以下の文章で、%表示の数値のうち特に断りのないものは、回答企業265社を100%とした百分率である。
なお、図3以外の棒グラフにおいては、企業規模による傾向の違いも検討できるように、回答企業数を従業員数別に8段階に分類・色分けして表示した。
265社の回答企業のうち、広島県が57%(151社)、岡山県が17%(45社)、山口県が15%(39社)、島根県が4%(11社)、鳥取県が6%(16社)であった。県別分布のグラフを図1と図2に示す。
回答企業の従業員数別の内訳を図3と図4に示す。従業員数が1桁から3桁の企業まで、比較的満遍なく回答をいただいたが、従業員数が10〜19人、30〜49人の企業の比率が高かった。従業員数が1桁(9人以下)の企業の数は54社であり、全体の20%であった。
集計結果を図5に示す。江戸・明治が2%(6社)、大正が3%(9社)、昭和元〜20年が5%(14社)、昭和21〜40年が38%(101社)、昭和41〜63年が37%(98社)、平成が6%(17社)であり、戦後の昭和時代に創業した企業が多い。なお、従業員が3人以下の企業は全て戦後創業である。
集計結果を図6に示す。"ある"又は"準備・工事中"と回答した企業が48%(128社)であり、"ない"と回答した企業の30%(79社)の約1.6倍であった。この比率を従業員別にみると、従業員が19人以下の企業では"ない"と回答した企業が"ある"と回答した企業よりも多かったが、従業員が20人以上の企業においては、"ある"と回答した企業が"ない"と回答した企業よりも多く、一般に従業員が多い企業ほど"ある"の回答比率が高い。
集計結果を図7に示す。"ある"と回答した企業が75%(198社)であり、"ない"と回答した企業 12%(32社)の約6.倍であった。
集計結果を図8に示す。"一般・精密機械"、"鉄鋼・金属"、"輸送用機械"が多く、それぞれ39%(103社)、39%(103社)、7%(99社)の企業が回答した。次いで、
"土木・建設"が20%(54社)、"その他"が15%(41社)、等の順であった。
なお、"その他"には、船舶・自動車関連の回答が10数件あり、これらを考慮すると、"輸送用機械"が最も多いと考えられる。
集計結果を図9に示す。"被覆アーク溶接"及び"ティグ溶接"が多く、それぞれ76%(201社)及び74%(196社)の企業が回答した。次いで、"ミグ溶接"が39%(103社)、"マグ溶接"が35%(92社)、"ろう接(ろう付、はんだ付)"が32%(83社)、"重ね抵抗溶接(スポット溶接、シーム溶接など)"が30%(80社)、"ガス溶接"が27%(71社)、等の順であった。
集計結果を図10に示す。"炭素鋼"及び"ステンレス鋼"が多く、それぞれ81%(215社)及び76%(201社)の企業が回答した。次いで、"アルミ合金"が42%(110社)、"鋳鉄"が17%(46社)、"銅合金"が17%(44社)、等の順であった。なお、"炭素鋼"の内訳はSS鋼が多いと考えられる。SS鋼はJIS規格では炭素鋼ではなくて一般構造用圧延鋼材という名称であるが、問5-1の回答と対応させると、SS鋼の意味で"炭素鋼"と回答されたものが多かったと推測される。
1.行っている、又は、行ったことがある。 2.行っていない。
集計結果を図11に示す。"行っている、又は、行ったことがある"と回答した企業が54%(142社)、"行っていない"と回答した企業が43%(113社)であり、半数以上の企業が異材溶接加工を経験している。
比較的多く挙げられた組み合わせを図12に示す。一般構造用圧延鋼材(SS材)とステンレス鋼(SUS材)の組み合わせを挙げた企業が40%(105社)と非常に多く、なかでもSS400鋼とSUS304鋼の組み合わせが多かった(88社)。それ以外では、SS400鋼とSUS316鋼の組み合わせを挙げた企業がやや多かった(19社)が、他の組み合わせの企業数は少なかった。
(例:SS400、SUS304、AL5052)
比較的多く記された工作物材種を図13に示す。一般構造用圧延鋼材(SS***)が最も多く、65%(171社)の企業が回答した。そのうちではSS400が最も多くて61%(162社)が回答した。次いでステンレス鋼(SUS***)が多く、37%(99社)が回答した。そのうちではSUS304が最も多くて32%(84社)が回答した。さらに、アルミ合金(29社)、溶接構造用圧延鋼材(SM***)(13社)、熱間圧延軟鋼板及び鋼帯(SPHC)(7社)、等の順であった。
[(例:自動車車体、船体、圧力容器)、不明]
具体的な回答を多数いただいたが、自由記入であるために当然ながら用語が不統一であった。あえて分類して、比較的多く挙げられたものをまとめたものが図14である。それによると、自動車関係が14%(38社)で最も多く、次いで、船舶関係が12%(33社)、建設・建築関係が9%(23社)、等の順であった。
集計結果を図15に示す。最も多い寸法は"1m以上〜10m未満"の48%(126社)であり、次いで"100mm以上〜1m未満"が44%(116社)、"10mm以上〜100mm未満"が16%(43社)、"10m以上"が16%(42社)、"10mm未満"が7%(19社)の順であった。
集計結果を図16に示す。最も多い寸法は"1mm以上〜10mm未満"の61%(161社)であり、次いで"100μm以上〜1mm未満"が37%(98社)、"10μm以上〜100μm未満"が8%(22社)、"10mm以上"が3%(8社)、"10μm未満"が1%(3社)の順であった。 工作物に要求される形状精度は、"金属切削加工"に関する調査1)では"10〜50μm"が最も多く、"金属塑性加工"に関する調査では2)"100μm〜1mm"が最も多く、"材料研削・研磨加工"に関する調査3)では"10μm〜50μm"及び"1μm〜10μm"が最も多かった。溶接加工で要求される形状精度はこれらの加工の場合よりも一般に低い。
集計結果を図17に示す。"熱影響部(硬化、軟化、脆化)"が最も多くて、31%(81社)の企業が回答した。次いで"残留応力"が28%(73社)、"自動化困難"が26%
(69社)、"形状(寸法)精度低"が20%(53社)、等の順であったが、これら以外の選択肢にも相当数の回答があった。
集計結果を図18に示す。"自社解決"が非常に多くて62%(164社)の企業が回答した。次いで、"溶接棒メーカに相談"が23%(61社)、"溶接機メーカに相談"が18%(49社)、等の順であった。
"県立・市立工業(産業)技術センターに相談"は12社あったが、"国立研究所(独立行政法人)に相談"は1社しかなかった。今後、国立研究所(独立行政法人)も技術相談に対応できることを広く宣伝するとともに、敷居を低くし、"頼りになる"という実績を積み重ねることが大切である。
図20 未経験の仕事が来た場合に適切な溶接加工法・加工条件等を
調べられる無料ホームページの利用希望
集計結果を図19と図20に示す。45%(120社)の企業が"したい"、35%(92社)の企業が"内容による"、13%(35社)の企業が"必要ない"、5%(14社)の企業が"インターネットを未使用なので不明"と回答した。"したい"と"内容による"を合わせると80%であり、このようなホームページの利用希望は強い。
比較的多く記された材料(工作物)を図21に示す。"アルミ合金"が最も多くて12%(33社)であり、次いで"ステンレス鋼"が11%(28社)、"チタン合金"が6%(16社)、"異材(異種材料)溶接"が4%(10社)、等の順であった。 比較的多く記された加工法を図22に示す。"ティグ溶接"が最も多くて10%(26社)であり、次いで"ミグ溶接"が3%(8社)、"抵抗溶接"が2%(6社)、"ろう接"が2%(5社)、等の順であった。材料と加工法の組み合わせで最も多かったのは"アルミ合金のティグ溶接"であり、4%(10社)であった。図13に示されるように、アルミ合金よりも一般構造用圧延鋼材(SS)やステンレス鋼(SUS)が多く加工されているが、アルミ合金に関する要望が最も多かったのは、アルミ合金のアーク溶接法が"一般に鉄鋼のアーク溶接に比べると難しいと考えられている"4)ためであろう。回答いただいた多様な要望に応えるためには、多様な加工データベースの作成が必要であるが、なかでも"アルミ合金のティグ溶接"のための適切な加工法を究明して、ホームページ上で公開することが大きな課題である。
1.技術講演会・講習会・展示会の開催
2.異業種交流会等の交流事業の開催
3.外部公的機関からの郵送・ファックス・電子メール等による技術情報提供(特に入手したい情報があれば記してください。: )
4.貴社からの電話、ファックス、電子メール等による技術相談への対応
5.技術アドバイザーの訪問による指導・相談
6.技術・製品開発に関する外部公的機関との共同研究
7.試作・試験・分析への対応
8.融資・補助金等の資金助成制度の拡充
9.そもそも、どこに何を問い合わせたらよいかを教えて欲しい
10.その他( )
集計結果を図26に示す。"技術講演会・講習会・展示会の開催"が最も多くて、38%(102社)の企業が回答した。次いで、"貴社からの電話・FAX・電子メール等による技術相談への対応"が26%(68社)、"外部公的機関からの郵送・FAX・電子メール等による技術情報提供"が18%(47社)、"そもそも、どこに何を問い合わせたらよいかを教えて欲しい"が17%(46社)、"試作・試験・分析への対応"が16%(42社)、"技術アドバイザーの訪問による指導・相談"が15%(40社)、"融融資・補助金等の資金助成制度の拡充"が15%(39社)、等の順であった。
"技術講演会・講習会・展示会"は、従来よりさまざまなものが開催されているが、企業に役立ち、参加しやすい技術講演会・講習会・展示会の企画とその宣伝が、これまで以上に必要である。
"技術相談への対応"、"技術情報提供"としては、公的機関の相談窓口の宣伝、公的機関からの積極的な情報発信の大切さは言うまでもないが、産業技術総合研究所が運営する無料技術情報ホームページである「テクノナレッジネットワーク:"http://www.techno-qanda.net"」の宣伝と内容充実も必要であろう。
"そもそも、どこに何を問い合わせたらよいかを教えて欲しい"という回答もかなりあり、公的機関からの企業に対する積極的な宣伝が必要であろう。
"試作・試験・分析への対応"を希望する企業もかなりあり、個別案件の実施可能性についての試験研究機関との情報交換が必要であろう。
"技術アドバイザーの訪問による指導・相談"も課題である。公的機関の職員が加工現場を訪問することは、企業にとっても公的機関にとっても有意義であろう。
中国地域5県の材料溶接加工企業を対象に、加工概要、加工技術上の問題点、外部からの技術支援策等に関するアンケート調査を行い、265社から回答を得た。主な回答内容は以下の通りである。
参考文献
1) 経済産業省 産業技術総合研究所 中国工業技術研究所:「中国地域ものづくり技術調査」報告書(金属切削企業300社の声)、2001年2月刊。
2) 独立行政法人 産業技術総合研究所 産学官連携部門 中国産学官連携センター ものづくり基盤技術支援室:第2回「中国地域ものづくり技術調査」報告書(金属塑性加工企業144社の声)、2002年2月刊。
3) 独立行政法人 産業技術総合研究所 産学官連携部門 中国産学官連携センター ものづくり基盤技術支援室:第3回「中国地域ものづくり技術調査」報告書(材料研削・研磨加工企業224社の声)、2003年2月刊。
4) 溶接学会編:溶接・接合技術概論、2000年3月第3版刊、p170〜171、産報出版。