Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism
総合交通体系と
地域モビリティ戦略について
国土交通省 総合政策局
総務課 政策企画官(総合交通体系担当)
清水 純
令和元年度 専門課程 総合交通体系
(地域モビリティ戦略)研修 1目次
1.総合交通体系について ・・・ 2
2.総合交通体系を取り巻く最近の話題 ・・・ 9
2.1 法制度関係 ・・・10
2.2 国土計画関係 ・・・16
3.地域交通の現状と課題 ・・・20
3.1 地域交通の現状 ・・・21
3.2 地域交通の課題 ・・・30
4.地域交通の活性化に向けた取り組み ・・・54
5.国土交通省の取り組み ・・・68
1.総合交通体系について2 総合交通体系とは
移動目的 移動手段 交通路 乗換場所 政策課題 主な施策
地域交通
(都市内交通)
通勤
通学
買物 等
徒歩
自転車
自動車
鉄道車両 等
道路
鉄道
バス停
鉄道駅
・安全・円滑・快適な日常生活
・低炭素社会の実現
・災害に強い地域づくり
→ 持続可能な交通体系の整備
・モビリティ確保のノウハウ等
の社会への還元
・地域交通を支える人材育成
幹線交通
(都市間交通)
業務
観光
帰省 等
自動車
鉄道車両
船舶
航空機 等
道路
鉄道
航路
航空路
バス停
鉄道駅
港湾
空港
・都市・地域の活性化
・国際競争力の確保
・災害に強い国土づくり
→ 効率的・効果的なネットワーク整備
・全国幹線旅客純流動調査
・大規模災害に備えたモビリ
ティ確保に関する調査
(注記) 「地域交通」と「幹線交通」に明確な定義はないが、対照的に用いられる
総合的な交通体系の構築 「地域交通」 と 「幹線交通」
「地域交通」 ・「幹線交通」 と施策との関係
・ 地域における日常的な交通である「地域交通」と都市間での長距
離移動である「幹線交通」は、性質・抱える課題が相違
・ 両者の特性に応じて、異なる施策を展開する必要
「幹線交通」
「地域交通」
しかく 交通政策基本法において、徒歩、自転車、自動車、鉄道車両、船舶、航空機その他の手段による交通が、そ
れぞれの特性に応じて適切に役割を分担し、かつ、有機的かつ効率的な交通網を形成する必要性が示唆
しかく 新たな国土形成計画においても、道路、鉄道、港湾、空港等がそれぞれの特性に応じて役割分担し、有機的
かつ効率的な交通ネットワークを形成する総合的な交通体系の整備の必要性が示唆
・国は、徒歩、自転車、自動車、鉄道車両、船舶、航空機その他の手
段による交通が、それぞれの特性に応じて適切に役割を分担し、か
つ、有機的かつ効率的な交通網を形成することが必要であることを
踏まえつつ、道路交通、鉄道交通、海上交通及び航空交通の間に
おける連携並びに公共交通機関相互間の連携の強化の促進その
他の総合的な交通体系の整備を図るために必要な施策を講ずるも
のとする。 (交通政策基本法 第24条)
・交通がその機能を十全に発揮するためには、道路、鉄道、港湾、空
港等がそれぞれの特性に応じて役割分担し、有機的かつ効率的な交
通ネットワークを形成する総合的な交通体系を整備する必要がある。
(新たな国土形成計画)3 総合交通体系の整備の歴史[鉄道]我が国初の鉄道計画作成[鉄道]鉄道開通(新橋〜横浜)[バス]乗合自動車の運行開始(京都:堀川中立売〜七条、堀川中立売〜祇園)[道路]我が国初の道路長期計画作成(第一次道路改良計画)[航空]旅客航空開始(東京〜大阪〜福岡)[船舶]フェリー運航開始(現在の北九州市)[総合交通体系]経済計画、国土計画に関連して交通体系の位置付けを明確化(経済企画庁)[道路]高速道路開通(名神高速道路栗東〜尼崎)[鉄道]新幹線開通(東海道新幹線東京〜新大阪)[交通基本問題調査会答申]我が国の陸上交通に関する総合的施策についての答申(総理府)[総合交通体系に関する答申]総合交通体系は交通市場における各交通機関間の競争と利用者の自由な選択を通じた形成を原則(運輸政策審議会)[総合交通体系について]右答申を受け、各省の方針を総括し、経済企画庁において検討、発表(臨時総合交通問題閣僚協議会決定)S46 S39 S38 S36 S9 S4 T9 M36 M5 M2[船舶]船舶法[道路]旧道路法[鉄道]軌道法[船舶]船舶安全法[バス]道路運送法、道路運送車両法[道路]新道路法[航空]航空法[道路]道路整備特別措置法[道路]高速自動車国道法[道路]道路整備緊急措置法[鉄道]全国新幹線鉄道整備法S45 S34 S31 S26 S8 T10 T8 M32総合交通体系を巡る主な出来事関連する主な法律
1970 1960 1940 1930 1920 1910 1900 1890 1880 1870 1860
S32 S274 調査対象
幹線交通機関(航空、鉄道、幹線旅客船、幹線バス、乗用車等)を利用して都道府県を
越える旅客流動(通勤・通学目的を除く)
データの作成方法
各幹線交通機関で実施しているアンケート調査及び輸送事業者から入手する輸送実績
データ等を基に母集団推計、統合処理(乗り継ぎ処理)を行うことにより、1日(平
日・休日)及び年間の「幹線旅客純流動データ」を作成
調査頻度
5年に1回 (1990(平成2)年度より実施)
公表物
都道府県間流動表
207生活圏間流動表 (注記) 207生活圏は都道府県より小さく、市区町村より大きいゾーン区分
トリップデータ (注記) 旅客の年齢や性別、旅行日程などを把握でき、利用希望者にデータを提供
分析できる内容
都道府県間流動量
旅行目的、旅客の属性(性別、年齢)
平日、休日別の分析
総合交通体系の整備に係る取組〜全国幹線旅客純流動調査〜5 当該データの作成方法
国内流動に関する、観光庁「訪日外国人消費動向調査」、航空局「国際航空旅客動態調
査」、国籍別出国者数に関する、法務省「出入国管理統計月報」を組み合わせて作成。
公表物
都道府県間流動表 (国籍別・交通機関別)
公表用データベース (国籍・交通機関・目的・出国空港・発着都道府県別流動量)
貸出用データベース (注記)周遊ルート、宿泊数等が分析可能(利用希望者に貸与)
分析できる内容
都道府県間流動量、都道府県別入込者数
移動の際の利用交通機関
周遊ルート、泊数
訪日外国人属性
国籍
目的
来訪回数
旅行手配方法(団体/個人)
出国空港
総合交通体系の整備に係る取組〜FF-Data(訪日外国人流動データ)〜6 総合交通体系の整備に係る取組〜全国総合交通分析システム(NITAS)〜
・陸・海・空の主要な交通機関を組合せた交通サービス水準(移動時間・費用)が把握可能な
ツール。
・面的な分析や図化、国勢調査等の各種統計データと重ね合わせた分析が可能。
システムの概要 システムの機能と活用事例
・施設整備効果の把握
・都市間の交通サービス水準の比較
・ 陸・海・空の主要な交通機関を組合せた分析
・ パソコンにインストールして利用するソフト
・ 全国を対象、面的な分析や図化の機能あり
活用の事例
NITASの機能 ・ 複数地点間の経路探索
・ 経路探索結果に基づく圏域図の作成
・ 統計データとの組合せによる分析 等
<三次救急施設へのアクセス時間圏域図>
交通モード:道路モード
探索条件:所要時間最小
ナ イ タ ス7 総合交通体系の整備に係る取組〜地域のモビリティ確保の知恵袋2018〜81.人の滞留・流動状況の分析
・人の滞留・流動状況の分析手段の提示
・ビッグデータの活用による分析(→図1)
2.交通拠点の設定と機能の検討
・交通拠点の設定(→図2)
・交通拠点の機能の検討
3.拠点を核とした現状の交通ネットワークの
評価と再編への活用
・ネットワークの需給バランスの評価
・ネットワーク再編への評価結果の活用(→図3)
しろまる人々の需要に合致した公共交通ネットワークの実現には、人々の総合的な滞留と流動の実態把握が重要であり、近年はビッグ
データの活用により、全国の多くの地域で実態把握が可能になっている。そこで、ビッグデータを活用した人の滞留・流動状
況の把握手法や、交通拠点、交通ネットワークの検討手法等を、「地域のモビリティ確保の知恵袋2018」としてとりまとめ。
しろまる具体的には、ビッグデータを活用した人の滞留と流動の分析結果から、人々が滞留する場所の既存施設等を交通拠点として選
定する手法や、需給状況の分析を交通拠点を核とした交通ネットワークの編成に活用する手法等について解説。
策定のねらい
構成
【従来の交通ネットワーク】 【目指す交通ネットワーク】
図1 ビックデータによる人の流動状況
の分析例
図2 人の滞留・流動状況に基づいた交通
拠点の設定
ビックデータの活用による人の滞留・流
動状況の分析手法を解説
人の滞留・流動状況と公共交通のサー
ビス水準を比較(需給バランスの評
価)して、ネットワーク再編に活用
図3 ネットワークの需給バランスの
評価と結果の活用
2.総合交通体系を取り巻く最近の話題92.1 法制度関係
2.2 国土計画関係
2.1 法制度関係10 地域交通に係る法制度の近年の動向11・乗合・貸切バス、タクシー事業の需給調整が廃止になり、交通事業への参入や撤退が容易化
・市町村・NPO法人等による有償運送制度の導入や互助による輸送のルールの明確化により、地
域交通の担い手を拡大
・地域公共交通活性化再生法の制定等により、地方公共団体を中心とした地域の関係者による
地域交通の総合的な取り組みを制度化
2.1 法制度関係
交通事業の新規参入や撤退の
容易化
地方公共団体を中心とした地域の関係者による地
域交通に係る総合的取組の制度化
内部補助による赤字路線の維持の限界
や弊害などの問題が顕在化
少子高齢化の進展、マイカーの普及等により、長期的に公共
交通の利用者は減少傾向にあり、地域公共交通の維持が困難
H12.2:道路運送法の改正
・貸切バス事業の需給調整が廃止H14.2:道路運送法の改正
・乗合バス事業及びタクシー事
業の需給調整が廃止
H19.10:地域公共交通活性化再生法の制定
・地域公共交通の活性化のために、地方公共団体が
地域公共交通総合連携計画を作成
H26.11:地域公共交通活性化再生法の改正
・まちづくりとの連携をより明確にし、地方公共団
体が地域公共交通網形成計画を作成
・再編事業を実施するにあたり、地方公共団体が地
域公共交通再編実施計画を作成
H25.12:交通政策基本法の制定
・まちづくり等との一体性
・関係者の責務・役割を明確化
需給調整撤廃の結果、乗合バスの廃止が
進み、交通空白地域が発生
公共交通の運行主体の拡大
H18.10:道路運送法の改正
・市町村やNPO等による自家用
自動車による有償運送を可能
とする制度を創設
H27.4:道路運送法の改正
・法人格がない主体においても
有償運送が可能
・地域住民以外の人でも利
用が可能
互助による輸送のルールの明確化
H30.3:許可・登録を要しない
輸送に係る通達
・自発的な謝礼の取扱いやガソ
リン代の算出方法の明確化
<地域交通に関する法制度の動向>
交通事業の新規参入や撤退の容易化
・道路運送法の改正(H12.2及びH14.2)により、貸切バス事業、乗合バス事業及びタクシー事
業の需給調整規制が廃止
・需給調整規制の廃止(=規制緩和)による交通事業の新規参入や撤退が容易化12・安定的な輸送サービスを確保するため、需給調整規制を実施
・過疎化、マイカーの普及など社会情勢が変化する中で、需給調整規制が、利用者ニーズに対応したサー
ビス供給の障害となることや、内部補助による赤字路線維持の限界・弊害などの問題が顕著化
<背景>
<道路運送法の改正(H12.2及びH14.2)>
改正前 改正後
乗合バス 参入 路線毎の免許制 事業者毎の許可制⇒需給調整廃止
事業計画 運行系統・回数・時刻の認可制 運行計画(運行系統・回数・時刻)の届出制 (注記)クリームスキミング規制あり
退出 許可制 事前届出制 (注記)6ヶ月前まで
運賃 認可制 事前届出制 (注記)上限あり
貸切バス 参入 事業区域毎の免許制 事業者毎の許可制⇒需給調整廃止
事業計画 増・減車の認可制 増・減車の事前届出制
退出 許可制 事後届出制 (注記)30日以内
運賃 認可制 事前届出制 (注記)上限あり
タクシー 参入 事業区域毎の免許制 事業者毎の許可制⇒需給調整廃止 (注記)緊急調整措置の発動あり
事業計画 増・減車の認可制 増・減車の事前届出制 (注記)特定地域では、増車の認可制
退出 許可制 事後届出制 (注記)30日以内
運賃 認可制 (注記)適正な原価に適正な利潤を加えたものを超えないも
の 認可制 (注記)適正な原価に適正な利潤を加えたもの
・新規参入・撤退の規制緩和により、交通事業者の自由競争を促し、事業の活性化・効率化を図る
福祉有償運送:
移動制約者の会員 (注記)
を 輸送
公共交通空白地有償運 送:
過疎地等の会員 (注記)
を 輸送
協議機関: 地域公共交通会議
協議機関: 運営協議会
(注記)有償での運送が認めら れるのは、 運送事業者
が対応できない場合で、 協議会により 関係者
の合意があっ たと き に限ら れる。
緑( 青)
ナンバー
白ナンバー
自動車による 輸送
事業用
( 旅客)
自家用
無償 許可・ 登録が不要
登録対象
有償(注記)
旅客自動車
運送事業
有償
NPO等が運送
市町村自ら が運送:
市町村運営有償運送
一般乗
乗合
合旅客自動車運送事業
乗合旅客を運送、 乗車定員の限定なし
乗合バス
一般貸
貸切
切旅客自動車運送事業
一個の契約による貸切、
11人以上の車両
貸切バス
一般乗
乗用
用旅客自動車運送事業
一個の契約による貸切、
10人以下の車両
タ ク シー
特定旅客自動車運送事 業
特定の者の契約により 一定の範囲を運送
スク ールバス、 従業員送迎バスなど
市町村福祉輸送:
移動制約者の会員 (注記)
を 輸送
交通空白輸送:
地域の住民等 (注記)
を 輸送
市町村によ る
無料バス
[ 運送契約 による 運用]
市町村借 り 上げによる
無料バス・ タ ク シー
路線定期運行
路線バス
区域運行
デマン ド バス
路線不定期運行
不定期バス
運送の対象:
特定( 特定の者 に限る )
運送の対象:
一般( 誰でも 運送)
(注記)市町村長が認めた場合は来訪者・
滞在者や会員以外も 利用可能
住民等に よ る
無償運送
公共交通の運行主体の拡大
・需給調整撤廃の結果、乗合バスの廃止が進み、交通空白地域が発生
・市町村やNPO等による自家用自動車による有償運送を可能とする制度を創設(H18.10)
・法人格がない主体においても有償運送が可能になり、地域住民以外でも利用可能(H27.4)
・許可・登録を要しない輸送(互助による輸送)のルールの明確化(H30.3)13・需給調整規制の廃止により、全国で乗合バスの廃止・撤退が進み、交通空白地域が発生
・少子・高齢化の進展や観光などを通じた地域振興ニーズの高まり
・一般旅客自動車運送事業者による運行
が困難であり、地域の関係者が合意し
ている場合において、市町村やNPO等
が大臣の登録を受けた場合に限り、自
家用自動車による有償運送が制度化
・地域住民、地方公共団体、バス事業者、
警察等の関係者からなる「地域公共交
通会議」を設置し、地域のニーズに即
した運行形態やサービス水準、運賃等
について協議することが可能
・法人格がない主体でも有償運送が可能
・観光などを通じた地域振興ニーズの高
まりに対応できるようにするため、地
域住民以外の人でも利用が可能
<背景>
<道路運送法の改正(H18.10)>
<道路運送法の改正(H27.4)>
しろまる道路運送法の事業区分
平成18年改正
により創設
平成27年改正により変更
・自発的な謝礼の取扱いやガソリン代の
算出方法等のルールの明確化
<許可・登録を要しない輸送に係る通達(H30.3)>
平成30年通達により
ルールの明確化
地域の関係者による地域交通に係る総合的取組の制度化1
・地域公共交通の活性化及び再生を推進するために、市町村が「地域公共交通総合連携計画」
を作成(地域公共交通活性化再生法の制定:H19.10)
・交通政策基本法の制定(H25.12)等を踏まえ、 「地域公共交通総合連携計画」に代わり、ま
ちづくりとの連携をより明確にし、地方公共団体が「地域公共交通網形成計画」、「地域公
共交通再編実施計画」を作成(地域公共交通活性化再生法の改正:H26.11)14・少子・高齢化の進展、マイカーの普及等により、長期的に公共交通の利用者は減少傾向にあり、地域公共
交通の維持が困難
・地域における主体的な取組や創意工
夫を総合的、一体的かつ効率的に推
進するため、市町村は、地域の関係
者(交通事業者、道路管理者、利用
者等)による協議会等を経て、 「地
域公共交通総合連携計画」を作成
<背景>
<地域公共交通活性化再生法(H19.10制定)>
地域公共交通総合連携計画
・公共交通活性化に関する事業の基本計画
・地方公共団体が協議会を開催し策定
<記載事項>
1基本的な方針 2区域 3目標
4目標を達成するために行う事業・実施主体
5計画期間 6その他必要と認める事項
地域公共交通網形成計画
・まちづくり等との連携に配慮した、
地域公共交通ネットワーク全体の基本計画
・地方公共団体が協議会を開催し策定
<記載事項>
1基本的な方針 2区域 3目標
4目標を達成するために行う事業・実施主体
5計画の達成状況の評価に関する事項
6計画期間 7その他必要と認める事項
地域公共交通再編実施計画
・形成計画に定められた事業の実施計画
・地方公共団体が事業者等の同意の下
に策定
<記載事項>
1事業区域 2事業の内容・実施主体
3実施予定期間
4事業実施に必要な資金の額・調達方法
5事業の効果 等改正前改正後事業の具体化
問題点への対応
問題点
・まちづくりの連携不足
・ネットワーク全体を見ていない
・達成状況の評価が十分でない
・実効性が担保されていない 等
しろまる地域公共交通活性化再生法に定められた計画
<地域公共交通活性化再生法(H26.11改正)>
・交通政策基本法の制定や「地域公共
交通総合連携計画」の問題点等を踏
まえ、 まちづくりとの連携等に配慮
し、地方公共団体が「地域公共交通
網形成計画」及び計画に位置付けら
れた事業の実施計画である 「地域公
共交通再編実施計画」を作成
しろまる交通政策基本法の概要
地域の関係者による地域交通に係る総合的取組の制度化2
・交通政策の推進に当たっての基本理念等を定めた「交通政策基本法」が公布・施行(H25.12)
・地方公共団体、交通事業者など関係者の責務等が明確化
・地方公共団体は、まちづくり等の観点を踏まえた交通施策を総合的・計画的に推進15・少子高齢化の進展、自家用自動車の普及等により、長期的に公共交通の利用者は減少傾向にあり、
地域公共交通の維持が困難
・国民の自立した生活の確保や活発な
地域間交流の実現等を交通の果たす
役割として位置づけ
・行政と交通事業者のパートナーシッ
プや地域住民の積極的な関わりを求
める
[関係者の責務等]
地方公共団体:交通施策の策定・実施
の責務を負う
交通事業者:交通施策への協力に努める
国民:主体的な取組や交通施策への協
力に努める
・地方公共団体は、まちづくり等の観
点を踏まえ、交通施策を総合的・計画
的に推進
資料:国土交通省
<背景>
<交通政策基本法の制定(H25.12)>
2.2 国土計画関係16 新たな国土計画の策定動向17・本格的な人口減少社会の到来、少子・高齢化、国際化、巨大災害の切迫等を背景に、新たな
国土計画「国土のグランドデザイン2050(H26.7)」、「第二次国土形成計画(H27.8)」が策定
・目指すべき国土の姿として「対流促進型国土」、国土づくりの基本的な考え方として「コン
パクト+ネットワーク」を提示
資料:人口―実績値:「国勢調査」「人口推計」、推計値:国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(中位推計)」
GDP:国民経済計算、高速道路延長:道路統計年報、自然災害により死者・行方不明者数:防災白書
2.2 国土計画関係
対流促進型国土の形成
・対流促進型国土とは、全国各地で様々なレベルの人・モノ・情報の対流が湧き起こり、イノ
ベーションを生み出す国土
・対流を促進するために、地域間・地域内の人の移動を支えることが求められるとともに、対
流による地域への来訪者の増加は、地域交通体系の新たな需要として期待18<対流促進型国土とは>
資料:国土のグランドデザイン2050パンフレット
<対流を生み出すために必要な要素>
1地域の多様性
・地域資源を活かし、魅力・強みを作る
2地域間の連携
・互いの魅力・強みを活かし、補完的・相乗的な関
係の構築
3地域を結ぶネットワーク
・人・モノ・情報を運ぶ交通・通信ネットワーク
4たまり場の機能
・人・モノ・情報が集まり・融合する場
5柔軟な社会構造
・多様な働き方を可能とする労働環境 等
<地域交通との関わり>
・対流を促進するために、地域間・地域内の人の移
動を支えることが求められるとともに、対流によ
る地域への来訪者の増加は、地域交通の新たな需
要として期待
・対流とは、地域間相互の人・モノ・情報の行き来
になぞらえたもの
・対流には、観光や産業といった特定テーマにおけ
る対流や、身近な地域の中で起こる小さな対流、
国土全体に関わる大きな対流などが考えられる。
・対流促進型国土とは、人・モノが対流する実物空
間、情報が対流する知識・情報空間を高度に発
展・融合させ、全国各地で様々なレベルの対流が
湧き起こり、イノベーションを生み出す国土
コンパクト+ネットワークの地域構造
・生活サービスを効率的に提供するための拠点機能の「コンパクト化」と都市機能維持に必要
な圏域人口を確保するための地域間の「ネットワーク化」による地域構造を提示
・まちづくりと地域交通体系を一体的に再編し、公共交通が骨格となる地域構造の実現により、
地域交通の持続性の確保が期待19<コンパクト+ネットワークとは>
資料:国土形成計画(全国計画)パンフレット
<小さな拠点>
<地域交通との関わり>
・まちづくりと地域交通体系を一体的に再編し、公
共交通が骨格となる地域構造の実現により、地域
交通体系の持続性の確保が期待
・地域内の一定の区域に医療・福祉施設、商業施設
等がまとまって立地させる拠点的な区域を設定し
て、施設の集約化を図るとともに、居住地と拠点
的な区域とを公共交通を中心とした交通ネット
ワークで結び、地域住民が施設にアクセスできる
地域構造
・「コンパクト+ネットワーク」による地域構造は、
地域レベルのものから、小さなものでは集落レベ
ル、大きなものでは地域間レベルのものまで、階
層的な構造
資料:国土交通白書2015
・複数の集落が集まる地域において、小学校等の既
存施設を活かしつつ、商店や診療所等の日常生活
に不可欠な施設等を徒歩圏に集約
・集落が散在している場合にはコミュニティバスや
デマンド交通等によって周辺集落とネットワーク
で結ぶことで、効率的に生活サービスを提供
3.地域交通の現状と課題203.1 地域交通の現状
3.2 地域交通の課題
3.1 地域交通の現状21 人口減少22・我が国の総人口はH20年頃をピークに減少
・地方圏から大都市圏への人口流入が続いており、地方圏では、H12年頃をピークに人口は減少
<大都市圏・地方圏別の総人口の推移>
<総人口の推移>
3.1 地域交通の現状-6-4-20246802,000
4,000
6,000
8,000
10,000
12,000
14,000
S40 45 50 55 60 H2 7 12 17 22 27 32 37 42 47 52人口増減率(対5年前)総人口(千人)
総人口 人口増減率(対5年前)
推計値
資料:実績値-国勢調査
推計値-日本の将来推計人口(平成29年推計、中位推計 )
資料:実績値-国勢調査
推計値-日本の地域別将来推計人口(平成30年3月推計)-10001002003004005006007008009001,00001,000
2,000
3,000
4,000
5,000
6,000
7,000
S40 45 50 55 60 H2 7 12 17 22 27 32 37 42 47 52 57地方圏から大都市圏への転入超過数(千人)総人口(千人)地方圏から大都市圏への転入超過数 地方圏 大都市圏
推計値
(注記)大都市圏:東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県
愛知県、岐阜県
大阪府、兵庫県、京都府、奈良県
地方圏:大都市圏を除いた道県 010203040506070800
20,000
40,000
60,000
80,000
100,000
120,000
140,000
S40 45 50 55 60 H2 7 12 17 22 27 32 37 42 47 52(%)(千人)
0〜14歳 15〜64歳 65歳以上
年少率 生産年齢人口率 高齢化率
推計値
少子高齢化
・老年人口は一貫して増加傾向にあるが、年少人口はS55年をピークに減少、生産年齢人口は
H7年をピークに減少
・高齢化率はH27年時点では2割半ば、将来的に高齢化率は4割程度になると予測
・高齢者の単身・夫婦のみ世帯は増加傾向にあり、H27年では全世帯の2割強23<高齢世帯の推移>
<年齢階層別人口の推移>
資料:国勢調査
資料:実績値-国勢調査
推計値-日本の将来推計人口(平成29年推計、中位推計 )
881 1,181 1,623 2,202
3,032
3,865
4,791
5,626
1,026
1,415
1,967
2,763
3,661
4,487
5,251
6,2405.36.88.811.314.317.019.422.9051015202502,000
4,000
6,000
8,000
10,000
12,000
14,000
S55 60 H2 7 12 17 22 27(%)(千世帯)
単身世帯数 夫婦世帯数 高齢世帯の割合
マイカーの普及
・全国的に乗用車の保有台数は増加傾向
・世帯当たり乗用車保有台数について、地方圏では年々増加傾向にあり、H12年に1.0を超過
・一方、大都市圏ではH17年をピークに世帯当たり乗用車保有台数は減少24資料:(一社)自動車検査登録情報協会
<世帯当たり乗用車保有台数の推移>
<乗用車保有台数の推移>
2,524
3,528
6,05201,000
2,000
3,000
4,000
5,000
6,000
7,000
S45 50 55 60 H2 7 12 17 22 27
大都市圏 地方圏
(万台)
1.15 1.130.940.881.371.430.00.20.40.60.81.01.21.41.6S45 50 55 60 H2 7 12 17 22 27
全国 大都市圏 地方圏
(台/世帯)
資料:乗用車保有台数―(一社)自動車検査登録情報協会
世帯数―国勢調査
交通需要の減少
・年間輸送人員について、大都市圏では、平成7年以降横ばい傾向
・一方、地方圏では、平成12年をピークに年間輸送人員は減少傾向25<地方圏の機関別年間輸送人員>
<大都市圏の機関別年間輸送人員>
資料:地域交通年報、大都市交通年報190221
269 276
291 285 280050100150200250300350
S50 60 H2 7 12 17 20年間輸送人員(億人/年)
JR 民鉄 バス ハイヤー・タクシー 自家用車乗用車269315377394
382 389 389050100150200250300350400450
S50 60 H2 7 12 17 20年間輸送人員(億人/年)
JR 民鉄 バス ハイヤー・タクシー 自家用車乗用車
(注記)大都市圏:東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県
愛知県、岐阜県
大阪府、兵庫県、京都府、奈良県
地方圏:大都市圏を除いた道県 0.00.51.01.52.02.53.03.55〜910〜1920〜2930〜3940〜4950〜59
60〜6970〜7980〜
(歳)(トリップ/人・日)
S62 H04
H11 H17
H22 H270.00.51.01.52.02.53.03.55〜910〜1920〜2930〜3940〜4950〜59
60〜6970〜7980〜
(歳)(トリップ/人・日)
S62 H04
H11 H17
H22 H272.512.742.632.16 2.18 2.170.00.51.01.52.02.53.03.5
三大都市圏 地方都市圏 全国計(トリップ/人・日)
S62 H4 H11 H17 H22 H27
生成原単位(1人1日あたりの平均トリップ数)の減少
・全国的に1人あたりトリップ数も減少傾向
・トリップ数の少ない高齢者の増加や20代〜40代のトリップ数の減少が要因26<年齢階層別トリップ数の経年変化>
<1人あたりトリップ数の経年変化>
(注記)三大都市圏:東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、
愛知県、岐阜県、三重県、
大阪府、兵庫県、京都府、奈良県
地方都市圏:大都市圏を除いた道県
資料:平成 27 年度 全国都市交通特性調査結果
男性
平日
女性
平日
通勤・通学者の減少
・通勤需要(就業者数)は、H7年をピークに減少
・通学需要(通学者数)は、一貫して減少27<就業者数・通学者数の経年変化>
(注記)大都市圏:東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、
愛知県、岐阜県、三重県、
大阪府、兵庫県、京都府、奈良県
地方圏:大都市圏を除いた道県
資料:国勢調査
大都市圏 地方圏
3,120 3,235 3,170 3,073 2,936 2,901
443 424 383339310 294
3,563 3,659 3,554
3,411
3,245 3,19501,000
2,000
3,000
4,000
H02 H07 H12 H17 H22 H27就業者数・通学者数(万人)就業者数 通学者数
3,048 3,179 3,128 3,078 3,026 2,991
519 465 408 354 345 325
3,567 3,644 3,535 3,432 3,370 3,31601,000
2,000
3,000
4,000
H02 H07 H12 H17 H22 H27就業者数・通学者数(万人)就業者数 通学者数
鉄道2.52.93.33.63.94.3
バス4.54.63.83.03.13.1
自動車40.548.151.256.558.458.8
二輪車26.121.720.518.616.816.1
徒歩・
その他26.522.721.118.317.717.6
0% 20% 40% 60% 80% 100%
凡例S62H04H11H17H22H27
鉄道22.425.623.823.226.028.5
バス3.33.22.82.52.72.3
自動車26.429.133.633.933.131.5
二輪車19.817.018.218.516.916.3
徒歩・
その他28.225.121.621.921.421.3
0% 20% 40% 60% 80% 100%
凡例S62H04H11H17H22H27
公共交通の機関分担率の低下
・地方都市圏における代表交通手段は、自動車が一貫して増加傾向
・三大都市圏における代表交通手段は、鉄道が増加し、自動車は減少に転換
・三大都市圏、地方都市圏ともにバスの分担率は減少傾向28<代表交通手段分担率の経年変化>
(注記)三大都市圏:東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、
愛知県、岐阜県、三重県、
大阪府、兵庫県、京都府、奈良県
地方都市圏:大都市圏を除いた道県
三大都市圏(平日) 地方都市圏(平日)
資料:平成 27 年度 全国都市交通特性調査結果
観光客等の交通手段の特徴
・観光客等の交通手段の特徴として、自家用車の利用割合が高く、次いで鉄道の割合が高
いことや、高速バス・路線バスの利用割合は1割強と低いことが判明
・旅行目的別では、出張・業務は公共交通の割合が高く、特に鉄道・新幹線が高い状況29<旅行・観光における交通手段>
資料:2016年旅行・観光消費動向調査0204060飛行機新幹線鉄道(新幹線を除く)自家用車レンタカー貸切バス高速バス・路線バスタクシー・ハイヤーオートバイ・自転車船舶その他利用割合(%)
全体 観光・レクリエーション 帰省・知人訪問等 出張・業務
3.2 地域交通の課題30(1)利用者視点からの課題
(2)地域交通の関係者の行動面における課題
(3)課題による帰結とまとめ
サービス内容〜利用者の評価〜31・公共交通のサービスについて、地方圏では運行本数に対する不満が多く、次いで運賃や
ネットワーク不足に対する不満が多いことが判明37.842.154.444.7
19.3 20.17.236.928.231.420.726.714.922.520.515.921.318.423.930.6 31.314.15.119.817.4 17.47.721.517.119.314.89.20102030405060駅や停留所までの距離や立地鉄道・バス等の通る路線鉄道・バス等の本数鉄道・バス等の運賃列車・車両等の混雑の度合い目的地までの速さ・時間の正確性安全性始発や最終時刻の設定駅や停留所等でのサービス(売店やATMなど)乗換え・乗継ぎの容易さICカードなどの支払いや切符購入の利便性バリアフリー化(段差がないことなど)特色ある車両や車窓からの風景などの楽しみ遅延やキャンセル等の際の情報提供や対応などの適切さ案内板や電光掲示板などによる乗換えや運行、出口案内等に関する情報の表示・提供携帯電話やインターネットなどからの乗換えや運行等に関する情報の表示・提供回答割合(%)地方圏 大都市圏
資料:国土交通省白書
(注記)国土交通省がH20. 11〜12にかけて、実施した意識調査
<公共交通に関する不満な点>
運賃
運行本数に
関わるもの
ネットワークに
関わるもの
3.2 地域交通の課題 (1)利用者視点からの課題
サービス内容〜運行頻度〜32<土曜日・日祝日に運行しない系統の割合>
<平日の運行頻度別割合>
<平均運行頻度>
・地方圏における乗合バスの運行頻度は、大都市圏と比較して、半分以下と少なく、
土曜日・日祝日は運行しない系統も多数
・地方圏における乗合バスの運行頻度は、1〜4本/日の系統が半数を占め、約8割は、
15本/日(概ね1時間に1本)未満
1-4本27.447.939.35-9本17.524.921.810-14本11.19.310.115-30本18.211.114.131-60本17.45.410.561本-8.41.34.30 20 40 60 80 100
凡例
大都市圏
地方圏
全国
割合(%)
資料:国土数値情報 バスルート(概ね平成22年7月のデータ)21.89.314.617.97.111.716.86.610.90510152025大都市圏 地方圏 全国運行頻度(本/日)平日 土曜日 日祝日13.624.520.017.732.226.1010203040大都市圏 地方圏 全国割合(%)土曜日運行なし 日祝日運行なし
集計条件等
・系統キロ50km未満のものを対象(距離はGIS上で計測)
・運行本数が不明のものは除く
・都市圏をまたぐものはそれぞれに集計
(注記)大都市圏:東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県
愛知県、岐阜県、三重県
大阪府、兵庫県、京都府、奈良県
地方圏:大都市圏を除いた道県
サービス内容〜運行系統・ネットワーク〜33(注記)可住地面積:総面積から林野面積と主要湖沼面積を差し引いたもの
区市町村の平均可住地面積:69.3km2
<区市町村の平均可住地面積当たりの系統キロ>
<区市町村の平均可住地面積当たりの運行系統>
・地方圏における乗合バスの可住地面積当たりの運行系統は、大都市圏の3割以下と少なく、
可住地面積当たりの系統キロも、大都市の半分以下程度
資料:系統数・系統キロ‐国土数値情報 バスルート(概ね平成22年7月のデータ)
可住地面積‐社会生活統計指標-都道府県の指標-
集計条件等
・系統キロ50km未満のものを対象(距離はGIS上で計測)
・都市圏をまたぐものはそれぞれに集計32.49.914.0010203040
大都市圏 地方圏 全国面積当り系統数(系統/69.3km2)
324.2
160.0
188.90100200300400大都市圏 地方圏 全国面積当り系統キロ(km/69.3km2)
(注記)大都市圏:東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県
愛知県、岐阜県、三重県
大阪府、兵庫県、京都府、奈良県
地方圏:大都市圏を除いた道県
サービス内容〜運賃〜34<路線バスと鉄道の運賃比較>
・乗合バスの運賃は、物価の変動を上回る上昇を見せており、路線バスの運賃は、鉄道運賃
よりも割高という状況
資料:路線バス-日本のバス事業、日本バス協会
鉄道-JR東日本旅客営業規則0500
1,000
1,500
2,000
2,500
0 10 20 30 40 50運賃(円)距離(km)
路線バス
鉄道
路線バス―H21〜H27に運賃を改定した25社の初乗料金、
基準賃率の平均値により算出
鉄 道-JR東日本 地方交通線0100200300400500600S45 50 55 60 H2 7 12 17 22S45を100とした指数
バス運賃
消費者物価指数
<乗合バスの運賃の推移>
資料:バス運賃-数字でみる自動車
消費者物価指数-総務省
を基に作成
(注記)バス運賃:対キロ区間制を採用している保有車両数30
両以上の事業者のバス運賃計算賃率(キロ当たりバス運
賃)の平均賃率
サービス内容〜情報提供・案内〜35<事業者別のバス停の設置例>
・公共交通を利用しない理由に、サービスの分かりづらさや認知度の低さの声が多数
・事業者別・モード別など、バラバラに情報提供が行われており、利用者目線の情報提供が
なされていない事例が散見56.638.932.60 20 40 60 80
短い距離を動く場合
に割高感がある
道路が混雑してバス
では時間がかかる
バスで移動したくて
もどれに乗ればいい
のかわからない(%)資料:公共交通の利用状況等に関するア
ンケート調査、千葉県印西市
・本当に不便な場合も多い
・しかし、それほど不便でもないのに、単にしられ
ていないだけ、ということもある
(加藤 博和、このまちに必要な「おでかけの足」をこのま
ちに住む皆さん自らがつくりだすために、2016)
資料:「歩くまち・京都」総合交通戦略策定審議会資料
知っている
22.7%
ほとんど
知らない
37.7%
全く
知らない
39.7%
⇒ 事業者別のバス停が林立
必然的に提供情報もバラバラ
⇒ どこを運行しているのか分からない
<通勤・通学にバスを
利用しない理由>
<分かりにくい路線図の例>
<バス運行に関する認知度>
(バスを利用しない人)
資料:公共交通機関利用実態に関する市
民一万人アンケート、宮城県仙台市
サービス内容〜バス停の設置〜36・事業者や系統別にバス停が設置され、バス停が分散するなど、乗車場所が分かりづらい
事例が散見
<バス停が分散して配置される事例2>
<バス停が分散して配置される事例1>
サービス内容〜路線1〜37・中心市街地や特定路線にバス路線が集中し、資源配分として、非効率な状況が出現
<バス路線の重複の例2>
<バス路線の重複の例1>
サービス内容〜路線2〜38・路線バスが、コミュニティバス、スクールバス・患者輸送バス等と競合するといった非効率
なサービスが展開されている事例も散見
あり
42.4%
なし
50.7%
未回答6.9%路線バス撤退予定2.2%路線バス
縮小予定
25.4%
コミバス
撤退予定3.4%コミバス
縮小予定4.3%現状維持
15.0%
検討中・未定5.6%コミバス増設0.2%無回答
43.9%
資料:バスネットワークの実態分析調査報告書、
社団法人日本バス協会、平成23年
<コミュニティバスと路線バスの競合の有無> <路線バスとコミュニティバスの競合の例>
<競合路線の今後の対応>
サービス内容〜利用者数に左右されないサービス〜39・多くの利用者が見込める区間も、そうでない区間も同じ便数で運行されており、非効率な運
行となる事例が散見
資料:地域公共交通の再生を一歩進めるための論点-地方部のバス・タクシーを念頭にして-、
吉田樹、第37回総合的交通基盤整備連絡会議資料
総収入>総費用
事業性確保可能領域
総収入<総費用
事業性確保困難領域
<不採算路線の停留所別の収入と区間別累積収入・費用>
自治体の関心140<地域交通への自治体の関わりに対する学識経験者等の意見>
・地域交通に対する自治体の関わりについて、学識経験者からは、事業者任せ・場当たり的で
あることや、自治体間で担当者の姿勢に温度差が生じていることなどが指摘
地域に必要な公共交通を確保するためには、従来のように
国や事業者任せではなく、自治体が体制を整えた上で、地
域の関係者が公共交通の必要性について合意し、具体的な
確保・維持・改善策を協働して行っていくしくみの整備が
不可欠(以下略)
(加藤 博和・福本 雅之、日本に地域公共交通計画は根づいたか?
-地域公共交通活性化・再生総合事業の成果と課題を踏まえて、
2013)
路線バスをはじめとした地域公共交通の衰退が叫ばれて久
しい。しかし、わが国の地域公共交通施策は、長年にわた
り「交通事業者任せ」で進められてきたことから、本来取
り組むべき「まちづくりの道具」として、地域公共交通が
位置づけられることはほとんどなかった。
(吉田樹、首都大学東京都市環境学部自然・文化ツーリズムコース
2011 年度アニュアルレポート、2012)
わが国では 「事業者任せ」で不採算路線の確保 が可能で
あった時代が長く続いたことから、地域公共交通のマネジ
メントが対症療法の域を出ないケースも散見される。
(吉田樹、地域公共交通を「まちづくり」に活かす戦略-市町村に
求められる地域公共交通のマネジメント-、2012)
にじゅうまるこれまでの事業者と自治体の関係
自治体 = 補助金の申請主体にすぎない
事業者 = 運行主体、計画主体、経営主体
・・・ 事業者に実際はお任せ、でも問題
なかった
(大井尚司、地域公共交通問題の考え方と各当事
者の役割について各当事者の役割について、
2012)
(地域交通に)積極的に関わる自治体と
そうでないところの両方が存在し、自治
体間の格差が大きくなり始めている。
積極的な施策を展開する自治体とそうで
ないところを比べると、担当者のやる気
と行動力の違いがそのまま交通施策の違
いに直結しているような傾向があるよう
に思える。(板谷和也、日本の都市・地域公共
交通に関わる各組織の役割と今後の方向性、
2012)
3.2 地域交通の課題 (2)地域交通の関係者の行動面における課題
・自治体内における地域交通対策の重要度は必ずしも高くないことが判明
・自治体が運営するコミュニティバスは、交通空白地域の解消、高齢者福祉などを目的に実施
されているものが多く、中心市街地活性化・観光といったまちづくりにおける位置づけは希薄
自治体の関心24165.253.147.937.837.430.229.428.621.521.220.317.116.513.30 20 40 60 80
産業振興
地域活性化
住民との協働
高齢者福祉・介護
雇用維持・創出
児童福祉
まちづくり
定住促進
過疎対策
災害対策・防災
交通システム・公共交通対策
環境対策・循環型社会・新エネ対策
健康増進
中心市街地対策(%)25.521.817.016.710.64.53.9
0 10 20 30
交通空白地の解消
高齢者福祉
民間路線バスの
廃止代替
通学手段の確保
通勤手段の確保
観光
中心市街地活性化(%)<市町村運営バスの運行目的>
資料:地域公共交通実態調査、H26.3、国土交通省中部運輸局
(注記)中部運輸局管内177市町村に対象としたアンケート調査
<重点を置く政策課題>
資料:地方自治体の運営課題実態調査、 H23.5、一般社団法人 日
本経営協会
(注記)政令市を除く、市区町村を対象としたアンケ―ト調査
自治体の関心342専任+兼任担当者数
専任担当者数
・公共交通の取り組みを進める上で、自治体の人材不足や内部における連携・理解不足が課題57.539.116.114.613.3139.41.58.10 20 40 60 80
専門部署がない、人材が
不足している
国の財政支援(補助金、
地方交付税)が十分ではない
役所内部での連携・理解が
不足している
地域公共交通の確保・維持に
向けた情報不足,相談相手の不在
市民住民、利用者の
理解・協力が得られない
どのように取り組んでよいか
わからない
交通事業者(バス、タクシー、
鉄道等)の協力が得られない
地域公共交通会議等の会議が
円滑に運営できない
その他
回答割合(%)
資料:公共交通事業における官民連携のあり方検討に係る
基礎調査・検討業務報告書、H26.3、国土交通省
(注記)全国の自治体を対象に平成25年10月〜11月にかけて実施
資料:公共交通事業における官民連携のあり方検討に係る
基礎調査・検討業務報告書、H26.3、国土交通省0人76.81人11.72人5.23人2.14人1.2
5人以上3.10人1.21人35.22人35.53人14.64人6.85人以上6.7<公共交通の取り組みを進める上での課題> <市町村の公共交通担当者数>
地域住民の意識143・地方圏では、公共交通が不便であると感じている人が多いものの、自動車への依存度が高い
ことから、公共交通の重要度は低いことが判明
資料:農山漁村に関する世論調査(平成26年6月)
重要度が高い81.967.8
重要度が低い・
自分には関係ない12.725.8
わからない5.46.4
0% 20% 40% 60% 80% 100%
凡例
三大都市圏
地方圏
満足15.75.4
どちらかと
いえば満足38.917.8
どちらとも
いえない18.422.0
どちらかと
いえば不満14.624.1
不満11.128.5
わからない1.22.3
0% 20% 40% 60% 80% 100%
凡例
三大都市圏
地方圏
(注記)国土交通省がH20. 11〜12にかけて、実施した意識調査
<農山漁村地域での生活で困っていること>
Q あなたが農山漁村地域で生活していく上で困っているこ
とは何ですか。この中からいくつでもあげてください。(複
数回答、N=700)32.731.730.927.716.914.914.612.65.40.126.01.3
0 10 20 30 40
仕事がない
地域内での移動のための交通手段が不便
買い物,娯楽などの生活施設が少ない
医療機関(施設)が少ない
子どもの教育施設が少ない
介護施設,福祉施設が少ない
鳥獣被害が多い
保育所等,就学前の子育て環境が不十分
水道や道路,電気等の整備が不十分
その他
特に問題はないと思う
わからない
回答率(%)
問 公共交通(鉄道、バス等)の利便性について、あなたは
どの程度満足していますか。また、あなたの暮らしや生活に
とって、どの程度重要だと思いますか。
資料:国土交通省白書
<公共交通の利便性に対する満足度・重要度>
地域住民の意識244・自治体側からみた公共交通に関する課題として、住民の当事者意識が低いことや、住民から
の協力・理解が得られないことの回答が多数
・当事者意識の低さは、公共交通サービスの利用低迷やサービス改善が進まない一因に発展
意識 しかく住民の公共交通に対する期待・要望は大きいが、
利用には結びつかない。自家用車への依存度が高
い地域であり、公共交通利用に関する住民の意識
の高揚が難しい。
しかく本市は広域の市域を有しており、自家用車保有率
が高いため、住民は公共交通に対する利用意識が
欠けている。事業者に増便等の要望をする一方で、
自らが公共交通を利用するという意識がない。利
用することが地域の交通を守ることにつながる旨
様々な機会を利用して啓発しているものの、現在
自家用車を所有して運転ができる人に危機感を抱
かせるのは容易ではない。
要望 しかく数々の要望を受けるが、自己中心的な意見が多く、
高齢化が進んでいるのでバスが通れば便利になる
といった程度のものでしかない。地方では自家用
車での移動が一般化しており、啓発の難しさを感
じる。
その他 しかく住民へのアンケートや聞き取りを行うと、実際に
利用しない方々が路線バスについて必要であると
回答される。その意見をどこまで反映するか、考
慮するかが難しい。(将来必要になるかも知れな
いというような心配をしているのか?など)
<公共交通に対する問題・課題> <住民・利用者の理解・協力を得る上での課題>
資料:「都市における公共交通のあり方」に関する調査研究報告書、
H28.2、都市行政問題研究会
(注記)人口25万人以上の市が加盟する都市行政問題研究会が平成26 年
11月〜12 月に加盟83 市を対象に実施したアンケートの結果
資料:公共交通事業における官民連携のあり方検討に係る
基礎調査・検討業務報告書、H26.3、国土交通省)56.653.021.720.519.314.512.07.215.70 20 40 60
住民の当事者意識が低い
公共交通の専門的知識を
有する人材の不足
交通事業者の
協力、理解が得られない
公共交通に関する政策・施策を
検討するための情報の不足
利用者・住民からの
協力、理解が得られない
市役所内部における
連携や協力、理解が得られない
公共交通を専門的に
取り扱う部署・組織がない
商業施設、企業、事業所、病院、
学校等の協力、理解が得られない
その他
回答割合(%)
収入(億円)
支出(億円)
損益(億円)
経常収支率(%)
事業者数 割合 事業者数 割合 事業者数 割合
黒字 51 64% 24 15% 75 31%
赤字 29 36% 141 85% 170 69%
合計 80 100% 165 100% 245 100%
7,322
2,768
4,555
しろまる収支状況
しろまる黒字・赤字事業者数
合計
その他地域
大都市部
合計
その他地域
大都市部
95.6%
86.0%
102.5%-340-4491097,662
3,217
4,44602004006008001,000
1,20002004006008001,000
1,200
1,400
S40 45 50 55 60 2 7 12 17 22 27輸送人員(千万人)営業収入(十億円)
営業収入 輸送人員
交通事業者の経営状況145<乗合バス事業の営業収入と輸送人員>
・輸送人員の減少等に伴い、乗合バス事業の営業収入は減少傾向
・全国の乗合バス事業者の約7割が赤字で、地方部(その他地域)では約8割半ばの事業者が
赤字
資料:乗合バス事業の収支状況について、国土交通省
<乗合バス事業の収支(H29年度)>
(注記) 大都市部:千葉、武相(東京三多摩地区、埼玉県及び神奈川県)、京浜(東京特別
区、三鷹市、武蔵野市、調布市、狛江市、横浜市及び川崎市)、東海(愛知県、三
重県及び岐阜県)、京阪神(大阪府、京都府(京都市を含む大阪府に隣接する地
域)及び兵庫県(神戸市及び明石市を含む大阪府に隣接する地域))
調査対象事業者
公営事業者を含む。高速バスを除く。保有車両数30両以上の244者
資料:日本のバス事業2018年版、日本バス協会 704456232771.457.00.010.020.030.040.050.060.070.080.0020406080100120
H12 14 16 18 20 22 24 26 28人件費の占める割合(%)支出額(億円)人件費 熱料油脂費 その他諸経費 人件費の占める割合020406080100120140160S40 43 46 49 52 55 58 61 H1 4 7 10 13 16 19 22 25 28従業員数(千人)
運転者 運転者以外の従業員
交通事業者の経営状況246<乗合バス事業の従業者数の推移>
・乗合バス事業の従業者数において、運転者の減少は緩やかである一方、運転者以外は
大きく減少しており、管理部門を中心に人員を削減したと推察
・人件費の削減により、乗合バス事業の支出を削減している状況
資料:乗合バス事業の収支状況について、国土交通省
<乗合バス事業の支出の推移>
資料:日本のバス事業2018年版、日本バス協会
対象車両数
(台)
アイドリングストップ
装置付バスの割合(%)ハイブリッドバス・
CNGバスの割合(%)大都市圏 23,945 95.9 4.1
地方圏 12,928 95.4 4.6
全国 36,873 95.7 4.3
うちノンステップ
大都市圏 28,971 97.4 70.5
地方圏 31,353 74.0 40.3
全国 60,324 86.4 56.4
基準適合車両数の割合(%)
対象車両数
(台)
交通事業者の経営状況347・バス車両の車齢は上昇傾向にあり、地方部では、バリアフリーに対応した車両の導入に
遅れが発生
資料:都道府県別移動円滑化基準適合車両導入状況
<環境にやさしいバスの導入状況(H29.3末)>
平均車齢
・平成10年度: 7.5年
・平成24年度:10.6年
資料:環境に関する税制について
公益社団法人日本バス協会、平成26年10月
資料:日本のバス事業2017年版、日本バス協会
6年未満
13.7%
6年以上
11年未満
15.7%
11年以上
16年未満
23.9%
16年以上
20年未満
33.3%
20年以上
13.4%
(注記)過去7年間に運賃改定を実施
した27事業者5,683両の集計
7割強が
11年を
超える
<乗合バス車両の車齢> <バリアフリーへの対応状況(H30.3末)>
交通事業者の経営状況448<赤字路線維持の仕組み>
・経営維持のため、乗合バスの赤字を、黒字系統や、兼営事業の利益による内部補助、行政の
補助により補てん
・近年、黒字路線の黒字額の減少や、高速バス・貸切バス事業の競争激化等により、内部補助
による赤字路線の維持がますます厳しい状況
赤字系統の
赤字
(約28,000系統)
行政の
補助
黒字系統の
黒字
(約10,000系統)
兼営事業の
利益
補てん不足額(欠損)
乗合バス
高速バス
貸切バス
旅行業等国都道府県
市町村
減便・路線廃止や
経営破たんの原因
内部補助
内部補助
さんかく2,400億円
さんかく2,700億円
+300億円増加
1,200億円
1,100億円
-100億円減少
新規参入の
増加による
競争激化
減少?
500億円
600億円
+100億円増加
上段:H16度
下段:H20度
資料:地域公共交通確保・維持・改善に向けた取組マニュアル
(H24、国土交通省)を基に作成
交通事業者の経営状況549<交通事業の経費とサービス量の関係(イメージ)> <交通事業の経営効率(イメージ)>
・1〜4で見た状況に対して、人やバスの経営資源を削減することによりこれまで対応
・経営資源の削減は、更なるサービス低下を引き起こし、経営もますます悪化
・本来は、乗客を増加させ、乗客1人当たりの費用を下げる工夫が必要
変動費
(燃料費・運転手人件費)
固定費
(車両・不動産・管理部門人件費)
サービス量経費
サービス量に
ほぼ比例
サービス量に関わらず
一定額が掛かる
サービス量(乗客数)乗客一人当たりの経費
従来の対応
サービス量削減
(≒乗客数減)
⇒経営効率悪化
目指すべき対応
サービス量増加
(≒乗客数増)
⇒経営効率改善 051015202502004006008001,000
1,200
S40 43 46 49 52 55 58 61 H1 4 7 10 13 16 19 22 25 28乗車密度(人/便)輸送人員(千万人)
利用者の減少〜バス交通の輸送人員の減少(全国)〜50<乗合バス事業の輸送人員・乗車密度の推移>
資料:日本のバス事業(2018年版、日本バス協会)を基に作成
・乗合バスの輸送人員は、S43年をピークに減少しており、現在はピーク時の4割程度
・乗車密度は、輸送人員と同様に低下傾向
3.2 地域交通の課題 (3)課題による帰結とまとめ 10083 827664
59 58705950393330
76 716352
46 4420406080100120
S50 60 H2 7 12 17 22
三大都市圏
地方圏
全国
(S50=100とした値)
利用者の減少〜バス交通の輸送人員の減少(全国)〜51<乗合バスの輸送人員の推移>
資料:地域交通年報(運輸政策研究機構)
・S50年度からH22年度における輸送人員の変動について、三大都市圏では42%減に対し、
地方圏では70%減と減少幅に大きな開き
(注記)大都市圏:東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、
愛知県、岐阜県、三重県、
大阪府、兵庫県、京都府、奈良県
地方圏:大都市圏を除いた道県 707444419421414414379331298275255250243257262253263259272268266265263253238248245238241255267263270264276961071091171231371641621621671811921871661781771800100200300400500600700800S44 59 61 63 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 24 26 28系統数年度
民間バス
市町村生活交通
2,999
1,832
1,9111,856
1,720
842 902
1,143
1,590
1,3128831,090
2,999
4,831
6,742
8,598
10,318
11,160
12,062
13,205
14,795
16,107
16,990
18,08002,000
4,000
6,000
8,000
10,000
12,000
14,000
16,000
18,000
20,0000500
1,000
1,500
2,000
2,500
3,000
3,500
H18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29累計廃止路線延長年度別廃止路線延長年度別 累計
(km) (km)
サービス水準の低下〜路線廃止〜52・路線バスは、近年1,000〜2,000km程度が廃止され、H18年〜H29年までに約1万8千kmが廃止
・栃木県内の民間バスの系統数は、ピーク時から43年間で6割強減少、市町村が運行するバス
もH24年まで増加傾向にあったが、近年は横ばい
<乗合バスの廃止延長> <乗合バス等の系統数の推移(栃木県)>
資料:とちぎの公共交通(平成30年度版)
(注記)H19以前は民間路線バスは県バス協会加盟分のみ集計
(注記)市町村生活交通は、道路運送法4条、79条許可のもの、
H12以前は非集計
(注記)民間バスはH24から足利中央観光バスを含む
(注記)H21からは実証運行を含む
資料:令和元年度版交通政策白書を基に作成
利用者減少とサービス水準低下の悪循環53・人口減少等による需要の減少、モータリゼーションの進展、さらに地域交通の関係者の
場当たり的な対応等により、利用者減少とサービス水準低下の悪循環が発生
<利用者減少とサービス水準低下の悪循環のイメージ>
4.地域交通の活性化に向けた取り組み54 地域公共交通の種類55モード 概要
運行
形態
主体
メリット デメリット
運営 運行
路線バス 交通事業者自らが、計
画し、運行するバス
定時
定路線
交通
事業者
交通
事業者
・需要密度が高い地域で
は、効率的な運行が可能・バス停に行けば、定め
られた時刻に乗車可能
・一定の需要がないと事
業性が低下
・利用者が少ないと、廃
止や公的負担を要する
場合あり
コミュニティバス 公共交通空白地域等に
おいて、市町村等が主
体的に運行するバス
定時
定路線
市町村
交通
事業者
・市町村が経路・ダイヤ
等を設定可能
・バス停に行けば、定め
られた時刻に乗車可能
・利用者がいなくても運
行経費が掛る
・公的負担が大きくなる
場合が多い
デマンドバス 定時定路線型のサービ
スが成立しない地域等
において、利用者の予
約に応じて、運行する
バス
定路
線・区
域運行等市町村
交通
事業者
・区域運行により、需要
を面的にカバー可能
・利用者がない場合は、
運行経費が掛らない
・予約受付・配車等にコ
ストが掛かる場合あり
・予約の手間や所要時間
が伸びる場合があり
公共交通空白地有
償運送
交通事業者等による
サービスが成立しない
地域等において、NPO
等が非営利の範囲で、
自家用車を使用して行
う移動サービス
区域
運行等
NPO等 NPO等
・自治体の財政負担軽減
・地域のニーズに対応し
た柔軟な運行が可能と
なる
・運行の安全性・持続性
の確保が課題
・運行管理等を行う組織
が必要
互助による輸送 交通事業者等による
サービスが成立しない
地域等において、住民
等が実費の範囲で、自
家用車を使用して行う
移動サービス
区域
運行等
NPO等 NPO等
・費用・人手を掛けずに
導入が可能
・地域のニーズに対応し
た柔軟な運行が可能と
なる
・運行の安全性・持続性
の確保が課題
・ボランティア精神に依存(注記)それぞれの運行形態等について、明確な定義がある訳ではない。ここでは、一般的なものについて記載している。
取り組みの方向性561)現サービス水準における利用促進のための取り組み
2)サービス水準向上のための取り組み
4)新たな利用者創出のための取り組み
・経路・ダイヤ等のサービス水準はそのままに、情報提供・運賃体系、待合環境の改
善などにより、地域公共交通の利用促進を図る
・地域公共交通のネットワークの最適化を図り、サービス水準の向上により、地域公
共交通の利用促進を図る
・地域住民に加え、観光客等来訪者の利用を取り込むことにより、地域交通ネット
ワークの維持・拡大を図る
事例9 広域連携路線バス(茨城県行方市・潮来市・鹿嶋市)
事例10 きみぴょん号(千葉県君津市)
事例11 福島バス物語(福島県)
事例4 新バスシステム(新潟県新潟市)
事例5 市内幹線軸等間隔運行・共同運行化プロジェクト(青森県八戸市)
事例6 当別ふれあいバス(北海道当別町)
事例1 複数事業者が連携した情報提供(青森県八戸市)
事例2 神鍋高原線200円上限バス(兵庫県豊岡市)
事例3 まちなかターミナル(岩手県北上市)
3)地域力を活かした取り組み
・地域住民の助け合いを発展させ、地域の生活の足の確保を図る
事例7 天塩-稚内 相乗り交通事業(北海道天塩町)
事例8 山下地区ささえあいバス(神奈川県横浜市)
事例1複数事業者が連携した情報提供(青森県八戸市)57・市内を3事業者が運行しており、情報提供等はバラバラに実施
・「バスマップはちのへ」発行プロジェクト、路線ナンバリング設定プロジェクト、来街者
対策バス情報案内プロジェクト等により、路線バスの分かりやすさを改善
< 「バスマップはちのへ」発行プロジェクト>
<路線ナンバリング設定プロジェクト>
<来街者対策バス情報案内プロジェクト>
・八戸市内で路線バスを運行している市営バス、
南部バス、十和田観光電鉄の路線図を一本化 ・中心街を「屋根のないバスターミナル」として位置付け、
バス事業者3者が合同で、中心街のバス停5ヵ所
の名称を「八戸中心街ターミナルしろまる番のりば」に統一
改修した標柱の一例
(1番のりば「三日町」)
・中心街を基点とした方面別のアルファベット記号
と行先番号からなる「路線ナンバリング」を設定
し、バス車両の行先表示にも表示
< 八戸市内で路線バスを運行する交通事業者>
市営バス
八戸市内全域を
運行
南部バス
八戸圏域定住自立圏
8市町村を運行
十鉄バス
八戸市と十和田市を
結ぶ路線を運行
神鍋
西気小学校 150
稲葉 150 180
水口 150 150 160
山田 150 150 150 180
栗栖野 150 180 200 150 160
名色 150 190 240 250 180 200
太田神鍋 150 180 230 280 290 220 240
栃本 150 180 240 290 330 350 290 310
頃垣口 150 210 240 290 340 390 410 340 370
十戸 150 180 250 280 340 390 440 450 390 420
郷野 150 180 240 310 340 390 440 480 500 440 470
辺坂 150 180 240 290 360 390 450 500 540 550 500 520
久斗 150 190 240 290 350 420 450 500 540 580 590 540 560
日高病院 150 200 250 300 350 410 480 510 550 590 630 640 590 610
江原駅 150 180 240 290 350 400 450 520 540 580 620 660 680 620 650
事例2神鍋高原線200円上限バス(兵庫県豊岡市)58・利用者が減少するバス路線の料金の上限を200円に設定
・上限料金設定に合わせて、ダイヤ増便や車内設備の充実などの利用促進策を実施
・バス利用者は、H22年からH25年で、約1.8倍の11.2万人に増加
<神鍋高原線の概要>
・JR山陰本線江原駅
と神鍋高原を結ぶ路
線バス
・H11〜21で輸送人員
は半減(152,315人
→71,719人)
全但バスの運賃体系
・対距離区間制運賃を基本
・初乗り1.8kmまで150円、
以降200mごとに10円を加算
200円以上となる区間(上限200円を適用)
<神鍋高原線の利用実績>
・運賃の上限を200円に設定
・始発・最終の増便
・住民・行政・交通事業者の
役割・責任に明確化と分担
(地元利用促進組織の設立
と協定書の締結)
・車両に充電コンセント設置、
wifiサービス提供
・利用促進キャンペーン
神鍋高原線
<神鍋高原線200円上限バス>
事例3まちなかターミナル(岩手県北上市)59・従来、中心街〜北上駅間は多くのバスが運行されているものの、中心街のバス停が分散し、
系統により停車するバス停が異なるため、各バス停の運行本数が少ない状況
・バス停集約化や待合環境改善により、中心街の交通拠点「まちなかターミナル」を整備
・全路線を北上駅・まちなかターミナルを通過するよう設定し、両拠点を中心とした分かり
やすいバスネットワークを形成
<まちなかターミナル(さくら野百貨店)>
< 北上市中心部のバスネットワーク>
バス待合スペース 情報ディスプレイ
バス停
バス停の集約
改良前
改良後
交通結節点(BRT乗換拠点)
資料:新潟市
連結バス車両(BRT車両)
資料:新潟市
事例4新バスシステム(新潟県新潟市)60・BRTの運行により、現在まちなかで過剰気味に走行しているバスを集約
・集約により生じた余力を郊外路線に増便展開し、バス路線網を再編
<新バスシステムの考え方>
メリット デメリット
しろまる郊外線の増便(終バスの時刻が遅くなる)
しろまる乗り換え拠点を各地に設け、多方面へ行きや
すくなる(乗り換え拠点では様々な交通手
段と連携)
しろまる×ばつ路線によっては乗り
換えが生じる
⇒乗換拠点の整備や運
行情報の提供等に
より、乗換え抵抗
を緩和
事例5市内幹線軸等間隔運行・共同運行化プロジェクト(青森県八戸市)61・ 八戸駅⇔中心街(三日町)間を運行する、2事業者22系統の運行計画を、八戸市の調整の
下一体的に設定し、「生産性向上」「分かりやすさ・便利さ」の両立を目指す共同運行化
を実現
<新バスシステムの考え方>
(運行ダイヤ) *八戸駅発平日時刻
(従前) 9:03* 9:17 9:28* 9:31* 9:40 9:43*
9:46* 9:59
⇒ 2社が 112.5往復/日を運行
(現在) 9:00 9:10* 9:20 9:30* 9:40 9:50*
10:00
⇒ 2社が 90.5往復/日を10分間隔で
運行 (08年4月〜)
⇒ 2社の 定期券共通化+のりば共通化
【効果】 両事業者ともに「乗客増」「黒字化」達
成(2008年度)
(乗車人員) 135万4千人
→ 144万1千人 乗客 6.4%増
(収 支) 1,567万円の「赤字」
→ 2,556万円の「黒字」
事例6当別ふれあいバス(北海道当別町)62・行政・大学・医療機関等がそれぞれ運行するバスをコミュニティバスに一元化
・既存のサービスを維持するとともに、新たに市街地循環線を導入
<新バスシステムの考え方>
・当別町、大学、医療機関、ディベロッパーが運行するバ
スを従来の利用者に加えて、一般の住民等も利用できる
コミュニティバスに一元化
(注記)従来無料で利用していた大学生・患者には無料チケットを配布
しろまる一元化の効果
・福祉バス利用者は有料となったものの、運行日が週2回
から毎日に拡大
・大学は所有していたバスを売却するなど固定費の削減
事例7天塩-稚内 相乗り交通事業(北海道天塩町)63・町民のボランティア・ドライバーのマイカーを利用した相乗り
・70km離れた稚内市(生活圏中心都市)に行く運転者と同乗希望者をマッチング
・「安全運転・AED講習会」を開催し安全性の向上を図るとともに、ドライバーの負担軽減
策として、相乗り保険に加入
<運転手・同乗者の確保の取組>
<相乗りの仕組み>
<利用方法>
・電話又はマッチングプラットフォームを利用
して、利用を申込み
相乗りしたい
移動予定を選択 相乗りを
申し込む
天 塩 町
ウェブサイト
notteco
ウェブサイト
しろまる交流会の開催
・知らない人のクルマ
に乗ることへの不安
解消のため、ドライ
バーとの交流会を実施しろまる相乗り保険への加入
しろまる安全運転・AED講習
会の開催
・天塩〜稚内の交通事
故の傾向の解説やA
ED、心肺蘇生の実
技講習を実施
事例8山下地区ささえあいバス(神奈川県横浜市)64・丘陵部の住宅地における住民組織が運営・運行を行う地域内循環バスの取組
・地域内の商業施設、医療施設や公共施設を循環する定時定路線型の交通サービス
・導入に当たり、市が様々な支援を実施(横浜市地域交通サポート事業)
<運行体制>
<運行概要>
・週4日/一日5便
・交流センター便(地区内
周回)とお買物便(近隣
商業施設へのルート)
・月額100円(実費)
<運行経路>
参考)横浜市地域交通サポート事業
・生活に密着した地域交通の導入に向け、地域主体
の取組がスムーズに進むよう、活動に対して様々
な支援を実施
・2019年10月現在、14地区で本格運行、2地区で
実証運行
(横浜市による支援の内容)
-活動の各段階での相談対応
-関係機関との調整
-活動に要する費用の助成
-実証運行の赤字補填
-本格運行時の車両費相当の補助 等
事例9広域連携路線バス(茨城県行方市・潮来市・鹿嶋市)65・茨城県内鹿行地域3市の鉄道駅・観光資源・生活サービス施設等を結ぶ路線バス
・鹿行5市が連携して観光促進を進める「鹿行広域DMOプロジェクト」の一環として実施
・既存バス路線の運行エリア外を運行することから、観光客等沿線施設の利用者に加え、沿
線住民も利用
<運行ルート>
<概要>
しかく料金
・初乗り200 円で、最大800円
(未就学児は無料。小学生および障害者は50%引き)
しかく運行時間
・午前6時45分発から午後5時35分発まで
・1日に往復16本を運行
しかく運行主体
・行方市地域公共交通協議会が主体となり、行方、潮来、
鹿嶋の3市が連携して運行
しかく主なバス停
交通拠点 観光資源 生活サービス機能
潮来市
・JR潮来駅
・水郷潮来バス
ターミナル
・JR延方駅
・道の駅いたこ
・白鳥の里
・かんぽの宿潮
来下
・潮来ショッピ
ングセンター
アイモア
行方市
- ・なめがたファー
マーズヴィレッジ中央・レイクエコー
(生涯学習セ
ンター)
鹿嶋市
・大洗鹿島線鹿
島大野駅
- ・大野出張所前
・松倉中央クリ
ニック前
資料:行方市ウェブサイト
事例10きみぴょん号(千葉県君津市)66・君津市の小櫃・上総地区のフィーダー路線として、デマンドタクシーを導入
・利用者の希望時間帯や乗降場所に応じて運行(フルデマンド方式)
・観光利用も想定し、観光客向けのポスター・パンフレットを作成し、駅や観光施設に設置
・一部地区では、遠距離通学の児童・生徒及び通勤者のための指定区間の運行を実施
<運行エリア(観光客向けのパンフレット)>
<概要>
運行区域 小櫃・上総(久留里・松丘・亀山)地区
運行台数
平日:3台
土・日・祝日
及び年末年始:2台
運行時間帯 午前8時(出発地発)〜午後6時(目的地着)
利用できる方 一人で乗降できる方 (注記)介助者が同乗される場合は可
予約受付
午前8時〜午後6時 (オペレータ対応)
(注記)乗車の1週間前から 30 分前まで
(注記)午前9時までの乗車の予約は、前日まで
<利用状況> (単位:人)
一般利用(運賃)
スクール
利用
合計
1日当り
利用者数
利用登録者
利用登録
がない方
(観光客等)
300円 400円 500円
H25 5,653 1,087 272 1,953 8,965 49.8
H26 10,851 2,298 451 2,668 16,268 44.6
H27 12,319 2,457 644 2,647 18,067 49.4
資料:君津市資料
事例11福島バス物語(福島県)67・福島県内の観光資源の利用券等と路線バスの乗車券をパッケージ化した旅行商品
・短時間コース、1日コースなど県内各地を巡る59コースが設定(H28.9現在)
・福島県内の路線バス会社4社より構成される「福島県観光二次交通連絡協議会」により運
営され、県全域をカバー
<コースの例>
しかく特徴
・路線バス乗車券と各施設利用券が一緒になった企画乗車券
・添乗員・ガイドは同行せず、各自で移動
・申込みは出発日の前日17時まで可能
・短時間・1日など空き時間にあわせたコース選択が可能
しかく利用の流れ
1インターネット又は電話で予約
2コース指定の発券窓口で企画
乗車券を受取
3出発
しかく運営
福島県観光二次交通連絡協議会
(福島交通 、新常磐交通 、会津乗合
自動車 、磐梯東都バスにより構成)
<概要>
No.59 絶景露天風呂を堪能 「芦ノ牧温泉 大川荘」日帰り
入浴パック(大人2,410 円、 小人1,140 円)
・入浴券、お土産コーナーの割引券、往復バス代のセット
<申し込み画面>
資料:福島バス物語ウェブサイト
資料:五峰荘ウェブサイト
観光施設の
ウェブサイ
トでもPR
5.国土交通省の取り組み68 経路検索の充実とバスロケデータの利活用
〜標準的なバス情報フォーマットの拡充〜69国土交通省では、有識者や関係事業者等で構成する検討会において、経路検索に必要な時刻表や運
行経路等の静的情報と、遅延情報や運行情報等の動的情報に関するバス情報フォーマットの標準化に
関する検討や、データ利活用方策に関する検討を進めており、検討成果を以下の掲載資料に反映。
しろまるデータ整備の意義と効果
(掲載資料)
・「標準的なバス情報フォーマット」ダイジェスト
・はじめよう!「標準的なバス情報フォーマット」
・データ整備・活用事例
しろまるデータの整備方法と提供方法
(掲載資料)
・「標準的なバス情報フォーマット」データ整備の手引き
・経路検索事業者等へのデータ提供の手引き
しろまる技術資料(仕様書、ガイドライン)
(掲載資料)
・動的バス情報フォーマット(GTFSリアルタイム)
ガイドライン(初版)
・静的バス情報フォーマット(GTFS-JP)仕様書(第2版)
・バス情報配信方法ガイドライン

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