国内25頭目の狂牛病確認 またも2000年北海道生まれ 一次検査陽性の20ヵ月齢の牛はシロ
06.4.20
19日、17日に処理され、スクリーニング検査で狂牛病(BSE)陽性となった岡山県の牛の狂牛病感染が最終的に確認された。国内25例目となる。この牛は71ヵ月齢のホルスタイン・雌で、岡山県勝田郡奈義町で飼育されていた。しかし、この牛の出生地は北海道枝幸郡枝幸町で、2000年4月に生まれた後、飼育していた枝幸町内の酪農家の廃業に伴い、網走市内に移り、02年から岡山県内の酪農家が飼っていたという。道内産としては18例目の感染確認で、北海道で感染した可能性が高い。
厚生労働省:牛海綿状脳症(BSE)確定診断の結果について(06.4.19)
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/04/h0419-2.html
枝幸産乳牛、BSE感染 国内25頭目、北海道新聞、06.4.20
http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/kiji.php3?&d=20060420&j=0044&k=200604191233
これで2000年生まれの狂牛病のケースは7頭となった。95年末-96年生まれの13頭に次ぐ感染牛大集団だ。しかも、これらすべてが北海道生まれ、2000年頃、集中発生をもたらす何らかの要因が北海道に現れたであろうことはほとんど確実となった。感染源調査の的もしぼりやすい。感染源究明の集中的努力が望まれる。
参照:国内23頭目の狂牛病確認 不自然な2000年生まれでの集中発生,06.3.16
なお、スクリーニング検査で狂牛病陽性反応が出たと報道された福島間郡山市の食肉流通センターで食肉処理された生後20ヵ月の去勢牛については、シロが確認された。この牛が陽性と確認されれば、肉骨粉全面禁止以後に生まれた牛の感染となるから、現在の飼料規制の有効性が改めて問われるところだった。
また、「我が国における約350万頭に及ぶ検査により20ヶ月以下のBSE感染牛を確認することができなかったことは、今度の我が国のBSE対策を検討する上で十分考慮に入れるべき事実である」とした2004年9月の食品安全委員会の「中間報告」や、これ に基づく検査対象を21ヵ月以上の牛に絞り込んだ日本の検査体制変更、20ヵ月齢以下の牛からのものに限るという条件での米加産牛肉・内臓輸入再開の決定も見直されねばならないことにな ったはずである。
17日の記者会見で、石原農水事務次官も、「20か月齢のものが見つかったということになりますれば、国内の対策がまず見直しをしなければならないと思います。また、アメリカそれからカナダの輸出条件にも、事柄の性格としては影響あるものと思っております」と述べている。
シロの確認で、このような問題は一応消えたように見える。次官の発言は漫画のようになってしまった。しかし、たった1ヵ月の違いで国内対策も、米加産牛肉の輸出条件も見直さねばならなくなるような措置が堅固な根拠をもつとは思えない。だから、今回の漫画のような事態が起きた。その妥当性が改めて問われる。
なお、国内狂牛病確認例の一覧を次に掲げておく(断らないかぎり、すべてホルスタイン種・乳用雌)。
最終確認年月日
確認例の出生・飼育県
出生年月と確認時の生後月齢
01.09.21
北海道常呂郡・千葉
96.03、66
01.11.21
北海道宗谷郡猿払村
96.04、67
01.12.02
群馬
96.08、68
02.05.12
北海道白糠郡音別町
96.03、71
02.08.23
神奈川
95.12、80
03.01.20
北海道川上郡・和歌山
96.02、81
03.01.23
北海道網走市
96.03、79
03.10.06*
栃木・福島
01.11、23
03.11.04**
兵庫・広島
02.02、21
04.02.22
神奈川
96.03、95
04.03.09***
北海道川上郡標茶町
96.04、95
04.06.13
熊本
99.03、62
04.09.23
奈良
96.02、103
04.10.14***
北海道河東郡鹿追町
00.10、48
*非定型BSE、去勢雄ホルスタイン、**定型、去勢雄ホルスタイン、***死亡牛、****黒毛和種肉用繁殖牛