因幡街道なりの北風吹きにけり
山尾玉藻
火星
199902
隅瓦の恵比寿・大国北風に対く
戸田春月
火星
199904
北風に木目研がれし那須屋敷
梅村すみを
沖
200002
北風に河馬が膨らむたぷたぷと
尾上有紀子
わがまま
200002
北風の威を借りて初陣飾りけり
松本康司
銀化
200003
北風の砂塵の塔のまぶしさぞ
加藤かな文
槐
200003
北風の木立を抜けて星の空
小澤克己
遠嶺
200003
北風やりるりるピエロ玉に乗る
松木知子
ヒッポ千番地
200004
大手門北風真つ向の石の面
竹貫示虹
京鹿子
200004
北風やすみ涸井たまたま声のぼる
山田緑光
海程
200004
伊吹山北風に研がれし骨相よ
竹貫示虹
京鹿子
200004
北風の淀みて暗き杉林
屋代孤月
遠嶺
200005
昂然と北風へ向き立つ蕪村句碑
大橋敦子
雨月
200012
飛魚北風や師系縁の句碑に逢ふ
能村研三
沖
200012
西北風吹き木の葉の如き雀どち
三井公子
酸漿
200102
北風の正攻法に当たりたる
大場佳子
銀化
200102
束縛に耐へきし北風なら許そ
丸山佳子
京鹿子
200102
飛魚北風
や夕日を足して魚乾く
木村公子
沖
200102
北風を南風へと辻楽士
佐渡美佐子
船団
200103
ふるさとや北風浄土へ夜ごと馳せ
渡邊友七
あを
200103
桃畑のちらばる袋北風吹く
中道千代江
春耕
200103
北風の電線ソング聴いてをり
河内童楽
六花
200103
北風に願書を抱き生徒往く
岩田登世
雨月
200104
北風を北へ向つてゆくフェリー
佐藤冨士男
ホトトギス
200105
北風を斜に流してカッブ酒
時枝武
船団
200105
鴨鳴くや北風の名残りの湖の国
大竹淑子
風土
200105
北風の舞ひたる街で農書買ふ
尾崎九一
遠嶺
200106
北風にハンドル軽く乗ることも
稲畑汀子
ホトトギス
200112
東京の北風置いて来し家路
稲畑汀子
ホトトギス
200112
北風吹けば団塊世代加齢せり
能村研三
沖
200112
北風を忘れ一日の家居かな
稲畑汀子
ホトトギス
200112
北風につき当りたる略図かな
村上田鶴子
風土
200201
北風に指ちぎれむと帰宅せり
赤座典子
あを
200201
北風に乗り下仁田ねぎの今届く
寺田きよし
酸漿
200202
北風に逸れたりあんたがたどこさ
暮岸江
銀化
200202
北風にさからふ鷺の流さるる
長坂ヤス子
酸漿
200202
山峡の一灯尋ねて呉るる北風
十見達也
銀化
200202
穭田の夕日北風ちからづく
落合伊津夫
馬醉木
200202
北風の野の灯の沈むことはなし
豊田都峰
京鹿子
200202
北風包む方曼陀羅となりにけり
栗栖恵通子
槐
200202
祓殿の縄古り北風吹きぬくる
鈴鹿野風呂
京鹿子
200202
北風に真白きボール蹴りこみぬ
志水やおい
火星
200202
北風や涙の色のイヤリング
影山わこ
百鳥
200202
北風響き合ふオリオンの箱の中
田中由喜子
馬醉木
200203
少年の背丈北風にも伸びる
山田弘子
円虹
200203
北風や駆けてよく鳴るランドセル
小林呼溪
狩
200203
譬ふれば北風に真向ふ生涯か
密門令子
雨月
200203
北吹いて港の景の濃かりけり
島田三千子
朝
200203
北風を聴いて独りにまだ馴れず
山田弘子
円虹
200203
北風や筧の涸れし杣の家
升本行洋
春耕
200203
北風や狛犬青き錆ふやす
吉岡久江
火星
200204
北風の落して行きし詩のノート
土岐明子
遠嶺
200204
断崖を北風の機関車急カーブ
寺内佶
遠嶺
200204
北風を道連れに酒場へ老一人
大島寛治
雨月
200204
北風に向ふペダルの踏み難し
武智恭子
ぐろっけ
200205
北風に押される如く街をゆく
川口咲子
ホトトギス
200205
北風落ちて星座それぞれ安定す
吉村ひさ志
ホトトギス
200205
父の忌や北風さへも懐かしく
吉村ひさ志
ホトトギス
200205
飄飄と隠れ念仏北風の葬
菅原康
風土
200207
縁とは北風にも叶ふ心かな
稲畑廣太郎
ホトトギス
200211
鳶は輪を鴉は線を北風に描く
稲畑廣太郎
ホトトギス
200211
満天の星北風に磨かれし
稲畑汀子
ホトトギス
200212
北風やななめ歩きに運ぶ臼
鷹羽狩行
狩
200212
北風のせて潮騒高し憂国忌
谷口みちる
沖
200302
北吹いて伸びたるままのクレーン車
當麻幸子
雲の峰
200302
北風強しいま鏑矢を放つ像
風間史子
鴫
200302
北風に向かふとき吾子生き生きす
丸山敏幸
朝
200302
北風が研ぐ溶岩くろぐろと照らひをり
渡邉友七
あを
200303
北風かばひ初宮の子をしかと抱く
久保晴子
雨月
200303
一盞にいのち称へて北吹く夜
ほんだゆき
馬醉木
200303
大北風や時に潮噴く波ころし
小高布く子
朝
200304
北風切つて駈けゆく車夫の太き眉
上田繁
遠嶺
200304
地蔵山
北風
のめりはりのこしけり
外川玲子
風土
200304
舟焼きしあとの残れる北風の中
冨田正吉
朝
200304
北風に一人素振りの好好爺
林裕美子
六花
200304
北風小僧ひばり放送運び来る
物江晴子
八千草
200305
台湾の岬の北風が巨船揺る
鈴木てるみ
ぐろっけ
200305
娘の愛の芽をうばい去る大北風
芦川まり
八千草
200305
獣は短命樹木は長命北風に鳴る
金子兜太
岳
200305
大北風すぎし湖面の無一物
山元志津香
八千草
200306
北風吹くや句碑の孤高を顧る
河野扶美
ホトトギス
200306
かあさんと逝きし子の声北風(ならい)吹く
佐々木栄
ぐろっけ
200307
寺田屋に灯らぬ間あり北風荒ぶ
塩路隆子
花衣
200307
北風や河漢にきらと赤いもの
吉弘恭子
あを
200401
北風に聞くうたかたのものがたり
鈴鹿仁
京鹿子
200401
北風に軒の干柿縮みけり
安部里子
あを
200401
北風吹くや心に半鐘鳴らさねば
渕江千代
酸漿
200401
北風のめくつていつた木の記憶
豊田都峰
京鹿子
200402
北風の頭とぶつかる日ぐれの町の角
豊田都峰
京鹿子
200402
北風荒びをらむ君亡き川ほとり
村上光子
馬醉木
200402
川筋をともしつらねて北風の街
豊田都峰
京鹿子
200402
ねぐらはや北風に向ひてとぶ雀
高木智
京鹿子
200403
北風や斜めにかまふこともして
豊田都峰
京鹿子
200403
夜の北風父の酒量は継がざりし
北川孝子
京鹿子
200403
矢印は北風示し明日の旅
高木智
京鹿子
200403
北風荒ぶ胸三寸に納むかな
北川孝子
京鹿子
200403
北風の鬨あぐるかに館跡
浜田はるみ
遠嶺
200403
北風掃いて掃いて永平寺となりぬ
田中英子
火星
200403
太陽と北風を載せ釣筏
浜福恵
風土
200403
単車駆る北風となり音となり
高木智
京鹿子
200403
足音はすぐ北風となり闇邃し
小川文子
京鹿子
200403
北風のまくり上げたるとたん屋根
高木智
京鹿子
200403
大鷭の額の清し北風の中
浅野恵美子
酸漿
200404
北風や引き売る人の国訛
内田稔
遠嶺
200404
のめりつつ北風に押されて散歩する
花房敏
ぐろっけ
200404
北風に逆立ちなせる髪押さへ
阪口久子
築港
200404
北風や悲鳴に似たる木木の音
上澤邦彦
対岸
200404
世をなげく相手ほしがる北風提灯
山元志津香
八千草
200405
北風に故郷偲び湖に佇つ
佐藤ナオ子
遠嶺
200405
煮炊して北風のひと日の照り翳り
真保喜代子
朝
200405
朱雀門開けば北風の溜り風
奥村鷹尾
京鹿子
200405
攻めてくるものは海より大北風
柴田佐知子
空
200406
北風荒ぶロンダ断崖牢の跡
塩路隆子
苑
200412
北風に尻持ち上げてペダル漕ぐ
宮城白路
風土
200502
北風衝くや背にネクタイを翻し
宮城白路
風土
200502
北風に土竜威の全回転
鈴木ヤスエ
築港
200502
薬湯の香を北風の散らしける
赤座典子
あを
200502
磯波の川遡る北風荒し
託正夫
濱
200502
北風吹いて鋸形の屋根を研ぐ
田村すゝむ
風土
200502
北風に吹かれて沼へ切通し
竹内旦
百鳥
200502
北風にめつぽう強き女の手
加藤峰子
鴫
200502
北風やホワイトオーク樽工場
島元文
遠嶺
200503
北風は母逝く夜の鳴咽とも
小澤克己
遠嶺
200503
北風を見据えて鴉動かざり
福山至遊
集
200503
北風に負けない呪文唱へけり
瀬下るか
鴫
200504
北風に鳴りて船の灯工場の灯
桑島啓司
狩
200504
北吹けり窓辺に鉢の花の彩
鳴海清美
六花
200505
淡海に北風募り風花す
長村雄作
栴檀
200506
北風に星の集まる所かな
高橋将夫
星の渦
200507
北風におらびて船を揚げてをり
遠藤真砂明
波太渡し
200510
北吹くやガラス囲ひの牛丼屋
山尾玉藻
火星
200602
大風車等間隔に北風に耐ふ
伊藤巨久
対岸
200602
北風が下総台地を吹き抜ける
須賀敏子
あを
200602
北風の一樹を通りぬける音
藤井淑子
百鳥
200602
北風吹いて黄金色なる芋羊羹
福井隆子
対岸
200602
北風を来し身の救はるる蒸しタオル
松崎鉄之介
濱
200602
北風やアンパンマンの三輪車
須賀敏子
あを
200602
三線は戦禍の嘆き北風に弾く
木船史舟
苑
200602
ホーリーの実の赤々と北風すさぶ
松崎鉄之介
濱
200602
抵抗の一生北風に傾ぐ松
泉田秋硯
苑
200603
大北風に瀬戸大橋の無能なる
足利徹
ぐろっけ
200603
人の波仲見世通り北風知らず
森理和
あを
200603
北風が下総台地吹き抜ける
須賀敏子
あを
200603
路地小路余さず北風の吹く日かな
石上宗花
朝
200603
北風の名残りをサザンビーチまで
金子孝子
沖
200604
掌にのせて鯛焼熱し北風つのる
重本文子
百鳥
200604
海に出て北風息を抜きにけり
西村博子
馬醉木
200604
北風の吹きっさらしを行く破目に
安達風越
雨月
200604
灯油売北風小僧連れて来し
小儀洋子
百鳥
200604
祇王寺へ矢印通り北風連れて
井上富詩子
苑
200605
勝ちて泣く男の子の涙北風の中
野中啓子
苑
200605
北風へ恋を冷ましに出でにけり
ことり
六花
200606
確定申告手間どりし果て北風に遭ふ
北村香朗
京鹿子
200606
北風に隙ありて乳房は乳臭し
八田木枯
晩紅
200609
北風に鼻からすうと糸たれる
安部里子
あを
200701
筑波東北風途中採用初出勤
吉弘恭子
あを
200702
生れし日の北風の強きへ歩み入る
岡本眸
朝
200702
付きまとふ北風小僧に一封を
丸山佳子
京鹿子
200702
ひとしほに灯をひくくせば北風ごころ
豊田都峰
京鹿子
200702
ギャロップの馬上や北風に逆らひて
泉田秋硯
苑
200702
石塊となり北風と睦びたり
小宮山勇
遠嶺
200703
北風に向かひ二兎追ふほかはなし
片山タケ子
鴫
200703
北風が救世軍の声攫ふ
堀田こう
雨月
200703
太陽と北風のゐる散歩道
安田久太朗
遠嶺
200704
柴犬は北風吹く街に耳さとく
瀧春一
萱
200706
北風に小走り気味の歩を運び
松尾緑富
ホトトギス
200706
大極殿未建の北風は吹き抜けて
奥村鷹尾
京鹿子
200706
朝堂院の棟上ぐ迄の北風強し
奥村鷹尾
京鹿子
200707
擦り傷を北風削りゆきにけり
ことり
六花
200712
北風の尖りて十二月八日
奈辺慶子
雨月
200801
回転扉出て北風のきりもみに
大畠政子
雨月
200801
荒北風や泰然自若鬼瓦
松波とよ子
春燈
200802
北風吹くや鎌倉古道坂のぼる
布施まさ子
風土
200803
北風の中飛びくる木の葉胸に受く
坂井和子
酸漿
200803
北風のしきりに叩く祈願絵馬
黒澤登美枝
峰
200803
呉竹の葉はそよぎつつ北風ゆるむ
藤井美晴
やぶれ傘
200804
三陸の北風抜くる鰭干場
高橋スミ子
万象
200804
北風の主に言ひたきことのあり
加藤克
峰
200804
北風鳴つて廃船に小さき部屋一つ
藤田宏
長城
200808
北風強く歩めばわれも修道士
伊藤白潮
鴫
200811
廃船の竜骨鳴らし北風猛る
松本圭司
沖
200901
北吹きて円了旧居霊界に
赤座典子
あを
200902
北風の耳より入りて耳を出づ
三井つう
炎環
200902
兵馬俑の無言の叫び北風の中
塩路五郎
璦
200902
熱の夜の吾をめぐりて北吹けり
外川玲子
風土
200902
往還の道なりに吹く
北風
かな
瀬島洒望
やぶれ傘
200902
北風すさび魚雷レプリカ海へ向く
木村幸
苑
200903
環鳴れる庁舎旗竿北風の中
小澤菜美
璦
200903
北風の呼び名変はりて新任地
高木嘉久
沖
200903
海神の声やデッキに北風すさび
刈米育子
苑
200903
北風凪ぐや並べ直して遺の書物
風間史子
鴫
200903
北風や光る0系新幹線
大原貴彦
炎環
200903
北風や意志あるごとくレジ袋
芝宮須磨子
あを
200903
一つづつ北風の点せる山家の灯
吉田晴子
璦
200903
北風に毛羽立つ雀より添ひぬ
山野惣一郎
遠嶺
200904
北風衝きて遊行のごとく野を一人
安達風越
雨月
200904
北風の中日のあるうちに菜を採りに
伊藤一枝
酸漿
200904
北風つのるひねもす破船いたぶりて
谷村祐治
雨月
200904
見慣れたる街を北風変へにけり
松村光典
やぶれ傘
200905
海荒れて北風の貼りつく千枚田
山田暢子
風土
200905
2020年12月7日
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