今日は今日のさだめに暮るる通夜時雨
西川織子
馬醉木
201612
大坂で終へし旅路や小夜時雨
沼田巴字
京鹿子
201612
郭町道が乾けばまた時雨
内海良太
青嶺
201612
時雨けり川辺のふたり分くるほど
井上石動
あを
201612
あつらへの時雨享けたり洛も果て
井上石動
あを
201612
時雨来や室生の磴を行くは誰そ
井上石動
あを
201612
初時雨一気に京都らしくなる
山田天
雨月
201701
青空の少しほどけて初時雨
山田天
雨月
201701
伊賀訪ね帰路の逢坂夕時雨
嶋崎豊子
雨月
201701
護摩行のもれ来る御堂初時雨
山本ひろ
雨月
201701
合戦の浦を振り分け片時雨
河野由美
馬醉木
201701
軍艦の町の無口に時雨来る
福田周草
風土
201701
桟橋を巨船去りゆく初時雨
小張昭一
春燈
201701
山国は霧たちながら時雨けり
善野烺
六花
201701
濡縁を濡らさず過ぐる初時雨
内海良太
万象
201701
初時雨川鶲は森に籠りたる
宮井知英
空
201701
初時雨ボク治りますかの文字消えず
頓所友枝
沖
201701
漆黒は時雨待つ色能登瓦
林昭太郎
沖
201701
山頂に皇子の塚あり時雨虹
今井妙子
雨月
201702
縄のれんより相合ひの時雨傘
大島寛治
雨月
201702
小走りの露地を追ひくる初時雨
中原吟子
雨月
201702
時雨虹くぐりて湖の定期船
中原吟子
雨月
201702
多摩川の鉄橋渡る片時雨
岡田正義
雨月
201702
学校の一部屋灯る夕時雨
廣瀬雅男
やぶれ傘
201701
小夜時雨道はわづかに上り坂
小山陽子
やぶれ傘
201701
わが生の終りは知れぬ時雨かな
竹下陶子
ホトトギス
201702
時雨るるや百万石の氷室跡
池美佐子
沖
201702
こめかみに銀の一滴能登時雨
阿部眞佐朗
沖
201702
時雨虹検査のあとの空まぶし
市ヶ谷洋子
馬醉木
201702
時雨癖隠沼いよよ小暗くす
南光翠峰
馬醉木
201702
牛若の駆けし時雨の木の根みち
佐藤保子
馬醉木
201702
傾げつつまねき見上ぐる時雨傘
佐藤保子
馬醉木
201702
時雨来てサンシャインビル攫はるる
柴田久子
風土
201702
東海道品川宿や小夜時雨
中嶋陽子
風土
201702
時雨るるや品川浦の舟だまり
中嶋陽子
風土
201702
時雨るるや床屋の待ちは六番目
松本文一郎
六花
201702
大原の畑あをあをと片時雨
箕輪カオル
鴫
201702
時雨雲スーパームーンを隠したり
小林愛子
万象
201702
干野菜もどすあはひの時雨かな
濱谷和代
万象
201702
瓦斯灯の光の四散一時雨
尾野奈津子
春燈
201702
石の艶里山時雨いつ過ぎし
齋藤晴夫
春燈
201702
時雨るるや掃除ロボット物をいふ
永井惠子
春燈
201702
時雨るるや由比ヶ浜辺も大仏も
松本三千夫
末黒野
201702
猿島も艦も等しく時雨れけり
松本三千夫
末黒野
201702
たかしの墓時雨の島を指呼の間
松本三千夫
末黒野
201702
阿弥陀堂時雨れて友の声に逢ふ
黒滝志麻子
末黒野
201702
翁碑に眼凝らすや初時雨
門間としゑ
末黒野
201702
夕時雨公園の木々まばらなる
渡邉孝彦
やぶれ傘
201702
塗り文箱に螺釦のもみぢ初時雨
有賀昌子
やぶれ傘
201702
機織や照る日曇る日時雨るる日
谷渡末枝
万象
201703
ただ通るのみの祇園や片時雨
黒滝志麻子
末黒野
201703
幼児の涙の艶や初時雨
森清信子
末黒野
201703
襟立てて行くだけのこと初時雨
山田夏子
雨月
201703
片時雨もとほる翁終焉地
山田夏子
雨月
201703
うすうすと比叡より湖へ時雨虹
熊岡俊子
雨月
201703
時雨虹告ぐ間もあらず湖に消ゆ
熊岡俊子
雨月
201703
朝時雨寺町めぐるバスを待ち
渡邊孝彦
やぶれ傘
201703
バイバイをする幼子に時雨くる
有賀昌子
やぶれ傘
201703
しつとりと湯町濡らして時雨過ぐ
高濱朋子
ホトトギス
201704
初時雨よく似て神と鬼の面
宮井知英
空
201703
傘借りて出でし暖簾や冬時雨
今井康子
空
201703
小流れの音曲り来ぬ片時雨
森清堯
末黒野
201704
一人づつ別れてひとり夕時雨
今村千年
末黒野
201704
時雨るるや朝からショパン聞いてをり
浜田久美子
六花
201704
雲動き彩うすれゆく時雨虹
宮原悦子
雨月
201704
奥嵯峨の時雨となりぬ弥陀と釈迦
平野多聞
槐
201705
ひと時雨ふた時雨湖眠りゆく
山田佳乃
ホトトギス
201705
大琵琶に偲ぶ誰彼時雨虹
千原叡子
ホトトギス
201705
村時雨仁王の貌の緩まざる
谷口一献
六花
201705
教会の扉の重し夕時雨
森清信子
末黒野
201705
眼球がマグマを見てる時雨るるよ
鶴濱節子
船団
201707
霧時雨山の鼓動を隠しをり
木村美翠
沖
201711
時雨雲飛行機雲が押し退けて
稲畑廣太郎
ホトトギス
201711
初時雨街うろうろと着きにけり
稲畑汀子
ホトトギス
201711
日本海日和時雨を誘へる
稲畑汀子
ホトトギス
201711
日の差して時雨るる石見日和かな
稲畑汀子
ホトトギス
201711
時雨虹消えし辺りを見逃さず
稲畑汀子
ホトトギス
201711
あの辺り隠れ里あり時雨虹
稲畑汀子
ホトトギス
201711
時雨虹見し目に湖の広さかな
稲畑汀子
ホトトギス
201711
石庭は太古の匂ひ初時雨
沼田巴字
京鹿子
201711
初時雨八幡さまの大いちやう
?コ田千鶴子
馬醉木
201712
時雨雲より現はれて太陽よ
稲畑汀子
ホトトギス
201712
昨夜近江時雨発ち今朝江戸しぐれ
稲畑廣太郎
ホトトギス
201712
浮かぬ顔捨ててしまひぬ初時雨
沼田巴字
京鹿子
201712
夕時雨足半で来る鵜匠かな
能村研三
沖
201801
万葉歌誦して真間の時雨径
能村研三
沖
201801
岐阜城はマップの折れ目時雨来る
森岡正作
沖
201801
時雨きて手湯にいやさる岐阜の旅
千田敬
沖
201801
眠剤に割線のある小夜時雨
細川洋子
沖
201801
美濃時雨桧皮の壁の解れがち
細川洋子
沖
201801
銅葺へ緑ひと刷毛初時雨
森村江風
沖
201801
粗壁に去来の時雨笠ひとつ
栗坪和子
沖
201801
赤瓦の家並光りし初時雨
岩下芳子
槐
201801
武蔵野の槻の支ふる時雨空
?コ田千鶴子
馬醉木
201801
古民家に薪の火煙る朝時雨
片桐紀美子
風土
201801
藁屑が田ににほひゐる初時雨
大崎紀夫
やぶれ傘
201711
時雨るるや三人待ちの散髪屋
廣瀬雅男
やぶれ傘
201711
テームズの濁りを走る朝時雨
江見悦子
万象
201801
初時雨リハビリ室の杖の音
赤座典子
あを
201801
時雨るると年金手帳表紙の朱
定梶じょう
あを
201801
天恵の時雨に濡るること嬉し
辻美奈子
沖
201802
城据ゑて時雨光りの岩の階
甲州千草
沖
201802
天空の城ふり仰ぐ片時雨
大沢美智子
沖
201802
みな同じ時雨に濡れて岐阜城址
大沢美智子
沖
201802
時雨来て傘傾ぎあふむすびの地
清水佑実子
沖
201802
国宝の小さき金印初時雨
谷口律子
末黒野
201802
ポストまで手紙を急ぐ片時雨
長谷川はまゆう
末黒野
201802
山陵の木々の騒めき時雨れくる
丸尾和子
雨月
201802
時雨るるや葉擦の音の黙を解く
山田天
雨月
201802
生湯葉の京より届く初時雨
西村操
雨月
201802
餉の卓の鍋の滾りや時雨寒
大村仍子
雨月
201802
崖の鵜に沖の時雨の横なぐり
大上充子
馬醉木
201802
夕時雨眼鏡かけてもはづしても
佐藤喜孝
あを
201802
行列の尻尾の辺り時雨くる
森なほ子
あを
201802
時雨るるやかすれし声で歌ふ人
秋川泉
あを
201802
江ノ島に片脚かかる時雨虹
下嶽孝一
万象
201802
子には子の守るくらしや初時雨
溝越教子
春燈
201802
故郷へ入港テープ初時雨
吉田とよ子
春燈
201802
退院のまだゆるされず小夜時雨
山口地翠
春燈
201802
釈迦堂をほつほつ濡らす初時雨
布施まさ子
風土
201802
病院に妻を眠らす時雨かな
森屋慶基
風土
201802
初時雨ぱらりと遊びごころほど
近藤喜子
槐
201802
時雨華やぐ帯の結び目ちょと崩し
火箱ひろ
瓔
201803
二上山の影なきかなた時雨雲
溝内健乃
雨月
201803
リュックにある傘は使はず嵯峨時雨
城戸ひろみ
雨月
201803
蛇塚のへびへ時雨を置いてきし
井上菜摘子
京鹿子
201803
高齢者運転試験初時雨
藤波松山
京鹿子
201803
義政のお茶の井跡や片時雨
中村洋子
風土
201803
天皇の馬車道とあり片時雨
志方章子
六花
201803
旅の途の時雨上がればまた時雨
志方章子
六花
201803
はるばると来し父祖の地の時雨かな
善野行
六花
201803
紀の川は時雨あがりの雲の道
善野行
六花
201803
江の島に入日とどめて時雨けり
安斎久革
末黒野
201803
訳ありげの人門前に夕時雨
森清信子
末黒野
201803
百幹の竹に音なし初時雨
吉田きみえ
末黒野
201803
寺町の瓦を走る時雨かな
太田良一
末黒野
201803
城崎の外湯巡りや時雨傘
福田禎子
末黒野
201803
事故跡の献花にそそと小夜時雨
市川夏子
末黒野
201803
やま鳩や京の時雨は端山より
佐藤保子
馬醉木
201803
金堂跡歩数ではかる初時雨
棚橋朗
沖
201803
小夜時雨言葉のいらぬ刻はやし
片桐てい女
春燈
201803
ふるさとの駅や母恋ふ時雨の夜
大嶋洋子
春燈
201803
時雨るるや母には重き物ばかり
小林朱夏
空
201801
斎場へ集ふ家族や小夜時雨
伊吹之博
京鹿子
201804
犀星の遠きふるさと時雨けり
今村千年
末黒野
201804
湖に綺羅をこぼして初時雨
湖東紀子
ホトトギス
201804
六十を早逝といふ初時雨
岩岡中正
ホトトギス
201804
托鉢の顔を見せざる夕時雨
柴崎和男
やぶれ傘
201804
時雨るるや火止めの窯のなほ赤し
石橋幾代
空
201804
残花かな篠山時雨まで染めて
山田六甲
六花
201805
時雨るるや日あたる山と翳る山
杉田智榮子
馬醉木
201805
初時雨インクの青に染まる指
吉田悦子
空
201806
時雨るるや旅籠所の旬のもの
浦川哲子
集
201811
ひとしきり悲しみ誘ふ時雨かな
稲畑汀子
ホトトギス
201811
止みさうに止みさうに旅時雨けり
稲畑汀子
ホトトギス
201811
時雨れては君の涙と思ひけり
稲畑汀子
ホトトギス
201811
この旅に持たねばならぬ時雨傘
稲畑汀子
ホトトギス
201811
晴れゐても時雨もよひの抜けぬ旅
稲畑汀子
ホトトギス
201811
山陰の朝の変幻片時雨
稲畑廣太郎
ホトトギス
201811
時雨雲東へ君西へ行く
稲畑廣太郎
ホトトギス
201811
漣に始まる湖北朝時雨
稲畑廣太郎
ホトトギス
201811
時雨るるや楓一葉の紅薄く
川崎雅子
春燈
201811
山は照り峠は翳る初時雨
藤岡紫水
京鹿子
201812
経蔵の扉のかたき初時雨
ほんだゆき
馬醉木
201901
一幅の俳画を納む初時雨
加藤北天
雨月
201901
足早な妻の靴音夕時雨
加藤北天
雨月
201901
ひと刷毛の時雨や旅の始めなり
森岡正作
沖
201901
処方薬待つ間時雨れて来たりけり
安藤久美子
やぶれ傘
201901
北山の稜線糺す初時雨
松本鷹根
京鹿子
201901
初時雨まつ毛に重し驢馬がゆく
塩貝朱千
京鹿子
201901
天空のホテルの窓を小夜時雨
伊藤希眸
京鹿子
201901
街の灯を映す舗道や夕時雨
高橋均
やぶれ傘
201902
みづうみの闇に時雨を聞いてをり
笹村政子
六花
201902
初時雨御番屋敷の土間を抜け
善野行
六花
201902
初時雨心静かに日々過ごす
安部和子
雨月
201902
山門にしばらく凭れ初時雨
大石よし子
雨月
201902
茶畑の静けさにあり初時雨
塩見治郎
雨月
201902
飛石を鎮むる程の初時雨
石谷淳子
雨月
201902
石畳音なく濡らす初時雨
外山妙子
雨月
201902
熱き茶に憩ふ一時時雨茶屋
外山妙子
雨月
201902
またしても心変わりや初時雨
楠本和弘
集
201902
供花持つ手濡らす寺町時雨かな
谷陽右
馬醉木
201902
夜もなほ耳朶やはらかし初時雨
斉藤玲子
馬醉木
201902
靴底の鋲鳴らしゆく小夜時雨
能村研三
沖
201902
駆け足の旅に時雨のついて来る
森岡正作
沖
201902
音たてて花のやうなる時雨かな
辻美奈子
沖
201902
初時雨烏丸通り二つ折れ
吉田政江
沖
201902
時雨きて波の静もる銀沙灘
平松うさぎ
沖
201902
時雨るるや昔を今になまこ壁
安斎久英
末黒野
201902
山門の蒼古仰ぐや時雨傘
安斎久英
末黒野
201902
初時雨史跡を語る石垣に
岡田史女
末黒野
201902
優先席譲られ惑ふ初時雨
中谷未知
末黒野
201902
高層や音無く煙る小夜時雨
中谷未知
末黒野
201902
拝観の間を時雨れたる庭に出し
湯川雅
ホトトギス
201903
時雨虹立ちしあたりが目的地
湯川雅
ホトトギス
201903
杉の秀の眩しくあるや時雨過ぐ
橋本順子
槐
201903
君逝きぬ時雨に虹の彩残し
金森教子
雨月
201903
青空のかげるまもなく時雨来る
笹倉さえみ
雨月
201903
晴れゐしに時雨るる京の葬りかな
下田奉枝
雨月
201903
時雨来てぽつと灯の入る屋台かな
渡辺やや
風土
201903
咬みしめる文の甘さよ小夜時雨
藤井杏愛
京鹿子
201903
蓑垣へ鉄砲垣へ初時雨
岡野里子
末黒野
201903
竹灯炉点り時雨の石畳
岡野里子
末黒野
201903
蔀戸を開けたるままの時雨かな
石黒興平
末黒野
201903
沖合の漁火滲む初時雨
高木邦雄
末黒野
201903
時雨るるや海より暮れて安房の山
大川暉美
末黒野
201903
夕暮の筑波の里や村時雨
小池桃代
末黒野
201903
キミの池ワタシの陸と時雨けり
辻水音
瓔
201903
大琵琶の芯に時雨れて竹生島
湯川雅
ホトトギス
201904
山かけて淡海へかかる時雨虹
山田閏子
ホトトギス
201904
凡の字のゝの辺りが時雨をる
雨村敏子
槐
201904
青石の紀州の庭に時雨きて
貫井照子
やぶれ傘
201904
時雨るるや鈍重なれと虚子の謂ふ
木村享史
ホトトギス
201905
ごまよごし時雨るゝ箸になじみけり
久保田万太郎
春燈
201905
特攻兵語る女将や夕時雨
酒井たかお
集
201905
小倉山の時雨亭跡春かすみ
岡本尚子
風土
201906
さつと消す黒板の字や夕時雨
井上和子
空
201907
急ぐ身にあらねど急ぐ夕時雨
江島照美
発火点
201909
機町に灯の入る山茶花時雨かな
柴崎富子
白地
201909
朝の間に上りてをりぬ初時雨
稲畑汀子
ホトトギス
201911
又一人友失ひし初時雨
稲畑汀子
ホトトギス
201911
西の旅終へて出会ひし初時雨
稲畑廣太郎
ホトトギス
201911
来るものは拒まず湖北時雨かな
稲畑廣太郎
ホトトギス
201911
時雨止む宮津の虹に傘たたみ
山田六甲
六花
201911
2022年11月21日
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