木の実 2 100句
よろこべばしきりに落つる木の実かな 富安風生
水輪ひとつ落して木の実落ちにけり
田中英子
火星
200101
力石打つてころがる木の実かな
布施まさ子
風土
200101
言霊のひとつ解けて木の実独楽
環順子
遠嶺
200101
木の実落つ社の裏手登りけり
石山惠子
遠嶺
200101
木の実独楽校長先生加はれり
名和節子
濱
200101
尊徳像背負ひし柴に木の実降る
村瀬初実
春耕
200101
喪疲れの友慰めん木の実独楽
谷口蔦子
ぐろっけ
200101
瀬に渦に翻弄されし木の実かな
長田等
狩
200102
馬頭観音坂に祀りて木の実かな
武井美代子
風土
200102
抗ふもまた寄り添ひし木の実独楽
大沼眞
沖
200102
木の実落つ亀石の黙醒まさんと
浅野香澄
京鹿子
200102
うれひまたときをり木の実降る音に
田口傳右ヱ門
銀化
200102
此の世では木の実ばかりで無く落ちて
保坂加津夫
いろり
200102
紙を漉く小屋に夜昼木の実降る
田中藤穂
あを
200102
合戰の絵図より木の実奔りくる
藤田守啓
船団
200103
好きなやうにぶつかつてゐる木の実独楽
井上菜摘子
京鹿子
200107
木の実落つ五十路の坂を迷はずに
芳賀雅子
航跡
200108
寺の庭ぽとんぽとんと木の実降る
熊谷みどり
いろり
200110
木の実落つひとつと見ればそこここに
能村登四郎
羽化
200110
枯れゆくも木の実こぼすも邸の内
稲畑汀子
ホトトギス
200111
痛さすなはち嬉しさの木の実雨
山下由理子
狩
200111
木の実落つ眠りさそはれゐたるかな
石橋翠
いろり
200111
廃校となりたる母校木の実落つ
侭田伊都希
いろり
200111
木の実拾ふ誰への土産ともなしに
田中藤穂
あを
200111
拾ひきし木の実を並べ宿の卓
田中藤穂
あを
200111
密教の寺の金襴木の実降る
鈴木鷹夫
沖
200112
塔仰ぐ木の実降る日も降らぬ日も
渡邊牢晴
雨月
200112
三輪車いったり来たり木の実降る
石原勢津子
雨月
200112
たどり読む幻住庵記木の実落つ
名取袿子
苑
200112
貧血のように白昼木の実降る
守谷茂泰
海程
200112
日の濃さに木の実落ちつぐ陣屋跡
朝妻力
雲の峰
200112
慶応の墓碑に英文木の実降る
朝妻力
雲の峰
200112
茅葺きの鐘撞き堂や木の実降る
原茂美
雲の峰
200112
木の実拾ふ武蔵風土記の社かな
中谷葉留
風土
200112
木の実落つきのふは一つけふは百
保田英太郎
風土
200112
病院の待合室に木の実かな
代田青鳥
風土
200112
乗り越しの切符の友の木の実かな
桑原敏枝
いろり
200112
象の背に降りかかりたる木の実かな
高橋将夫
槐
200112
木の実落つ生くる楽しみなほありと
大串章
百鳥
200112
遠く来て小さき木の実を拾ひけり
大串章
百鳥
200112
じやんけんぽん木の実は別の掌の中に
中村立身
百鳥
200112
握飯置きて木の実を拾ひ出す
西山美枝子
酸漿
200112
木の実落つ風をつめたる固さかな
小島とよ子
遠嶺
200112
栗鼠飛んで落ちし木の実のまだ青し
長谷川登美
ぐろっけ
200112
放浪のあこがれ突と木の実径
田渕昌子
京鹿子
200201
木の実降り存在感の音立つる
林翔
沖
200201
海鳴りに瑠璃つくしをり臭木の実
桑田眞佐子
火星
200201
かの家の貌てふ児なり木の実降る
木船史舟
苑
200201
父のこゑ母のこゑして木の実降る
栗山よし子
馬醉木
200201
天心の墓の木の実を拾ひけり
植木緑愁
春耕
200201
木の実踏む雨には雨の音のして
栗林眞知子
円虹
200201
旅し来て上野の城の木の実踏む
大槻秋女
円虹
200201
木の実落つあられこぼしといふ道に
山口マサエ
雲の峰
200201
祭り子の退屈しのぎ木の実拾ふ
市場基巳
槐
200201
木の実落つ奥の細道舗装され
渡邊春生
百鳥
200201
法事済み手提にのぞく木の実かな
佐野幸子
百鳥
200201
説法聴く羅漢に木の実はらはらと
纐纈千鶴子
百鳥
200201
今生の泪の化身木の実降る
小澤克己
遠嶺
200201
木の実落つ何か忘れしこと一つ
小山徳夫
遠嶺
200201
豊饒の土あらば地に木の実降る
川端実
遠嶺
200201
大好きな子の靴箱に木の実置き
伊藤トキノ
狩
200201
露天湯に落ちし木の実の行方かな
大塩千代
狩
200201
人の目の届かぬところ木の実飛ぶ
高山瑞恵
狩
200201
大学へ木の実ひろひにくる子かな
藤稿みのる
風土
200201
木の実植う庭に余白のある限り
稲畑汀子
ホトトギス
200202
丸き眼も空も回して木の実ごま
高橋たか子
馬醉木
200202
落木の実つやゝかさ苔のぶあつさ
鈴鹿野風呂
京鹿子
200202
片岡の木の実を踏んで頂上まで
鈴鹿野風呂
京鹿子
200202
木の実降る音の中行く寺苑かな
遠藤裕子
円虹
200202
木の実打つ良寛像の前かがみ
野口みどり
酸漿
200202
縄文の住居の跡や木の実落つ
阿部たみ
酸漿
200202
あれもこれも諦めにけり木の実踏み
杉山瑞恵
雨月
200202
切っ掛けを弾み飛びして木の実独楽
杉山瑞恵
雨月
200202
旅人に大和は木の実降るばかり
綿谷美那
雨月
200202
寂しさは木の実の落ちて動かざる
影山わこ
百鳥
200202
「パリ通信」憧れし日や木の実降る
武田眞砂
百鳥
200202
木の実落つ音をききつつひとり寝る
保坂加津夫
いろり
200202
木の実降る坂径すこし濡れてをり
穴澤光江
遠嶺
200202
木の実降るこの一苑のゆるぎなし
吉野のぶ子
遠嶺
200202
階に落つる木の実の弾みをり
米須あや子
遠嶺
200202
木の実落つ振り向きざまに異邦人
大谷茂
遠嶺
200202
木の実落つ見上げて高き神樹より
長井順子
朝
200202
葉を叩く音のつぶてとなる木の実
二瓶洋子
六花
200202
木の実降るあした良いことありそうな
北川とも子
ぐろっけ
200202
木の実落つ山頂駅に降り立ちて
津田経子
火星
200203
独楽となる木の実の器量ありにけり
辻口静夫
ホトトギス
200204
死ね死ねと風の木の実がとんとん落つ
市場基巳
槐
200204
木の実降り再建の塔損なふな
安達風越
雨月
200204
ペン皿に弾けておりぬ木の実独楽
中野哲子
六花
200204
馬塚の木の実さながら旗印
小阪律子
ぐろっけ
200204
木の実独楽いまだ間違ふ双児なり
古井君枝
ぐろっけ
200204
跳ねたがる木の実に打たれ母郷なり
野沢しの武
風土
200206
不器用な子に手を貸して木の実独楽
吉川智子
狩
200210
拾ひ来し木の実受け取る小さき手
稲畑汀子
ホトトギス
200210
指先の器用不器用木の実独楽
稲畑汀子
ホトトギス
200210
落胤の一人遊びや木の實獨樂
中原道夫
銀化
200211
夜明星深きしじまに木の実落つ
関口ゆき
あを
200211
ポケツトの木の実は手形関所跡
神蔵器
風土
200212
木の実挿し灰釉大盤ゆるぎなく
瀬戸悠
風土
200212
山ぐにの木の実草の実ともりけり
外川玲子
風土
200212
2021年10月25日
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