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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2023年5月25日 No.3591 採用と大学教育の未来に関する産学協議会第7回会合を開催 -2022年度報告書を公表

経団連と国公私立大学のトップから成る「採用と大学教育の未来に関する産学協議会」(座長=十倉雅和経団連会長、大野英男就職問題懇談会座長)は、4月26日、第7回会合を開催した。同会合では、2022年度における検討成果を報告書「産学協働で取り組む人材育成としての『人への投資』」として取りまとめ、同日公表した。

産学協議会では、22年度、ポストコロナを迎える今こそ、社会性の視座に立脚しつつ、国際競争力強化を通じた持続的かつ力強い成長の実現を目指し、わが国経済社会の変革を本格化すべきという基本認識のもと、リカレント教育をめぐる課題の深掘りや、インターンシップを核とした「学生のキャリア形成支援活動(4類型)」の周知に取り組んだ。加えて、初の試みとして、政府の「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)等に盛り込まれた教育関連の重要政策課題について議論するため、「テーマ別懇談会」を開催した。報告書では、こうした活動を通じて得られた指摘事項を整理している。ポイントは次のとおり。

しかく 採用・インターンシップ

23年度から、4類型が本格的に実施されることを見据え、産学が連携して、その円滑な推進を政府に働きかけた。あわせて、企業・学生・大学等への周知活動として、メッセージ・解説動画の公開、リーフレット・FAQ集の作成、産学協議会基準準拠マークの決定・配布、質の高いインターンシップの実施に関する意向調査の実施等に取り組んだ。さらに、主に文系修士課程学生を対象としたインターンシップを23年度からパイロット的に実施することで産学が合意した。

産学協議会では、引き続き、4類型の普及・定着に努めていく。また、政府が、26年3月以降に卒業・修了予定の学生を対象に、専門性の高い人材に限り、採用日程を弾力化する方針を公表していることを踏まえ、企業・学生等が混乱しないよう、適切な情報を発信する。さらに、就職・採用活動のあり方について、産学で本質的な意見交換を実施する。

しかく リカレント教育

「大学ならではのリカレント教育とは何か」という点に着目し、議論を深めるべく、検討の一環として、大学に対してアンケートを実施し、リカレント教育の好事例を収集・分析した。収集した好事例を基に、「大学の強みを活かしたリカレント教育プログラム」を七つに類型化した(図表参照)。とりわけ類型ホ・ヘ・トは、大学の強みを活かしたプログラムと考えられるほか、地域で「知」の中核を担う大学としての類型ロも重要である。

リカレント教育における今後の最大の課題は、企業側ニーズと大学側シーズのマッチング体制の構築・拡充である。そこで政府に対し、「5年間1兆円の施策パッケージ」の展開にあたっては、(1)省庁横断的な施策の実施(2)大学の良質なリカレント教育プログラムが5年を超えて定着するような仕組みの整備――を要望した。データベースの構築など、公的なコーディネート機能の強化を強く求めている。

「大学の強みを活かしたリカレント教育プログラム」の7類型
類型想定される主な受講生
大学が、学部生を対象に開講している基礎科目・一般科目のうち、
Society 5.0時代の常識として知識の刷新・能力の底上げを図る必要性など
から、企業人向けに内容をカスタマイズしたうえで受講を推奨するもの
企業人全般
地域特性(地域社会・産業、域内の多様な関係者等)に対する深い理解
基づき、地域課題の解決に取り組むことを主眼としたもの
消費者や行政との接点が
多い現場社員(営業等)
専門性の高い職務に従事している企業人のスキルアップ・資格取得に
資するもの(医療・保健分野等)
専門職人材(エンジニア、
有資格者が多い職種等)
学術研究の実績等で当該大学が強みを持つ分野に特化したもの 職務上、当該分野に関わる
仕事に従事する社員
理論と実践知の融合を通じて社会実装に必要な能力の向上・手法の獲得に
資するもの
社会実装に取り組む研究
開発職
異業種・異分野交流を通じて、新たな価値共創やイノベーションに資する
分野横断的知識・能力(総合知・総合力)の獲得・向上に資するもの
新規ビジネス創出・事業
開発に取り組む社員
高度経営人材の育成を主目的としたもの(広範な分野の理解力、俯瞰的
判断力、決断力・リーダーシップ、人的ネットワーク等の涵養)
幹部候補生や役員

しかく テーマ別懇談会

テーマ別懇談会は、(1)文理融合を前提としつつ、理系分野に進学・従事する人材の拡充(2)社会に一層評価され、かつ若者・社会人にとってより魅力ある大学院教育の充実(企業における博士人材の活用推進を含む)(3)グローバル人材育成の一層の促進(4)教育に対する産業界の取り組み(投資を含む)の促進――の四つのテーマについて議論し、より重点的に取り組むべき課題を抽出した。今後は、(1)〜(3)のテーマについて、具体的な推進方策等に関する検討を深めていく。

◇◇◇

産学協議会では、同報告書のアクション・プランで示した活動方針に基づき検討等を重ね、産学で共通認識が醸成された場合は、政府等に提言することも視野に活動していく。

【SDGs本部】

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