コーチを増員してトレセン活動の充実をはかる〜高倉麻子さんインタビュー
(07.07.02)
今年度より、元なでしこジャパンの高倉麻子さんと、GKコーチの小林忍さんが新たにトレセンコーチとして就任した。今回は元日本女子代表の高倉さんのインタビューをお届けする。
Q:指導者を目指そうと思われたのはいつ頃からですか?
高倉コーチ(以下、高倉):最初は指導者にはなりたくないと思ってたんですよ(笑)。現役時代に私も随分勝手なことやっていましたし、そんな選手をまとめる仕事なんて・・・って。指導者の苦労もよく見ていましたから。それに、いくら現役時代に代表になったからってすぐに指導者ができるものじゃないですし。でも、引退して1、2年はのんびりしていたんですが、その間に女子サッカーをサポートしたいと思うようになったんです。やっぱりサッカーが大好きだし、自分が経験してきたことを伝えたいなって。
Q:これまでに様々な大会を視察されたと聞いていますが、ご自分がトレセン年代でプレーしていた頃と今とでは何か違いを感じるところはありますか?
高倉:私の時代より、今は絶対的に情報量が多いですよね。女子の大会も増えましたし・・・。プレーの比較は難しいですが、今の子供たちは少しインパクトが薄い気もします。現在、なでしこジャパンで活躍している選手もそうなんですが、私たちは小学生時代には男子と一緒にプレーしていました。女子チームがなかったということもありますが、この年代で男子と一緒にプレーすることは、培われるものも大きかったし、重要だと思うんです。今は女子チームも多いですし、男子と一緒にプレーしたくないって子供もいますので、そのあたりがちょっと変わってきたところかもしれませんね。
Q:指導者の醍醐味というのはどこにあると思われますか?
高倉:まだ指導する立場に立って日が浅いので醍醐味というものではないんですが、小さい子供を教えていると、すごく楽しそうにやってるんですよ。その姿を見るとこちらも嬉しいですね。もっと経験を積んで、自分のチームを持って選手を教えるようになったら、また違う喜びも出てくると思います。
Q:トレセンに関わる上でこういうコーチになりたいというような抱負を聞かせてください。
高倉:根本的に軸はブレないでいきたいと思っています。個性は大切にしてあげたいけど、指導には根気が必要ですよね。一時は伸びるかもしれないけど、また低迷しちゃったり・・・。自分もそうでしたが、壁にぶつかったりしないと本当の意味で成長しない。そんな時に選手自身でその壁を克服できるように指導できたらと思います。選手によってその指導は変えていかなきゃいけないところもあると思いますが、芯の部分でブレがないようにしたいです。現場に立って経験を重ねて実感しないといけないことがこれからたくさんあると思います。
Q:最後にこういう取り組みをやっていきたいというものはありますか?
高倉:選手に押しつけることはしたくないんです。とにかくまず楽しんでサッカーをやってもらいたい。やらされてるという感じにはなってもらいたくないんです。でも、厳しいところも必要。プレーの修正点については妥協せずにいきます!私自身が自由に育ててもらったので、選手が自分で判断が出来るように、そして自由にプレーできるような指導が出来たらと考えています。
高倉さんは今後、各地域をまわって指導にあたる予定だ。また、GKコーチとして新たに就任したJFAアカデミー福島で指導にあたっている小林忍さんも「スーパー少女プロジェクトなどを通じていつも感じるのは、成長したい、上手くなりたいという選手の熱意が強いこと。GKをやりたいけど、どうしていいかわからないでいる人たちも、まだ全国にたくさんいると思います。出来るだけ多くの地域をまわって、サッカーの、そしてGKの楽しさを伝えていきたいと思います」と、トレセン活動に大きな意欲を見せている。
新たなコーチを迎え、より充実した内容で行われている今年度のトレセン活動。その指導は全国各地域で展開されている。
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