以下の文章で、%表示の数値のうち特に断りのないものは、回答企業224社を100%とした百分率である。
なお、図3以外の棒グラフにおいては、企業規模による傾向の違いも検討できるように、回答企業数を従業員数別に8段階に分類・色分けして表示した。
224社の回答企業のうち、広島県が56%(125社)、岡山県が20%(45社)、山口県が13%(30社)、島根県が6%(14社)、鳥取県が4%(10社)であった。県別分布のグラフを図1と図2に示す。
回答企業の従業員数別の内訳を図3と図4に示す。従業員数が1桁から3桁の企業まで、比較的満遍なく回答をいただいたが、従業員数が50〜99人、100〜299人の企業の比率が高かった。従業員数が1桁(9人以下)の企業の数は49社であり、全体の22%であった。
集計結果を図5に示す。江戸が0.4%(1社)、明治が1%(3社)、大正が5%(11社)、昭和元〜20年が8%(17社)、昭和21〜40年が38%(84社)、昭和41〜63年が33%(75社)、平成が12%(26社)であり、戦後の昭和時代に創業した企業が多い。なお、従業員が3人以下の企業は全て戦後創業である。
集計結果を図6に示す。"ある"又は"準備・工事中"と回答した企業が57%(127社)であり、"ない"と回答した企業の22%(49社)の約2.6倍であった。この比率を従業員数別にみると、従業員が9人以下の企業では"ない"と回答した企業が"ある"と回答した企業よりも多かったが、従業員が10人以上の企業においては、"ある"と回答した企業が"ない"と回答した企業よりも多く、一般に従業員が多い企業ほど"ある"の回答比率が高い。
集計結果を図7に示す。"ある"と回答した企業が69%(155社)であり、"ない"と回答した企業の12%(26社)の約6倍であった。従業員数の全ての段階において"ある"と回答した企業数が"ない"と回答した企業数よりも多かったが、ホームページの有無の場合と同様に、一般に従業員が多い企業ほど"ある"の比率が高い。
集計結果を図8に示す。"一般・精密機械"が最も多くて、50%(111社)の企業がこの分野の部品を製造している。次いで"鉄鋼・金属"が29%(65社)、"その他"が21%(46社)、"輸送用機械"が19%(43社)、"電気・電子"が13%(30社)、等の順であった。
集計結果を図9に示す。最も多くの企業が所有している機械は"平面研削盤"であり、64%(144社)の企業が所有している。次いで、"円筒研削盤"が37%(83社)、"工具研削盤"が30%(68社)、"ベルト研削(研磨)機"及び "ブラスト機"が25%(55社)、"内面研削盤"が22%(50社)、等の順であった。
集計結果を図10に示す。"平面研削"が最も多くて66%(147社)の企業が行っており、次いで、"工具研削"を29%(66社)の企業が、"円筒トラバース研削"を27%(60社)の企業が、"ブラスト加工"を24%(53社)の企業が、"内面研削"を23%(51社)の企業が行っている。この5種類の加工法以外にも、数の多少はあるが多様な研削・研磨加工が行われている。
集計結果を図11に示す。"炭素鋼"が最も多くて70%(156社)の企業が加工している。次いで、"工具鋼"を47%(105社)の企業が、"ステンレス鋼"を41%(99社)の企業が、 "鋳鉄"を25%(57社)の企業が、"超硬合金"を24%(54社)の企業が加工している。なお、"セラミック"は10%(22社)の企業が加工している。
集計結果を図12に示す。"アルミナ"が最も多くて69%(154社)の企業が使用している。次いで、"炭化けい素"を50%(111社)の企業が、"ダイヤモンド"を36%(81社)の企業が、"CBN"を30%(68社)の企業が使用している。
図13は、記入された材種のうちの代表的なものである。
機械構造用炭素鋼(S**C)が最も多く、23%の企業(51社)が回答した。そのうちで最も多くの回答があった材種はS45Cであり、16%(36社)が回答した。次いでステンレス鋼(SUS***)が多く、20%(45社)が回答した。そのうちで最も多くの回答があった材種はSUS304であり、12%(26社)が回答した。さらに、熱間・冷間工具鋼(SKD**)(38社)、クロムモリブデン鋼(SCM***)(33社)、一般構造用圧延鋼材(SS***)(28社)、炭素工具鋼(SK*)(23社)、高速度工具鋼(SKH**)(17社)等の順であった。
具体的な回答を多数いただいたが、自由記入であるために当然ながら用語が不統一であった。あえて分類分けして、比較的多く挙げられたものをまとめたものが、図14である。それによると、金型(具体的記入内容:金型、プレス金型、等)が20%(44社)の企業で最も多く加工されており、次いで軸(具体的記入内容:軸、回転軸、シャフト、等)が14%(32社)、刃物類が10%(22社)、治具・工具が5%(12社)、歯車が5%(11社)、等の順であった。
集計結果を図15に示す。最も多い寸法は"10〜100mm"及び"100〜500mm"であり、各々43%(96社)の企業がこの範囲の寸法の工作物を最も多く加工している。その他の3種類の寸法範囲の工作物を最も多く加工する企業は何れも約40社である。
集計結果を図16に示す。"10μm〜50μm"及び"1μm〜10μm"の範囲が最も多く、各々36%(81社)、36%(80社)である。なお、要求形状精度が"0.1μm未満"の高精度部品を最も多く加工している企業が3%(6社)あった。
金属切削加工企業を対象にした一昨年度の調査では、工作物に要求される形状精度は10〜50μmが最も多く、金属塑性加工企業を対象にした昨年度の調査では、工作物に要求される形状精度は100μm〜1mmが最も多かった。材料研削・研磨加工で要求される形状精度は切削加工の場合よりもさらに高い。
集計結果を図17に示す。最も多い加工面粗さ値は"1μm〜10μm"であり、41%(91社)の企業がこの範囲の寸法の工作物を最も多く加工している。なお、わずかではあるが(2社)、要求加工面粗さ値が"0.01μm未満"の高精度部品を最も多く加工している企業があった。
集計結果を図18に示す。"形状(寸法)精度低"を挙げた企業が20%(44社)で最も多く、次いで"加工能率低"が19%(43社)、"加工費用高"が18%(40社)、"加工面粗さ大"及び"自動化困難"が17%(37社)、等の順であった。さらに、"砥石損耗大"、"研削焼け"、"段取り時間長"を挙げた企業もかなりあり、問題点の分野は、加工品質、能率、費用、自動化、砥石、段取り等、多方面にわたっている。
集計結果を図19に示す。"作業者の判断による"時期決定が非常に多く、70%(156社)の企業で行われており、"所定加工数量での対応"を行っている企業は12%(26社)、"自動式判定による"時期決定を行っている企業は4%(9社)である。問7の回答で"自動化困難"が17%(37社)の企業からあったように、NC工作機械を中心とした加工の自動化・無人化への要望は相当あると思われるが、自動式判定を実用化している企業が少ない理由としては、実用できる自動判定法が開発されていないことが考えられる。実用できる自動判定法の開発が今後の課題であろう。
集計結果を図20に示す。回答の最も多かったのが"加工面粗さ"であり、41%(92社)の企業が基準としている。次いで、"工作物の形状(寸法)誤差"が29%(65社)、"加工面の焼け・損傷・変質"が27%(61社)、"砥石損耗観察(測定)"が17%(39社)、"加工音"が17%(38社)、等の順であった。
"機械主軸モータ電流"、"加工力(トルク)"、"超音波(AE)"は比較的高価な測定機器が必要な方法であり、このような工具交換基準は、砥粒加工現場ではあまり使用されていない。
集計結果を図21に示す。"まずまず"と回答した企業が52%(116社)、"十分にできる"と回答した企業が25%(57社)であり、各企業における現状の加工体制のもとでは、ツルーイング・ドレッシング時期の適切さについては大きな問題点にはなっていないと思われる。ただし、加工の自動化・無人化を図る場合には、問題点になる可能性があろう。当然のことかも知れないが、"全くできない"と回答した企業は1社もなかった。
集計結果を図22に示す。"砥石(砥粒)メーカに相談"が最も多くて45%(101社)であった。次いで、"自社解決"が39%(88社)、"加工機メーカに相談"が16%(36社)、等の順であった。
"県立・市立工業(産業)技術センターに相談"が6社、"大学・高専に相談"が4社あったのに対して"国立研究所(独立行政法人)に相談"は全くなかった。今後、国立研究所(独立行政法人)も技術相談に対応できることを広く宣伝するとともに、敷居を低くし、‘頼りになる’という実績を積み重ねることが大切である。
集計結果を図23と図24に示す。"インターネットを未使用なので不明"と回答した企業が4%(10社)あったが、35%(79社)の企業が"したい"、34%(76社)の企業が"内容による"、15%(34社)の企業が"必要ない"と回答した。"インターネットを未使用なので不明"と回答した企業及び"無記入"の企業を除いて比率を計算し直すと、42%の企業が"したい"、40%の企業が"内容による"と回答しており、このようなホームページの利用希望は強い。
自由記入形式であったために、多様な要望が79社からよせられた。
比較的多く記された材料(工作物)を図25に示す。"ステンレス鋼"が最も多くて8%(18社)であり、次いで"アルミ合金"が5%(12社)、"工具鋼"及び"セラミック"が各々4%(9社)、"超硬合金"が3%(6社)、等の順であった。
比較的多く記された加工法を図26に示す。"平面研削"が最も多くて6%(14社)であり、次いで"円筒研削"が4%(9社)、"内面研削"が1%(3社)、"溝研削"及び"ラッピング"が1%(2社)、等の順であった。
材料と加工法の組み合わせでは、"ステンレス鋼の平面研削"が最も多くて、2%(5社)であった。ステンレス鋼に関する要望が多かったのは、問6−1への回答数で"ステンレス鋼"が比較的多かったことに対応している。ステンレス鋼は、問6−1への回答数がさらに多かった"機械構造用炭素鋼"よりも、一般に加工が困難であることを反映したものであろう。
ここに挙げられた多様な具体的要望に応えるためには、多様な加工データベースの作成が必要であるが、なかでも"ステンレス鋼の砥粒加工"のための適切な加工法を究明して、ホームページ上で公開することが大きな課題である。
集計結果を図27に示す。"技術講演会・講習会・展示会の開催"が最も多くて、30%(67社)であった。次いで、
"貴社からの電話・FAX・電子メール等による技術相談への対応"が21%(46社)、"融資・補助金等の資金助成制度の拡充"が16%(36社)、"試作・試験・分析への対応"及び"そもそも、どこに何を問い合わせたらよいかを教えて欲しい"が14%(32社)、"外部公的機関からの郵送・FAX・電子メール等による技術情報提供"が13%(28社)、"技術アドバイザーの訪問による指導・相談"が12%(26社)、等の順であった。
"技術講演会・講習会・展示会"は、従来よりさまざまなものが開催されているが、企業に役立ち、参加しやすい技術講演会・講習会・展示会の企画とその宣伝が、これまで以上に必要である。
"技術相談への対応"としては、各外部公的機関の相談窓口を充実させること、相談窓口の存在を広く宣伝することの大切さは言うまでもないが、産業技術総合研究所が運営する無料技術情報ホームページである「テクノナレッジネットワーク:http://www.techno-qanda.net」の宣伝と内容充実も必要であろう。
"そもそも、どこに何を問い合わせたらよいかを教えて欲しい"という回答もかなりあり、外部公的機関からの企業に対する積極的な宣伝が必要であろう。
"試作・試験・分析への対応"を希望する企業もかなりあり、個別案件の実施可能性についての外部試験研究機関との情報交換が必要であろう。
"技術アドバイザーの訪問による指導・相談"も課題である。外部機関の職員が企業を訪問して現場で議論することは、企業にとっても外部機関にとっても有意義であろう。
中国地域5県の材料研削・研磨加工企業を対象に、加工概要、加工技術上の問題点、外部からの技術支援策等に関するアンケート調査を行い、224社から回答を得た。主な回答内容は以下の通りである。