2)危険有害性を有する化学物質について、危険有害性に応じた事業場の容器への絵表示等によって、個々の化学物質の危険有害性、取扱上の注意を一層明確にすること等により、事業者の適切な管理を促進することが必要であること、平成15年のGHS国連勧告(参考2)との整合性の確保が求められていること等から、労働安全衛生法に基づく表示・MSDS(化学物質等安全データシート(Material Safety Data Sheet))は、GHS国連勧告に対応したものとすることが必要であること。また、これらの表示・MSDSに基づく化学物質を取り扱う事業者の自主的な健康障害防止措置の明確化等が必要であること。
3)事業場における自律的な化学物質管理を促進するため、事業場における化学物質管理に係る人材育成の充実、特別規則(参考3)に基づくばく露防止方法の柔軟化・性能要件化(規則に基づく局所排気装置の設置等のばく露防止のための措置を、事業者が事業場の状況に応じて、気中の化学物質の濃度が継続して一定以下となるなどの条件の下、自らの判断にて、より多様な措置が選択できるようにしたもの)等が必要であること。
4)多くの化学物質が海外で厳しく規制(参考4)されるなどの状況下、有害な未規制化学物質について、国は、わが国でのばく露状況等によりリスク評価を行い、リスクが特に高い作業等については、特別規則による規制を行うなどの国によるリスク管理を行うことが必要であること。
このため、事業場における化学物質の取り扱い状況等のばく露関係情報を収集する仕組みの整備が必要であること。
参考2:GHS国連勧告について
平成15年に、人の健康の確保等を強化すること、化学品の国際取引を促進すること等を目的に、化学物質の危険有害性を、引火性、発がん性等の約30項目に分類した上で、各々の危険有害性について、一定の基準に基づき、その程度等を区分けし、危険有害性の程度等に応じて、ドクロマーク等の絵表示(ピクトグラム)を付すこと等を内容とする化学品の分類及び表示に関する世界調和システム(The Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicals)が、国際連合から勧告として公表(以下「GHS国連勧告」という。)され、平成20年までの完全実施、また、APEC域内においては、平成18年末までの実施が求められています。しかし、現行の労働安全衛生法令に基づく表示等の制度は、絵表示による表示がないなどGHS国連勧告で示された方法とは異なっています。
参考3:特別規則について
職場の化学物質管理に係る特別規則には、有機溶剤中毒予防規則、特定化学物質等障害予防規則、四アルキル鉛中毒予防規則及び鉛中毒予防規則があり、これらの規則により、アセトン、キシレン、水銀等の109物質に対して、物質の種類等に応じて、全体換気装置、局所換気装置の設置等の必要なばく露防止方法等を定めています。
参考4:海外での規制例について
欧州委員会は、化学品の登録、評価、認可等からなるREACH(Registration ,Evaluation and Authorization of Chemicals)システムの導入を提案しており、発がん性、変異原性等が一定以上の有害物質約1400物質を使用許可物質とする予定であるなどとしています。