水底の苔に日の射す余寒かな
住田千代子
六花
202006
男ひとり鯛焼きを食ぶ余寒かな
小島昭夫
春燈
202007
余寒来るたましひを抜かれぬよふに
高貴美子
瓔
202007
余寒なほ両手につつむ朝の白湯
武藤節子
やぶれ傘
202007
硯箱あけて向き合ふ余寒かな
山田佳乃
ホトトギス
202008
気管支より肺へ伝はりゆく余寒
篠田純子
集
202009
余寒とは心づもりの中にあり
稲畑汀子
ホトトギス
202102
傷癒えよ癒えよ余寒をいとはれて
稲畑汀子
ホトトギス
202102
昨日とは又違ひたる余寒かな
稲畑汀子
ホトトギス
202102
余寒にも心を置きて客まうけ
稲畑汀子
ホトトギス
202102
朝の間のいつまで続く余寒かな
稲畑汀子
ホトトギス
202102
館の庭走り根にある余寒かな
稲畑廣太郎
ホトトギス
202102
大川の波尖らせてゐる余寒
稲畑廣太郎
ホトトギス
202102
銀の波鉄の船余寒
稲畑廣太郎
ホトトギス
202102
余寒なほわけても風のほとけ道
増成栗人
鴻
202104
余寒かなスー・チーさんの髪飾り
須賀敏子
あを
202104
世界地図の疫増やしゆく余寒かな
関道子
春燈
202105
捨て難き衣も余寒の芥袋
鈴木石花
風土
202105
袖口をぐぐつと伸ばす余寒かな
岡美智子
末黒野
202105
警策の響き鋭き余寒かな
道端齊
沖
202105
廻廊に波音寄する余寒かな
道端齊
沖
202105
一振りの軍刀を抱く余寒かな
阿部眞佐朗
沖
202105
母のあと子が自転車で追ふ余寒
泉一九
やぶれ傘
202105
余寒てふ妙義山の放つ神気かな
澤田英紀
沖
202106
古伊万里の藍を深むる余寒かな
山岡純子
沖
202106
稿の想浮かばぬ夜の余寒かな
山西商平
ホトトギス
202107
俳磚の文字より余寒解けゆく
稲畑廣太郎
ホトトギス
202202
十指みな余寒の爪を鎧ひけり
辻美奈子
沖
202204
鳴き龍に柏手ひとつ余寒なほ
本池美佐子
沖
202204
袖口をぐぐつと伸ばす余寒かな
岡美智子
末黒野
202204
最終のメトロにふたり余寒なほ
鈴鹿呂仁
京鹿子
202204
地下を出て余寒の街に道を聞く
松本鷹根
京鹿子
202204
砂山のくづれ余寒の風の中
井尻妙子
京鹿子
202204
「展覧会の絵」を聞き比ぶ余寒の夜
赤座典子
あを
202204
洛北の余寒の寺や人見えず
安原葉
ホトトギス
202205
余寒きびし音の絶えたる岩の庭
松山三千江
春燈
202205
大時計の捻子まく音の余寒かな
浅木ノヱ
春燈
202205
余寒なほ小さき影揺る心字池
後藤眞由美
春燈
202205
四つ角の道それぞれの余寒かな
中村重幸
沖
202205
ワクチン三度老若男女余寒なほ
宮坂秋湖
沖
202205
不退寺の業平像や古都余寒
小嶋紘一
末黒野
202205
刺抜きを指に滑らす余寒かな
平田きみ
末黒野
202205
ごつごつと木肌の乾く余寒かな
森田節子
風土
202205
先生の席ひとつ空く余寒かな
藤井啓子
ホトトギス
202206
ごみに来る烏追ひかけ街余寒
奥田温子
やぶれ傘
202206
余寒なほ腰の恙に八つ当り
亀井福恵
京鹿子
202206
選り好みの猫の餌皿余寒あり
吉岡知香
京鹿子
202206
余寒かな遅れぐせつく置時計
磯部恵美子
京鹿子
202206
余寒なほセコイアの幹隆々と
山岸明子
鴻
202206
白鳩の群るる神木余寒なほ
加藤静江
末黒野
202206
コピー機の壊るる夜の余寒かな
新倉ゆき江
末黒野
202206
余寒なほ副反応を怖れをり
畑田久美子
鴻
202210
汀子邸水音にある余寒かな
稲畑廣太郎
ホトトギス
202302
彼の人の消息聞くも余寒かな
稲畑廣太郎
ホトトギス
202302