平成29年度農業電化推進コンクール

受 賞 事 例 概 要
(農業電化協会長賞)
ヒートポンプ、複合環境制御事例
ご注意
ここに記載の知的技術情報につい
て、受賞者本人および当協会の許可な
く複製・転載・引用することは、ご遠
慮ください。
また、受賞者への直接のお問い合わ
せは、ご遠慮ください。
都 道 府 県 名 北海道 作物名
野菜(ホウレンソウ、レタス、キャベツ、トマト
等 計30種)
業績や技術の名称
地中熱源ヒートポンプを含む複合環境制御システムを用いた多
品種同時育成ハウス栽培の運営について
* 立地条件:本農場は北海道南端部の渡島半島、道内では比較的気候条件の良いエリアで、海抜は1
00mを超え高原状の地形のために真夏でも気温が30°Cを超えることはほとんどないが、冬は
最低気温が-10°Cを下回る日もしばしば出現する。
* 導入実践の経緯:2015 年に現施設を商業ベースの実証ハウスとして稼動。地中熱、温泉熱、土中
熱、井戸水を組み合わせた冷暖房により省エネルギー化を図っている。また、当初太陽光利用の
みであったが、日射不足に対応するため育成に特化した波長のLEDを設置し、気象情報を利用
して計画的に補光するシステムを導入している。
* 電化設備概要:地中熱ヒートポンプ 6 台、地中熱、土中熱、井水熱、温泉熱回収用ポンプ計 11
台、LED 2400 個、選果室用エアコン 1 台
* 導入技術の内容・経営の改善:
・育成環境創出のため、温泉熱、地中熱、土中熱、井戸水を組み合わせた温度管理システムを用
い、併せて局所気象予報等の情報を活用した管理方策を用いて、雨滴混入回避のための天蓋開閉
制御や、週間予測による照射光量を計画するなど最適な環境作りを行っている。
・LED補光と気象予測を組み合わせた日射量補完によって収量を2倍にすることができ、通年でも
安定した生産量・質が得られるようになった。
都道府県名 茨城県 作物名 ほしいも
業績や技術の名称
全国の干し芋農家への干し芋乾燥システムの普及・拡大に向け
た営業活動
* 導入実践の経緯:1992 年から農業分野への参入し、干し芋農家からのから相談を受けて、専用乾燥
機の開発に乗り出し、2年がかりで完成させた。その後、ヒートポンプ式冷風乾燥装置を利用し
ても天日干しとかわらないプログラム制御を確立し、現在に至る。北は北海道から南は鹿児島ま
で全国に納入実績があり、最近は海外からも引き合いがある。
* 電化設備概要:ヒートポンプ式干し芋乾燥システム。
* 導入技術の内容・経営の改善:
・干し芋生産農家や農業法人の芋の種類や生産計画のニーズにあわせた最適な設備・施工により、
芋の品種別に風味を損なわないように、乾燥工程を分割し、各段階で最適な温度を自動調整する
ことで食感の優れた干し芋を生産することが可能である。
・従来の天日干しでは約1週間かかる行程が約2日間に短縮でき、安定した生産計画が可能であ
り、人件費の削減と生産量を増加することでコスト削減に繋がる。
・通年を通して生産が可能(需要の多いお歳暮時期にも対応可)。
・厳寒期に屋外で実施していた天日干し作業の軽減等、作業環境の大幅な改善が図れる。
・ヒートポンプ式により、燃料式ボイラーと比較するとエネルギーコストが削減可能。
都 道 府 県 名 埼玉県 作物名 野菜(ミニトマト)
業績や技術の名称 ミニトマト栽培に対するPC管理によるエネルギーの見える化
* 立地条件:本庄市は埼玉県北西部の県境に位置し、気候は内陸的で寒暖の差が大きく、夏は全国的
にも指折りの暑さとなり、冬は「赤城おろし」という乾燥した強い北風が吹く。晴天の日が年間を
通して多い地域である。
* 導入実践の経緯:平成 27 年 2 月に見舞われた雪害以降、先端技術を取り入れた圃場をめざし、施設
園芸用ハウスを建て替えたのを機会に、電化を進め、エネルギーの見える化に取り組む。
* 電化設備概要:ヒートポンプ 18kW 4 台、循環扇 20 台。
* 導入技術の内容・経営の改善:
・汎用型PCによるヒートポンプ、重油ボイラの消費電力量管理、見える化と、外部風量センサ
ー、降雨センサー、ハウス内外温度計、それらを複合的に読み取り制御する制御装置による天窓、
カーテンの自動開閉制御、CO2 濃度計、自動灌水装置によるハウス内環境制御を実現。
・ハウスの温湿度の差が激しいとトマトの実につく結露により表面がひび割れ、廃棄処分となる
が、制御システムにより一時間に1°Cずつ温度を変化させることにより結露を防ぎ歩留り率向上を
図れるようになった。
都 道 府 県 名 福井県 作物名 まいたけ
業績や技術の名称 電化空調導入による福井県特産ブランド品「九頭竜まいたけ」の生産
* 立地条件:大野市は福井県東部に位置し、四方を山地で囲まれている。日本海型気候で多雨多湿地
帯に属し、気温の日較差も他の地域より大きい。施設の管理等に熟練した技術を要する。
* 導入実践の経緯:平成 14 年に年間 100tを生産できる工場を建設、さらなる生産拡大に向けて平成
27 年に新工場を建設。28 年 4 月より稼働し、さらなる生産コストの低減等に努めている。
* 電化設備概要:エアコン 3 台、冷凍機 5 台、冷凍庫 1 式、加湿器 18 台、吸気・換気ファン 15 台、
半自動袋詰め機。全自動接種機、高圧殺菌釜、温水ポンプ、バッテリー式フォークリフト 等。
* 導入技術の内容・経営の改善:
・空調施設は全自動であり、県内のキノコ栽培施設では唯一、湿度・温度・二酸化炭素濃度をそれぞ
れの栽培過程に適した値で保つことができる。またバッテリー式のフォークリフトの導入もここだ
けであり、排気がなく施設内で使用でき、一度に大量の菌床を移動させることができる。
・収穫してからすぐに一定時間冷蔵庫に保管し、その後すぐに出荷できるよう自動包装機でパック詰
めできる体制を整えている。
(注記)ヒートポンプの数値は定格暖房能力
都 道 府 県 名 大阪府 作物名 野菜(丸なす)
業績や技術の名称 加温機と新たに導入したヒートポンプを併用した高品質な丸なす栽培
* 立地条件:富田林市は大阪府の東南部に位置し、大阪市の中心部から 20〜30km と比較的近距離に
ある。気候は瀬戸内式気候に属し、年平均気温は 15.2°C、年間平均降水量は 1、281.5mm であり、
比較的温暖で少雨な地域で、府内で有数のなす産地である。
* 導入実践の経緯:昭和 30 年代にすでに府内で先駆けて加温機を備えた固定式大型ハウスを導入し
て、なす+きゅうりの輪作を行い、また、順次ハウスの増設を進めていたが、重油の価格高騰を
受け、コストダウンと環境負荷の低減を両立させながら品質向上を目指すため、平成 26 年度に 5
aのハウスにヒートポンプを導入した。
* 電化設備概要:ヒートポンプ 18kW 1 台(ハウス 5a)、重油加温機 8 台(計 58kW ハウス 50a)。
* 導入技術の内容・経営の改善:丸なす栽培では最低温度を 13°Cを下回らないように、また、昼夜の
温度差を 15°C以下に抑えないと不良果、変形果が多くなる。きめ細かな換気作業による温湿度管
理とヒートポンプ等の活用により、年間にわたって適切な温度制御が可能となった。さらに、ヒ
ートポンプ導入ハウスでは、単独使用で高品質な丸なす栽培ができたことから、コスト削減につ
ながっている。
都 道 府 県 名 宮崎県 作 物 名 野菜(ピーマン)
業績や技術の名称
ヒートポンプと環境測定装置の導入による施設ピーマン栽培の高収量
生産と労力軽減
* 立地条件:串間市は宮崎県の最南端に位置し、東部は日向灘、南部は志布志湾に面する。夏は暑
く、黒潮の影響により冬も比較的温暖である。当該地区の土壌は火山灰(シラス)ではなく、釜
土(粘土質)である。
* 導入実践の経緯:平成 24 年、データに基づいた営農を目指しハウスの見える化に取り組む。26
年、A重油価格高騰対策として、ヒートポンプを導入。
* 電化設備概要:モニタリングシステム、ヒートポンプ(18k×ばつ4 台)、CO2 発生機(2 台) 等。
* 導入技術の内容・経営の改善:施設内環境データを元にヒートポンプや循環扇を使用した適正な温
度・湿度管理により、ピーマンの植物生理を最大限に引き出すことで品質や生産性向上及びピー
マンの肥料吸収率アップによる肥料の使用量削減につながっている。また、天敵昆虫を利用した
害虫被害の抑制による農薬の削減で秀品率 9 割以上を達成している。
(注記)ヒートポンプの数値は定格暖房能力

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