令和6年度神奈川県中小企業・小規模企業経営課題等把握事業結果
引き続き人材確保が課題。価格転嫁と賃上げ、人材の充足感に相関関係
県では、県内中小企業・小規模企業の経営状況及び支援ニーズを把握し、支援施策を適切に推進していくため、県内中小企業・小規模企業2,600社を対象にアンケートを実施しました。このたび、令和6年度神奈川県中小企業・小規模企業経営課題等把握事業結果として取りまとめましたので、お知らせします。
〇 現在重視している経営課題のトップは、引き続き「人材の確保・採用・育成」
- 現在重視している経営課題は、「人材の確保・採用・育成」が49.7%で、平成30年度以降実施している5回の調査(令和2年度及び令和3年度は未実施)で、連続してトップとなった。業種別にみると、宿泊業、運輸・通信業、医療・福祉、建設業で特に高い傾向がみられた。
- 経営課題に取り組むにあたりネックとなっていることは、「日常業務に追われ、時間的な余裕がない」が最も高く、令和5年度実施調査と比較すると7.0ポイント増加した。業種別にみると、他と比較して、運輸・通信業は「日常業務に追われ、余裕がない」が70.0%と高く、医療・福祉では「専門能力を持った人材が不足している」が72.2%と高かった。
〇 労務費の価格転嫁ができている企業ほど、前向きな賃上げの実施割合が高い
- 原材料・エネルギー費の価格転嫁が「十分(9〜10割)」「ほぼ(7〜8割)」「おおむね(4〜6割)」「多少(1〜3割)」できている企業の合計は7割、労務費の同項目の合計は6割であった。
- なお、労務費の価格転嫁ができている企業の方が、「業績が好調・改善しているため賃上げを実施した」の割合が高い傾向がみられた。
〇 前向きな賃上げを実施した企業ほど、人材の確保に関する充足感は高い
- 6割の企業が過去1年間に賃上げを実施していた。うち、「業績が好調・改善しているため賃上げを実施した」が24.8%となる一方で、「業績の改善が見られないが賃上げを実施した」が35.8%で、苦しい経営状況の中で防衛的な賃上げを実施している企業が一定数あった。
- また、業種別にみると、医療・福祉で「業績の改善が見られないが賃上げを実施した」が69.6%と高く、従業員数別にみると、従業員数が多いほど「業績が好調・改善しているため賃上げを実施した」の割合が高くなる傾向がみられた。
- なお、「業績が好調・改善しているため賃上げを実施した」と回答した企業の方が、人材の確保に関する充足感が高い傾向がみられた。
2 事業概要
(1)アンケート
対象:
神奈川県内中小企業・小規模企業2,600社
方法:
郵送・電子申請システム
内容:
1 経営課題への対応について
2 市場変化への対応について
3 特定課題への対応について
4 人材の育成・確保について
5 事業継続について
6 事業承継について
7 全体的な事項について
期間:
令和6年9月13日から10月31日
回答者数:
824件(回答率31.7%)
(2)企業ヒアリング
対象:
アンケートの自由意見欄に、企業が直面している課題や取組等について記載のある企業のうち、特徴のある4社
方法:
県職員の直接訪問や電話調査による聞き取り
「令和6年度神奈川県中小企業・小規模企業経営課題等把握事業結果」は、県政情報センター、県政情報コーナー(各地域県政総合センター内)及び県立図書館にて御覧いただけます。また、神奈川県行政資料アーカイブ、県ホームページからもダウンロードが可能です。[画像:二次元コード]
URL:https://www.pref.kanagawa.jp/docs/jf2/cnt/f536782/
注意「神奈川県中小企業・小規模企業経営課題等把握事業」は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、令和2年度及び令和3年度は実施していません。
産業労働局中小企業部中小企業支援課
課長 小田
電話 045-210-5550
副課長 下澤
電話 045-210-5551