プリント基板設計を始めるにあたっての検討事項 ――自分のしごとに合った分業方法とCAD環境を選択する

城野幸男

tag: 実装

技術解説 2004年8月30日

ここでは,回路技術者と基板技術者の分業やCAD環境を立ち上げる際の課題について解説する.分業の方法には,並列分業や直列分業などがある.また,CADツールには回路技術者向きのものとプリント基板技術者向きのものがある.自分のしごとの内容(設計対象,開発期間,リソースなど)を考慮して,これらを選択する必要がある. (編集部)

みなさんはプリント基板設計をどうされていますか? おそらく社外の設計会社,または社内の基板設計部門に委託されているのではないかと思います.現在,この方法がもっとも一般的ですが,いろいろと課題はあるようです.事実,以下のような問題が指摘されています(図1).

  • 納期がかかる――特に,委託先のしごとが混んでいるときなどは,取りかかるまでに何日も待たされる.
  • 費用がかかりすぎる――毎月,設計代だけで何百万円も支払っている.また,ちょっと変更するだけで何十万円も請求される.
  • 仕様を伝えるための打ち合わせがたいへん――わかりきったことまで詳細に説明しなくてはならない.制約を正確に伝えることが難しい.多くの部品図面を用意しなくてはならない.
  • でき上がってきたプリント基板が正しく動作しない――期待どおりの性能が得られない.動作が不安定.回路が発振する.ノイズが多い.

これらの指摘は今に始まったものではありません.プリント基板設計の外部委託という方法による設計分担が行われるようになって以来,ずっと言われ続けていることです.事実,筆者もこれまでうんざりするほど何度もこれらの問題を記事の中で取り上げてきました.プリント基板設計を成功させるために,「基板技術者とのコミュニケーションを良くしましょう」,「統合ツールを使ってデータの一貫性を保ちましょう」,「設計ルールで特性を管理しましょう」などと書き始めると,みなさんは「また始まった」と思われることでしょう.そこで今回は,視点を変えて,自分自身がプリント基板設計を行う「自前設計」について考えてみることにします.

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図1 プリント基板設計外部委託の問題
「納期がかかる」,「費用がかかりすぎる」,「仕様を伝えるための打ち合わせがたいへん」,「でき上がってきたプリント基板が正しく動作しない」などの問題がある.

tag: EDA, ボード, 開発手法

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