フィリピン
政治経済状況(フィリピン大使館:篠田二等書記官)
最近の政治状況
- 1986年、マルコス政権を倒したエドサ革命をうけて成立したアキノ政権は、フィリピンに民主主義を復活させた。
- 軍を掌握し、議会の多数派工作に成功したラモス大統領は、経済自由化を押し進め、政権前半の3年間で政治の安定と経済の成長に成果を上げた。
- 現フィリピン憲法では、大統領の再選を認めていないため、ラモス大統領の任期が終了する1998年6月に向けて、憲法を改正しての再選、または後継者問題が注目されている。
経済情勢
- アキノ政権の発足(1986年)以来、度重なる軍事クーデターやピナツボ火山の爆発などの自然災害のため、深刻な経済情勢の悪化がもたらされた。
- ラモス政権が発足した1992年度末までには、貿易・投資・為替の自由化や国営企業の民営化などの構造改革に努力し、インフレと国内金利の低下、財政赤字の縮小、対外収支の改善を図ることに成功した。また、1992年以来深刻化していた電力不足も一応解消し、経済の再発展の基盤が整った。
- 1994年以降、国内外からの投資が急増し、94年のGDP実質成長率は5.3%、95年5.5%、96年6.8%と高い成長を続けている。
経済の課題
- 活発な経済活の反動によるインフレ懸念
- 輸入超過による貿易収支の赤字
- 全世界に出ていると言われる出稼ぎ労働者の問題
日系企業の現状視察(日立コンピュータ・プロダクツ・アジア:佐羽社長より聴取)
社名 Hitachi Computer Products (Asia)
設立 1994/4
生産開始 1995/1
資本金 45億円
従業員 2000名
日本からの出向者 社長以下13名
事業内容 電子部品(現在の主力はハードディスク)の製造
フィリピン進出のメリットと課題
(フィリピン大使館での聴取も含めて)
- 企業進出のメリット
- 労働力の高い質と割安感(英語が話せる、高い大学進学率、TQC効果が高い、インドネシアと同等の人件費)
- 外資優遇策(輸出加工区、銀行・電力分野の規制緩和)
- 潜在的成長可能性(インドネシアに次ぐ人口)
- 企業間の競争が少ない
- 距離的な近さ(日本からの距離が他の東南アジア諸国より1/2、工業団地が空港から近い)
- 企業進出のデメリット
- インフラの未整備(94年停電が1日8時間程度発生・・・現在は改善、道路、水)
- サポーティングインダストリーの未整備
- 社会的治安の悪さ・・・イメージの悪さ
- 一部に残る規制(小売業の参入は認められていない)
視察の感想その他
- ライン勢揃いした2000人近くの女性工員の姿には圧倒させられた。大きな目を輝かせ、微笑みを浮かべた表情は印象的だった。
- 英語が話せ、目がいい、手先が起用、三拍子そろった技術力だという。フィリピンはこうした女性の力でもっているのです。とは、辛口の説明であった。
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