131令和3年7月20日
前回に引き続き、国内の交通需要の変化や自治体・事業者の対応、海外の対応事例などを紹介します。
新型コロナウイルス感染症の流行により人々の意識や生活様式交通行動は大きく変化しており、ウィズコロナ/アフター
コロナにおいては、社会・経済及び交通需要の変化を地域交通体系の見直しの契機と捉えることも重要と考えられます。3.5-6.8-1.8-0.10.0-0.2-0.10.64.30.55.8-12.3-2.5-0.10.0-0.1-0.11.67.10.62.0-3.3-1.30.00.0-0.1-0.10.02.50.2
-15 -10 -5 0 5 10
マイカー
電車
バス
レンタカー
カーシェア
タクシー
バイク
自転車
徒歩
その他の
移動手段
感染拡大前後の利用割合の変化(pt)
全国 4月7日時点緊急事態宣言対象7都府県 7都府県以外
増加
減少
しかく新型コロナウイルス感染症の拡大による人々の意識
の変化により、交通手段の選択意向が変化しました。
・交通機関別感染リスクの意識(下図)
✓公共交通機関の利用は関連リスクが高い
✓マイカーでの移動は感染の恐れがないので安全だ
・感染症拡大前後の各交通手段利用割合(右図)
✓電車・バスの利用割合の減少
✓マイカー、自転車、徒歩の増加85515860
0 20 40 60 80 100
公共交通機関の利用は
感染リスクが高い
レンタカーの利用は
感染リスクが高い
カーシェアリングの利用は
感染リスクが高い
マイカーでの移動は
感染の恐れがないので安全だ(%)(「とてもそう思う」 +「どちらかと言えばそう思う」 の割合)
しかく利用者の意識や交通手段選択意向の変化に対応し、各交通
手段において様々な取組がなされています。
・ピーク時輸送力増強による混雑緩和と利用者の不安軽減
✓八戸市営バス:乗車率の高い路線続行便運行(下表)
→通勤・通学時の路線バスでの密集回避のため、市内路
線において乗車率が最も高い朝3便・夕3便について、
続行便を運行(バス2台で運行)
✓熊本市電:臨時急行バスの運行(右上表・右下図)
→朝ピーク時の混雑緩和のため、鉄道との並行区間に、
貸切バスによる「臨時急行バス」を運行
路線 主な沿線施設
運 行
開始日
運行回数
朝 夕
八戸ニュータウン・
高専線
八戸高専・
聖ウルスラ学院 等 9/1〜 2 1
美保野線
八戸学院大学・
八戸工業大学 等 9/16〜 1
八戸ニュータウン・高専線
岬台団地線
八戸北高校・
八戸工大一高 等 10/26〜 1
多賀台団地線
桔梗野工業団地・
三菱製紙八戸工場 等 10/26〜 1
表 熊本市電における臨時急行バスの運行概要
2020年4月23日(木)から7月31日(金)
平日/午前7時から午前9時まで
(1)熊本市電の定期券、乗車券(共通・1日)をお持
ちの方:無料
(2)それ以外の方:現金のみ(170円均一)
表 八戸市営バスの続行便
(上図・右図とも、日刊自動車新聞・インテージ
「移動手段に対する消費者意識の調査」より)
(熊本市交通局資料より)
(昨年度の八戸市営バスHPの情報より)
しかく自転車、徒歩などの個別交通の利用促進や、タクシーを活
用したサービス提供の動きも、拡大してきています。
・「三つの密」回避に有効な個別交通の導入促進
✓倉敷市:シェアサイクル導入促進事業(右上図)
→令和2年9月〜令和3月1月まで社会実験を実施し、観光
客が減少する中、市民の足としての利用を図る
✓千代田区(Luup):電動キックボード実証実験(右下図)
→令和2年10月〜令和3月3月まで社会実験を実施し、安
全性や社会受容性などを検証
・飲食店の利用促進とタクシー事業者の事業継続支援
✓船橋市:ふなばしデリタク(下図)
→登録した飲食店がタクシーを利用した宅配を実施する
場合に、市がタクシー事業者に対し配達に必要な備品
購入費と、1回の配送につき1,000円を補助
図 ふなばしデリタクのシステムイメージ
しかく海外では、コロナ禍を踏まえた交通計画の考え方が提示され、自転車・徒
歩での移動の支援策や、社会経済活動の状況に対応した交通サービスの回
復計画等も示されています。
・SFMTA「Transport Recovery
Plan」(2020.5)
✓サンフランシスコ交通局(ア
メリカ)(右表)
・Cerema「Aménagements
cyclables provisoires : tester
pour aménager
durablement」(2020.5)
✓フランス:自転車走行空間
整備のガイドライン(下図)表 Transport Recovery Planと主な取組内容(SFMTA資料より作成)
分類 項目 概要
計画
Transport Recovery
Planの策定
・都市活動や経済活動の回復状況に対応させた運行サービスのマネジメント
優先順位を持った回復
計画
・外出禁止令(レベル1)から、学校・近隣商業活動再開(レベル4)、危機
収束(レベル6)を想定し、レベルごとに交通サービス(ルート、運行頻度
等)を規定
・コアサービスルートでは、容量と頻度を増大させ、混雑を回避し、移動時間
の短縮を図る
・レベル6は原状回復ではなく、更なる施策の進展を目指す
個別
施策
一時的・緊急的バス
レーン
・緊急的なバス専用レーンを整備し、バスの旅行速度を向上させ、乗客の移動
時間の短縮、ウイルス暴露の危険性の減少、バス運行頻度の向上(=バス車
内の混雑緩和)を図る
自転車レーン
・外出禁止令解除後の交通サービス(コアサービスのみ)を補完するため、一時的な
自転車ネットワーク、歩行空間を確保
・クイックビルド(低コスト、可変、迅速)により、自転車専用道路を拡大
・収束後は、平常時の自転車ネットワーク拡大計画を再開
スローストリート
・適切な距離を確保した歩行者や自転車の移動を確保するため、自動車の通行
を制限し、速度抑制の看板、バリケード等を整備し、徒歩・自転車の共有ス
ペースを確保する取組
シェアードスペース
・屋外での商業活動を推進するため、歩道、道路、公園、駐車場、広場等で、
レストランや小売活動を行うことを許可
・今後、拡張され、永続的な取り組みとして位置付け
マイクロモビリティ
・パンデミック前に導入が決まっていた4社の民間電動スクーターの実装を推進Essential Trip Card の
発行
・障害者、高齢者のためのタクシー補助
・既存のパラトランジットサービス(タクシー利用)を拡張して対応
情報
提供
ビッグデータを使った
分析
・コネクテッドカ―(渋滞トラッカー)のデータに基づき、幹線道路の旅行速
度をモニタリングし、施策の評価、新たな対策の検討に反映
評価指標によるモニタ
リング
・計画の評価を行う指標をいくつか設定し、ダッシュボードでチェック
・データは、1健康と安全、2景気回復、3公平性、4気候と持続可能性、5
インフラとモビリティの5分類
図 電動キックボード実証実験/大丸有エリアのポート
実証実験の様子
図 自動車に割り当てられるレーンの数を
減らす(例)(Cerema資料)
(船橋市資料より)
図 倉敷市の社会実験におけるステーション設置場所
(倉敷市資料より)
(大手町・丸の内・有楽町地区まちづくり
協議会、Luup公表資料より) 98%77%53%43%42%0%ZoomMicrosoft Teams
Skype
YouTube
Google Meet
その他
利用可能なオンライン会議システム(n=909)
だいやまーく 自治体の総合的な交通計画の公表情報(R3.3〜R3.6)
令和3年3月16日〜令和3年6月30日の間に、ウェブサイトにおいて公表された自治体の総合的な交通に係
る計画です。自地域における計画策定等の参考にして頂ければ幸いです。
参考情報はこちら http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/soukou/soukou-magazine/131-1sougoukoutsu.pdf
だいやまーく 「国土の長期展望」最終とりまとめ
国土審議会計画推進部会国土の長期展望専門委員会において検討されていた、次期国土形成計画の前提と
なる「国土の長期展望」の最終とりまとめが、公表されました。
(「国土の長期展望」最終とりまとめ概要より)
参考情報はこちら https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/kokudo03_sg_000243.html
だいやまーく 総合的交通基盤整備連絡会議について
例年実施している総合的交通基盤整備連絡会議等に
ついて、今年度も新型コロナウイルス感染症流行を考
慮し、オンラインでの開催状況を確認しています。
地方公共団体を対象に「オンライン会議等の設備・
環境に関するアンケート」を実施したところ、多くの
地方公共団体でオンライン会議の設備・環境が整って
いることが分かりました。
現在、アンケート結果を踏まえ、オンラインでの開
催を検討しており、決まり次第、ご案内いたします。 (オンライン会議等の設備・環境に関する
アンケート調査結果)
コロナ禍を契機としたデジタル世界の到来は、地理的条件の
不利に制約されてきた地方にとっては再生の好機となります。
長期展望では、創意工夫によりデジタルとリアルを融合し地域
に実装することで、地球環境問題等にも対応しながら、人口減
少下であっても安心して暮らし続けられる多彩な地域・国土の
構築を目指すとされています。
国土づくりの目標として、「『真の豊かさ』を実感できる国
土」を掲げ、目標実現に向けた三つの視点、(1)ローカルの視
点:「多彩な地域生活圏の形成」、(2)グローバルの視点:
「『稼ぐ力』の維持・向上」、(3)ネットワークの視点:「情
報・交通や人と土地・自然・社会とのつながり」から、整理さ
れています。
右図では、 「(3)ネットワークの視点」の「2リアル世界の
交流の基盤である「交通ネットワークの充実」」について示し
ておりますが、とりまとめでは、「1デジタル世界の交流の基
盤である「情報通信ネットワーク」の強化」などと有効に組み
合わせる取組を地域の特性に応じて圏域単位で実施する、「デ
ジタルを前提とした国土の再構築」が提示されていますので、
是非下記リンク先をご確認ください。
だいやまーく 歩行空間情報をオープンデータとして活用できる環境作りを目指す
皆様、初めまして。私は今年の4月に国土交通省東北地方整備局北上川ダム統合管理事務所湯田ダム管理
支所より着任しました小松禎幸(サダユキ)と言います。
私は国交省技官職員の中でも担当する職員数が少ない電気通信技官で、電気通信設備の維持管理を行って
きました。
具体的な例ですと、全国にある整備局拠点を繋ぐ多重通信無線や光通信設備といった通信設備の維持管理
や、道路や河川を管理する為の設備として使用するCCTV設備、情報表示板、道路照明や雨量や河川水位を
観測するためのテレメータ観測設備、Xバンド・Cバンドレーダー設備、ダム設備を制御する為のダム管理用
制御処理設備(通称:ダムコン)といった、整備局で管理する設備の維持や自然災害が発生した際に対応す
るために欠かせない設備の維持管理を行ってきました。
4月から務めることになりました総合交通体系グループで私が担当するのは「ICTを活用した歩行者移動
支援」という取り組みです。この取り組みはバリアフリー法により公共交通施設を始めとしたハード面での
バリアフリー化が進められている一方で、段差の無い歩道や車椅子でも通行できるスロープ位置といった歩
行空間情報を収集し、オープンデータとして公開し、様々な人が活用できる環境整備作りを行うという、ソ
フト対策として進めているものです。
今後は、バリアフリー以外の様々な分野と連携し、収集された歩行空間情報のオープン化を推進し、取組
の広報なども進めていき誰もが安心・安全に暮らせる社会作りに貢献できるよう、努めて参ります。
本メールマガジンを発行する国土交通省 総合政策局 総務課(総合交通
体系グループ)のメンバーを紹介したいと思います。第4回はICTを活用
したバリアフリー化を担当する 小松技官です。
だいやまーく 総合交通体系グループのメンバー紹介
「ICTを活用した歩行者移動支援」のイメージ
だいやまーく 総合交通メールマガジンへのご意見をお寄せ下さい!
本メールマガジンでは、読者の皆様からのご意見・ご要望を踏まえ、内容の充実を図りたいと考えて
います。誌面の感想、取り上げて欲しいテーマなどがございましたら、下記連絡先に頂けると幸いです。
E-mail:hqt-soukou01@mlit.go.jp
だいやまーく 地域の取り組み 及び イベント案内 募集!!
当課では、情報提供頂いた取組をメールマガジンで紹介することで、各地域にノウハウ等の情報共
有・情報交換ができればと考えており、総合的な交通施策の取組について情報提供頂ける自治体等を募
集しています。自薦・他薦は問いませんので、お気軽にご連絡下さい。また、イベント案内や、勉強会、
講演会、セミナーなどをご紹介頂ければ、当メールマガジンにてご案内させて頂きます。主催者の方で
も、耳より情報でも結構です。(情報提供はこちらまで hqt-soukou01@mlit.go.jp)
【情報提供頂く内容】
・地域の交通拠点の形成・再編による地域交通の維持・活性化の取組 など
総合交通メールマガジンとは
総合交通メールマガジンは、交通基盤整備や地域交通に関する最新の取り組みを幅広く紹介す
ることを目的として発行しているメールマガジンであり、主な購読者は都道府県、市町村等の交
通施策担当者です。
当メールマガジンで紹介させていただく記事は、執筆者が任意の協力のもとで作成したもので
あり、成果を広く共有する観点から、二次的利用も可能な形式で掲載しております。
《総合交通メールマガジンのバックナンバーはこちら↓》
http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/soukou/seisakutokatsu_soukou_tk_000005.html
また、当メールマガジン以外でも、公共交通政策全般について、国民の皆様に広く関心を持っ
て頂くためのメールマガジンを配信しております。ご興味のある方は、以下のアドレスから配信
のご登録をお願いします。
http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/transport/sosei_transport_tk_000039.html
<送信先の変更申請について>
メールマガジンの受付窓口が変更になった行政機関等の方については、送信先の変更を申請下
さい。なお、他部署でも楽しんで頂けるよう努めて参りますので、引き続きのご購読も歓迎して
おります。変更内容については、下記連絡先までお願いします。
E-mail:hqt-soukou01@mlit.go.jp
問い合わせ先
国土交通省 総合政策局 総務課(総合交通体系グループ) 麻生
TEL:03-5253-8111(内線53-113) FAX:03-5253-1675
E-mail:hqt-soukou01@mlit.go.jp URL:http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/soukou/index.html
(注記) 2019年2月28日より総合交通メールマガジンのメールアドレスが変わりました

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