さまざまな人工衛星が地球を周回しています。有名なところではBSのような放送衛星、CS/インテルサットのような通信衛星、ひまわりのような気象衛星などがありますが、全世界のアマチュア無線家のために打ち上げられた、アマチュア衛星も多数あるのです。
「ふじ3号」(FO−29)はJARLが1996年8月17日に打ち上げたアマチュア通信衛星で、地上高度約900〜1,300km上空の極軌道を周回しながら快調に運用しています。多くの衛星通信ファンのみなさんが、ふじ3号を活用して内外のアマチュア局と衛星通信を楽しんでいます。
ふじ3号にはSSB/CWを使って楽しむアナログモードの他に、1200/9600bpsのデジタルモード(アマチュア衛星を使ったパソコン通信モード)も搭載されており、全世界のアマチュア無線家がメール交換を楽しんでいます。 またふじ3号には、FMモードで宇宙からのボイスメッセージを送信してくるデジトーカという機能も搭載されています。
このデジトーカが動作している時は手軽に430MHz帯FMハンディートランシーバーによる受信実験も楽しめます。
また、ふじ3号の先輩衛星である「ふじ2号」(FO-20)もアナログモードを中心に快調に運用中です。 もちろんここで紹介した「ふじシリーズ」以外にも、数々のアマチュア衛星が地球上空を周回中です。現在運用中のアマチュア衛星は次のとおりです。
■しかく主なアマチュア衛星通信に使用する送受信設備■しかく
衛 星 名
送 信 設 備
受 信 設 備
運 用 モ ー ド
AMSAT OSCAR-10
430MHz帯SSB/CW
144MHz帯SSB/CW
アナログモード
AMSAT OSCAR-16
144MHz帯FM
430MHz帯FM
デジタルモード
DOVE OSCAR-17
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430MHz帯FM
デジタルモード
WEBERSAT OSCAR-18
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430MHz帯FM
デジタルモード(画像)
LUSAT OSCAR-19
144MHz帯FM
430MHz帯FM
デジタルモード
FUJI OSCAR-20
144MHz帯SSB/CW
430MHz帯SSB/CW
アナログモード
144MHz帯FM
430MHz帯SSB
デジタルモード(1200bps)
UoSAT OSCAR-22
144MHz帯SSB
430MHz帯SSB
デジタルモード
KITSAT OSCAR-23
144MHZ帯FM
430MHz帯FM
デジタルモード
KITSAT OSCAR-25
144MHZ帯FM
430MHz帯FM
デジタルモード
AMRAD OSCAR-27
144MHz帯FM
430MHz帯FM
デジタルモード
FUJI OSCAR-29
144MHz帯SSB/CW
430MHz帯SSB/CW
アナログモード
144MHz帯FM
430MHz帯SSB
デジタルモード(1200bps)
144MHz帯FM
430MHz帯FM
デジタルモード(9600bps)
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430MHz帯FM
デジトーカ
RS-10
144MHz帯SSB/CW
28MHz帯SSB/CW
アナログモード
RS-12
21MHz帯SSB/CW
28MHz帯SSB/CW
アナログモード
21MHz帯SSB/CW
144MHz帯SSB/CW
アナログモード
RS-15
144MHz帯SSB/CW
28MHz帯SSB/CW
アナログモード
RS-16
144MHz帯SSB/CW
28MHz帯SSB/CW
アナログモード
みなさんも、地上局同士の交信では味わうことができない、受信信号音の独特の変化やエコーのようにちょっと遅れて返ってくる自分の声を聞いてみると、衛星通信の不思議な魅力にとりつかれてしまうはずです。
また、宇宙通信をさらに壮大なスケールで楽しむものとして、月面反射通信(EME=Earth Moon Earth)があります。地球から月面に電波を当てて、その反射を利用して海外のアマチュア局と交信してしまおうというものです。ここまでくると、非常に高度な技術を要しますが、本当に夢いっぱいな楽しみ方です。
好奇心旺盛なみなさんは、ぜひアマチュア衛星通信に挑戦してみてください。