2025年10月9日に発表された米国のニュースマガジン「TIME」による「TIME Best Inventions 2025」に、本学 大学院情報理工学系研究科 知能機械情報学専攻 竹内 昌治 教授(本所 学内クロスアポイントメント 特任教授)の研究室成果「培養チキン」が選出されました。
TIME Best Inventions 2025
University of Tokyo lab-grown chicken - Nugget of innovation
TIMEが毎年発表する「TIME Best Inventions」は、革新的な発明を世界中から選出する特集です。今年は、私たちの生活を変える卓越した300の発明が選出されました。選考は、独創性や実効性、壮大さ、社会的インパクトなどの複数の観点から行われています。
培養チキンは、未来の可能性を示すコンセプト発明やプロトタイプを集めた「Experimental」のカテゴリーで紹介されました。
[画像:20251010time-best-innovations750.jpg]
研究成果の培養チキン
竹内 昌治 教授の研究室による培養チキンについての研究成果は、2025年4月16日に「Trends in Biotechnology」で発表され、多くのメディアでも取り上げられました。この研究成果は、高品質な培養肉の生産技術の発展に貢献するだけでなく、人工臓器の作製やバイオハイブリッドロボットへの応用も可能で、さらに創薬や再生医療といった分野での新たな展開も期待されています。
○しろまる参考記事:
「内部まで生きたまま!分厚い培養肉の構築に成功 ―栄養物質の内部灌流による大型培養肉の作製方法を開発―」(本学 大学院情報理工学系研究科 2025年4月16日プレスリリース)
○しろまる竹内 昌治 教授*1(本所 学内クロスアポイントメント 特任教授)のコメント:
TIME Best Inventions 2025に選出され、思いがけない知らせに驚くとともに、大変光栄に思います。
私たちは、三次元組織工学の技術を活用し、次世代の食肉である培養肉の開発に取り組んできました。今回の成果は、研究室の聶銘昊(ニエ・ミンハオ)先生(大学院情報理工学系研究科 知能機械情報学専攻 竹内・ニエ研究室 講師)による研究で、培養肉が厚くなると内部まで栄養が届かなくなるという課題を、透析などに用いられる中空糸をアレイ状に多数配置した培養リアクタの開発によって解決したものです。これにより、内部までしっかりと細胞が成長した厚みのある培養肉の実現に大きく近づきました。
今後も、こうした基礎研究を重ねながら、安全でおいしい培養肉の実用化を目指して研究を進めてまいります。
*1:竹内教授は、本学のクロスアポイントメント制度により大学院情報理工学系研究科の教授と本所の特任教授を務めています。