薬学部オープンキャンパス2025
「薬学部ってどんなところかな?」「研究者になれるのかな?」「大学の先生は、どんな"夢"に自分の一生をかけようとしているんだろう?」あなたの将来の進路を決定する際の助けになるように、また薬学部を正確に知ってもらうために『薬学部オープンキャンパス2025』を開催します。
お知らせ
2025年度富山大学薬学部オープンキャンパスに、炎暑の中、日本各地から多くの高校生とご同伴の皆さまにお越しいただき、心より御礼申し上げます。今年度も『実験体験コース』と『研究室紹介&キャンパスツアーコース』を開催し、薬学部での学びや日常を肌で感じていただきました。大学での実験や研究、講義に触れ、学生たちと語り合う中で、「くすり」を学ぶ魅力や、自らの将来を思い描くきっかけを得ていただけたのではないでしょうか。この体験が皆さま一人ひとりの進路を考える上で、小さくても確かな一歩となれば嬉しく思います。緑あふれるこのキャンパスで、皆さまと再びお会いできる日を、教職員・学生一同、心より楽しみにしております。(2025年度運営担当:宗 孝紀 分子細胞機能学研究室 教授)
開催日:7月13日(日)
Aコース:実験体験…高校生定員134名(同伴者含め268名)
Bコース:研究室紹介、キャンパスツアー…定員500名程度(同伴者含む)
11時〜13時30分まで、福利棟の生協食堂 (1階)及び売店(2階)がオープンします。
※(注記)Bコース参加者やA・Bコースの同伴者は、生協食堂をご利用いただけます(限定メニューのみ)。
研究室で行っている高度な実験を実際に体験できるコースです。
13研究室(各定員:約10名)のプログラムから1つ選択して参加できます。
※(注記)同伴者の方は、実験体験には参加できません。
| 時間 | 内容 | 場所 | |
|---|---|---|---|
| 9:30〜10:00 | 受付 | 日医工オーディトリアム | |
| 10:00〜10:15 | 入試案内等(杉谷学務課) | ||
| 10:15〜10:45 | 講義(学部長) | ||
| 10:45〜16:30 | 高校生 |
実験体験
※(注記)各研究室で昼食(必ず昼食を持参してください) |
各研究室 ※(注記)薬剤学は講義実習棟生物系実習室で行う |
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同伴者 |
※(注記)生協食堂をご利用いただけます。 |
日医工オーディトリアム |
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| 16:30頃 | 集合・解散 | 日医工オーディトリアム | |
1生体認識化学
日常の様々な場面で処方される薬、はたしてその品質は大丈夫でしょうか。ひょっとしたら見た目では分からない不純物や劣化があるかもしれません。このオープンキャンパスでは、薬の品質を管理するための重要な分析に挑戦します。国の基準「日本薬局方」で定められた「キレート滴定法」を用いて、抗結核薬に含まれるカルシウム量を正確に測定します。薬の品質を自分の目で確かめる、本格的な薬学分析に触れてみましょう!
2薬物生理学
消化管(胃や腸)は、ストレスの影響を最も受けやすい臓器の一つであり、ストレスにより胃潰瘍や下痢など様々な消化管疾患が発症します。今回は(1)胃酸分泌酵素の働きをピペットや試薬を使って観る、(2)細胞を顕微鏡で覗きながら、イオンを運ぶタンパク質の働きを電流として観測するなど、消化管のミクロの世界について学んでみましょう。
3薬化学
普段、化学式の形でしか目にすることのない有機化学を、実際に体験していただきます。分子生物学や血液検出の試験で用いられるルミノールを原料から合成し、発光試験を行います。時間に余裕があれば、アスピリン合成、6,6-ナイロン合成、振動反応に取り組んでもらいます。様々な化合物を手に取り反応させ、生成物を取り出すまでの一連の作業を通して、有機化学と、そして大学の研究室の雰囲気を感じてもらえればと思います。
4薬品製造学
カフェインは医薬品としての効能を持つ化学物質で、エナジードリンクはもちろん、私たちが普段飲んでいる緑茶の中にもカフェインが含まれています。本実験では実際に薬を作るときと同じ方法で緑茶の茶葉からカフェインを抽出し、精製をすることでキレイなカフェインの結晶を作ります。さらに、得られた化合物が本当にカフェインなのかを確かめるための構造解析を体験してもらいます。
5遺伝情報制御学
私たちの体は、皮膚・筋肉・肝臓・神経など形や機能が全く異なる様々な細胞から構成されています。これらの細胞は全て同じ設計図である「遺伝情報」を持っていますが、遺伝情報の読み方が異なっているために様々な細胞として存在しています。遺伝情報の読み方を決めるのは「転写因子」と呼ばれるタンパクです。皆さんには、遺伝子工学を使って大腸菌で発現させたヒトの転写因子を「電気泳動法」で見てもらいます。
6分子神経生物学
学習記憶の基本ユニットの代表選手は、脳にある神経細胞です。神経細胞は複雑な「かたち(形態)」をしており、形態異常が脳の病気の原因とも考えられています。したがって、かたちが変化する仕組みを知ることは非常に重要な研究のひとつです。みなさんには、顕微鏡を使って、蛍光タンパク質によって光る神経細胞を観察して、「かたち」を眼で見て知ってもらうとともに、遺伝子レベルの解析(塩基配列の決定)を行ってもらいます。
7薬剤学
この実験体験では、フェノールレッドという色のついた薬を実験動物であるラットに投与し、からだの中でどのようにフェノールレッドが動いていくかを観察して頂きます。さらに、痛風患者に処方されるプロベネシドという薬を同時に投与した時に、この動きがどのように変化するかの実験も行い、最近話題の"ポリファーマシー"について実感して頂きます。
*薬剤学は講義実習棟生物系実習室で行います。
8製剤設計学
錠剤は一見どれも同じように見えますが、全く異なった成分・製法で作られています。例えば、薬の箱には「添加物として◯◯◯を含有する」と記載されています。この添加物の種類や配合比率を薬ごとに調節しないと、良い錠剤を作れません。みなさんには添加物の役割を学び、粉(有効成分と添加物)から錠剤を作製してもらいます。良い錠剤とは何かを考え、錠剤がどのように設計されるか学びましょう。
9実践薬学
同じ量の薬を服用しても患者さんによって治療効果が異なる場合があります。このような個人差が生じる理由を知り、一人ひとりに合った薬剤投与量で治療できれば、薬物治療の安全性を高めることができます。本テーマでは、ヒトの肝臓にある薬物代謝酵素の遺伝子タイプを判別する基礎実験を体験して頂きます。また、薬の効果に個人差が生じる幾つかの事例を学びながら、薬の安全性について皆さんと一緒に考えてみたいと思います。
10臨床薬剤学(附属病院薬剤部)
私たち薬剤部では、患者さんにご自分のお薬を正しく理解して頂き、きちんと服用して頂けるよう、全病棟で服薬指導を行っています。病棟以外でもがん化学療法、栄養サポート、緩和ケアなど様々なチームに薬剤師が参画しています。今回の「体験実習」では、調剤や服薬指導など、薬の専門家として様々な場面で活躍している病院薬剤師のお仕事の一端を模擬体験してみましょう。また、本院薬剤部の特色の1つである和漢薬調剤について、実際に生薬の味や香りを確かめながら調剤を行い、自分の体質に合った和漢薬を煎じてみましょう。
11複雑系解析分野(和漢研)
生活習慣病は食生活の乱れが発端となり、栄養代謝を制御する遺伝子発現変化とともに機能が損なわれることで発症します。生活習慣病の状態で生じる体の中の栄養代謝に関連する変化(血液成分、病理組織、遺伝子発現など)を解析することで、病態形成のメカニズムを分子レベルで解析しています。今回、大学研究室で行っている最新の研究手法を実際に体験し、生活習慣病の発症メカニズムについて理解を深めてもらいます。
12未病分野(和漢研)
和漢薬は経験と知恵から生み出された伝統薬です。現在、西洋薬と伝統薬の併用が求められています。では、未来の薬学研究者である皆さんは、どのように和漢薬の研究を行っていけば良いのでしょうか?本日は、以下の4つの体験をしていただきます。(1)和漢薬を作る、(2)和漢薬を細胞に作用させる、(3)和漢薬をショウジョウバエに飲ませる、(4)和漢薬を最新の顕微鏡で観察する。研究を楽しみましょう!
13資源科学領域(和漢研)
化合物の分離は薬の研究の基礎となる技術の1つです。植物が作る化合物は多種多様であり、薬用植物の薬となる成分をはじめ、人類にとって有用な化合物も沢山あります。この体験実習では、野菜など身近な植物を材料に、クロマトグラフィーという化合物を分離する方法を学びます。薬の研究でも用いる技術で、身近な植物が見た目だけでなく、化学的にも多様であることを実感してみてください。
各研究室で行っている様々な研究等について知ることができるコースです。
3会場に分かれ、6研究室の紹介(各15分程度)終了後、キャンパスツアーを行います。
※(注記)同伴者の方は、キャンパスツアーに参加できません。
| 時間 / 会場 | 第1グループ |
第2グループ |
第3グループ |
|---|---|---|---|
| 11:30〜 | 11:30〜 受付 | ||
| 11:50〜 | 11:50〜 受付 | ||
| 12:00〜12:20 | 学部・入試紹介 | 12:10〜 受付 | |
| 12:20〜12:40 | 1 構造生物学 | 学部・入試紹介 | |
| 12:40〜13:00 | 2 医療薬学 | 1 構造生物学 | 学部・入試紹介 |
| 13:00〜13:20 | 3 分子合成化学 | 2 医療薬学 | 1 構造生物学 |
| 13:20〜13:30 | - 休憩(10分)- |
||
| 13:30〜13:50 | 4 がん細胞生物学 | 3 分子合成化学 | 2 医療薬学 |
| 13:50〜14:10 | 5 応用薬理学 | 4 がん細胞生物学 | 3 分子合成化学 |
| 14:10〜14:30 | 6 和漢医薬学総合研究所 | 5 応用薬理学 | 4 がん細胞生物学 |
| 14:30〜14:40 | - 休憩(10分)- |
||
| 14:40〜15:00 | 14:40〜15:30 キャンパスツアー |
6 和漢医薬学総合研究所 | 5 応用薬理学 |
| 15:00〜15:20 | 15:10〜16:00 キャンパスツアー |
6 和漢医薬学総合研究所 | |
| 15:30頃 | 集合・質疑応答・解散 | - 休憩(10分)- |
|
| 15:40〜16:30 キャンパスツアー |
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| 16:00頃 | 集合・質疑応答・解散 | ||
| 16:30頃 | 集合・質疑応答・解散 | ||
1構造生物学
薬が効くのはなぜでしょうか。薬の多くは体の中にあるタンパク質にくっつくことで効果を発揮します。本テーマでは、タンパク質がどんな形をしているのか、どうして薬がタンパク質にくっつくのかを分かりやすく説明します。また、薬がタンパク質にくっつく様子をタブレットやスマートフォンを使って見てみましょう。タンパク質をぐるぐる回したり、薬がくっついている部分を拡大したりして、薬がなぜ効くのかを考えましょう。
2医療薬学
果物に「旬」があるように、様々な病気には1日の中で悪化する時間帯があります。また、それらを治療する薬にも「使い時(最適な投薬時刻)」があり、最適な時刻に薬を投薬すると、効果の上昇や副作用の低下を期待できます。皆さんには、1日の中で悪化する時間がある病気を紹介し、治療薬を最適な時刻に投薬したときの効果や副作用の違いを紹介します。
3分子合成化学
医薬品の多くは有機化合物からできており、その薬効は有機化合物の立体化学の違いによって大きく変わることがあります。そのため医薬品の製造・供給には正しい立体化学の有機化合物を合成する必要があり、研究室でも生物活性天然物の立体選択的全合成研究を行っています。皆さんには、立体化学の異なるリモネンの香りを実際に嗅いでもらい、その違いと立体化学の重要性について学んでもらいます。
4がん細胞生物学
がん細胞は正常細胞とちがってなぜ無秩序に増えるのか?近年、その原因となる「がん遺伝子」と呼ばれる司令塔があることがわかってきました。今回は、肺がん細胞の司令塔から発せられる細胞分裂の引き金となる情報をとらえ、それに対する最新の抗がん剤の効果をタンパク質の変化として検出することによって、抗がん剤に関する理解を深め、がん治療の未来を考えます。
5応用薬理学
アルツハイマー病や脳卒中などの脳の病気は、治療後の経過あるいはその見通しが良くない深刻な病気が多くあります。しかし、満足な治療が必ずしも行われておらず、有効な治療法の開発が求められています。私たちの研究室では、様々な脳の病気のうち脳梗塞に焦点をあてた研究を進めており、その研究には小型の魚類であるゼブラフィッシュを使用しています。実際の魚を見てもらいながら、これらの研究の一端を紹介します。
6和漢医薬学総合研究所
和漢医薬学総合研究所(和漢研)は、富山大学に附置された研究所です。和漢研にはユニークでアクティブな研究者が集い、疾患、創薬、資源開発と幅広い分野で独創的な研究が進められています。富山大学薬学部に進学すると、3年生の研究室配属の際に和漢研の研究室を希望することができ卒業研究が行えます。和漢研ってどんなところ? 和漢研ではどんな研究をしているの? 和漢研での学びとは?・・・そんな疑問にお答えします。
6月13日(金)17:00 〜 7月8日(火)17:00
オープンキャンパスは終了しました。多数のご参加ありがとうございました。
「富山大学オープンキャンパス2025特設サイト」へ
富山大学 杉谷キャンパス
杉谷地区事務部学務課(入試担当)
076-434-7434(平日9:00〜17:00)
※(注記)お問い合わせに対する回答や申し込み内容の確認などにおいて、本学からメールをお送りする場合がございますので、メールが受信されるよう、許可設定をお願いします。
富山大学杉谷キャンパスへは、富山駅から富山大学附属病院行きの路線バスが運行しています。当日は、平常の運行に加え、臨時バスを運行します。
バスの所要時間:約30分、運賃:片道460円(えこまいか利用時410円)
《行き》
「富山駅前」→「富山大学附属病院」
車でお越しの際は、案内図に示す駐車場(無料)をご利用できますが、駐車スペースには限りがございます。(指定の駐車場以外に駐車した場合は、有料となります。)
※(注記)無料駐車場から会場までは、徒歩で10〜15分、バス停から会場までは、徒歩で約5〜7分です。
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