萩の露ひとつぶづつに日を孕み
升田ヤス子
六花
201612
夜半醒めて露置く頃と思ひけり
中嶋昌子
春燈
201612
昭和史を読み返す夜露しとど
松本幸男
万象
201612
雨蛙如露の水にかしこまる
浜野桃華
万象
201612
朝露の光の中の厩舎かな
福岡かがり
雨月
201701
朝かげのふいに一筋露の原
河野美奇
ホトトギス
201701
歳月や廃鉱坑道露時雨
岡田桃子
槐
201701
沈黙や夜露に足の濡るるまで
坂入妙香
春燈
201701
百年の大整理終へ露のちる
芦田しずく
京鹿子
201701
黄霊芝先生の杖露払ふ
福島せいぎ
万象
201701
暁光の露の道標槍ヶ岳
石崎和夫
沖
201701
三月振りに帰宅の夫や露の門
下田奉枝
雨月
201702
露の世の露の縁をいまさらに
下田奉枝
雨月
201702
祈(ね)ぎ事の沁み込む社露時雨
有松洋子
槐
201702
余生なほ通りなれたる露の径
犬塚芳子
槐
201702
露日和家族写眞にほほゑみて
北川孝子
京鹿子
201702
露の夜のコロラトゥーラに耳輪揺れ
宇都宮敦子
鴫
201702
火の山の記憶ひそかに露氷る
水野恒彦
槐
201704
草ぐさの露に映りし初旭
藤田美耶子
槐
201704
露の世は楽しく生きん年の酒
今村千年
末黒野
201704
芋の葉の朝露光る谷戸の道
池谷鹿次
末黒野
201704
落柿舎の句碑の湿りや昨夜の露
高木邦雄
末黒野
201704
天守閣てふ露の世を知る高さ
稲畑廣太郎
ホトトギス
201709
雲払ひ待宵といふ露払ひ
稲畑廣太郎
ホトトギス
201709
露踏みて忌日の旅のはじまれる
稲畑汀子
ホトトギス
201710
宮様の御逝去悼み露しぐれ
稲畑汀子
ホトトギス
201710
短冊を結ひ七夕の露こぼす
田中佐知子
風土
201710
白百合の嚥下の露の走りけり
奥田筆子
京鹿子
201710
縄文の露の大地に藁伏屋
能村研三
沖
201711
千年の史を語るや萩の露
前田美恵子
槐
201711
どれよりも南天の葉に露燥ぐ
高橋道子
鴫
201711
一粒は葉先にすがり露の玉
高橋道子
鴫
201711
露の世の諸聖人てふ輝きに
稲畑廣太郎
ホトトギス
201711
細き葉のひとつひとつに銀の露
今井肖子
ホトトギス
201711
嫋やかに人招き入る萩の露
鈴鹿仁
京鹿子
201711
露の玉尾瀬の池畔の朝まだき
金森信子
雨月
201711
朝露や草に沈みししるべ石
佐藤保子
馬醉木
201712
麦ごはん噛みなれ露の晩期澄む
渕上千津
沖
201712
露の身の今の一刻何為さむ
渕上千津
沖
201712
露の灯を点し更けゆく祇園かな
竹中一花
槐
201712
露の世の露に濡れゆく墨衣
藤田美耶子
槐
201712
「喉きるな」「延命するな」露滂沱
林いづみ
風土
201712
露の庭赤き鼻緒の七卿址
和田照海
京鹿子
201712
芋の葉のほろりと露をこぼしけり
佐津のぼる
六花
201801
登り来し観音堂の露しげし
佐藤花木
雨月
201801
遊戯の果てころげ落ちたる露万朶
水野恒彦
槐
201801
露の世を駈け込み寺に入る男
中谷富子
槐
201801
犬と来る僧の声清み露の坂
土井三乙
風土
201801
大和三山見晴らす露の浄土かな
山田春生
万象
201801
反り返る葉裏に夜半の露雫
濱谷和代
万象
201801
朝露を律儀に並べ禅庭花
今井康子
空
201712
河原径たどるしとどの露踏みて
斉藤マキ子
末黒野
201802
露しとど女人が試す力石
福島せいぎ
万象
201802
露の世の歳月刻む継柱
涌羅由美
ホトトギス
201803
朝の日を離さぬ芝生露の秋
本郷桂子
ホトトギス
201803
露の身を清むる塗香ひとつまみ
稲岡みち子
雨月
201803
愛猫の墓標小さし露葎
服部早苗
空
201801
露の世の縁だいじに暮しをり
森田明成
空
201803
大いなる露と思へり天守閣
大西乃子
空
201804
銀色の露近づけば透明に
今井肖子
ホトトギス
201809
逝く吾子に万葉の露みなはしれ
能村登四郎
沖
201809
夜露降る不意に老舗の店じまひ
能村研三
沖
201810
日露戦祖父の手紙を曝しけり
小林のり人
春燈
201810
露しぐれ鏡の中の小宇宙
本多俊子
槐
201811
露むすぶ庭より訪ひて句を拝す
熊岡俊子
雨月
201811
露の玉のせて蓮の葉売られをり
南うみを
風土
201811
草の露リハビリの靴ぬらしけり
加藤良子
春燈
201811
芋の葉に露光りつつ夕暮るる
田中藤穂
あを
201811
露の玉草の色して宿りけり
佐津のぼる
六花
201812
死水を賜はるならば蓮の露
佐津のぼる
六花
201812
俳友の二十の魂抱く露の寺
鈴鹿呂仁
京鹿子
201812
鳥辺野の山を動かす露ひとつ
鈴鹿呂仁
京鹿子
201812
胸先に宿す漁火露しとど
?コ田千鶴子
馬醉木
201812
露の夜や母のかたへに兄睡る
斉藤玲子
馬醉木
201812
星屑を降りこぼしてや草の露
斉藤マキ子
末黒野
201812
一滴眺え向きや草の露
瀬川公馨
槐
201812
一斉に光る朝露みなクロン
三木亨
槐
201812
露踏んで集合場所に急ぎけり
波戸辺のばら
瓔
201812
露の玉見れば揺らさずにはおれず
松井季湖
瓔
201812
露時雨ほろほろ降りて誰もいず
松井季湖
瓔
201812
暁紅に露の藁屋根合掌す
能村登四郎
沖
201812
露月夜ドラマ二度見の慣ひとは
渕上千津
沖
201812
朝月の残る河辺の露踏んで
白石正躬
やぶれ傘
201901
露の天そこまで下りて来てゐたり
中杉隆世
ホトトギス
201901
露の玉見れば揺らさずにはおれず
松井季湖
瓔
201901
露時雨ほろほろ降りて誰もいず
松井季湖
瓔
201901
敗荷に雨か露かと分かぬ玉
篠田純子
あを
201901
草の露ひらひらと季移りゆく
増成栗人
鴻
201901
切株の年輪数へ露の声
古川しげ子
雨月
201902
朝露や疎水を小舟出発す
古賀恵子
槐
201902
露凝るや見返り弥陀の御目また
千田百里
沖
201902
かはたれの水琴窟や露の宿
森清堯
末黒野
201902
露の世に語りつぐ虚子物語
安原葉
ホトトギス
201903
朝露に祈り夜露に祈る山
和田華凛
ホトトギス
201903
生と死の狭間にあへぐ露の息
安原葉
ホトトギス
201903
快方へ向ふ兆しか露の息
安原葉
ホトトギス
201903
露の身に管幾本も挿され病む
安原葉
ホトトギス
201903
積む記憶失ふ記憶露の玉
平野多聞
槐
201903
甦る六十余年露の塔
千原叡子
ホトトギス
201904
星屑の降りこぼしてや草の露
斉藤マキ子
末黒野
201904
梅散らし風の姿を露にす
平居澪子
六花
201906
膕の露に濡れてるゐないよな
佐藤恭子
あを
201906
露に濡れ来し客人をねぎらひぬ
稲畑汀子
ホトトギス
201909
三瓶野の露を踏み来し旅の靴
稲畑汀子
ホトトギス
201909
草の露踏み分けて来し旅の靴
稲畑汀子
ホトトギス
201909
三瓶野の露に濡れ来し人集ふ
稲畑汀子
ホトトギス
201909
露踏みてえにしの浜に心置く
稲畑汀子
ホトトギス
201909
旅心露の祖の地を踏みて来し
稲畑汀子
ホトトギス
201909
露踏みて来し旅の靴置かれあり
稲畑汀子
ホトトギス
201909
怪我癒えてハンドル握る朝の露
稲畑汀子
ホトトギス
201909
転倒といふ露の身をひた隠し
稲畑廣太郎
ホトトギス
201909
童顔の茅舎は露の身を捧げ
稲畑廣太郎
ホトトギス
201909
ぴしぴしと芝生の露の弾けゆく
稲畑廣太郎
ホトトギス
201909
大岩といふ露の世の御神体
稲畑廣太郎
ホトトギス
201910
さらさらと物忘れして萩の露
田中藤穂
あを
201910
懸命にそこに留まる露の玉
高橋将火
槐
201911
2021年11月14日
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