雪 虫 65句
雪虫や牛には温きもの啖はせ 榎本冬一郎
奥飛騨に来て雪虫の無尽蔵
松山律史
船団
199811
いつか雪虫飼ひ慣らすほどの自恃
田中亜美
海程
199902
暮れてきし雪虫青くなつてきし
白幡千草
円虹
199912
たはむれに雪虫を吹く口さびし
堀江かつみ
槐
200001
雪虫の屯してゐる番屋跡
田村すゝむ
風土
200011
雪虫や雲の流れの早くなり
室田美代子
いろり
200101
雪虫のとんで善光寺日和かな
立石萌木
雨月
200102
音符なき雪虫ふはと方位盤
内山道子
京鹿子
200103
雪虫や髪染めにゆく夏目坂
後藤志づ
あを
200201
雪虫の百の眼がある待ち合はせ
利根川妙子
苑
200204
雪虫にふはりかはされ立ち尽す
森理和
あを
200205
雪虫やおほせとあればどこなりと
須佐薫子
帆船
200302
オカリナのあたり雪虫よつてくる
木山杏理
京鹿子
200303
雪虫となる染糸の紺雫
岡本まち子
馬醉木
200401
雪虫に迎へらるごと尾根の道
米沢貞子
濱
200401
雪虫に邪魔されゐるひぐれ道
豊田都峰
京鹿子
200402
雪虫の返す光や日暮前
北島上巳
酸漿
200402
雪蟲の目の前に浮く朝の酒
佐藤喜孝
あを
200407
雪虫の舞ふや山小屋鎖さるる
宮坂幸次郎
帆船
200502
雪虫の滑りて消ゆる金毛閣
大島翠木
槐
200503
雪虫や無にも空にもなれずをり
長沼三津夫
朝
200505
雪虫の宙返りする小半日
川口松生
集
200507
雪虫がみてる嗽ののどぼとけ
小野寺節子
風土
200603
雪虫のまぎるるとなく日矢の射す
桑田青虎
ホトトギス
200605
拝み掌につかむ雪虫即是空
山元志津香
八千草
200607
雪虫を喰つて鴉の罪つくり
鈴鹿仁
京鹿子
200703
雪虫の離れがたきは知命たり
鈴鹿仁
京鹿子
200802
鉱山の灯の消えて雪虫灯をともす
高瀬志ず江
風土
200802
指先に綿を残して雪虫去る
福井久生
濱
200802
紫の袈裟掛け地蔵に雪虫舞ふ
木村ひろ美
濱
200802
雪虫は冬の桜に狂ひけむ
大島翠木
槐
200803
注連売女雪虫の舞ふ路地に来る
高橋正彦
濱
200803
雪虫やきのふもひぐれに逢ひもして
豊田都峰
京鹿子
200901
散歩道雪虫まるでストーカー
塩路五郎
璦
200902
雪虫の飛んでをりけり牧はるか
中貞子
槐
200902
雪虫を惹く粗ごみの桐箪笥
品川鈴子
ぐろっけ
200903
雪虫飛ぶたましひ色の綿抱き
梶川智恵子
沖
200905
雪虫の探しあぐねて朝臣寺
和田照海
京鹿子
201003
雪虫の舞ふ上になり下になり
岩下芳子
槐
201003
雪虫に会はむと来る阿彌陀堂
小坂優美子
馬醉木
201005
雪虫の流されてまた抗へり
原田達夫
鴫
201102
ふらふらときて雪虫に掴まれり
久津見風牛
槐
201104
雪虫のやうに漂ふ遺されて
横井博行
万象
201104
雪虫や校舎の北の土湿り
鳳蛮華
空
201104
初めての雪虫子らに教えらる
宮脇百百子
苑
201105
雪虫に音なく囲まれ北の宿
陽山道子
船団
201203
雪蟲かとこゑをかくればゐなくなり
佐藤喜孝
あを
201302
雪虫やこだはり捨てて遠会釈
土居通子
ろんど
201303
雪虫や村の外れに水の神
土井三乙
風土
201306
雪虫這ふ己の青き影の上
土井三乙
風土
201306
雪虫の舞ふ日七曜くづれだす
鈴鹿仁
京鹿子
201312
多感なる少女に舞へり雪虫は
平子公一
馬醉木
201401
雪虫や四面楚歌なる夕間暮れ
上家弘子
ろんど
201402
雪虫や越後の海の曇りぐせ
田村すゝむ
風土
201403
隠国の雪虫に手をさしのべし
浜口高子
火星
201404
光芒を引く雪虫や祷りのとき
水野恒彦
槐
201504
雪虫を食つて鴉の罪つくり
鈴鹿仁
京鹿子
201512
屯田碑貧し雪虫飛び来る
佐藤哲
万象
201702
三千大千世界(みちおほち)雪虫紡ぐ生死かな
平野多聞
槐
201805
流木やひとり雪虫追うてゐる
鈴鹿呂仁
京鹿子
201904
雪虫を知った日のこと話そうよ
太田沙良
瓔
202003
雪虫の不意に現はれ掌
杉山弥生
末黒野
202104
雪虫や雁木の町は戸を閉ぢて
中村洋子
風土
202105
手囲ひの雪虫の胴ひすい色
三好康子
風土
202201