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モックなでしこリーグ前半戦終了〜TASAKIが首位をキープ〜 (07.07.27)

熱戦を繰り広げているモックなでしこリーグのディビジョン1は7月22日、第11節を終え、10月8日の第12節まで約二ヶ月半の中断期間に入る。ここで開幕から第11節までの前半戦を振り返ってみよう。
ディビジョン1(L1)第11節を終えて首位を走るのはTASAKIペルーレだ。近年取り組んできた若手育成が実り始め、選手層のバラつきが少なくなってきている。また今年度より河村優氏がコーチに就任し、これまで培ってきた粘り強いTASAKIのサッカーに新しい風を吹き込む。
その強さを最大限に見せつけたのが第6節の日テレ・ベレーザとの対決だ。開始7分に佐野弘子のゴールで先制したTASAKIは、同点に追いつかれた後に再び勝ち越し、また追いつかれるというシーソーゲームを展開しながら、最後は阪口夢穂の決勝ゴールでビッグゲームをモノにした。「いつもは追いつかれてそのまま逆転されてガタガタになるというパターンだったけど、随分粘り強くなったと思います。いい形も作れているし、これほど手応えを感じるのは本当に久しぶりのことですね」と大谷未央も振り返っているが、11戦11勝という数字がすべてを物語っている。脆さがなくなり、崩れることのない攻守のバランスが今シーズンのTASAKIの最大の強さと言えるだろう。
2位は多くのなでしこジャパンメンバーを擁するベレーザ。ずば抜けた個人技とイマジネーション溢れる攻撃パターンは、他の追随を許さない。しかし、今シーズンは新天地を見出そうとするあまり、本来の実力を生かしきれない部分が勝点25にとどまっている一つの理由となっている。伸び悩む原因として「いいことをしようとしすぎている」(酒井與恵)こともあるが、相手チームによく研究されていることもある。これまでベレーザ戦で大量失点をしていた下位チームにとっては、最低限の失点に止めることが課題とされている。得失点差は終盤戦の成績に影響してくるからだ。そのため、特にベレーザに対して、相手はかなり守備的に臨むことが多い。しかし、そこは実力派揃いのベレーザ。自分たちのリズムを掴めば圧倒的な強さを発揮する。7月22日のゲームでは統一された守備にスピードある攻撃を備えるINACレオネッサに対し、前半こそ苦戦したものの貫禄のサッカーでねじ伏せ、4-0で勝利を収めている。また、3位には今オフに充実した補強を行った浦和レッズレディースがベレーザと勝点同数でつけており、後半戦の戦いによって順位が大きく変動することもありそうだ。直接対決も残されており、熾烈な争いとなることは必至だろう。
そしてもう一つの戦いが"残留争い"と呼ばれるもの。現在は大原学園JaSRAが勝点1と厳しい状況にあり、大幅に戦力ダウンした伊賀FCも7位と低迷している。とはいえ、まだ後半戦残り10試合。どう流れていくかはわからない。
この中断期間中には昨年に引き続き開催されるなでしこオールスターや、FIFA女子ワールドカップ開催時期にはL1、L2全16チームが参加するなでしこリーグカップが行われる。カップ戦が行われるのは1999年に行われたLリーグ・カップ以来、実に8年ぶりのこと。4チームずつ4グループに分かれて予選ラウンドを戦い、各グループ1位が決勝ラウンド(ノックアウト方式)に進出する。Jリーグナビスコカップと同様、各チームにとっても新戦力を発掘するチャンスでもある。
この二ヶ月半で、各チームがどのようなチーム作りを行うのか。長期にわたる中断だけに、現在、下位に甘んじているチームも大きく変貌する可能性は十分にある。この中断期間を生かしてチームを成長させ、また熱い戦いを見せてほしい。
モックなでしこリーグ後半戦は暑さも和らいだ10月8日から再開される。

(文/早草紀子)

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