枯葎われ呼ぶ母のかすれ声
大山清
濱
199805
廃船の龍骨のみや枯葎
斎藤道子
馬醉木
199902
水音をとほしてゐたる枯葎
山尾玉藻
火星
200001
丈余なる貴族の墓碑や枯葎
市橋章子
ぐろっけ
200004
そのこゑに記憶ありけり枯葎
加藤哲也
銀化
200102
人工の島の入江の枯葎
平山八十子
雨月
200103
午後の日のすでに漂ふ枯葎
岡本眸
朝
200103
鳥声にふくらんで来し枯葎
津田経子
火星
200105
枯葎昔庄屋の屋敷杜
宮本俊子
雨月
200201
枯葎畢竟音を藏すのみ
中原道夫
銀化
200202
枯葎傘寿の強歩ゴールイン
坂本フジ
帆船
200302
垣?えかなしきまでの枯葎
鎌倉喜久恵
あを
200302
枯葎踏んで献花の列に入る
稲畑廣太郎
ホトトギス
200305
枯葎より猫の顔現れし
稲畑廣太郎
ホトトギス
200312
枯葎引けば乾きし音色かな
稲畑廣太郎
ホトトギス
200312
枯葎歩をとどめさす鳥の声
木村倫三
遠嶺
200405
一斉に雀湧き翔つ枯葎
上原一郎
築港
200502
枯葎犬の落せしものを踏み
鳴海清美
六花
200503
川沿いに雀等集う枯葎
遠塚青嵐
集
200507
枯葎色なきものを地に残す
森山のりこ
あを
200601
火のやうに鶏冠が走る枯葎
藤井寿江子
馬醉木
200601
褪せながらかがやくことも枯葎
岡本敬子
万象
200602
五位鷺の羽休めをり枯葎
小松渓水
酸漿
200602
枯葎波音透かす舟だまり
小牧弘治
河鹿
200603
枯葎すすき一叢なびきけり
福盛悦子
雨月
200701
橋桁の百へのびゆく枯葎
高松由利子
火星
200702
身の丈の堤かなはず枯葎
山崎靖子
鴫
200702
筆先の勢ひ余りて枯葎
横山淑子
沖
200702
枯葎引くやぱらぱら種こぼる
木内美保子
六花
200704
山寺の文塚ひそと枯葎
池田倶子
雨月
200705
枯葎アスワンの丘は砂深し
大西まりゑ
酸漿
200801
枯葎右手も左手も獣道
東良子
遠嶺
200803
地蔵尊おはす枯葎の道に
久永つう
六花
200803
枯葎瀟洒な山家建ちかはる
稲畑汀子
ホトトギス
200812
枯葎大地は雨を呼んでをり
稲畑汀子
ホトトギス
200812
枯葎雨の大地にくづほれし
稲畑汀子
ホトトギス
200812
立ち直ることなく雨の枯葎
稲畑汀子
ホトトギス
200812
信濃路や風の尾のこる枯葎
戸村よねこ
遠嶺
200902
枯葎芯から酔ふてみたき日よ
田原陽子
鴫
200903
枯葎糸口確と見えぬまま
鈴木陽子
炎環
200903
地震訓え具さに聞きて枯葎
北川光子
ぐろっけ
200905
枯葎記憶で辿る越し方を
芝宮須磨子
あを
201002
検問のなき国境の枯葎
渡辺一三
狩
201002
里山の裾を覆へる枯葎
橋本ふさ子
笹
201003
子について走り出す犬枯葎
きくちきみえ
やぶれ傘
201003
それぞれに子細はあれど枯葎
内藤呈念
ホトトギス
201005
雪の来るまでは奔放枯葎
安原葉
ホトトギス
201005
ひそめたる命吉野の枯葎
稲畑汀子
ホトトギス
201012
秘密基地あらはになりぬ枯葎
吉田希望
璦
201102
枯葎混じる白穂の芒あり
掛江淳司
酸漿
201103
枯葎倭国内騒騒騒
吉弘恭子
あをかき
201104
草臥れて石に腰置く枯葎
田中臥石
末黒野
201201
残照を着飾つてゐる枯葎
大豆生町耕一
ろんど
201204
枯葎この奥に姫眠るかも
永塚尚代
ぐろっけ
201205
枯葎崩し字読めぬ句碑の旧る
鈴木撫足
春燈
201303
公園のボール蹴る子や枯葎
加藤榮一
末黒野
201404
日向には日向の匂ひ枯葎
寺田すず江
槐
201503
枯葎道の一つは熊の道
矢崎すみ子
沖
201503
板塀の日向の匂ひ枯葎
きくちきみえ
やぶれ傘
201603
鳥容れてひかり一すぢ枯葎
黒滝志麻子
末黒野
201604
枯葎色に優劣なかりけり
森清堯
末黒野
201604
枯葎短き綱に山羊つなぎ
小島翠波
空
201604
揚げ舟の船首をとらふ枯葎
??田勝子
万象
201703
この犬と生きる楽しみ枯葎
佐藤澄世
馬醉木
201803
枯葎壁の向かうは大使館
渡邉孝彦
やぶれ傘
201903
ほつこりと妖精の宿枯葎
中田禎子
槐
201904
枯葎煮干の匂ふいさば径
田中臥石
末黒野
201905
雀来て賑はつてゐる枯葎
森田明成
空
201906
凛冽と湖晴れ渡る枯葎
天田牽牛子
馬醉木
202003
山城へつづく路傍の枯葎
川井真理子
春燈
202103
茨線に絡みしままの枯葎
天野美登里
やぶれ傘
202103
日本海に向きたる骸枯葎
高橋寛子
春燈
202202
2023年1月23日
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