ユース年代の指導者に求められること 〜ナショナルトレセン女子U-15指導者講習会〜 (2007年01月26日)
ナショナルトレセン女子U-15の指導者講習会が12月26〜28日の3日間、福島県のJヴィレッジで開催された。参加したのは32名。なでしこジャパンの大橋浩司監督やナショナルトレセンコーチから直接指導を受けられる機会とあって、参加者は緊張感を持ちつつも、熱気溢れるムードの中で講習を受けた。
まず、ナショナルトレセンの練習を見学した後、実技講習では翌日に行われる予定のトレーニングを実際に体験した。二日目の講習はトレーニングの意図と伝達方法など自分なりの考えと照らし合わせながら見学できるようにカリキュラムが組まれた。
教え方には指導者それぞれの特徴があり、答えがあるものではないが、ユース年代、特にU-15年代の指導者に求められるのは「選手自身に考えさせ、判断させる」こと。つまり重要なのは、選手に課題を「投げかけ」て、「考えさせる」ことなのである。講習会の指導にあたったナショナルトレセンコーチ女子担当チーフの今泉守正氏は言う。「気をつけなければいけないのはこのナショナルトレセンの指導方法がすべてではないということ。ナショナルトレセンはあくまでもヒントであって、すべてコピーすればいいと言うわけではないんです。たとえ同じメニューであっても、それを伝える人によって、雰囲気、球出しのタイミングやテンポなど、違ってくるのは当たり前。それがオリジナリティなんです。どうしてもマニュアルを求めがちですが、実はそれは必要ないことなんです」。
このナショナルトレセンにおいてもテーマとメニューを掲げ、選手を9チームに分けて指導を行ったが、コーチが9人いれば、9通りのトレーニングが展開される。このことは見学時にすぐに感じ取ることが出来るはずである。一つのアプローチの仕方としては、参考レベルで捉え、自らの指導に反映できるものは反映し、アレンジを加えることによってその指導者独自の指導方法が生まれ、選手のレベルによって異なるアプローチをする応用力につながっていくのだと今泉氏は語る。そして、指導者にとって一番重要な要素とはという問いに間髪いれずに戻ってきた答えは"探究心"だった。「もっといいトレーニングがあるんじゃないか――いつも貪欲な気持ちが必要です。サッカーは生きもの。ちょっとしたことでどんどん変わっていきます。いろんなエネルギーを持ち、情報をフォルダにためて、ファイルをたくさん作り続けること。それが一番重要な"探究心"です」。
「監督というのは本当に孤独なもの」と大橋監督は、ナショナルトレセンのレクチャーの中で選手たちに語った。常に決定権を持つ指導者だからこそ、こういった指導者講習会などで横のつながりを築き、指導について様々な意見交換の場を持つ機会が増えれば新しいサッカー観に出会うこともできるかもしれない。そして、それは指導者のレベルアップにとどまることなく、U-15年代のレベルアップにもつながっていくのである。
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