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第3 建築物の床面積及び階の取扱い
1 床面積の算定
(1) 建築基準法令上の床面積
床面積の算定は、次によること。
ア 昭和61年4 月30日建設省住指発第115号(床面積の算定方法について)によること。
イ 建設省住宅局建築指導課監修、社団法人日本建築士事務所協会連合会発行の「床面積の算定方法の解説」
を参考とされたい。
(巻末資料 P344参照)
床面積の算定方法について
昭和61 年4月30 日 建設省住指発第115 号
建設省住宅局建築指導課長より
特定行政庁主務部長あて
床面積の算定方法については、建築基準法施行令第2条第 1 項第 3 号に規定されており、
「昭和 32 年 11 月
12 日住指発第1132 号新潟県土木部長あて」
「昭和39 年2 月24 日住指発第26 号各特定行政庁建築主務部長あ
て」例規が示され、従来、これらに基づいて取り扱われてきたところであるが、ピロティ、吹きさらしの廊下
屋外階段等の床面積の算定及び区画の中心線の設定について、なお、地方により統一を欠く向きがある。
今般、ピロティ、吹きさらしの廊下、屋外階段等の床面積の算定及び壁その他の区画の中心線の設定につい
て、下記のとおり取り扱うこととしたので、通知する。
なお、本通達は、昭和61 年8 月1 日以降確認申請書又は計画通知書が提出されるものから適用する。記1 建築物の床面積の算定
建築物の床面積の算定は、建築物の各階又はその一部で、壁、扉、シャッター、手摺、柱等の区画の中心線
で囲まれた部分の水平投影面積によるものであるが、
ピロティ、
ポーチ等で壁、
扉、
柱等を有しない場合には、
床面積に算定するかどうかは、当該部分が居住、執務、作業、集会、娯楽、物品の保管又は格納その他の屋内
的用途に供する部分であるかどうかにより判断するものとする。
例えば、
次の各号に掲げる建築物の部分の床面積の算定は、
それぞれ当該各号に定めるところによるものと
する。
(1) ピロティ
十分に外気に開放され、かつ、屋内的用途に供しない部分は、床面積に算入しない。
(2) ポーチ
原則として床面積に算入しない。ただし、屋内的用途に供する部分は、床面積に算入する。
(3) 公共用歩廊、傘型又は壁を有しない門型の建築物
ピロティに準ずる。
(4) 吹きさらしの廊下
外気に有効に開放されている部分の高さが 1.1m以上であり、かつ、天井の高さの1/2 以上である廊下に
ついては、幅2mまでの部分を床面積に算入しない。
(5) バルコニー・ベランダ
吹きさらしの廊下に準ずる。
(6) 屋外階段
次の各号に該当する外気に有効に開放されている部分を有する階段については、床面積に算入しない。 46イ 長さが、当該階段の周長の1/2 以上であること。
口 高さが1.1m 以上、かつ、当該階段の天井の高さの1/2 以上であること。
(7) エレベーターシャフト
原則として、各階において床面積に算入する。ただし、着床できない階であることが明らかである階につ
いては、床面積に算入しない。
(8) パイプシャフト等
各階において床面積に算入する。
(9) 給水タンク又は貯水タンクを設置する地下ピット
タンクの周囲に保守点検用の専用の空間のみを有するものについては、床面積に算入しない。
(10)出窓
次の各号に定める構造の出窓については、床面積に算入しない。
イ 下端の床面からの高さが、30 cm以上であること。
ロ 周囲の外壁面から水平距離50 cm以上突き出ていないこと。
ハ 見付け面積の1/2 以上が窓であること。
(11) 機械式駐車場
吊上式自動車車庫、機械式立体自動車車庫等で、床として認識することが困難な形状の部分については、
1 台につき15 m2を、床面積として算定する。なお、床としての認識が可能な形状の部分については、通常'
の算定方法による。
(12) 機械式駐輪場
床として認識することが困難な形状の部分については、
1台につき1.2m2を床面積として算定する。
なお、
床としての認識が可能な形状の部分については.通常の算定方法による。
(13)体育館等のギャラリー等
原則として、床面積に算入する。ただし、保守点検等一時的な使用を目的としている場合には、床面積に
算入しない。
2 区画の中心線の設定方法
次の各号に掲げる建築物の壁その他の区画の中心線は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(1) 木造の建築物
イ 軸組工法の場合
柱の中心線
口 枠組壁工法の場合
壁を構成する枠組材の中心線
ハ 丸太組工法の場合
丸太材の中心線
(2) 鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造等の建築物
鉄筋コンクリートの躯体、PC 板(プレキャストコンクリート板)等の中心線
(3) 鉄骨造の建築物
イ 金属板、石綿スレート、石膏ボード等の薄い材料を張った壁の場合
胴縁等の中心線
ロ イ以外の場合
PC 板、ALC 板(高温高圧蒸気養生された軽量気泡コンクリート板)等の中心線
(4) 組積造又は補強コンクリートブロック造の建築物 47コンクリートブロック、石、れんが等の主要な構造部材の中心線
(2) 消防用設備等の設置にあたっての床面積の算定
建築基準法令によるほか、次によること。
ア 倉庫内に設けられた積荷用の作業床は、棚とみなされる構造のもの(積荷を行う者が棚状部分の外部に
いて直接積荷できるもの又はフォークリフト、クレーン等の機械だけの使用により積荷できるもの)を除
き、床面積に算入するものであること。
イ ラック式倉庫の延べ面積の算定については、次によること。
令第12条第1 項第4号の適用にあたって、ラック式倉庫とその他の倉庫が同一防火対象物内に存する
場合は、ラック式倉庫とその他の倉庫の部分を含めて床面積を算定するものであること。ただし、ラック
式倉庫の部分の床面積が300 m2未満で、かつ、延べ面積の10パーセント以下である場合は、当該倉庫は
ラック式倉庫として取り扱わないことができる。
このほか、平成10年7月24日付け消防予第119号「ラック式倉庫の防火安全対策ガイドラインに
ついて」を参考すること。
ウ 駐車の用に供する部分の床面積等は、次によること。
(ア) 車路は、床面積に算入するものであること。ただし、上階又は下階に通じる傾斜路、ランプ、カーリ
フト等は算入しないものとする。
(イ) 駐車の用に供しない部分を介して 2 箇所以上の駐車の用に供する部分ごとに床面積に算定すること。
(第3-1図参照)
第3-1図
(ウ) 昇降機等の機械装置による車両を駐車させる構造(立体駐車場)及び同方法で自転車を駐輪させる構
造(立体駐輪場)の床面積については、水平投影面積を床面積として算人すること。
(エ) 外気に開放された高架工作物(鉄道又は道路等に使用しているもの。
)下に設けられた駐車場にあっ
ては、
さく、
へい等で囲まれた部分、
又は当該工作物の水平投影面積を床面積として算入すること。(「外
気に開放された高架工作物内を利用した駐車場の用に供される部分の規制について」(昭和 52 年7月8
日消防予第130 号))
エ 令第13条第1 項第6欄で定める「発電機、変圧器その他これらに類する電気設備(以下「電気設備」
という。
)が設置されている部分」及び同第7欄で定める「鍛造場、ボイラー室、乾燥室その他多量の火気
を使用する部分(以下「鍛造場等」という。)」の床面積の算定は、次のいずれかによること。
(ア) 不燃材料の壁、床、天井(天井のない場合ははり及び屋根)又は防火戸で区画された部分の床面積
なお、この場合の防火戸は、随時開くことのできる自動閉鎖装置付きのもの又は随時閉鎖することが
でき、かつ、煙感知器(規則第23条第4 項第1 号二の部分にあっては、規則第23条第6 項第1 号に
定める感知器)の作動と連動して閉鎖するもの(連続式店舗にあっては、温度ヒューズと連動して閉鎖
するものを含む。
)であること。
(イ) 電気設備又は鍛造場等の水平投影面の周囲に水平距離 5m(周囲の 1 面に耐火構造の壁(前(ア)に定
駐車場以外の用途
駐車場A耐火構造
特定防火設備
駐車場B 48
める防火戸を含む。)が存する場合は、
当該壁までの距離)
で区画されていると仮定した部分の床面積(P186問5参照)
オ 地下駅舎の床面積は、次によること。
(ア) 改札口内にあっては、軌道部分を除き、すべてを算入する。
(イ) 改札口外のコンコース等にあっては、改札口及び駅務室等の施設から歩行距離20m以内の部分を算
入すること。
ただし、
20m以内に随時開くことができる自動閉鎖装置付きのもの又は感知器の作動と連
動して閉鎖する方式の特定防火設備が設置されている場合は、
当該シャッターまでとするものであること。
(注記) 誘導灯及び放送設備については、20mを超える部分にあっても、必要となるので注意すること。
カ 観覧場で、屋外に開放された観覧席は床面積に算入しないことができるものとする。
ただし、観覧席の一部に屋根がかぶった場合で、当該屋根のかぶり部分の面積が屋根のかぶりのない部
分(開放部分)の面積より大きい場合は、その部分の観覧席は床面積に算入するものとする。
(面積は、い
ずれも各階ごとに水平投影面積とする。)なお、収容人員の算定にあたっては、当該観覧席の部分を含むものであること。★
キ 地下街の地下道は、
店舗、
事務所等の施設の各部分から歩行距離20m
(20m未満の場合は当該距離)
以内の部分を床面積に算入するものであること。
ただし、随時開くことができる自動閉鎖装置付きのもの又は感知器の作動と連動して閉鎖する方式の特
定防火設備が設置されている場合は、当該防火設備の部分までとするものであること。
ク 防火対象物の一部に法第10条第1項で定める危険物の製造所、
貯蔵所又は取扱所
(以下
「危険物施設」
という。
)が存する場合、法第17条第 1 項で定める消防用設備等の設置にあたっての床面積は、当該危
険物施設を含めて算定するものであること。(「消防法の一部を改正する法律等に関する質疑応答について」
(昭和50 年6月16 日消防安第65 号))
(注記) 危険物施設部分の消防用設備等は、法第17条第1項に定める基準でなく、法第10条第4項に定め
る基準によるものであること。
くろまる 防火対象物の一部に危険物施設がある場合について
(昭和50年6月16日付け消防安第65号)
問 防火対象物の一部に危険物施設(一般取扱所)がある場合、次のいずれとすべきか。
(1)面積算定には入れるが、消防用設備等を設置する場合は危険物施設を除いた部分に設置させる。
(2)危険物施設については当初から除いてその他の部分だけで判断する。
答 (1)お見込みのとおり。
2 階数の算定
(1) 建築基準法令上の階数の算定
階数の算定は、建基政令第2 条第1 項第8 号によるほか、次によること。
ア 多層式倉庫(物品(危険物を除く。)を貯蔵するために棚を設け、かっ、当該棚に物品の積荷を行うための
作業床を設けたものをいう。
)が次に適合する場合は、作業床の部分を階数に算入しないことができるもの
であること。
(ア) 耐火構造であること。
(イ) 主要構造部以外の部分は、不燃材料で造られていること。
(ウ) 階高(作業床を除く。
)は、5m以下であること。
(第3-2図参照) 49第3-2図
イ 棚式倉庫
(積荷の作業を行う者が、
当該棚の外部にいて直接積荷することができるもの又はリフト若しく
はクレーン等の機械だけの使用によって積荷することができるもの。)は、次に適合する場合、階数を 1 と
して取り扱うものであること。
(ア) 耐火建築物若しくは準耐火建築物を要求されるものについては、耐火建築物又は建基法第2条第9号
の3ロの準耐火建築物で外壁を耐火構造としたものとし、主要構造部以外の部分は不燃材料で造られて
いること。
(イ) 軒高が15mを超えるものは、耐火建築物であること。
ウ 次の各号に適合する吊上げ式倉庫は、
建基法第27条、
第61条及び第62条の適用にあたって、
階数を
1 として取り扱うものであること。
(ア) 耐火建築物又は建基法第2条第9号の3ロに該当する準耐火建築物で外壁を耐火構造としたもの。
(イ) 木造建築物が密集している市街地内で他の建築物(耐火建築物又は準耐火建築物を除く。
)又は隣地境
界線から5m以下の距離に建築する場合には、外壁を不燃材料で覆い、かつ、地盤面からの高さが15
m以下の部分が耐火構造であること。
(ウ) 前(イ)の場合で、延焼のおそれのある部分にある車両の出し人れ口には、特定防火設備が設けられ
ていること。
(エ) 木造建築物が密集している市街地で既存の建築物又は他の建築物部分と一体に建築する場合は、当該
既存の建築物または他の部分とを(イ)でいう他の建築物とみなして(イ)及び(ウ)によること。
(2) 消防用設備等の設置にあたっての階の算定
ア 倉庫内に設けられた積荷用の作業床は、棚とみなされる構造のもの(積荷を行う者が、棚状部分の外部に
いて直接積荷できるもの又はフォークリフト、
クレーン等の機械だけの使用によって積荷できるもの。
)を除
き、階数に算定するものであること。
(注記) 一般的に棚と床の区別は、当該部分に積荷等を行う場合に当該部分以外において作業するものを「棚」
とし、当該部分を歩行し、又はその上において作業執務等を行うものを「床」として取り扱うが、具体的
にはその形状機能等から社会通念に従って判断すること。
イ 床下、小屋裏等を物入れ等に使用するもので、当該部分の高さがおおむね1.4m以下(通常の姿勢で作
業ができない高さ)のものは、階数に算入しないものであること。
作業床(不燃材料)
床(耐火構造)
作業床(不燃材料)棚GL5m以下5m以下
(断面) 50ウ 吊り上げ式倉庫の階数は1 とすること。
(参考)小屋裏物置等の取扱いについて
小屋裏物置等の取扱いについては、以下のとおり取扱うことが望ましい。
1 小屋裏、天井裏その他これらに類する部分に物置等がある場合、当該物置等の最高の内法の高さが1.
4m以下で、かつ、その水平投影面積がその存する部分の床面積の2分の1未満であれば、当該部分につ
いては階として取り扱う必要はないものとする。
2 図の場合、存する部分の床面積2分の1 の取扱いは以下のとおりとする。
(小屋裏面積十2 階床下面積)
<(×ばつ1/2)
及び(1 階天井裏面積+1 階床下面積)
<(1 ×ばつ1/2)
かつ(2階床下面積+1階天井裏面積)
<(×ばつ1/2)
及び(2階床下面積+1階天井裏面積)
<(×ばつ1/2)
の条件が満たされていれば、
小屋裏物置等の部分は階として
取り扱わない。
3 階として取り扱わない小屋裏物置等の部分は床面積に算入しない。
4 図のように、建築物の中間部分に設けられた物置等について、2階床下と1 階天井裏が重なる場合のよ
うに、合計すれば通常の空間(例えば1.4mを超える高さ)になるものについては、小屋裏物置等とは
みなさない。
【解 説】
小屋裏物置等は、小屋裏、天井裏鵠の建築物の余剰空間を利用するものであり、用途については
物入れに限定される。
5 小屋裏物置等を利用するはしご等については、固定式、可動式を問わないものとする。
6 図のような場合の2)の取扱いについては、以下のとおりとする。
イは2階小屋裏面積として加算する。
ロは2階床下面積として加算する。
ハ(階段途中の踊り場等から利用する小屋裏物置)は1階天井裏面積
として加算する。
イの場合のロフト直下の天井高は2.1m以上とする。
ロ等の床面と同一面の場合は、物品の搬入口以外は、壁で区画する
ものとする。
小屋裏面積
2階床下面積
1階天井
裏面積
1階床下面積2階1階
2階床下
1階天井裏 517 この規定は、一戸建て住宅の他、共同住宅、長屋について取り扱うものとする。
なお、共同住宅、長屋については、1)の適用にあたっては各住戸単位とする。
また、一戸建て住宅には兼用住宅を含み、兼用住宅のうち、住宅部分について適用するものとする。
(解説)
小屋裏物置等は、建築物の余剰空間を利用するものであり、本来、人が通常の状態で入ることが出来な
いものである。したがって、用途については物入れに限定される。
(参考)
平成12年建設省告示第1351号
木造の建築物に物置等を設ける場合に階の床面積に加える面積を定める件
上記取扱い2)において、
算定面積がその階の床面積の8分の1を越える場合は、
その階の床面積の2分
の1以下であっても、告示第1351号による軸組算定上の床面積に加算することとなるので留意するこ
と。

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