心解く時くれといふ雨水かな 小島一恭 獐
七十二候 二月十九日頃
黄衣の袖に触れたる雨水かな
今木偉郎
槐
199805
山の日の変はりやすくて雨水の日
野澤あき
火星
199905
泊船の昼から灯す雨水かな
能村研三
沖
199905
竹炭に竹の斑のある雨水かな
今木偉郎
槐
199906
パチパチと飯蒸しあがり雨水かな
秋山深雪
船団
199907
単身赴任雨水の暦めくりけり
広渡敬雄
遠賀川
199909
鶏鳴きは男の子もしたり雨水村
丸山海道
海道全句集
199910
名物の芋菓子買へり雨水の日
平しげる
酸漿
200004
五十日祭なごやかにして雨水かな
大塚洋子
酸漿
200005
しづもりて砂丘はそだつ雨水かな
あべりち
銀化
200005
残雪は白点となり今日雨水
林翔
沖
200104
雨水かな花壇の煉瓦組みなほし
赤川孝子
沖
200105
切株のまだあたらしき雨水かな
能村登四郎
羽化
200110
雨水とて申し訳めく雨ありぬ
能村登四郎
羽化
200110
書道部が墨擦つてゐる雨水かな
大串章
百鳥
200204
藁焼きてをるや雨水の桐畠
雨村敏子
槐
200205
草色の池に雲置く雨水かな
万城希代子
槐
200205
みづうみは鏡の如し雨水けふ
中川悦子
酸漿
200205
畦土の緩みそめたる雨水かな
田崎凛
春耕
200205
和菓子屋にシスターがゐてけふ雨水
能村研三
沖
200303
酒呑みにココア勧める雨水かな
高沢昌江
ぐろっけ
200305
大楠へ交々に鳥来て雨水
野口喜久子
ぐろっけ
200306
浸け置の鍬の凍りし雨水かな
長田秋男
酸漿
200405
桑畑の径をゆきたる雨水かな
大野信子
草の花
200405
杭の頭の波かぶりたる雨水かな
生田恵美子
風土
200405
仏手柑のやはらかくなる雨水かな
永田二三子
酸漿
200406
深入りす雨水のころの野となれば
豊田都峰
京鹿子
200504
混凝土の打ち込みつづく雨水の日
竹内弘子
あを
200504
鯉の水輪重なり合へる雨水かな
三関浩舟
栴檀
200505
どの幹となく濡れてゐる雨水かな
篠田たもつ
対岸
200505
リハビリの一歩動きし雨水かな
田代ヨシ
河鹿
200506
屋根雪の雨水の水が樋を出づ
田中武彦
六花
200506
花籠一つ届いて雨水なり
小林晋子
集
200507
大楠に身をあづけおり雨水かな
川越静子
集
200508
万屋に花種ならぶ雨水かな
滝沢伊代次
万象
200602
砂洲にある黒松讃へ雨水かな
能村研三
沖
200603
老母に炊きし粥あり雨水の日
八木岡博江
酸漿
200605
納屋積みの薯の芽伸ぶる雨水かな
鈴木漱玉
馬醉木
200606
川の面の波立ちゐたる雨水かな
大野崇文
狩
200606
都府楼や雨水にけぶる万葉碑
宮森毅
六花
200607
たしかめるための補聴器雨水かな
桑原泰子
八千草
200608
天地にきほひありける雨水かな
方近藤きくえ
槐
200705
高齢免許止めむか雨水過ぎてけり
伊藤白潮
鴫
200803
心和ぐ明日は雨水と聞きしより
水原春郎
馬醉木
200804
月影と家路をたどる雨水かな
松村光典
やぶれ傘
200805
竹藪に雪けむり立つ雨水かな
河崎尚子
火星
200805
買物のあれやこれやも雨水かな
松浦洋子
酸漿
200805
悠々と雲の行きたる雨水かな
島谷征良
風土
200806
土に囲ふ牛蒡芽を出す雨水かな
滝浪紀久子
万象
200807
白鳥徳利の首に指当つ雨水かな
吉弘恭子
あを
200904
鳥の口大きくひらく雨水かな
壬生きりん
炎環
200905
菜箸の先に焦げあり雨水の日
平野みち代
鴫
200905
雨水なる夕刊が来る深空かな
中山純子
万象
200905
見た目にも鴨減つてゐる雨水かな
岩木茂
風土
200905
箸置きの魚の尾立ちし雨水かな
本多滋子
春燈
200905
更けてより雨水に一日遅き雨
仙石君子
雨月
200905
瓦屋に瓦積まるる雨水かな
杉浦典子
火星
200905
孟宗の肌滑らかに雨水かな
鷹崎由未子
春燈
200905
空き瓶の回収日なりけふ雨水
山本久江
鴫
200907
牛小屋は日の香ゆたかや雨水の日
落合きくゑ
酸漿
201004
空海の二の腕太き雨水かな
栗栖恵通子
槐
201005
雨水今日雀のあそぶ潦
菅野蒔子
末黒野
201005
配達の封書の重き雨水かな
竹内慶子
春燈
201006
紙縒よる指の湿りも雨水かな
千田敬
沖
201104
燭ゆらぐ雨水の杜の観世音
浜福惠
風土
201105
牛乳のうすきまくとる雨水かな
小野口正江
末黒野
201105
滔々と水迸る雨水かな
大橋伊佐子
末黒野
201105
手を合わせ雨水生れ円吾が命
八木紀子
ぐろっけ
201106
雨水なりひとり山野を身内とす
豊田都峰
京鹿子
201204
けぶりゐる筑波の二峰雨水かな
山本無蓋
鴫
201205
低きへと烏集まる雨水かな
松原三枝子
万象
201205
銭湯の溝に湯気立つ雨水かな
井村和子
風花
201206
けふ雨水軒の雀のにぎにぎし
野上智恵子
万象
201206
雨水にてほころび初むる梅林
早川周三
ぐろっけ
201207
雨水かな花壇の土のくろぐろと
有賀昌子
やぶれ傘
201209
譲らるる席に雨水の温みかな
川崎真樹子
春燈
201304
松笠を蹴つて雨水の土の色
加藤翅英
京鹿子
201305
温床の苗手探りに今日雨水
内海良太
万象
201305
錆色の鍬を打ちこむ雨水かな
三輪慶子
ぐろっけ
201305
雨だれの雨水の気なり大手門
川井秀夫
ろんど
201305
けふ将に大地潤す雨水かな
小原登志春
雨月
201305
草庵に苔のふくらむ雨水かな
川村清子
馬醉木
201306
けふ雨水人も車も通らざり
山田愛子
璦
201405
出し昆布のふくらんでゐる雨水かな
田所節子
沖
201405
果樹園に枝焚く煙雨水かな
河原昭子
万象
201406
雨水かな納戸の奥の灯りゐし
緒方佳子
火星
201406
鳩の喉まるく膨らむ雨水かな
吉田葎
空
201407
桐の木のふつと匂へる雨水かな
高橋あさの
沖
201504
仕事の愚痴を洩らしゐる夫雨水の夜
篠田純子
あを
201504
綿雲の空に眩しき雨水かな
塩田博久
風土
201505
獺に会うてもみたし今日雨水
川村亘子
末黒野
201505
消防車雨水の水で洗はれし
熊川暁子
槐
201505
雨水とて草木虫魚勢ひたる
奈辺慶子
雨月
201505
雨水日の誕生の娘にカード書く
伊吹之博
京鹿子
201506
平信と記せる便り雨水かな
丹羽武正
京鹿子
201506
果樹園に枝焚く煙雨水かな
河原昭子
万象
201508
腰強き釜揚うどんけふ雨水
能村研三
沖
201604
ふつくらと豆が水吸ふ雨水かな
田所節子
沖
201604
雨水今日ふくらんでゐる飛鳥山
田中藤穂
あを
201604
牡丹雪降り積む朝の雨水なる
山形悦子
万象
201605
小流れに鍬浸しある雨水かな
森和子
万象
201605
塗箸の帯封解く雨水かな
坂場章子
鴫
201605
ぬいぐるみの玻璃の目潤む雨水かな
川崎真樹子
春燈
201605
けふ雨水気づきてよりの二度寝かな
能村研三
沖
201704
鎌の刃を全て研ぎ上ぐ雨水かな
頓所友枝
沖
201704
梳る髪の艶増す雨水かな
細川洋子
沖
201704
デパートに半旗めくもの雨水の日
竹内弘子
あを
201704
棒杙にくちぼそ群るる雨水かな
宇都宮敦子
鴫
201705
口移し救急訓練雨水かな
鎌田光恵
鴫
201705
脱稿のほのと先見ゆ雨水かな
相良牧人
鴫
201705
胸白き小鳥来てゐる雨水かな
小林愛子
万象
201705
雨水かな捨て去るものと残すもの
高埜良子
春燈
201705
細枝の一本立ちの雨水の日
高木晶子
京鹿子
201706
天に水湛ふるさまの雨水かな
森清堯
末黒野
201706
空海の梵字浮きくる雨水かな
平松うさぎ
沖
201804
白樺の靄まとひ立つ雨水かな
根岸善雄
馬醉木
201804
心身の継ぎ目知らさる雨水の日
片山煕子
京鹿子
201805
少年は身を折りて泣く雨水かな
辻美奈子
沖
201805
湖のやわらかく明け今日雨水
松井季湖
瓔
201806
昨日雨水けふは多喜二忌兜太逝く
岡田史女
末黒野
201806
雨水には雛出すならひ守りたる
吉田節子
ホトトギス
201807
靴底に土の弾力雨水かな
近藤真啓
春燈
201905
雨水とや風邪を引いたる寒暖差
田中臥石
末黒野
201905
靴底に土の弾力雨水かな
近藤真啓
春燈
202001
君は立ちぼくは座れる雨水かな
山田六甲
六花
202003
雨の字に雫が四つ雨水かな
北村梢
京鹿子
202105
ラムネ菓子含めば消ゆる雨水かな
森高武
風土
202106
雨水のがれ場を奔り竹煮草
森清信子
末黒野
202111
産土の雑木ふくらむ雨水かな
神田恵琳
春燈
202205
しろじろと草に根のある雨水かな
能村研三
沖
202205
菜園に元肥入るる雨水かな
沼崎千枝
末黒野
202205
雨水の日色を帯びくる美術館
高木晶子
京鹿子
202206
法然の影絵雨水の空模様
高木晶子
京鹿子
202206
さらさらの粥を零せし雨水の日
住田千代子
六花
202206