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全日本女子ユース(U-18)選手権 〜常盤木学園が悲願の優勝!(2007年01月12日)〜

全日本女子ユース(U-18)選手権大会の決勝が1月8日、岡山・桃太郎スタジアムで行われ、常盤木学園高等学校が3-1で神村学園高等部を下し、U-18年代の頂点に輝いた。
前日に行われた準決勝で両チームともにPK戦にまでもつれ込む大接戦を制し、決勝の舞台へと駒を進めた。前日の大荒れの天候とは一転、晴れ渡る空のもと、決勝戦のホイッスルが吹かれた。
立ち上がりは神村学園が攻撃に出るが、常盤木DF陣は落ち着いて一つ一つのプレーに対応していく。その流れから主導権を握った常盤木は14分、右サイドから流れてきたボールに熊谷紗希が合わせようとするが、受けきれず。しかし、その直後にFKのチャンスを得る。櫻本尚子のFKに合わせた田中明日菜。ぴたりとタイミングの合ったヘディングシュートが決まり、常盤木が先制する。この得点で完全にエンジンがかかった常盤木は勢いに乗って追加点を狙いにいく。19分、右サイドから森本華江がドリブルで上がり、クロスに與山このみがツメるもこれは相手DFがクリア。それを拾った堀良江がシュートするが、ゴール左へ大きくそれる。33分には後藤三知が左サイドをドリブルで上がり、そのままシュート。ゴールにはならなかったが常盤木は次々とチャンスを作り続けた。押し込まれ気味の神村学園が反撃に出たのは40分を過ぎた頃。これまでもキレのある動きを見せていた高良亮子―堂園彩乃がコンビプレーを見せる。その3分後には堂園、上江洲由夏が立て続けにシュートを放つ。しかし、ここは常盤木の守備陣がよく踏ん張り、ボールを跳ね返す。
前半を終えて、1点のビハインドで後半に臨んだ神村学園は、日頃の走り込みで身につけた運動量で一気に挽回したいところ。池畑辰徳監督は早くも50分で動きを見せる。稲員愛に代えて山根ひかりを送り出す。何とか得点に結び付けようとする神村学園の必死の攻撃だったが、56分、ゴールを奪ったのはまたしても常盤木の方だった。田中のパスに反応した與山が貴重な追加点を挙げる。しかし、神村学園もまだまだ諦めるわけにはいかない。58分、高良がインターセプトし、中央で待つ堂園へ素早くラストパスを送る。早い展開であったが、常盤木DF郷内晴香がこれをクリアする。61分には今度は常盤木が、左サイドから堀がDFのマークにあいながらも上げたクロスに與山が飛び込む。状況は一瞬ごとに変わり、攻守が次々と入れ替わる。68分には常盤木にさらなるチャンスがやってくる。後藤のシュートがポストにはじかれ、田中がこぼれ球を拾って再びシュートを放つがこれはキーパー正面。攻め込まれる嫌なムードを断ち切りたい神村学園は70分、高良が倒されてFKのチャンス。成合瞳の蹴る速いボールに合わせたのは山根だ。しかしボールはゴールの左へそれる。中盤で激しいボールの争奪戦が展開される中、82分に常盤木は熊谷がDF裏へスルーパスを送ると、抜け出た後藤が思い切り右足を振りぬき、ダメ押しの3点目を挙げる。その直後、神村学園はゴール前の混戦からこぼれ出たボールを拾った堂園がゴールを奪って一矢を報いるが、反撃はここまで。3−1で常盤木が勝利し、悲願の優勝を果たした。というのも常盤木は過去にこの大会を含めて全日本高等学校女子選手権など、この年代の大会でことごとく優勝を逃してきた。チームを引っ張ってきたキャプテン田中は「1年のときから試合に出てきて、やっと優勝できました。ここまできたら最後は気持ちだと思った。それが私たちにはあったんだと思います」と素直に優勝を喜んだ。試合終了後、選手らは、声援を送り続けてくれたスタンドへ向かい、チームメイトである後藤が作詞をしたという歌を送った。"信じよう 勇気をもって、信じよう きっと 夢は叶う"―その言葉通り、常盤木は選手全員が"信じる心"を持ち続け、夢を叶えた。


(文/早草紀子)

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