漆色に似せてぬるでの紅葉かな
由己
俳句大観麻生磯次他編
0
漆掻あたまのうへや鵙のこゑ
加舎白雄
白雄の秀句矢島渚男著
0
冬枯や神馬の漆はげて立
小林一茶
0
典雅にて漆紅葉は孤絶せり
島将五
0
漆山染まりて鮎の落ちにけり
大須賀乙字
乙字俳句集
192000
漆掻林の鳥の如くかな
松根東洋城
句集「泰山木の花」
192700
郭公や漆は花を垂れにけり
高島茂
鯨座
197600
罐一つ腰に下げをり漆掻き
高橋美和
?
199208
漆の實少し離れて見たりけり
久保義信
?
199311
ブローチの色のさやかに蔦漆
朱文彰
?
199312
漆喰画の長八の芸伊豆は春
堀野サト子
?
199403
おちこちと漆紅葉お吉の墓
関合正明
?
199501
乾漆箱いぶし黄金が蒔くは春
深尾修
?
199506
拭きふきて栃や飾れる漆箱
深尾修
?
199506
彫漆に白がねこがね花粉ちり
深尾修
?
199506
端紅くほぐれてをりし漆の芽
高島茂
?
199606
稲妻にその黒冴えし古漆器
長谷部公連
?
199610
赤漆のセイロ積まれし夏座敷
小松健一
?
199612
魚は氷に上る朱漆の盈耀りて
深尾修
?
199704
土蔵多し漆紅葉の浄法寺
吉川葭夫
?
199711
祝電を漆の盆に紅葉の賀
茨木和生
倭
199800
漆紅葉白昼まぶし塗の里
佐藤正人
?
199801
花柊金泥しづむ木曾漆器
清水保
?
199802
大木に咲き溢れたり蔦漆
齊藤るか
?
199809
摺込みの漆古色に夏座敷
法橋正
?
199810
葛切りのほとほと揺るる漆鉢
水野あき子
遠嶺
199810
触れるなと漆紅葉の注意札
北村香朗
京鹿子
199903
遠烏賊火漆の如き沖つづる
内山芳子
雨月
199908
乾漆のはげし観音梅雨じめり
伊藤公女
ぐろっけ
199910
箱膳の漆まつたり雲間月
北川孝子
京鹿子
200002
蒔絵師の漆まみれの胴着かな
高村信子
春耕
200002
水餅の漆の桶の夜なりけり
今木偉郎
槐
200003
漆塗る刷毛が引き寄す若葉光
小川昭江
沖
200007
漆喰にとどまる秋の入日かな
笹家栄子
澪
200101
夜は湖の漆延べたり鉦叩
岡田貞峰
馬醉木
200101
江戸漆十一代目水を打つ
林裕子
風土
200109
豊年の塗り直しきく漆椀
大嶋康弘
銀化
200111
ひとまづはかぶれてもみむ漆掻き
利根川博
銀化
200111
神無月漆の椀を拭いてをり
竹内悦子
槐
200201
穴惑ひ漆喰土蔵はげちよろに
牧野睦子
濱
200201
雪時雨漆器の螺鈿くもりなく
西村しげ子
雨月
200203
春夕べ若僧の持つ漆盆
近藤きくえ
槐
200205
蝶とぶや洗ひ上げたる漆椀
松原仲子
槐
200207
炎昼に箸匠洩らす漆の香
岩木茂
風土
200209
花冷や漆器に残る刷毛のあと
高畑信子
遠嶺
200210
月光や仏師が漆練つてをり
小澤克己
遠嶺
200211
妹と行けば漆の紅葉径に斜め
山口誓子
築港
200211
凍港
漆喰の壁にもたるる石蕗の花
大森美恵
風土
200302
漆柱守るビニール露じめり
山田をがたま
京鹿子
200302
鷹匠の漆餌箱の葵紋
市原詔子
雲の峰
200303
漆紅葉炎え尽きてゐる下り坂
荻野千枝
京鹿子
200303
磁器陶器土器漆器道具店うらら
吉成美代子
あを
200305
女人高野へここらとばくち漆紅葉
山元志津香
八千草
200305
如月の白き館の彩漆
中島陽華
槐
200305
漆器市竹床几にも品物乗す
毛塚静枝
濱
200308
漆器祭の五平餅食ぶ竹床几
長洲元子
濱
200309
朝涼し漆塗りなる能登の宿
椙山正彦
濱
200310
朝靄の尾根に日が射し漆掻き
中島正夫
対岸
200310
漆絵を抱へてゆくや夏至の雨
雨村敏子
槐
200310
漆櫃の初茸飯と濁り酒
竹内弘子
あを
200312
岩室に濁酒を封じ漆掻
竹内弘子
あを
200312
手焙を撫でて無口に漆塗
渡辺周子
雲の峰
200402
??葉桶の漆文樣朝涼し
佐藤喜孝
あを
200403
吉野杉の箸に箸置漆独楽
安井和子
濱
200403
朱漆の椀に初日のさしにけり
内田稔
遠嶺
200404
虚子の字の久女の墓や沢漆
川口崇子
万象
200408
肝臓も漆紅葉もよく濡れて
八田木枯
夜さり
200409
漆掻き関東平野一望す
須佐薫子
帆船
200409
三伏や鯛の歯で彫る漆塗
竹腰千恵子
濱
200409
漆塗の廊下に立ちし秋思かな
谷野由紀子
春耕
200412
玉章や母の文箱の黒漆
大橋麻沙子
雨月
200501
紅葉散る漆を塗りし回廊に
前阪洋子
雲の峰
200502
白髪の歌ひながらの漆掻く
滝沢伊代次
万象
200505
漆喰のシーサーを置き春を病む
大西八洲雄
万象
200505
赤レンガと白漆喰の蔵の秋
杉山涼風
集
200505
漆彩の花のトンネル阿修羅仏
中田禎子
槐
200506
永き日や塗師屋は漆ぬりかさね
定梶じょう
あを
200507
ひりひりと霧過ぎて行く漆の木
今瀬剛一
対岸
200509
漆掻き百本の幹生殺し
今瀬剛一
対岸
200509
漆掻く結城廃寺の瓦紋
玉川悠
遠嶺
200509
漆掻く帽子の鍔の漆艶
今瀬剛一
対岸
200509
漆掻く主峰は影を濃く立てり
今瀬剛一
対岸
200509
漆掻きつつ谷底へ沈むかな
今瀬剛一
対岸
200509
文机に漆光りのてんと虫
鈴木とおる
風土
200509
生漆は真珠の雫掻きにけり
今瀬剛一
対岸
200509
剥き飛ばす漆の樹皮も霧の中
今瀬剛一
対岸
200509
屋根重く住み漆壺梅酒壺
今瀬剛一
対岸
200509
山霧や鋼のつやの漆壺
今瀬剛一
対岸
200509
白酒や一の蔵には漆椀
宮澤さくら
「今生」
200510
雲海の上にて今日の漆掻く
福井隆子
対岸
200510
覚悟ある幹に一刀漆掻く
石川敬子
対岸
200511
木目浮く欅の漆器秋気満つ
石川敬子
対岸
200511
漆紅葉茂る湖畔に日を得たり
三戸和子
四葩
200512
秋の昼漆の匂ふ城に入る
松山直美
火星
200512
先駆けて漆紅葉のあかるかり
荻原麗子
酸漿
200601
谺生むかの山漆紅葉せり
安田青葉
対岸
200601
秋光や陶磁器漆芸金工も
林日圓
京鹿子
200601
もみづれば伐るをためらふ漆かな
増田大
春燈
200601
かく朱き木曾漆器にも秋の翳
西川織子
馬醉木
200602
霧にじむ漆紅葉の濃かりけり
中原信惠
鏃
200603
工房は漆の匂ひ春の雲
堀木基之
百鳥
200605
鳴神や漆をながす噴煙に
瀧春一
常念
200606
はからずも淺間山の爆發に遇ふ
漆絵のゑのぐの乾く花の風
岩下芳子
槐
200606
能登東風の町に漆の香りけり
柴村郁子
遠嶺
200606
漆絵の雀飛び立つ春の昼
長瀬恒子
遠嶺
200607
蔦漆後脚出した山の蝌蚪
森理和
あを
200611
暁の押し出す漆紅葉かな
中田みなみ
空
200612
その中の漆光りの枯一樹
岡本眸
朝
200612
漆喰に鏝絵描きゐる小春かな
西口鶴子
遠嶺
200702
御鏡に串柿載せて漆器店
赤座典子
あを
200703
文箱の漆の剥れ福寿草
森理和
あをかき
200704
はばたいて漆光りの寒鴉
稲田節子
朝
200704
七日粥先々代の漆椀
松本文一郎
六花
200705
漆盆剥げかけ喜寿の櫻鯛
中島陽華
槐
200707
色鳥や南蛮漆器おしやれして
林日圓
京鹿子
200712
負けん気の漆紅葉の赫さかな
西口万佐子
朝
200801
雛市や漆にほひて灯の明き
島谷征良
風土
200803
相打てる漆の独楽の赤と黒
岡淑子
雨月
200804
白梅や持ち重りして漆椀
伊藤希眸
京鹿子
200806
漆絵にたましひのある櫻かな
石脇みはる
槐
200807
六月の漆器の赤の持ち重り
藤田素子
火星
200809
白梅や持ち重なりて漆椀
伊藤希眸
京鹿子
200901
倦みもせず見入る漆椀小春の日
前川ユキ子
璦
200902
漆の香残る納めの獅子頭
鈴木良子
酸漿
200904
凍て返る宵の漆のごとき空
相沢有理子
風土
200905
漆掻登校の子と峠路
滝沢伊代次
万象
200907
漆喰でかためし屋並島薄暑
伊藤紫都子
笹
200908
漆の実転ぶ処まで転びけり
小形さとる
槐
200912
吊忍枯るるにまかせ漆塗る
富田範保
笹
201001
夜なべの灯一つづつ消ゆ木曽漆
富田範保
笹
201001
一力の赤の漆喰十二月
西村雪園
風土
201003
手に載する漆光りの内裏雛
小川玉泉
末黒野
201006
大川の漆のごとき大暑かな
八田木枯
鏡騒
201009
長老の横たはりたる漆彩(うるしいろ)絵
久津見風牛
槐
201010
真新しき漆の創や日雷
田中貞雄
ろんど
201011
キヨキヨと鳴き夜鷹の渡る漆闇
丹生をだまき
京鹿子
201012
ねねの道漆艶持つ小むらさき
塩路隆子
璦
201101
秋の日や漆絵皿の出来上がり
能勢栄子
璦
201101
冬座敷漆の貝の釘隠
清水美子
春燈
201102
啓蟄やマイ箸に決む漆塗
赤座典子
傳
201103
節料理漆器に盛られ子等を待つ
内田和子
酸漿
201103
懇に漆器納めて松過ぎぬ
名取袿子
苑
201104
紅絹磨く漆器の艶や風花す
下山田美江
風土
201104
天領や漆重ねし雛調度
柴田佐知子
空
201105
野漆や活断層のあるあたり
小澤菜美
璦
201107
鱧まつり漆の椀の軽さかな
中島陽華
槐
201110
まつさきに漆紅葉の峠かな
滝沢伊代次
万象
201110
漆喰の壁落ちはじむ吊し柿
大地真理
空
201202
アーナンダ瓢の色は赤漆
中島陽華
槐
201202
春の夜の黒の漆のよく延びる
高橋将夫
槐
201205
木地椀に漆摺り込む初仕事
繁田たけ子
万象選集
201205
剃髪に漆の頭襟春の山
篠田純子
あを
201205
初蝶の羽ほどかろし漆仏
栗栖恵通子
槐
201206
梅雨深し懇ろに拭く漆盆
堀田順子
馬醉木
201209
蔵造りの漆喰窓に風涼し
小池清司
かさね
201210
黒漆の床の涼しき好文亭
舩坂輝美子
万象
201211
時雨るるや息掛け漆の乾き見る
我門行男
沖
201301
文箱の漆の匂ふ十三夜
宮川みね子
風土
201301
八十歳漆も黄ばむ雑煮椀
品川鈴子
ぐろっけ
201303
雪折のひびく夜更や漆塗
高島鶏子
馬醉木
201305
孕み馬の漆光りに草千里
中島ひろし
末黒野
201305
冴返る漆喰壁の虫籠窓
三輪慶子
ぐろっけ
201305
掻き傷を残し漆を取りし後
小松敏郎
万象
201311
青梅雨や触れてくぐもる漆器盆
不破幸夫
馬醉木
201311
豊年や漆器は両手もて運ぶ
柴田佐知子
空
201311
二百十日衝動買ひの漆椀
三輪慶子
ぐろっけ
201312
漆掻き男も鎌も古りにけり
今瀬一博
沖
201401
小正月姫に漆のたばこ盆
山田六甲
六花
201402
菓子皿は古き漆器や初大師
宮田豊子
春燈
201403
山茱萸の奥に二層の漆蔵
密門令子
雨月
201405
夏燕黒漆喰の軒先に
井口淳子
璦
201408
短夜や漆の扉開く音
江見悦子
万象
201410
ままごとや黒き漆器に霞詰め
有松洋子
緑光
201411
百年の漆の家に扇風機
岡田桃子
槐
201411
産小屋の漆喰はがれ雁渡し
倉谷紫龍
万象
201501
トンネルを抜けて漆の郷や冬
橋本靖子
璦
201502
残り柿漆喰塀に山日照る
布川孝子
京鹿子
201503
受け継ぎし漆器づくしの屠蘇の膳
桑名さつき
ろんど
201504
秋へ置く黒い漆の硯箱
坪内稔典
船団
201505
春灯し松栄堂の漆文字
岡尚
風土
201505
黒漆の花台に崩れ緋の牡丹
辻井ミナミ
末黒野
201508
疵つけて又疵つけて漆掻く
岩下芳子
槐
201508
漆喰に間接照明秋深む
柿沼盟子
風土
201512
黒といふ漆の艶や月今宵
小田嶋野笛
末黒野
201601
秋うらら技の極みの「漆胡瓶」
近藤紀子
槐
201701
正倉院展
小菊添へ海藤花汁漆椀
荒井和昭
鴫
201701
漆掻く六尺程の竹梯子
中川句寿夫
ここのもん
201705
父母しのぶ漆細工の雛道具
藤井明子
馬醉木
201705
さえざえと乾漆にひび阿修羅像
服部早苗
空
201705
2017年9月10日
作成