鬼百合がひねもす背戸で立話
井上菜摘子
京鹿子
199901
ためらい傷隠すと鬼百合が見える
藤田守啓
船団
199912
忿怒去り鬼百合の朱今更に
松本米子
あを
200109
鬼百合や寸莎あらはなる外厠
南うみを
風土
200110
鬼百合や金盗りどものたぬき穴
菅原康
風土
200207
鬼百合の花弁と蕊と反り合はず
鷹羽狩行
狩
200308
鬼百合の咲く道三度往きもどる
東亜未
あを
200310
鬼百合の一族てんでに反り返る
山元志津香
八千草
200312
鬼百合咲き那智の裏谷雨はげし
湊海火
濱
200408
父母の亡き庭に鬼百合はびこれり
藪敏子
濱
200410
鬼百合や山道くねり道路鏡
遠塚青嵐
集
200505
山墓へ鬼百合の朱を刈り残す
淵脇護
河鹿
200510
鬼百合の折れたるままに秋の簗
深澤鱶
火星
200512
鬼百合の溶岩に咲きたり海女の島
土川照恵
栴檀
200603
鬼百合のこれみよがしの蕊の反り
鷹羽狩行
狩
200607
マリアカラスを聴く瓶の鬼百合と
片山タケ子
鴫
200608
鬼百合や海を遠見の関所跡
宮尾直美
朝
200609
鬼百合のどこから来しか庭に咲く
井関祥子
酸漿
200610
鬼百合を一輪咲かす五欲かな
天野きく江
槐
200709
風ふふむ鬼百合蘂のよく育ち
久保田嘉郎
酸漿
200710
鬼百合が楽師ゴーシュであったとは
坪内稔典
船団
200710
鬼百合の口開くまで朱を極む
網野茂子
酸漿
200810
鬼百合の匂ひ三更寝ねがたし
定藤素子
雨月
200810
草原といふ鬼百合の孤高かな
稲畑廣太郎
ホトトギス
200907
鬼百合や添木の金棒所在なし
遠藤実
あを
200909
鬼百合に触れて暦日汚したり
水野恒彦
槐
200910
波音は鬼百合の咲く小径まで
貫井照子
やぶれ傘
201001
鬼百合に手を届くほど傾く日
鴨下昭
峰
201011
鬼百合に北条の血のありにけり
森岡正作
沖
201109
鬼百合や水際さびしき湖の波
松橋利雄
光陰
201203
下向きて咲く鬼百合の火星人
出口誠
六花
201210
無縁塚に群れる鬼百合そり返り
宮崎左智子
璦
201310
祈りは擦傷鬼百合は暮れて居る
一門彰子
船団
201401
空に傷なき鬼百合の背丈かな
浜口高子
火星
201409
鬼百合のしたたか惜しむ別れなり
中川すみ子
璦
201410
鬼百合を咲かせて里の垣ひくし
鈴鹿けい子
京鹿子
201411
鬼百合の群れて古墳の鬼門かな
北村淳子
ろんど
201411
鬼百合や鼻の大きな迦葉天狗
鈴木鳳来
故山
201505
大輪の鬼百合活けて美容院
池田光子
峰
201510
鬼百合の反れるだけ反り誇らしげ
東野鈴子
雨月
201511
鬼百合は発火寸前半島も
坪内稔典
船団
201602
鬼百合の海鳴りの崖掴み咲く
佐々木よし子
沖
201608
鬼百合の開かむとして茎動く
大谷昌子
馬醉木
201608
卓上に庭の鬼百合反り返へる
森理和
あを
201608
鬼百合にズボンの染まる窯どころ
升田ヤス子
六花
201608
鬼百合のごとき穢を持ち我在りぬ
荒井千佐代
沖
201609
鬼百合の滓面目立ちぬ咲ききって
今井妙子
雨月
201709
腹蔵なきまで鬼百合の花弁反る
山田夏子
雨月
201710
鬼百合の重なり合うて咲きにけり
延川五十昭
六花
201711
鬼百合と岬の風に刻解す
松本鷹根
京鹿子
201809
鬼百合と夜な夜なたとえばなしする
阪野基道
船団
201910
鬼百合や燈色のローカル線
廣畑育子
六花
201911
鬼百合に霊気淀んでをりにけり
稲畑廣太郎
ホトトギス
202007
鬼百合をぐいと引き寄せ嗅ぐ女
南うみを
風土
202009
鬼百合の重たき雨に首もたぐ
森田節子
風土
202010
鬼百合や隣家の稚の泣き止まず
滋野暁
末黒野
202104
鬼百合の丈に百草従へり
稲畑廣太郎
ホトトギス
202107
鬼百合に都心の霊気集まり来
稲畑廣太郎
ホトトギス
202207
2022年8月18日
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