真菰(真菰は夏・花は秋) 30句
真菰暮れ水の匂ひの空のこる 河野南畦
波紋また波紋の兆し真菰の芽
小澤克己
遠嶺
199805
捨舟のさらに朽ちゆく青真菰
小澤克己
遠嶺
199808
夕立晴真菰より舟漕ぎ出づる
皆川盤水
春耕
199809
櫂の音に真菰の月のかかりけり
川口襄
遠嶺
199905
真菰風わが晩節の旅心
小宮山勇
青胡桃
199905
船の窓はづして入るる真菰風
大森慶子
沖
199908
真菰叢外れに沈め地獄網
河野美奇
円虹
200105
いくたびか声なき真菰舟にあふ
岡井省二
槐
200107
吃水線しづめて走る真菰風
藤井みち子
沖
200109
みづかがみ一に青盧青真菰
西村しげ子
雨月
200308
真菰風五位鷺羽を広げたり
石平周蛙
対岸
200311
なほもわが身の内責めむ青まこも
小澤克己
遠嶺
200408
真菰風やや荒気味に季の移り
岡本眸
朝
200409
水べりの時間あいまい真菰浮く
坪井洋子
朝
200501
真菰より翔つ鳥白きコタンかな
佐々木幸
朝
200611
櫓を入るる水に手ごたへ青真菰
百瀬七生子
海光
200705
つめあうていただく真菰筵かな
鈴木庸子
風土
200711
川曲るところ立錐青真菰
定梶じょう
あを
200909
船足に応へて戦ぐ青真菰
小山徳夫
遠嶺
200911
真菰など活けて座敷に風を入れ
白石正躬
やぶれ傘
201212
見る人も刈る人もなく花真菰
鈴木阿久
峰
201311
対岸は見えゐて遠し花真菰
青野安佐子
峰
201311
花真菰ゆらして水の匂ひ立つ
布川直幸
峰
201409
新しき橋は木の橋花真菰
布川直幸
峰
201410
生と死の水は同源真菰の芽
伊藤希眸
京鹿子
201805
真菰の芽川はまもなく湖へ
大崎紀夫
やぶれ傘
201907
花真菰暮れゆく土手に揺るるかな
村田武
やぶれ傘
201912
曇天に山なみ閊へ真菰の芽
柴田佐知子
空
202005
近江はも真菰刈る音が風の詩
増成栗人
鴻
202209
陵の濁りし水に真菰の芽
井上和子
空
202302
2023年5月26日
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