第18回 日本放射光学会奨励賞 (2/3)
宮本 幸治 会員 (MIYAMOTO Kouji)
広島大学放射光科学研究センタースピン分解光電子分光を用いたディラック電子系の先駆的研究
宮本幸治氏は、広島大学放射光科学研究センター(HiSOR)でスピン分解光電子分光に関する測定技術の開発(高感度電子スピン検出器の開発など)を行って、世界最高水準のエネルギー・運動量分解能を達成するとともに、開発した装置を用いてその性能を十分発揮させた表面電子構造研究を行ってきた。また、宮本氏は、これまでHiSORで行われた数多くのSRPES実験でも中心的な役割を担い、数多くの論文を発表している。とくに、宮本氏が行った磁性薄膜やトポロジカル絶縁体のスピン偏極した表面電子状態の研究、タングステン単結晶表面に現れるディラックコーン型のスピン偏極表面電子帯の観測成功などの研究成果は、国内外で高い評価を得ている。宮本氏は、昨年の若手研究会「表面電子のスピンが生み出す物理の最前線―ラシュバ効果、トポロジカル絶縁体―」でも共同提案者としても活躍し、放射光を利用する物質科学研究分野で将来有望な研究者の一人である。
宮本氏が行った装置開発とそれを応用した物質科学研究の両面で成果は高く評価でき、本学会奨励賞を授賞するに値する。
日本放射光学会
会長 村上洋一
受賞研究報告 学会誌 Vol.27 No.2(2014)