吾亦紅 5 100句
此秋もわれもかうよと見て過ぎぬ 白雄
乱れゐて乱れ無かりし吾亦紅
山尾玉藻
火星
201410
野にだれもゐないひぐれの吾亦紅
豊田都峰
京鹿子
201411
父の書に出合ひたる幸吾亦紅
大橋晄
雨月
201411
我儘を諭す父母無し吾亦紅
杉田福
璦
201412
好もしや引立て役の吾亦紅
小菅礼子
春燈
201412
吾亦紅著名文士の墓の脇
久世孝雄
やぶれ傘
201412
壺に活けて侘びの心髄吾亦紅
水野節子
雨月
201412
幼さの消えてゆく子や吾亦紅
齋藤晴夫
春燈
201412
六甲山の霧に重たき吾亦紅
栗山恵子
雨月
201412
うかと来て忌中の札や吾亦紅
田中臥石
末黒野
201412
本心は秘めたるままや吾亦紅
松井季湖
瓔
201412
それぞれの岬に名前吾亦紅
齋藤厚子
鴫
201501
腕力を誇りし昔吾亦紅
吉村摂護
空
201501
山を越えトンネルを抜け吾亦紅
野畑さゆり
空
201501
散ることを知らで色濃き吾亦紅
宮内とし子
沖
201501
遥かなる思ひ出確か吾亦紅
内山照久
沖
201501
山下る手に四五本の吾亦紅
千葉惠美子
末黒野
201501
聡明な人は静かに吾亦紅
太田チヱ子
末黒野
201501
吾亦紅行器(ほかい)を供に奈良の旅
加藤タミ
末黒野
201501
吾亦紅水にひかりのありにけり
雨村敏子
槐
201501
床の間に野山の匂ひ吾亦紅
竹中一花
槐
201501
漢持つ花束にある吾亦紅
中田禎子
槐
201501
吾亦紅縋るものなき風通す
吉田順子
槐
201501
腕力を誇りし昔吾亦紅
吉村摂護
空
201502
点と線孤独なりけり吾亦紅
寺田すず江
明日葉
201505
吾亦紅ゆれて残照わかち合ふ
白神知恵子
女坂
201508
故里は何処かと尋ね吾亦紅
大日向幸江
あを
201510
こくうすく朝靄ながれ吾亦紅
大室恵美子
春燈
201511
吾亦紅白河郷に奔放に
大橋晄
雨月
201511
玉堂の筆と硯と吾亦紅
酒本八重
沖
201512
残照にいよよ焦げたる吾亦紅
清部祥子
沖
201512
吾亦紅母の残せし花鋏
石川倜子
馬醉木
201512
先導の僧の笑顔や吾亦紅
林紀夫
春燈
201512
かたまつて兄弟姉妹吾亦紅
上原重一
峰
201512
焼杉の黒壁の家吾亦紅
中島玉五郎
峰
201512
木道の新の継ぎ板吾亦紅
森清堯
末黒野
201512
吾亦紅挿して一日書に籠る
金森教子
雨月
201512
吾亦紅つんと孤独に咲きゐたり
細川コマヱ
雨月
201512
卓に置かれ黙深めたる吾亦紅
片山喜久子
雨月
201512
雑草に小さき見栄はる吾亦紅
黒澤登美枝
峰
201601
山坂のあり処さだかや吾亦紅
堺昌子
末黒野
201601
活けられて存在感の吾亦紅
安原葉
ホトトギス
201602
いまがいい時吾亦紅がいつぱい
雨村敏子
槐
201602
花にしてぶっきらぼうの吾亦紅
稲岡みち子
雨月
201602
吾亦紅茅屋集落保存地区
稲岡みち子
雨月
201602
吾亦紅子の擦りむきし膝乾く
升田ヤス子
玫瑰
201604
揺るる丈揺れざる丈の吾亦紅
稲畑廣太郎
ホトトギス
201607
野の色を和らげてゐる吾亦紅
稲畑廣太郎
ホトトギス
201609
吾亦紅には吾亦紅なりの訳
稲畑廣太郎
ホトトギス
201609
風だけに気付かれてゐる吾亦紅
稲畑廣太郎
ホトトギス
201609
吾亦紅忌日の束に加はりぬ
稲畑汀子
ホトトギス
201609
吾亦紅大津皇子に捧げたる
加藤みき
槐
201610
高原の風にひと息吾亦紅
渡辺絹代
末黒野
201611
野の風の変はりやすきや吾亦紅
都丸美陽子
春燈
201611
頬染めて恋のだんまり吾亦紅
鈴木撫足
春燈
201611
口癖に疲れると言ふ吾亦紅
黒澤佳子
あを
201611
愛に飢ゑ情に溺れて吾亦紅
藤岡紫水
京鹿子
201611
山の日のしみじみと差し吾亦紅
吉田順子
槐
201611
吾亦紅声をよせあふ峠口
箕輪カオル
鴫
201612
野の風の句座にも吹きて吾亦紅
森幸
雨月
201612
草庵を模したる蕎麦屋吾亦紅
瀬島洒望
やぶれ傘
201701
六道の辻吹く風や吾亦紅
犬塚李里子
槐
201701
吾亦紅小説にある点と線
江見巌
六花
201701
吾亦紅別れとなりしあの頃や
赤松赤彦
六花
201701
吾亦紅持ち味出せと言はれても
田村園子
鴫
201701
吾亦紅いよよいとほし名を聞くに
水谷保子
雨月
201701
吾亦紅いつもどこかが手暗がり
河西志帆
京鹿子
201702
広野にも風のほそみち吾亦紅
長谷川信也
万象
201702
農穣の野末に凛と吾亦紅
矢崎すみ子
沖
201702
吾亦紅揺れ草原の句読点
稲畑廣太郎
ホトトギス
201709
吾亦紅榛名の風を饒舌に
稲畑廣太郎
ホトトギス
201709
犬鳴いてをり吾亦紅暮れきつて
大崎紀夫
やぶれ傘
201711
くすみたるいろ上品の吾亦紅
丸尾和子
雨月
201711
沼へ行く近道は右吾亦紅
田中藤穂
あを
201711
行列の出来る売店吾亦紅
溝渕弘志
六花
201712
またの世も会ひたきものを吾亦紅
杉本薬王子
風土
201712
底なしの闇の色秘め吾亦紅
中根美保
風土
201712
天日は炎えてもしづか吾亦紅
吉田順子
槐
201712
捨て舟の底に根を張る吾亦紅
田村園子
鴫
201712
思秋期と言ふあらば今吾亦紅
千田百里
沖
201712
吾亦紅手折るや遠き日が其処に
中里よし子
春燈
201712
美醜とは神の手の内吾亦紅
呂秀文
春燈
201712
吾亦紅おじぎ交はしてそれつきり
辻響子
瓔
201712
吾亦紅われも俳句に生かされて
浜田久美子
六花
201712
吾亦紅過疎の暮色を深めけり
小山繁子
春燈
201801
地方紙と夫の摘みたる吾亦紅
杉原ツタ子
槐
201801
吾亦紅ほつほつ揺れて親ばなれ
村田あを衣
京鹿子
201801
ふり向かぬ淋しさに似て吾亦紅
北村梢
京鹿子
201801
吾亦紅の纏ふ暮色に安住す
山中志津子
京鹿子
201801
山影は裾より鋳びぬ吾亦紅
布施政子
馬醉木
201801
吾亦紅野にあるときの吾亦紅
雨村敏子
槐
201801
焦点を定め難しよ吾亦紅
大橋晄
雨月
201801
夕暮の寺の匂ひや吾亦紅
岸洋子
空
201802
吾亦紅ばかりとなりし淋しさよ
中杉隆世
ホトトギス
201802
人生の午後を豊かに吾亦紅
及川照子
末黒野
201804
水音がそこだけ消えて吾亦紅
片山煕子
京鹿子
201812
2021年11月13日
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