1+1を10にする「チーム力」養成講座 ―― 意見を戦わせより良い成果を生み出そう

穴田啓樹

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技術解説 2007年9月14日

ここでは,チームの力を発揮するためのコミュニケーションについて考えます.一般的なコミュニケーション理論の説明ではなく,筆者が新しいチームを立ち上げてから2年にわたって実践してきたことを,その中でも特に効果のあったものを中心に紹介します. (筆者)

1 チーム開発に加わる

ここでは入社1年目〜3年目程度の皆さんを対象に,チームで開発を進める際の基本的な考え方を説明します.

くろまる より良い成果を生み出すのが「チーム開発」

例えば,学生時代に取り組んだ卒業研究を思い出してください.多くの場合,担当教官から一人ずつ異なるテーマを与えられ,一人で研究を進め,一人で論文にまとめたことと思います.つまり,卒業研究では一人一人の研究成果が評価されるわけです.

これに対して会社では,大きなテーマを多人数で担当し,一人では成し得ない大きな成果を生み出します.プロジェクト・チームを立ち上げ,役割を分担して開発を進め,それを全体としてまとめ上げていきます.

ただし,人が集まるだけですばらしい成果が出せるかというと,そうではありません.ここでは「チーム開発」を次のように考えます(図1).
・グループ開発:人が集まり分担して作業している状態
・チーム開発:メンバが互いに良い影響を与え合い,全体としてより良い成果を生み出している状態

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図1 お互いに良い影響を与え合うのが「チーム開発」

くろまる 今こそ「チーム力」が必要とされている

筆者は近年,チームの力を発揮する必要性を今まで以上に強く感じています.それはなぜでしょうか.私たちを取り巻く環境の変化を振り返ってみましょう.

1)開発規模が大きく複雑になってきている

開発規模が大きくなり,より複雑になった結果,私たちが直面する課題はより難しくなっています.その課題に取り組むには,各部分の担当範囲だけに目を向けるのではなく,システム全体を見据えた上で開発者が協調することが求められています.

2)技術が高度に専門化している

技術が高度に専門化した結果,開発リーダがすべての詳細を把握して指示を出すというスタイルが成立しなくなっています.一人一人のエンジニアが担当部分に関して高い専門性を持って主体的に取り組むこと,また,それを全体として有機的にまとめ上げることが求められています.

tag: 技術教育, 開発手法

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