むにつれて会場が活気にあふれて、とても楽しく学べました。」「子供の勉強とは違い、自分の興味、知ることの喜びから進めていき、楽しんでいけばいいと、少し肩の力が抜けた気がしました。」といったお声が寄せられています。帰りがけに、生涯学習相談デスクに立ち寄られて、早速、学びの一歩を踏み出した方もいらっしゃいました。
「大人がはじめる学び方講座」への参加によって、何か一つでも「学びのきっかけ」を見つけていただけたら嬉しいです。
令和6年度「大人がはじめる学び方講座」開催報告
令和6年11月23日(土曜日・祝日)、30日(土曜日)、県立図書館本館4階「学び⇔交流エリア」において「大人がはじめる学び方講座」を開催しました。
今年度は、サブタイトルに<学びのきっかけ・気づきから、深め、活かすところまで>を掲げ、1日目は研究者の立場からの講義、2日目は実践者の立場からの講義とボランティア団体の活動事例紹介、そして両日とも講義後は、生涯学習補助教材「まなびノート」を使ったワークショップを実施しました。
◆だいやまーく1日目:11月23日(土曜日・祝日)の様子
1日目の講師は、神奈川大学人間科学部教授 齊藤ゆか氏です。「自分の学びたい!に気づくには」をテーマに、人生100歳時代の自分時間をいかに過ごすか?学びとは何か?という生涯学習の観点から、遊びながらできる社会貢献として "ちょっとだけいいことができる" ボランティア活動について、お話しいただきました。
神奈川大学人間科学部教授 齊藤ゆか氏
その後のワークショップでは、生涯学習情報サイト「学びstyleかながわ」の紹介と、生涯学習補助教材「まなびノート」の使い方についての説明後、実際に「まなびノート」を手にし、書き込むことで活用方法を学びました。
最後は、県立図書館本館4階に常設の「生涯学習相談デスク」の相談員がいくつかの相談事例を紹介しながら、学びについて迷った時、悩んだ時はいつでも頼ってほしい旨をご案内して閉会となりました。お帰りの際には、早速、相談デスクに立ち寄られていた方が複数いらっしゃり、関心の高さがうかがえました。
◆だいやまーく2日目:11月30日(土曜日)の様子
2日目のテーマは「学んだことを社会へ活かすには」、講師はボランティアグループ bridge代表 渡辺恵市郎氏です。なんとなく参加した地元の講座で知り合った人から切願されて、建築ガイドのボランティア団体を立ち上げ、活動を定着させるまでの経緯を語る中で、引き受けると決断するまでの複雑な想いや立ち上げの苦労、継続するための極意などについてお話しいただきました。質疑応答では、「実際どのようにガイドをしているのか」という突然のリクエストに、県立図書館・音楽堂を設計した建築家 前川國男氏について、流暢にご説明していただく場面もありました。
ボランティアグループ bridge代表 渡辺恵市郎氏とメンバーのみなさん
活動事例紹介では、令和4年度県立図書館主催のLib活講座を半年間受講した後、翌年度から県立図書館ボランティアとして朗読会を開催してきたメンバーから、応募のきっかけや活動で得られた学び、貴重な体験ができたと感じたリアルな感想などについて、発表いただきました。
2日目のワークショップは、この日の講師の渡辺氏に記入していただいた「まなびノート」の一部をのぞいてみよう!という企画で、受講者の方々は、書いてきた自身のノートと見比べながら参考にされていました。
県立図書館ボランティアによる活動事例紹介
◆だいやまーく2日間をとおして
学びに対する姿勢や考え方を整理し、気持ちを行動に移すきっかけづくりをサポートしたいという想いで開催した今年度の講座。講義と「まなびノート」を使ったワークショップの組合せで全2回という構成でしたが、受講された多くの方が、気持ちを整理するコツや、学びの一歩を踏み出すヒントを掴んでいただけたようです。県立図書館では、今後も県民の学び直しや新たな学びへの挑戦を支援するため、情報の収集や相談のほか、多様な学習機会を継続して提供してまいります。
令和5年度「大人がはじめる学び方講座」開催報告
令和5年12月23日(土曜日)に県立図書館本館4階で開催しました「大人がはじめる学び方講座」について、講座の様子をご報告します。
令和4年度に続き、2年目の開催となった「大人がはじめる学び方講座」は、学校での学びを修了した大人が改めて学びに触れる機会を得るきっかけを提供するねらいで、毎回異なる講師をお招きして大人の学びを後押しするお話をしていただいています。
今回は講師に八洲学園大学名誉教授 浅井経子氏を迎え、「何を学び、どう学ぶか。学び方を知ろう」というサブテーマでご講演いただきました。そもそも学ぶことにはどんな意味があるのか、人生100歳時代が到来した現代においての学び続ける必要性などについて、根本的な学び意味を考えることができる講義でした。
また、講義後にはワークショップとして、神奈川県生涯学習情報サイト「学びstyleかながわ」に掲載している生涯学習のための補助ノート「まなびノート」を使用した活動を行いました。「学びstyleかながわ」は、令和5年8月に新たに開設した生涯学習情報サイトです。県民ひとりひとりが自らの学びのスタイルを考えるヒントを見つけられるよう、生涯学習情報に加え、著名人へのインタビュー記事や生涯学習相談デスクのコラム等の多彩なコンテンツを掲載し、多様なスタイルでの学びを紹介・提案しています。
そのコンテンツのひとつである「まなびノート」は、学びを始めたい人をサポートするためのもので、step0からstep4の段階別のページを埋めていくことで自己分析や学習活動の計画・実践・振り返りができる補助ノートです。受講者は職員からノートの説明を受けた後、実際にノートを使用して自身の学びの経歴や思い出を棚卸ししてみたり、学びの目標を設定して計画を立ててみたりと、実践的なワークを行いました。また、講師の浅井氏や学習相談員(当館職員で、生涯学習相談に対応する専門員)に相談しながら自身の学びのきっかけを探そうとしている方もいらっしゃいました。会場の様子を見ている中で、「何かを学びたい、始めてみたいけれど、どうしたらいいのだろう。何から始めればいいのだろう。」「自分は、何をしたいのだろう。」といった曖昧な漠然とした思いを持たれている方は少なくなく、こういった学習相談ができる機会が求められているのだと改めて実感しました。今後も講座の中に実践的ワークを取り入れていきたいと考えています。
大人になってから学びの機会を自発的に持つには、時間的な制約や、自分自身の意思に気づけずに悩んでしまい、最初の一歩が踏み出せないといった、いくつかのハードルを解消する必要がありますよね。前者をすぐに解決するのは難しくとも、誰かに相談したり、悩みを共有してみるなど、心理的ハードルを下げるきっかけは案外身近にあるのではないかと思います。もし、皆様が「学びの第一歩」を踏み出すためにお手伝いが必要な時は、県立図書館本館の生涯学習相談デスクや本講座のことをぜひ思い出してください。
関連資料展示の様子
令和4年度「大人がはじめる学び方講座」開催報告
今回は11月20日(日曜日)と11月23日(水曜日・祝日)に本館4階で開催しました「大人がはじめる学び方講座」についてレポートします。
何かを学ぶことは、知識や経験を得るだけでなく、新しい自分の発見にもつながります。生涯学習の範囲は広く、「学ぶこと=生涯学習」ともいえますが、いざ行動しようと思っても、「何を、どう学び始めたらいいのかしら?」と迷うことが多いのではないでしょうか。
そんな大人たちのために、今年度の「大人がはじめる学び方講座」は、大人が学び(生涯学習)をスタートする際の手助けとなれるよう、「何を学ぶか・どう学ぶか」をコンセプトとして2つの講義を開講しました。
1つ目の講義「これから求められるおとなの学び」では、東京大学大学院経済学研究科・経済学部教授 柳川範之氏を講師に迎え、著書「アンラーン 人生100年時代の新しい『学び』」についても触れながら講義をしていただきました。
誰にでもセカンドキャリアがあるこの時代に、働き続けるためにはどうするべきなのか、求められるスキルアップとは何なのかという問いから始まった講義では、「これからの学び」とは、どれだけ楽しめることを見つけられるか、学びの発露という原点が重要であることに改めて気づかされました。
今までの学びや経験を活かすことができる大人だからこそ、過去の踏襲だけにこだわらず、思考や発想のクセを取り除いてみることで、新しい環境で楽しめる学びを見つけることが出来るのだということを柳川先生の「アンラーン」についてのお話で知ることができました。
東京大学大学院経済学研究科・経済学部教授 柳川範之氏
2つ目の講義「人生100年時代の生き方・学び方、さあ、あなたの「脳」に目覚めよう!!」は、神奈川大学人間科学部教授 杉山崇氏を講師に迎え、脳の構造的観点から科学的に人間の思考について考えつつ、仕事と学びの関係についてもお話しいただきました。
「幸せとは何か」について、なんとなく概念的なお話をするのではなく、科学的に人間が幸せだと思うのはどういう時なのかということを具体的に説明していただきました。
長く生きることが可能になってきたこの時代に、なるべく幸せに生きていきたいと思うのは自然なことですが、どうすればいいのか考えるきっかけがたくさんあった講義でした。
「大人がはじめる学び方講座」により、学校を卒業して社会経験が豊かな大人だからこそ、改めて「自分の学び」を見つめなおすきっかけを掴んでいただければと思います。
神奈川大学人間科学部教授 杉山崇氏