福島第二原子力発電所の廃止措置状況
令和元年7月31日、東京電力ホールディングス株式会社は、東北地方太平洋沖地震により運転を停止していた福島第二原子力発電所の全号機の廃止を決定しました。同年9月30日、電気事業法第27条の27の規定に基づき、9月30日を廃止日とした電気事業法変更届出書を経済産業大臣に提出しました。
その後、東京電力ホールディングス株式会社は、福島第二原子力発電所の廃止措置計画について、令和3年4月28日に原子力規制委員会の認可を、6月16日に県、楢葉町及び富岡町の事前了解を受けたことから、6月23日に廃止措置に着手しました。
廃止措置について
原子力発電所の廃止措置とは、運転を終了した原子力発電所から使用済燃料を取り出し、全ての施設を解体撤去することをいいます。なお、廃止措置の実施にあたって電力会社は、廃止措置計画書を原子力規制委員会に提出し認可を受ける必要があります。東日本大震災以降、玄海原子力発電所1、2号機、美浜発電所1、2号機、敦賀発電所1号機、島根原子力発電所1号機、伊方発電所1号機、大飯発電所1、2号機、女川原子力発電所1号機は、廃止措置計画を申請し認可されています。
令和2年5月29日に東京電力ホールディングス株式会社が提出した廃止措置計画書では、全体工程を4段階に区分し、44年かけて廃止措置を実施することとしています。第1段階(10年間)では、(1)汚染状況の調査、(2)汚染の除去、(3)放射線管理区域外(屋外)の設備の解体撤去(4)原子炉建屋内核燃料物質貯蔵設備からの核燃料物質の搬出(取出し)、(5)核燃料物質の譲り渡し、(6)放射性廃棄物の処理・処分を実施します。
2F廃炉の工程
東京電力ホールディングス株式会社 HPより
福島県の対応
安全確保協定の締結
令和元年12月26日、福島県、楢葉町及び富岡町は、東京電力ホールディングス株式会社と福島第二原子力発電所の廃炉に向けた取組が安全、着実かつ適時に進められ、周辺地域住民の安全を確保することを目的として、 「福島第二原子力発電所の廃炉の実施に係る周辺地域の安全確保に関する協定書」を締結しました。
廃止措置計画の事前了解
東京電力ホールディングス株式会社は 「福島第二原子力発電所の廃炉の実施に係る周辺地域の安全確保に関する協定書」第3条の規定に基づき、令和2年5月29日、福島第二原子力発電所1〜4号機の廃止措置計画に係る事前了解願いを提出しました。
県は、福島県原子力発電所の廃炉に関する安全監視協議会(以下「廃炉安全監視協議会」という。)及び福島県原子力発電所安全確保技術検討会(以下「技術検討会」という。)を開催し、専門委員の指導・助言を得て、原子力発電所周辺地域住民の安全確保の観点から廃止措置計画の確認を行いました。
令和3年5月25日に開催した廃炉安全監視協議会において、技術検討会が取りまとめた「東京電力福島第二原子力発電所廃止措置に関する確認結果報告書 」について確認を行いました。
令和3年6月16日、東京電力ホールディングス株式会社に対し技術検討会が取りまとめた9つの要求事項の確実な実施に加え、安全文化の醸成及び地域との連携推進を求める知事意見を付し廃止措置計画にいついて了解しました。(詳しくはこちら)また同日、楢葉町及び富岡町も町長意見を付して了解しました。
事前了解までの県の対応
【参考】国の対応
原子力規制庁は、計5回の公開会合を含めた審査を行いました。その後、原子力規制委員会は、令和3年4月28日に廃止措置計画を認可しました。
計画認可までの規制庁の対応
現地調査
-保安規定変更認可申請の補正書を原子力規制委員会に提出 ・東京電力HD(株)HP
保安規定変更認可申請の補正書を原子力規制委員会に提出 ・東京電力HD(株)HP
東北地方太平洋沖地震による被害
福島第二原子力発電所は、1、2、4号機の海水ポンプが津波により被害を受け、一時は危機的な状態となりましたが、外部電源が確保され原子炉の冷却が行えたことから、福島第一原子力発電所のように炉心損傷には至りませんでした。海水ポンプを必要としない系統による冷却で一時的に対応し、その間、海水ポンプのモーター交換や仮設ケーブルの敷設を行い、全号機を冷温停止にすることができ、福島第一原子力発電所のような過酷事故は免れることができました。
なお、当時の原子力安全・保安院は、福島第二原子力発電所の事故についてINES(国際原子力・放射線事象評価尺度)レベル3(重大な異常事象)と評価(暫定)しています。
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