桐一葉 1 100句
桐一葉落ちて心に横たはる 渡辺白泉
癌の身を詠みて五年や桐一葉
三浦勲
濱
199811
桐一葉最後の恋と想ひつつ
小澤克己
遠嶺
199812
重き空より音もなく桐一葉
稲畑汀子
ホトトギス
199908
桐一葉以下同文はおことわり
丸山佳子
京鹿子
199911
鎌をうつ野鍛冶のひびき桐一葉
芋川幸子
春耕
199911
夭折に美学など無し桐一葉
小澤克己
遠嶺
199912
桐一葉図案づくりや糸染めて
林田圓
京鹿子
199912
桐一葉落ちて黄土に還りけり
稲畑廣太郎
廣太郎句集
199912
桐一葉路面をすこし擦りゆけり
櫨木優子
狩
200001
桐一葉風が頬ずりして行けり
小島とよ子
遠嶺
200001
桐一葉遠目差しの波の綺羅
林友次郎
遠嶺
200002
桐一葉落ちしところに面伏せ
山口速
狩
200002
日溜の石段登る桐一葉
信崎和葉
六花
200002
桐一葉幾王朝を重ねしや
奥田智久
ホトトギス
200004
桐一葉窓の一劃よぎりけり
稲畑汀子
ホトトギス
200008
桐一葉見えなき糸を引きにけり
小林草吾
円虹
200011
桐一葉鵺塚橋をきよし館へ
山田六甲
六花
200011
桐一葉夕日は佐渡に落ちにけり
志鳥宏遠
ホトトギス
200101
高虚子の若き筆勢桐一葉
立石萌木
雨月
200102
桐一葉菅江真澄の道に逢ふ
松崎鉄之介
濱
200102
桐一葉二十世紀を剥がれ落つ
華明日香
銀化
200103
桐一葉ビル風に舞ひ上りけり
稲畑廣太郎
ホトトギス
200108
桐一葉白馬の尾根を遠ざけて
稲畑廣太郎
ホトトギス
200108
憧れのうすれに気づく桐一葉
丸山佳子
京鹿子
200109
桐一葉ふたりぼつちの去りしあと
鈴鹿仁
京鹿子
200109
はた目では些細な事よ桐一葉
丸山佳子
京鹿子
200110
一掬の風の月より桐一葉
大橋敦子
雨月
200110
桐一葉つくづく母を遠しとも
小野寺和子
狩
200111
桐一葉あとは情報「惨」の禍多
丸山佳子
京鹿子
200111
人の生の幕間とせむ桐一葉
児玉素朋
京鹿子
200111
桐一葉青い地球の一点に
沼田巴字
京鹿子
200111
目つむりて泳げる海豚桐一葉
山田六甲
六花
200111
桐一葉藩祖の廟へ落ちゆけり
石崎淨
風土
200112
桐一葉かそけき中の無縁仏
久胡さわ江
春耕
200112
遠汽笛深き空より桐一葉
林友次郎
遠嶺
200112
桐一葉葛藤抜け来し道に逢ふ
田渕昌子
京鹿子
200201
産土神の磴すべりゆく桐一葉
阿久津都子
春耕
200201
桐一葉五分の勝利を上となす
神蔵器
風土
200201
いちまいづつ空を剥がして桐一葉
藤稿みのる
風土
200201
桐一葉山に対ひし座禅石
林裕子
風土
200201
桐一葉落ちても世情さわがざる
吉田多美
京鹿子
200202
桐一葉ことばが触れただけなのに
大沼眞
沖
200202
暗き灯によりて人待つ桐一葉
奥村啓子
朝
200202
桐一葉訪はるることもなく暮れて
白鳥彰子
狩
200203
そんな語にのつてはならぬ桐一葉
丸山佳子
京鹿子
200211
桐一葉しづかに村の色うごく
熊倉だい
沖
200211
疑ひを小ごゑもて話す桐一葉
浅井勝子
沖
200211
桐一葉旧鎮守府の午報鳴る
松崎鉄之介
濱
200212
桐一葉驚いてゐる壁の耳
山田六甲
六花
200212
桐一葉てふ季語いつか遠ざかる
小野寺節子
風土
200301
桐一葉些事にくらくらどきどきす
大塚まや
京鹿子
200302
さすらひの心忘るる桐一葉
芝川百合子
京鹿子
200302
桐一葉落ちて信号変りけり
稲畑廣太郎
ホトトギス
200308
本棚のどれ捨てやうか桐一葉
竹貫示虹
京鹿子
200308
先入観変らぬうちに桐一葉
丸山佳子
京鹿子
200309
くちびるの塩からきこと桐一葉
植木戴子
槐
200311
桐一葉なすべきことのなほ多し
大串章
百鳥
200311
実像と虚像の間桐一葉
江坂衣代
百鳥
200311
お先きにと日を受けて散る桐一葉
吉田多美
京鹿子
200311
かへりみて恥ぢることなき桐一葉
北原瑞枝
遠嶺
200312
桐一葉落ちて大地のゆるぎなし
谷村祐治
雨月
200312
今昔を行きつ戻りつ桐一葉
内山千代子
帆船
200312
貝塚にふはりと落ちし桐一葉
天野きく江
槐
200312
男女ゐて仕事の話桐一葉
岡本眸
朝
200312
どの道を生くるもわたし桐一葉
浜中雅子
遠嶺
200401
桐一葉身を折り使ふ草箒
鈴木綾
朝
200401
変人と云はれて久し桐一葉
鈴木ひろ志
草の花
200401
飯能に雨の降るなり桐一葉
柳堀悦子
草の花
200401
桐一葉きのふが遠き日のやうな
前迫寛子
河鹿
200402
勤行の木魚止みけり桐一葉
永田哲心
遠嶺
200402
桐一葉朝の納豆かきまはす
中野京子
槐
200403
晩節といふ語重たし桐一葉
冨田みのる
濱
200403
影のして音の残れる桐一葉
上林孝子
朝
200403
桐一葉ちから抜くこと覚えけり
山元志津香
八千草
200403
きりきりと別れの舞を桐一葉
和田美代子
八千草
200403
沈黙の大地を結ぶ桐一葉
稲畑汀子
ホトトギス
200408
どこにでもアメリカ国旗桐一葉
赤座典子
あを
200410
桐一葉水辺は指のもう冷えて
岡本眸
朝
200410
桐一葉夕日溶くるに刻かけず
岡本眸
朝
200410
桐一葉病みて俄かに旅恋し
岡本眸
朝
200410
桐一葉高根とあふぐ微笑仏
淵脇護
河鹿
200411
桐一葉声の一つに空耳も
宮崎すみ
対岸
200411
桐一葉紅花屋敷の長屋門
渡邊泰子
春燈
200411
ふり返ることも大切桐一葉
丸山佳子
京鹿子
200411
桐一葉単線往復三十分
中谷喜美子
六花
200411
桐一葉富士の大きな黙を落つ
長山あや
ホトトギス
200412
かくれんぼ音なく落つる桐一葉
竹内悦子
槐
200412
桐一葉閉ぢて瞼のうすきこと
宮崎すみ
対岸
200412
桐一葉死後も残りて坂一つ
井口ふみ緒
風土
200501
のボールと名付けし人や桐一葉
山田富朗
遠嶺
200501
故郷ときめし住処や桐一葉
窪田米子
遠嶺
200501
桐一葉職業欄に斜線引く
上薗櫨夫
河鹿
200501
桐一葉軋みて廻る風見鶏
松井洋子
ぐろっけ
200501
水の面に固き音たて桐一葉
立石萌木
雨月
200501
桐一葉おちて遺せり千字文
荒川清司
遠嶺
200502
桐一葉又桐一葉旅路かな
稲畑汀子
ホトトギス
200508
桐一葉大きな風の地にまろぶ
稲畑汀子
ホトトギス
200508
桐一葉落ちてとどまる先のあり
稲畑汀子
ホトトギス
200508
相続の談義きりなし桐一葉
中島英子
八千草
200508
桐一葉馬柵をかすめて落ちにけり
浜和佳子
百鳥
200511
2021年8月4日
作成