吾亦紅 3 110句
赤きものつういと出でぬ吾亦紅 高浜虚子 ザ・俳句
今生に実家なき身や吾亦紅
今井松子
遠嶺
200712
ひかへ目の色に咲きけり吾亦紅
細川コマヱ
雨月
200712
控へ目を旨と生き来し吾亦紅
久保田雪枝
雨月
200712
風にゆれ人の手にゆれ吾亦紅
伊藤一枝
酸漿
200712
吾亦紅恋せし日々を思ひけり
中緒和子
酸漿
200712
汚点なく濁点もなく吾亦紅
岩垣子鹿
ホトトギス
200801
吾亦紅ひとりひとりとなりしかな
中杉隆世
ホトトギス
200801
五カ国語飛び交ふドーム吾亦紅
遠藤逍遙子
風土
200801
吾亦紅影の手となり祷りかな
木山杏理
京鹿子
200801
日日かざる気配もなくて吾亦紅
村田冨美子
京鹿子
200801
わたくしと乾いてをりぬ吾亦紅
鳥羽夕摩
京鹿子
200801
吾亦紅高く吹かるる花野かな
手島南天
万象
200801
傾きて風には揺れぬ吾亦紅
今井千鶴子
ホトトギス
200802
母の背は日溜り野べの吾亦紅
遠藤和彦
遠嶺
200802
分身とあふぐ行雲吾亦紅
大谷茂
遠嶺
200802
吾亦紅控へ目といふ目立つもの
稲畑汀子
ホトトギス
200809
紅差して夜のまどゐや吾亦紅
稲畑汀子
ホトトギス
200809
近づけば野に紛れたる吾亦紅
稲畑汀子
ホトトギス
200809
ゲレンデの風走りくる吾亦紅
山尾玉藻
火星
200809
カトリックの婆住む背戸に吾亦紅
松崎鉄之介
濱
200810
リハビリのお釜は熱し吾亦紅
竹内悦子
槐
200811
壺にありて野路誘へる吾亦紅
足立典子
雨月
200811
不況の世茶花に流行る吾亦紅
松崎鉄之介
濱
200811
かく細ききづな脈々吾亦紅
北川英子
沖
200811
夕焼のさびしくなりぬ吾亦紅
早崎泰江
あを
200811
吾亦紅人知れずいま花になる
鎌倉喜久恵
あを
200811
愛犬が生甲斐なのと吾亦紅
須賀敏子
あを
200811
散ることを忘じてをりぬ吾亦紅
黒澤登美枝
峰
200812
奥飛騨の日暮は寂し吾亦紅
安達風越
雨月
200812
語りかく友の愛でにし吾亦紅
前川千恵子
雨月
200812
風かよふところに出でて吾亦紅
柿沼盟子
風土
200812
吾亦紅無人となりし里の駅
先崎きくよ
酸漿
200812
この先も踏分け径や吾亦紅
田岡千章
空
200812
吾亦紅花の盛りを見失ふ
黒澤登美枝
峰
200901
縄文の土器に添へられ吾亦紅
有賀昌子
やぶれ傘
200901
吾亦紅閉店ビラに感謝の辞
岩藤礼子
やぶれ傘
200901
吾亦紅かはたれ時の鳥のこゑ
有賀昌子
やぶれ傘
200901
本郷に明治の余韻吾亦紅
半田卓郎
遠嶺
200902
長病みの夫の愛しや吾亦紅
木田千女
狩
200902
日本語よし藤袴吾亦紅
上崎暮潮
ホトトギス
200903
その中に好きな花あり吾亦紅
吉原一暁
狩
200903
文人も時に気まぐれ吾亦紅
北畠明子
ぐろっけ
200903
去るものは追はずと揺るる吾亦紅
斉藤敬子
火星
200904
吾亦紅より吾亦紅までの距離
稲畑廣太郎
ホトトギス
200909
一意もて雲は流るる吾亦紅
鈴鹿仁
京鹿子
200909
吾亦紅四方の山より雲生まれ
片山由美子
狩
200910
吾亦紅高く吹かるる花野かな
手島南天
万象
200801
一意もて雲は流るる吾亦紅
鈴鹿仁
京鹿子
200909
吾亦紅花舗は銀座の四丁目
伊藤敬子
笹
200910
吾亦紅錫杖として辻地蔵
豊田都峰
京鹿子
200911
吾亦紅見入つてをればほとけの目
沼田巴字
京鹿子
200911
吾亦紅秘めゐてなほも燃ゆる色
和泉重一
笹
200911
風穴のかすかな噴気吾亦紅
岡田のり子
笹
200911
点点点脇に徹して吾亦紅
木村茂登子
あを
200911
この墓の遠き縁や吾亦紅
有働亨
馬醉木
200912
吾亦紅無口な人の片ゑくぼ
前川ユキ子
璦
200912
人泣かせ我を通しけり吾亦紅
田中春生
狩
200912
控へ目といふ佳き言葉吾亦紅
和田孝村
春燈
200912
吾亦紅色整うてより寂し
安部和子
雨月
200912
一徹の彩とおぼしき吾亦紅
丸尾和子
雨月
200912
素なる目に素なる心や吾亦紅
足立典子
雨月
200912
いささかの自負あやふかり吾亦紅
北川孝子
京鹿子
200912
供華はみな庭より今朝は吾亦紅
石坂比呂子
ろんど
200912
晩ねんの大事な一日吾亦紅
菅野雅生
ろんど
200912
吾亦紅咲き初めし頃君召さる
坂口三保子
ぐろっけ
200912
水占に病ひ重しと吾亦紅
鈴木浩子
ぐろっけ
200912
水の辺のあたり明るし吾亦紅
渡邊美保
火星
200912
たてがみを収めし馬や吾亦紅
柴田佐知子
空
201001
吾亦紅眺めてしばし過去未来
千坂美津恵
苑
201001
山風の吹き変りたる吾亦紅
岡田史女
末黒野
201001
暮れ際の日差しを捉へ吾亦紅
乙坂きみ子
末黒野
201001
どの山の返す谺か吾亦紅
饗庭悳子
末黒野
201001
言霊はくれなゐならず吾亦紅
大島翠木
槐
201001
吾亦紅身は吹かれつつ真つ直ぐに
中野京子
槐
201001
山颪す風になびける吾亦紅
羽田岳水
馬醉木
201001
吾亦紅一碧空を明るうす
沼田巴字
京鹿子
201001
垣根など結はぬ集落吾亦紅
村上幸子
京鹿子
201001
喪の家に夕日ひととき吾亦紅
村上幸子
京鹿子
201001
膝がしら見せてお小言吾亦紅
近藤倫子
ぐろっけ
201001
安心のくれなゐ深き吾亦紅
水谷芳子
雨月
201002
吾亦紅亡夫の遺せる定期入れ
佐竹千代
やぶれ傘
201002
万葉の野をつれてくる吾亦紅
木山杏理
京鹿子
201003
吾亦紅をんな心につれなかり
増田一代
璦
201011
溢れるほど吾亦紅活けなほ淋し
北川英子
沖
201011
人間の深みのいろに吾亦紅
望月木綿子
沖
201011
吾亦紅おぼつかなくも触れ合はず
山尾玉藻
火星
201011
吾亦紅潮の香とどくところにも
國保八江
やぶれ傘
201011
なにもせずひとつ揺れをり吾亦紅
森屋慶基
風土
201011
吾亦紅花野の風の道の中
伊藤いな栄
酸漿
201011
言ひたきを呑む淋しさや吾亦紅
大松一枝
璦
201012
野にあれば我も野のもの吾亦紅
松本三千夫
末黒野
201012
自づから湖に向く足吾亦紅
黒滝志麻子
末黒野
201012
赴任地も第二の故郷吾亦紅
石田玲子
苑
201012
喪返しのコーヒーカツプ吾亦紅
久米なるを
鴫
201012
風の姿に活けて茶席の吾亦紅
四方由紀子
風土
201012
吾亦紅母を称ふる歌捧ぐ
池田光子
峰
201012
綾子の忌壺に鶏頭吾亦紅
阿部すず枝
万象
201012
京の野よりはるばる句座へ吾亦紅
大橋晄
雨月
201012
六甲の日に焦げ色の吾亦紅
磯野しをり
雨月
201012
いつしかに雨ほつほつと吾亦紅
清水侑久子
璦
201101
言葉なき家の淋しさ吾亦紅
吉田晴子
璦
201101
器用とはいへぬ生きざま吾亦紅
片山博介
春燈
201101
真直ぐなる所が魅力吾亦紅
堀百合子
苑
201101
日の暮の迫る谷戸道吾亦紅
福田房子
末黒野
201101
枯れてなほ風を誘ふ吾亦紅
上原重一
峰
201101
枝先にこだはりためて吾亦紅
能美昌二郎
沖
201101
枯れそめてなほ咲く力吾亦紅
今村征一
ホトトギス
201102
沈黙は寡黙にあらず吾亦紅
岸田爾子
苑
201102
昏みつつ鋒の音して吾亦紅
木山杏理
京鹿子
201102
姥が指す商家の系図吾亦紅
鈴木浩子
ぐろっけ
201102
桂子さんにもどこか似て吾亦紅
稲畑汀子
ホトトギス
201109
種こぼすこと堪へゐる吾亦紅
山尾玉藻
火星
201110
2021年11月3日
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