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自殺対策の基礎知識(支援者向け)

掲載日:2024年8月20日更新

このページの内容: 相談・支援 連携 対象に応じた対策 自殺対策のための情報交換メール 自殺関連統計

相談・支援

精神保健以外の相談機関においても、ある程度、心の健康に配慮した相談や支援が必要です。
次にあげるような資料を参考にして、自ら学んだり、相談員の研修を行います。

こころの健康情報のページ(パンフレット等)
(関連する掲載内容)
・自殺対策のための相談マニュアル
・心の健康評価シート
・自死遺族相談支援マニュアル

うつ病と自殺の予防について(一般向け)

自殺で残された家族と友人のケアとサポートの手引き

自殺対策(厚生労働省ホームページ)(外部リンク)
・関連通知、自殺の統計、自殺対策白書、ゲートキーパーについてなど

資料(いのち支える自殺対策推進センター(JSCP)ホームページ)(外部リンク)
・厚生労働省の「自殺対策」ページ内にある各種資料と、JSCPの資料をまとめています。

連携

相談・支援における連携

複数の困難を抱えている方ほど自殺のリスクが高くなると考えられます。
関係する機関が連携して、一人一人の相談者に丁寧に対応することが自殺対策の基本です。

こころの健康情報のページ(パンフレット等)
・自殺対策のための相談マニュアル
・ひとりで悩んでいませんか 相談機関のご案内

連携のための体制づくり

連携の意義

(1) 各機関(部署)が互いに活動内容を理解し、相談・支援における連携を促進する
(2) 各機関(部署)が自殺対策にどのように関わるべきか、役割を認識する
(3) 複数の機関(部署)で共同事業に取り組む

連携のための体制づくり

(1) 連絡協議会などの開催
・自殺や自殺対策に関する正しい知識、自殺対策に関する用語など、共通理解を持つ
・自殺対策に取り組む目的(例:安心して悩める社会を目指す)などについて、共通認識を持つ
・庁内の関係部署が一堂に会し、それぞれの立場や考え方を述べるなど、意見交換を行う
・庁外の関係機関が一堂に会し、それぞれの立場や考え方を述べるなど、意見交換を行う
・共同で事業に取り組む(自殺対策の計画づくりなど)

(2) 担当者(窓口となる人)を決める
・担当者どうしがコミュニケーションを取り合うことによって、相談・支援や種々の事業における連携を促進する

(3) 共通のツールを使う
・共通の紹介書式、シンボルマークなど共通のツールを使うことにより、共同意識を醸成する

<参考>
自殺対策の取り組み事例集(平成24〜27年)(厚生労働省ホームページ)
全国各地で複数機関(部署)が連携した取り組みが行われています

対象に応じた対策

高齢者の自殺対策

高齢者の自殺の特徴

高齢者に対する自殺対策

(1) 一般に男女ともに、年齢とともに自殺率が高くなる傾向があります。

(2) 自殺の背景として、
・ 警察庁の原因・動機分類では「健康問題」が多く
・ 精神医学的背景では「うつ病・うつ状態」が多い、という特徴があります。

普及啓発

(1) 高齢者ご本人や家族に、うつ病に気づき専門機関へのつなぐことについて普及啓発を行います。

(2) 普及啓発の内容:
・ 高齢者の自殺の背景としてうつ病が多いこと。
・ うつ病の早期発見〜早期治療が自殺予防に効果的であること。
・ うつ病の早期発見のためには、うつ病を疑う症状や兆候について確認することが有用であること。
・ 特に、うつ病のリスク要因を持つ人には注意して見守ること。

(注記) 高齢者におけるうつ病のリスク要因:
環境要因:身近な人の死、退職などによる役割の喪失、種々の身体不調とそれに伴う日常生活機能の低下
身体疾患:うつ病を伴いやすい身体疾患として、心臓・脳疾患、悪性新生物(ガン)、慢性呼吸不全、慢性疼痛性疾患などが挙げられます。
認知症もうつ病を伴いやすく、またうつ病によって認知症の症状が重く表れることがあります(うつ病の治療で改善)。

相談・支援、連携

(1) 高齢者とかかわりを持つ家族や支援者がうつ病の兆候に気づき、適切な医療や支援につなぎます。(連携)

(2) うつ病の兆候に気づくとは?
・ 上記の「うつ病のリスク要因」でリスクがある方、あるいはご本人の会話や行動などからうつ病が疑われる方に、うつ病の症状について尋ね、それに応じて受診や相談を勧めます。
・ 高齢者の場合、気持ちの落ち込みや楽しめないといったうつ病の症状があっても、体の不自由や痛みなどが訴えの中心となることが多いので、体の訴えもうつ病を疑う手掛かりになります。

(注記) 体の症状からうつ病が疑われる例:
たとえば、「足が悪いので出かけても楽しくない」と訴えるとき
・・・必ずしも足が悪いから楽しめないのではなく、うつ病によって楽しめなくなっている場合があります。
食欲や睡眠など、他のうつ病の症状についても確認しましょう。

種々の支援

(1) 孤立防止、閉じこもり防止などを目的とした種々の支援は、心の健康にもプラスになるとともに、うつ病の早期発見にも役立ちます。

(2) ただし、すでにうつ病になっている場合は、無理に活動を促すことはせず、医療を優先させます。

(注記) たとえば、「疲れるだけだから・・」とデイサービスに行きたがらない
・ 上手に気持ちを支えたり、参加の仕方を工夫したりして無理なく参加できるように配慮します。
(それそれの方の好みもあるので、相手に合わせるように支援します)
・ うつ病の症状として「疲れやすさ」が出ていることがあります。そういう場合は無理は禁物です。念のため、うつ病の症状を確認します。

(3) 生きがいづくり、健康づくりも自殺対策に寄与する取組です。

中高年の自殺対策

中高年の自殺の特徴

中高年の自殺対策

(1) 平成10年から自殺者が急増した主な要因は、経済生活問題を背景とする中高年男性の自殺の増加でした(警察庁自殺統計)。
精神科診断で多いのは、高齢者同様、うつ病やうつ状態です。

(2) 種々の生活上の困難に加えて、心身の健康やアルコール問題などが自殺の背景として挙げられ、特に複数の要因が重なることが自殺のリスクを高めます。

(3) 女性では心身の健康のほかに、生活面では身近な対人関係の要因が自殺の背景として挙げられます。たとえば、職場環境でも職場内の同僚や上司などとの関係の影響が大きいと考えられます。

女性の自殺予防

普及・啓発

(1) 本人自らの気づきのほか、家庭、職場内などでうつ病などの自殺のリスクに気づき適切な支援につなぐことができるよう普及・啓発します。

(2) 普及啓発の内容
・ 生活上の様々な困難が自殺のリスクとなり、特に複数要因が重なったときにリスクが高まること。
・ それらの生活上の問題の解決とあわせて、うつ病等の心の不調に気づき専門機関に相談や受診すること。
・ ストレスへの対処法、相談の促進

(注記) 中高年において自殺のリスクとなる状況:
・ 種々の生活上の困難:経済的困難、無職、家庭環境(不和、DVなど)、職場環境・労働環境(過労、パワハラなど)
・ リストラや離別、重大な疾患などの生活上の転機

(注記) 相談・援助希求の促進について:
・ 自殺予防において、悩みを相談したり援助を求めたりすることが有用です。
・ 相談・援助希求を妨げる価値観や考えについて見直してみることも、普及啓発の上で大切です。
例:「自分のことは自分で解決すべきだ」→「他人の助けを借りることでよりよく解決できる」
「我慢は美徳」→「相談は大事なライフスキル」
「迷惑をかけてはいけない」→「おたがいさま」 など

相談・支援、連携

(1) 自殺のリスクとなる状況(生活上の困難)、およびうつ病等の心の不調に気づき、それらに適切に対応します。

(2) 各相談機関では、それぞれの担当する課題に対応するとともに、複数の問題をかかえていないか気づき、適切な相談先と連携することが大切です。
特に、うつ病等の心の不調について見落とさないように心がけます。

(3) 円滑な連携が進められるよう、連携について組織化することも有用です。

(4) 「孤立(単身)」「離別」「無職」「アルコール問題」などは、特にリスクが高い要因です(特に男性)。また、孤立している場合、支援が届きにくいため、様々な場面で、様々な立場の人がリスクに気づき支援につなぐ役割を担うことが求められます。(ゲートキーパー)

(注記) 心の不調に気づく:
・ うつ病の症状の中でも「不眠」(疲れているのに眠れない、2週間以上続く不眠)が相談のきっかけとなりやすいようです。
・ 飲酒は自殺の重要なリスク要因です。心の不調に伴って飲酒量が増えることがあります。また依存症でなくても多量飲酒が続くと自殺のリスクが高まります。

若者の自殺対策

若者の自殺の特徴

・ 若者の世代は、その後の世代と比べて、社会経験の少なさ、経済的な脆弱さをはじめ、様々な面で不利・不安定な状況におかれています。

・ 自殺の背景は、経済生活問題、対人関係、健康問題など様々であり、精神医学的にも、うつ病のほかに統合失調症、パーソナリティ障害、薬物・アルコール関連の疾患など様々で、また、精神疾患の診断に至らない者も、他の世代よりは多くなっています。全体としての自殺率は他の世代よりも低いものの、精神医学的には問題が軽微な場合でも自殺に至ることがある、という意味では、自殺に対する脆弱性が高いと言えます。

若者の自殺対策

(1) 悩みを相談する(援助希求を促す、若者の様々な悩みにこたえることができる相談窓口の設置など)
(2) 身近な人の悩みに気づいて適切な支援につなぐ(ゲートキーパー)

といった内容について普及啓発を行うとともに、支援者(ゲートキーパー)を育てます。
また、社会適応の力を付けることも重要です。

(3) 問題があったときに相談したり援助を求めるといった技術の習得(コミュニケーションなど)
(4) 自分が社会や他人の役に立つという経験
(5) そうした経験を積み重ねることや物事を前向きに考える持つ習慣を持つことで自信を高める

・ 自身の有用感や自信を高めるためには、自殺対策の立案・実行においても、若者自身が創意工夫を発揮して主体的に取り組めることが望ましいでしょう。

(6) 居場所づくりの取組も自殺対策に寄与します。

(7) 学校では「SOSの出し方に関する教育」を少なくとも年1回実施するなど積極的に推進することとされています。

(8) 子どもの身近な大人が「SOSを受け止める」こと(ゲートキーパーの役割)も、子どもの自殺予防につながります。

自殺未遂者の自殺対策

自殺未遂者の特徴

・ 警察統計では、自殺者のうち自殺未遂歴のある者の割合は2〜3割です。また海外の研究では自殺未遂者のその後の自殺率は、一般人口よりも60-70倍にも上る場合があることが示されています。いずれにせよ、自殺未遂者は自殺のリスクが高いと考えられます。

・ 自殺未遂者の精神医学的背景としては、うつ病、統合失調症のほかにパーソナリティ障害や不安障害など種々の疾患が含まれ、既遂者と比べて、パーソナリティ障害や不安障害などの割合が高いことが特徴です。

自殺未遂者の自殺対策

自殺未遂者の自殺予防

・ 自殺未遂者は自殺に至るリスクが高いという認識をもって対応します。

・ 直後の対応と長期的支援とがよく連携することが必要です。
しろいしかく 直後の対応(短期的支援)
対応者:家族、身体治療の医療機関、精神科医療機関、地域保健スタッフなど
内容 :身体治療、安全の確保、長期的支援につなぐ

しろいしかく 長期的支援
対応者:家族、精神科医療機関、地域保健スタッフなど
内容 :精神科治療、種々の困難の解決に向けた支援、支援者間連携

・ 自殺未遂への対応に当たっては次の2群に分けることが有用です。

自殺未遂者の分類と対応
既遂率の高い手段による自殺未遂
(救急搬送される自殺企図者の2割)((注記))
既遂率の低い手段による自殺未遂
(救急搬送される自殺企図者の7割)
手段 飛び降り、首つり、毒物など 手首自傷、大量服薬など
特徴

男性に多い
精神科に受診していない割合が高い
躁うつ病、うつ病や統合失調症などが多い

女性に多い
精神科に受診している割合が高い
パーソナリティ障害や不安障害なども多い
自殺未遂を繰り返すことが多い
対応 精神科に受診させ、適切な医療や環境調整を行う。
直後の自殺リスクが高く、安全確保に十分に配慮する。
(短期的支援から長期的支援へのつなぎ)
長期的には自殺のハイリスクである。
受診先の精神科やその他の支援機関が連携して長期的支援を行う。
未遂後の早い時期に介入することが課題。
(救急現場から長期的支援への連携が課題)

(注記)救急搬送される自殺企図者のうち1割は自殺既遂(死亡)

ゲートキーパーについて
ゲートキーパーとは、悩んでいる人に気づき、声をかけてあげられる人のことです。特別な研修や資格は必要ありません。
「変化に気づく」「じっくりと耳を傾ける」「支援先につなげる」「温かく見守る」という4つの役割が期待されていますが
そのうちどれか1つができるだけでも、悩んでいる方にとっては大きな支えになるでしょう
(厚生労働省ホームページ ゲートキーパーになろう!より)
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「どんなふうに話をきいたらいいのか」「どんなつなぎ先があるのか」など具体的に学ぶ機会として、市町村や保健福祉事務所祉事務所がゲートキーパー研修を開催しています。

自殺対策のための情報交換メール(JJメール)

市町村の自殺対策担当職員に配信しているもので、自殺対策の基礎知識や、時宜に応じた内容をお知らせしています。

メール一覧

自殺関連統計

自殺関連統計について

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自殺者数

問い合わせ先

福島県精神保健福祉センター 自殺対策担当 電話024-535-3556 Fax024-533-2408

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