平成11年度から平成13年度に発生した毒物又は劇物の盗難・紛失事件、流出・漏洩等の事故の集計結果について
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別添1
平成11年度から平成13年度に発生した毒物又は劇物の盗難・紛失事件、
流出・漏洩等の事故の集計結果について
平成11年度から平成13年度までの3年間に都道府県等が把握した毒物又は劇物の盗難・紛失事件、漏洩・流出等事故を集計*した結果、次のとおりであった。
1
盗難・紛失(
別紙1の図表参照)
平成11年度から平成13年度の3年間に発生した盗難・紛失件数の総計は40件であり、その内訳は、盗難24件、紛失16件であった。
(1)
盗難
ア
業態
盗難にあった事業者の業態の面からみると、全24件中、5件が製造業者、輸入業者又は販売業者(以下「毒物劇物営業者」という。)、19件が業務上取扱者であり、業務上取扱者が79%を占めていた。盗難にあった業務上取扱者19件のうち、5件は農家、4件は学校であり、農家と学校を合わせると、業務上取扱者の47%を占めていた。
イ
施錠等盗難防止措置
盗難防止措置の面からみると、全24件中、15件が盗難防止措置が不十分であり、全盗難件数の63%を占めていた。盗難防止措置が不十分であった15件における事業者の業態をみると、1件が毒物劇物営業者、14件が業務上取扱者であり、業務上取扱者が93%を占めていた。
一方、施錠等盗難防止措置に問題のなかった9件における事業者の業態をみると、4件が毒物劇物営業者、5件が業務上取扱者であり、業務上取扱者は56%であった。
(2)
紛失
全16件中13件が運送中に発生しており、13件中6件が荷台への固定不十分であったこと、5件が誤配送、受け渡し時の数量等の確認ミスや確認を行わなかったことに起因する紛失であり、この2つの原因が運送中に起きた紛失の原因の85%を占めていた。
2
流出・漏洩等の事故(
別紙2の図表参照)
平成11年度から平成13年度の3年間に発生した流出、漏洩等の事故の総計は151件であった。
(1)
業態
流出・漏洩等の事故を起こした事業者の業態の面からみると、全151件中、48件が毒物劇物営業者、99件が業務上取扱者、4件がその他であった。業務上取扱者のうち、20件が届出の必要な業務上取扱者、79件が届出の不要な業務上取扱者であった。
(2)
発生原因
発生原因を
別紙2の表にある15の原因に分類してみると、全151件中、30件がタンク・配管等の腐食・亀裂・老朽化、23件が機器の誤操作・作業手順ミス等、16件がタンクの弁等の閉め忘れ・締め付け不十分、タンクマンホールの留金のかけ忘れにより発生した事故であり、この3つの原因による事故は、他の原因によるものと比べ特に多く、事故発生原因の45%を占めていた。その他、フォークリフトなどの機械を誤ってぶつけたなど何らかの理由(理由不明の場合を含む。)によるタンク・配管等の破損、積載物の固定方法が不適切であったための荷崩れ、タンク等に液入れ中の溢流・過充てん、装置・計器の故障、爆発・火災・引火、交通事故、ホース(タンクとタンクローリー、船等をつなぐホースなど)の外れ・接続不良などであった。分類した15の原因の大部分は、交通事故など一部の原因を除けば、何らかの作業上のミス又は日常の点検不足に集約でき、対策を講じていれば大部分の流出、漏洩等の事故は避けることができたと考えられる。
(3)
発生場所、発生作業
発生場所、発生作業の面からみると、全151件中、事業所内等での事故126件、運搬中の事故が25件であった。具体的には、15件がタンク・配管等の洗浄・保守点検作業中、14件が化学物質の混合・溶解等の作業中、13件がトラック等に積み込んだ容器(タンクローリー、タンクコンテナ以外)による毒物劇物の運搬中、12件がタンクローリー・タンクコンテナによる毒物劇物の運搬中、6件が毒物劇物と関係のない作業中、91件がその他であった。「その他」は、他の5つの作業に属さない作業の他、何らかの作業中であったかどうか不明であるものを多く含んでいる。何らかの作業中であったかどうか不明であるものには、貯蔵中のタンク・弁等から漏れたものが多かった。
ア
事業所内等での事故
化学物質の混合、溶解等の作業中に起きた事故は、機器の誤操作、作業手順ミス等によるものが50%を占め、装置・計器の故障、何らかの原因による爆発・火災・引火を含めると、これら3つの原因が事故発生原因の78%を占めていた。
タンク・配管等の洗浄、保守点検作業中に起きた事故は、機器の誤操作、作業手順ミス等によるものが52%を占め、その他、タンクの弁の閉め忘れ・締め付け不十分、タンク・配管中に別の物質があることの確認不足、ホースの外れ・接続不良などの原因によるものであった。
毒物劇物と関係のない作業中(道路工事中、物置の整理中、倉庫の解体中、機材運搬中など)に起きた事故は、機器により誤って容器を破壊した、不適切に毒物劇物を保管していたため容器に毒物劇物があることを知らずに破壊したなどによるものであった。
イ
運搬中の事故
タンクローリー・タンクコンテナによる毒物劇物の運搬中に起きた事故は、タンクの弁等の閉め忘れ・締め付け不十分・タンクマンホールの留め金かけ忘れ、交通事故、タンク・配管等の腐食・亀裂・老朽化の3つの原因が、83%を占めていた。交通事故以外の原因が67%であった。
トラック等に積み込んだ容器(タンクローリー、タンクコンテナ以外)による毒物劇物の運搬中に起きた事故は、積載物の固定方法が不適切であったための荷崩れが61%を占めており、交通事故以外の原因が85%であった。
(4)
被害
流出・漏洩等の事故による被害の面からみると、全151件中、6件が死亡、48件が死亡以外の何らかの人に対する健康被害があったもの、36件が人以外に対する被害(環境に対する被害など)のみあったもの、62件が特に被害のなかったものであり、人に対する何らかの健康被害があったのは36%、人以外に対する被害まで含めて何らかの被害があったものは60%であった。
*
毒物及び劇物取締法第16条の2の規定により、毒物劇物営業者、業務上取扱者は、盗難・紛失事件については警察署への届出義務、流出・漏洩事故については保健所、警察署又は消防機関への届出義務が課せられているが、このうち保健所が把握したものについて集計した。なお、漏洩・流出事故に関しては、法律上、不特定又は多数の者について保健衛生上の危害が生ずるおそれがあるときに届出義務がかかるが、今後の安全対策に資する観点から、人に保健衛生上の被害が生ずる可能性・被害の発生の有無、発生場所を問わず、保健所が把握したものについて、集計対象としている。
別紙1 毒物又は劇物の盗難・紛失事件(平成11年度から平成13年度)
別紙2 毒物又は劇物の流出・漏洩等事故(平成11年度から平成13年度)
流出・漏洩事故集計表
作業内容
原因
A 化学物質の混合、溶解等の作業中
B タンク、配管等の洗浄、点検・保守中等
C タンクローリー、タンクコンテナによる毒劇物運搬中
D トラック等による毒劇物運搬中
E 毒劇物の取り扱いと関係ない作業中
F その他
計
a タンク、配管等の腐食・亀裂・老朽化
-
-
2
-
-
28
30
b 腐食等以外によるタンク、配管等の破損(ただし、腐食等によるか不明の場合を含む。)
-
-
-
1
-
8
9
c タンク等のバルブ等の閉め忘れ・締付不十分、タンクマンホールの留金かけ忘れ
-
1
4
1
-
10
16
d フォークリフト等を誤って接触させた等による容器、バルブ、配管等の破損
-
-
-
-
2
5
7
e タンク等に液入中のオーバーフロー
-
-
-
-
-
7
7
f タンク、配管中に残留した物と化学反応が生じ爆発等した
-
1
-
-
-
1
2
g 機器の誤操作、作業手順ミス等(ただし、c,d,e,f,h,j,kの場合を除く。)
7
8
-
-
1
7
23
h タンク等からホースが外れた・ホースの接続不良
-
1
-
-
-
5
6
i 装置・計器の故障、停止
2
1
-
-
-
4
7
j 爆発・火災・引火(ただし、fの場合を除く。)
2
1
-
-
1
2
6
k 不適切な廃水処理
-
1
-
-
-
2
3
l 不適切な毒劇物の保管(毒劇物の存在を知らずに容器を破壊した等)
-
-
-
-
2
2
4
m 交通事故による破損
-
-
4
2
-
-
6
n 積載物の固定方法が不適切であったための荷崩れ
-
-
-
8
-
-
8
o その他
3
1
2
1
-
10
17
計
14
15
12
13
6
91
151
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